建設業界の企業の中には、無料の顧客管理ツールを探している企業も多いでしょうか。
この記事では、建設業向けの顧客管理ツールについて概要から、選ぶときのポイント、おすすめのツールについて解説します。
「どのツールやソフトを使えばいいのかわからない」といった方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
建設業で顧客管理が重要視された背景
建設業で顧客管理が重要視された3つの背景について解説します。
競合との競争激化
日本は少子高齢化により人口が減少しており、建設業のターゲットとなる層の年齢は少なくなっています。
つまり、新規集客が難しくなっており、少数の顧客を建設事業者で奪い合うような状態です。
しかし、建設コストの高騰により安易な値下げもできないため、新規集客だけでなく既存顧客を大切にするための仕組みが必要とされました。
顧客管理とは顧客情報を適切に管理して、それぞれの顧客に適したサービスを提供し、長期的に関係を維持するためにおこなわれます。
新規集客と並行して顧客管理に力を入れることで、自社を何度も利用する優良な顧客を作り出すことが可能です。
顧客の申し込みまでの行動の変化
施主が建設業者を選ぶ際の行動にも変化がみられています。
たとえば、従来は展示場への来場やチラシ、知り合いからの口コミなどオフラインで工務店を認知し、利用する人がほとんどでした。
しかし、インターネットが普及した今、顧客は工務店の情報を検索、比較したうえでどの工務店を選ぶか決めています。
特に消費者が重視するポイントがクチコミです。
優良な口コミを造成するためには、既存顧客に対して丁寧な対応が必要となります。
顧客管理によって顧客情報を管理し、適切なアフターフォローや対応ができれば顧客の印象が上がり、良い口コミをネットに書き込んでもらえる可能性は高まるでしょう。
インターネット上の良い口コミを見て問い合わせが入る可能性も上がるため、顧客管理は新規集客のためにも有効な方法です。
働き方改革への適応
建設業界では2024年4月より労働時間の上限規制が適用されるなど、働き方に大きな変化が訪れています。
工務店やハウスメーカーの営業担当は数字を達成するため長時間労働するケースが多く、営業の効率化が求められていました。
顧客管理ツールの導入により、営業が手入力で管理していた顧客リストの作成、各種フォローを自動化、効率化できます。
たとえば、顧客管理ツールで顧客の契約状況を確認すれば、営業担当以外がフォローメールを配信したり、問い合わせへ回答できます。
顧客管理ツールの導入により、営業担当がコア業務に集中できるはずです。
結果として顧客管理ツールの導入が、業務時間の短縮につながるでしょう。
顧客管理ツールとは
顧客管理ツールとは、顧客に関する各種情報の管理ができるツールです。
ここでは、顧客管理ツールに関して、以下の3点を解説します。
顧客管理(CRM)とは
顧客管理とは、顧客の名前や連絡先、営業担当者が作成した日報、さらには訪問履歴といった顧客に関する各種情報を管理することをいいます。
情報はただ管理するだけでなく情報の活用によって、顧客満足度の向上や業務効率化などに可能です。
ちなみに、顧客管理は英語にすると「Customer Relationship Management」となり、略して「CRM」と呼ばれることもあります。
エクセル管理との違い
顧客管理自体は、エクセルでもおこなえます。
エクセルの場合、多くの企業が普段から利用しているため、なじみがあるほか、顧客情報の項目も自由に増減可能です。
また、導入にあたってのコストもほとんどかかりません。
しかし、エクセルだとリアルタイムでの情報確認や同時編集ができない、業務が属人化してしまうなどデメリットが少なくありません。
上記のようなデメリットがあり、エクセルでの管理には限界があるといえます。
一方で顧客管理システムを導入すれば、顧客情報をリアルタイムで確認・共有できるほか、簡単にデータを分析が可能です。
また、顧客情報を営業進捗と同時に管理できるなど、大幅な業務効率化を実現できるでしょう。
有料版と無料版の違い
顧客管理ツールの中には、有料版と無料版があります。
両者の大きな違いは、制限があるかどうかです。
例えば、無料だとデータ量が少なかったり、データ共有ができるユーザーが限られるなど、利用時にさまざまな制限がかかることになります。
無料の顧客管理ツールを選ぶポイント
ここでは、無料の客管理ツールを選ぶ際のポイントとして、以下の4点について解説します。
