建設業において、しっかり利益を残すために重要なことは原価管理をおこない、赤字工事や低利益工事を減らすことです。
しかし建設業は、独特な慣習やルールがあり「正確な原価管理が難しい」と感じている方は、多いでしょう
正しく原価管理をおこなうためには、工事原価管理システムの導入がおすすめです。
本記事では、工事原価管理システムの選び方とおすすめのシステムを7つ紹介します。
目次
工事原価管理の方法は2種類
工事原価を管理する方法は以下の2つです。
それぞれの方法のメリット、デメリットについて詳しく解説します。
工事原価管理システムの使用
工事原価管理システムを使い、効率的に日々の工事原価を管理できます。
見積もりや受発注情報を紐付けて工事現場ごとの原価を算出、合計してくれるため、工事原価管理表の作成が非常に楽になります。
また、自社で請け負っている工事現場全体の原価合計の算出やグラフ化機能を用いれば、上層部による実行予算の進捗確認も効率化するでしょう。
エクセル
エクセルを使い、工事原価を管理する方法もあります。
工事現場ごとに原価管理表を作成し、原価を手入力またはマスターデータから数式で引用し、合計額を算出します。
エクセルは範囲を選択し、グラフ化することもできるため、工事原価管理に向いているツールです。
ただし、エクセルは手入力に依存する部分が多いため、人的なミスが起こりやすい点がデメリットとなります。
また、数式やマクロを取り入れる場合に知識がある人以外がその表を編集できないなど、属人化に注意が必要です。
工事原価管理システムとは
工事原価管理システムの概要について説明します。
そもそも建設業の原価管理とは
まず建設業の原価管理について簡単に解説します。
原価管理とは、工事にかかる材料や人件費などの原価を管理することです。
原価管理により、想定した利益を確保できているかを確認できます。
建設工事では急に資材の値上がりが発生したり、トラブルにより増員が必要になるケースがあります。
そのような場合に原価を管理していないと、想定以上に減価率が高く利益が確保できません。
原価管理を徹底することで、利益を保ちつつクライアントに満足のいく成果物を納品できます。
工事原価管理システムの役割
工事原価管理システムは、工事の原価計算はもちろん、予実分析や利益率を可視化するためのシステムです。
見積もりと実際の引き渡し時の原価の差が大きくならないように、日々管理をして減価率を調整します。
工事原価管理システムは、上記のような日次の原価を入力すれば、予実管理や減価率の計算を自動化できるシステムです。
工事原価管理システムを選ぶポイント
工事原価管理システムを選ぶポイントは、下記5つです。
標準機能の範囲
工事原価管理システムを選ぶ上で、標準機能の範囲の確認は重要です。
工事原価管理システムは、さまざまな会社が提供しており、システムによって標準機能の範囲は異なります。
システム導入後に、標準で使えると思っていた機能が使用できないと、後悔の元です。
多くの工事原価管理システムで標準として備えている機能は、下記の通りです。
- 案件管理
- 実行予算作成
- 発注・支払い管理
標準機能の範囲はシステムによって異なるため、導入前に使用したい機能が標準で備わってるのかの確認は、怠らないようにしましょう。
費用
システム導入時の費用と毎月掛かる費用は、事前にしっかりと確認しましょう。
工事原価管理システムの費用は、主として下記2つから構成されています。
- 導入費・購入費
- 月額利用料
導入費には、下記のサポートが含まれるかを確認しましょう。
- サーバーの設定
- 導入時の講習
- エクセルや既存システムからのデータ移行
上記がオプション扱いとなる場合、追加で費用が掛かってしまうため、注意が費用です。
また、使用予定の機能が「標準機能」「オプション機能」どちらに該当するのかも確認しましょう。
クラウド型とスタンドアロン型
工事原価管理システムには、主に下記2つのタイプがあります。
- クラウド型
- スタンドアロン型
クラウド型は、システム提供会社のサーバーにインターネット回線を介してアクセスします。
クラウド型のメリットとデメリットは下記の表を参考にしてください。
スタンドアロン型は、インターネットなどのネットワークを介さず、システムをパソコン本体にインストールし利用するタイプです。
スタンドアロン型のメリットとデメリットは、下記の表を参考にしてください。
操作性