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機能性
顧客管理ツールを選ぶとき、大きなポイントとなるのが機能性です。
ツールによって搭載している機能は異なります。
建設業では、以下のような機能があることが好ましいでしょう。
- 顧客情報
- 契約状態
- アフター管理
- 物件情報の登録
- 物件写真や図面の管理
- 工事・施工管理機能
- 協力会社との連携
自社の課題がなんなのか、どういった機能があるのか考えたうえで、課題や導入目的に沿った機能が備わっているツールを選びましょう。
いくら多機能でも、自社で使用しなければ意味がありません。
建設業界向けかどうか
建設業界の場合、顧客情報として扱う項目が他の業界と異なる部分もあります。
そのため、建設業界に特化したツールや、建設業界でも利用できる汎用性の高いツールを選ぶのがおすすめです。
ツールの導入を検討する際は、導入事例に建設業が紹介されているかチェックすると良いでしょう。
操作性
いくら優れたツールであっても、導入後現場の社員が使いこなせないなど、操作性が悪いと導入の効果が得られません。
実際に使用する社員がどのような状況で使用するのか、どういった年齢の社員が使用するのかなど、「使用する人にとって使いやすかどうか」といった点も考慮するといいでしょう。
「無料版」か「無料期間」
無料で利用できる顧客管理ツールの中には「無料版」と「無料期間」の違いがあります。
無料版とは、期間の定めなどなく無料で利用できるものの、ツールの機能に制限がついているのが一般的です。
一方で、無料期間は、30日など一定の期間無料でツールを使用でき、有料版と同じ機能が使用できるケースが多くなっています。
導入にあたっては、両者の違いを理解しておくようにしましょう。
なお、もし将来的に有料版の導入も検討しているなら「無料期間」があるツールがおすすめです。
【無料版】顧客管理ツール6選
ここでは、顧客管理ツールの中でも「無料版」として利用できる顧客管理ツールを下記6つ紹介します。
売り上げマネージャーOasis(受注顧客ベーシック)
売り上げマネージャーOasis(受注顧客ベーシック)は、株式会社建築資料研究社が提供する顧客管理ツールです。
住宅建築・リフォーム会社専用のツールとなっており、見込客から工事中の顧客、OB客まで全ての顧客情報の管理ができます。
操作性にも優れており、顧客情報の項目は自由に変更可能です。
また、顧客情報の紐づけもできるため、必要な情報にすぐにアクセスできます。
エクセルや別のソフトで管理しているデータの読み込みもできるため、エクセルで顧客管理をしている企業でも導入しやすいでしょう。
Fullfree(フルフリー)
Fullfreeは、株式会社フリースタイルが提供する顧客管理ツールです。
あらゆる業界に対応しており、建設業の業務にも対応しています。
ダウンロード無料でありながら、使用制限などは特にありません。
また、自分で自由にカスタマイズもできるため、自社の業務に合わせたツールにすることが可能です。
さらに、データはクラウドによって共有されるため、会社と現場でのデータ共有にも手間がかかりません。
そのほかにも、情報の項目をエクセルのような感覚で気軽に変更できる点も特徴です。
エクセルからのデータの移行もおこないやすく、エクセルと同じ計算式も使用できるため、初めて利用する人でも、使いやすさを感じられるでしょう。
HubSpot(ハブスポット)
HubSpotは、アメリカのHubSpot社が提供する無料の顧客管理ツールです。
完全無料で利用できるツールでありながら、最大で100万件のコンタクトの登録ができ、チームでのデータ共有もできるなど、使い勝手の良さが特徴です。
また、Gmail・Google Workspace・Outlookといった各種ツールにも対応しているため、導入しやすいでしょう。
Ambassador Relations Tool(アート)
Ambassador Relations Toolは、株式会社コンファクトリーが提供する顧客管理ツールです。
顧客の基本情報や商談履歴といった顧客管理はもちろん、メール配信やWebアンケート、Webサイト上でのマーケティングオートメーションなどがおこなえます。
業種に応じて顧客情報の項目のカスタマイズもできるため、建設業での利用にも向いているでしょう。
さらに、顧客の購入履歴や利用行動にもとづいた分析にも対応しています。6つのランクに自動的にグルーピングしてくれるため、ランクに応じた営業活動なども可能です。
フリーウェイ
フリーウェイは、株式会社フリーウェイジャパンが提供する顧客管理ツールです。
無料使用は3人までで、データ共有もおこなえます。
フリーウェイの特徴は扱いやすさにあり、操作性を考慮して画面はシンプルな構成です。
最新機器の操作に抵抗を感じる人でも扱いやすく、導入しやすいでしょう。
さまざまなデータベースの作成が可能で、社員のデータベース・顧客のデータベースなど、さまざまな情報の管理に活用できます。
ただし、無料版の場合は1,000データまでしか利用できない制限があるため注意してください。
顧客管理ソフト「WEBカスタマン」
顧客管理ソフト「WEBカスタマン」は、株式会社アクティブ情報サービスが提供する顧客管理ツールです。
さまざまな業種の企業、さまざまな職種の業務に対応できるように、拡張性を備えています。
企業の規模に関係なく、総務や営業、現場などで活用可能です。
もちろん自社のニーズに合わせたカスタマイズもできます。
顧客の属性やカテゴリ、訪問履歴、来店履歴、対応履歴など、顧客がどのようなアクションを起こしたか、こちらからどのようなアクションを起こしたか、といった情報の管理もできるため、営業活動の際にも役立つでしょう。
【無料期間あり】顧客管理ツール4選
最後に、無料期間が設けられている顧客管理ツールを4つ紹介します。
サクミル
サクミルは2ヶ月無料で使用できる顧客管理ツールです。
顧客情報を作業現場ごとに管理し、進捗状況や必要な図面やファイルを共有できます。
見積もり提出後のフォローが追いつかないなどの課題を、案件ステータスの一覧管理で解決。
チーム全員で営業の進捗状況を把握できるため、顧客を取り逃がす心配がありません。
また、日報の提出などもタブレットでできるため、営業の事務作業も効率化します。
さらに、経営レポートの自動表示など経営指針の決定に役立つ機能も搭載しており、顧客管理だけでなく業務全般をカバーできるツールです。
Patio
Patioは3ヶ月無料トライアル期間がある工務店向けの顧客管理ソフトです。
無料期間が長期的に設けられているため、ソフトの使い勝手をしっかり試したうえで導入を検討できます。
お客様の名簿はもちろん、工事の進捗管理やファイルの共有、請求や入金情報も1つのツールで管理が可能です。
さらに、タブレットやスマートフォンからのアクセスも可能と外出先からの使用も可能なため、外出が多い営業担当の業務を大幅に効率化してくれます。
300社以上の工務店に愛用されており、信頼して顧客情報を管理できるツールといえるでしょう。
kintone(キントーン)
Kintoneは、サイボウズ株式会社が提供する顧客管理ツールです。
さまざまな業種に使用可能で、工務店の顧客管理に特化させることもできます。
工事の各種納期や進捗状況の管理や顧客情報は全社での共有が可能です。
営業担当者はもちろん現場で働く社員まで、今抱えている案件の顧客はどういった人なのか把握できます。
さらに、工事履歴の管理にも対応しているため、協力会社のうちどの会社がどの工事を担当したのか、といった情報を残すこともできます。
各作業における責任の所在を明確にしてくれるため、後々のトラブル回避にもつながるでしょう。
そのほかにも、建設業にはありがたいヒヤリハット集の作成も可能です。
自社のヒヤリハットをデータベース化することで、安全管理に活用することもできます。
Zoho CRM
Zoho CRMは、アメリカのZoho社が提供する顧客管理ツールです。
見込み客・取引先の管理からタスク・スケジュール管理、商談管理、見積書・請求書作成、ドキュメント管理など、多機能でさまざまな情報の管理がおこなえます。
また、データは時間や場所に関係なくすぐに確認できるため、業務を滞らせることもありません。
さらに、ツールに集約されている情報をもとにワンクリックでレポートを自動作成してくれる点も大きな特徴です。
建設業の顧客管理ツールに関するよくある質問
最後に、建設業の顧客管理ツールに関してよくある質問をまとめました。
まとめ
顧客管理ツールは、顧客情報をはじめとして業務に関わる各種情報の管理ができる便利なツールです。
導入の際には、価格や機能、操作性はもちろん、建設業での利用に向いているかどうかもチェックしましょう。
今回は無料の顧客管理ツールを紹介しましたが、有料のソフトも検討している場合は、工務店業務全般を効率化できるものがおすすめです。
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