導入したシステムを定着させるために、操作性は重要です。
具体的には、システム使用予定者の中で「ITツールに苦手意識を持っている方」が迷わずに使用できる操作性を持っていると良いでしょう。
操作性の悪いシステムは、活用しても業務効率が下がる可能性もあるため、導入前に操作性は必ず確認しましょう。
サポート体制
トラブルが発生した場合に備え、サポート体制の確認は必ずおこないましょう。
どのような工事原価管理システムでも、トラブルは起きてしまいます。
トラブルが発生しても業務に支障が出ないように、サポート体制がしっかりとしているシステムを選びましょう。
また、下記のようなサポートがあると、導入してからスムーズに使用できます。
- 導入時講習
- 他社システム・エクセルからのデータ移行
- 追加講習
工事原価管理システムを比較検討した結果
ここでは、7つの工事原価管理システムを一覧表にして比較します。
システム導入時の参考にしてください。
製品名 | AnyONE | 使えるくらうど工事台帳V3 | e2movE | 原価本家 | 建設原価ビルダー5-コベック株式会社 | 使える建設原価 | どっと原価3 |
評価 | (4.5 / 5.0) | (3.5 / 5.0) | (4 / 5.0) | (3 / 5.0) | (3 / 5.0) | (3 / 5.0) | (2.5 / 5.0) |
補助金・助成金 | 2023年対応 | 掲載なし | 掲載なし | 2023年対応 | 掲載なし | 掲載なし | 2024年対応 |
料金 | お問い合わせ | お問い合わせ | お問い合わせ | システム価格800,000円、年間保守料80,000円 | 本体価格120,000円+消費税 | 掲載なし | ライトプラン: 月額13,000円〜 |
デモ | 無料体験デモ | 掲載なし | オンラインデモ | 掲載なし | 掲載なし | 掲載なし | 掲載なし |
基本機能数 | 8 | 14 | e2movE 工事/e2movE 販売/e2movE 支払い/e2movE 会計で異なる | 7 | 5 | 5 | 9 |
スマホアプリ | あり | なし | なし | なし | なし | なし | 掲載なし |
他ソフトとの連携 | あり (エクセルやCSV形式データの引き継ぎも可能) | なし | ・勘定奉行 ・アラジンオフィス ・楽楽精算 ・楽楽明細 ・Oracle Cloud Infrastructure | 掲載なし | CSV形式でのデータ出力 | 会計ソフトとの連動可能 | あり |
オプション カスタマイズ | ・各種帳票カスタマイズ ・エクセル修正レクチャー | 掲載なし | あり(お問い合わせ) | あり(お問い合わせ) | あり (会計システム連動オプション) | 掲載なし | あり |
アフターサポート | ・無料ヘルプデスク ・バージョンアップ(自動配信) ・オンライン打ち合わせ ・追加講習 | 掲載なし | ・電話 ・メール ・リモートサポート | ・指導サービス ・保守サポートサービス | ・電話 ・FAX | 掲載なし | 専用サポート回線 バージョンアップ 法改正対応 専用ページ ポータルサイト |
公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
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総合評価が高い工事原価管理システムは「AnyONE
先程の表の中で総合的に最も高い評価を得ていたシステムは「AnyONE」でした。
AnyONEは、標準機能に工事原価管理をおこなう上で、必要な機能が備わっています。
他社ソフトでは、オプションで機能追加しなければならない機能が標準で搭載されているため余計なコストは掛かりません。
エクセルと高い親和性があり、過去に作成したデータを業務に活用が可能で業務の効率化をおこなえます。
項目・分類別で見る!おすすめの工事原価管理システム
ここでは、下記2つの項目別・分類別におすすめの工事原価管理ソフトを紹介します。
クラウド型から選ぶ
クラウド型でおすすめの工事原価管理システムは下記4つです。
AnyONE(エニワン)
AnyONEは大手工務店から一人親方まで規模を問わず、使用可能なオールインワン期間システムです。
工務店業務全般に使用可能で、原価管理をおこなう上で費用な機能が揃っています。
例えば、作成した見積りのデータを流用できるため、実行予算作成などの後工程をスピーディに進められます。
また、発注額超過支払一覧表を作成できるため、発注予定額と実際の支払い金額の差異を簡単に確認可能です。
費用の推移を都度チェックできるため、赤字工事や低利益工事に対して早い段階で対策を講じられます。
詳しくは、AnyONEの機能や特徴、口コミ・評判を解説している記事をご確認ください。
さらに、AnyONEは、すぐに活用できるエクセルテンプレート集を無料で配布しています。
手軽に業務効率化を体験してみたい方は、利用してはいかがでしょうか。
最大350万円・導入コスト2/3補助のチャンス
使えるくらうど工事台帳V3
使えるくらうど工事台帳V3は、建設業業務支援システムです。
データはシステムで一括管理されるため、入力されたデータは瞬時に共有されます。
インターネット環境が整っていれば、管理者は電子承認をおこなえ外出中や出張中でも、承認業務が滞ることはありません。
明細はエクセル出力可能で、そのまま請求書の発行もおこなえます。
タブレットやスマホから操作が可能で、発注情報などに素早くアクセス可能です。
詳しくは、使えるくらうど工事台帳V3の機能や特徴、口コミ・評判を解説している記事をご確認ください。
e2movE(イー・ツゥー・ムーブ)
e2movEは、建設・工事業向けERPパッケージで、中でも『e2movE 工事管理』は建設業の原価管理に特化しています。
売上と仕入れを同時入力できるため、同じ情報を何度も入力する手間が掛かりません。
建設業経理士を取得している社員がおり、建設業の経理業務に精通しています。
詳しくは、e2movEの機能や特徴、口コミ・評判を解説している記事をご確認ください。
どっと原価3
どっと原価3は、サーバー不要で設置できるクラウド型の原価管理ソフトです。
場所を選ばず原価情報にアクセスし、常に工事の進捗状況や原価の推移を確認しながら工事や経営判断ができます。
さらにインストール可能なPC台数は無制限と、人数が多くても使いやすい点が特徴です。(*同時アクセス可能数はライセンス購入本数によって異なります)
受注登録や実行予算の作成だけでなく、売り上げや入金伝票なども管理もでき、事務業務を大幅に効率化できるでしょう。
スタンドアロン型から選ぶ
スタンドアロン型でおすすめの工事原価管理システムは下記3つです。
原価本家
原価本家は、タイムリーに原価と予算実績が対比可能なシステムです。
原価管理に欠かせない日報を作成できます。
日報の内容を工事台帳に反映でき、さらにその他管理帳票へも瞬時に共有可能です。
現場を素早く確認できるため、問題へスピーディに対応可能で利益を確実に残すことができます。
また、現場の進捗状況を出来高数量として管理可能です。
出来高を入力するだけで、進捗率が自動計算されます。
建設原価ビルダー5
建設原価ビルダー5は、多種多様な帳票を作成できる工事台帳管理システムです。
仕入先からの請求書を入力するだけで、工事台帳を作成できます。
業務フローが分からなくても工事台帳を作成できるため、新入社員でも簡単に原価管理が可能です。
建設業特有の経過措置にも対応しており、複数税率が混在する取引にも使用できます。
使える建設原価
使える建設原価は、中小建設業向けの原価管理ソフトです。
マスタに登録がなくても、マスタ登録と並行入力が可能で、業務の流れを切らずに使用できます。
会計ソフトとの連動がおこなえ、原価データを仕訳データとして会計ソフトに取り込むことができます。
まとめ
本記事では、工事原価管理システムの選ぶ方とおすすめのシステムを7つ紹介しました。
会社の規模や予算、目的によって最適な工事原価管理システムは異なります。
本記事を参考に、自社にとって最適なシステムを選んでください。
しかし「自分では最適なシステムを選ぶ自信がない」と悩む方もいるでしょう。
建築現場博士がおすすめする工務店・建築業界の業務効率化ソフトはAnyONEです。
導入実績2,700社超の業界No.1基幹システムで、国交省「第一回 長期優良住宅先導的モデル事業」に採択されています。
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また、システムの導入後も徹底的なサポートを受けられるため、安心して運用できるでしょう。
大手・中堅企業様から一人親方様まで規模感を問わず、業務状況に合わせて様々な場面でご利用いただけます。