働き方改革に対応するために、テレワーク時でも原価管理をおこなえる「クラウド型工事原価管理システム」の導入を検討している方は、多いのではないでしょうか。
クラウド型工事原価管理システムは、ネット環境が整っていれば場所を問わず仕事ができるため、柔軟な働き方をおこなう上で、最適です。
本記事では、クラウド型工事原価管理システムを選ぶポイントとおすすめのシステム8つを紹介します。
クラウド型の工事原価管理システムを選ぶポイント

クラウド型の工事原価管理システムを選ぶポイントを選ぶポイントは、下記の5つです。
標準機能の範囲
クラウド型の工事原価管理システムを選ぶ上で、標準機能の範囲の確認は必須といえます。
多くの工事原価管理システムで標準となっている機能は、下記の3つです。
- 案件管理
- 実行予算作成
- 発注・支払い管理
上記の機能はほとんどのシステムによって標準として備わっています。
しかしシステムによっては、機能は搭載されていません。
システムを選ぶ際は、使用したい機能が標準で備わっているのかは、必ず確認しましょう。
費用
費用の形態と支払い額の確認は、資金繰りと長期使用の観点から重要です。
クラウド型の工事原価管理システムの費用は、主に下記の2つから構成されています。
- 導入費
- 月額利用料
導入費の料金で、サーバーの設定だけでなく「導入時の講習」「エクセルや既存システムからのデータ移行」などもおこなってくれるのかを確認しましょう。
また月額利用料で、使用できる機能の確認も重要です。
使用したい機能がオプションの場合、追加料金が発生することもあり、資金繰りに影響があります。
操作性
導入したシステムを定着させるために「誰でも簡単に使用できる」操作性は重要です。
操作性の悪いシステムは、従業員が積極的に活用してくれず導入の費用と手間が無駄となります。
また操作性の悪いシステムの活用を強制した場合、システムは使用されますが、操作性が悪いと業務効率が落ちてしまうこともあるでしょう。
システムを選ぶ際は、システム使用する方の中で一番ITツールに苦手意識を持っている方を基準とすることをおすすめします。
サポート体制
安心して使用を続けるために、サポート体制の確認は必ずおこないましょう。
多くの会社が原価管理システムを提供していますが、トラブルが発生しないシステムはありません。
業務中に不具合が発生し、不具合の改善まで時間が掛かってしまうと、時間の無駄にしてしまいます。
トラブルが発生した場合、どのようなサポートを受けられるのか事前に確認しましょう。
国際会計基準「IFRS」に対する対応
国際的な会計基準「IFRS」に対する対応も確認しましょう。
「IFRS」の適用は大企業を中心にが推進されており、日本でも広まりつつあるのが現状です。
中小企業への義務づけは当分先になるでしょう。
しかし大企業や大企業のグループ会社から仕事を受ける場合は「IFRS」に対応できないとトラブルの原因となる可能性が考えられます。
大企業や大企業のグループ会社と仕事をおこなう可能性のある場合は、国際的な会計基準「IFRS」に対する対応を確認するのがおすすめです。
「IFRS」の詳しい説明は、国税庁の作成した資料をご確認ください。
クラウド型の工事原価管理システムを比較検討した結果

ここでは、7社が提供するクラウド型の工事原価管理システムを一覧表にして比較します。
システム導入時の参考にしてください。
※各業者とも公式サイトの情報を参考に、評価を付けています。(2022/4/5現在)
標準機能 | エクセルとの親和性 | 操作性 | カスタマイズ | セキュリティ | サポート体制 | |
---|---|---|---|---|---|---|
AnyONE | ◎ | ◎ | ○ | ○ | ◎ | ◎ |
使えるくらうど工事台帳V3 | ◎ | ○ | ○ | – | – | – |
アイピア | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ◎ |
SAKSAK | ◎ | △ | ◎ | ○ | ◎ | ○ |
どっと原価NEO | ○ | △ | △ | × | – | ○ |
e2movE | ○ | ○ | △ | ○ | – | ○ |
すごいよ山下くん | △ | ○ | ○ | – | ○ | △ |
uconnect | △ | × | ○ | × | ◎ | △ |
総合評価が高いクラウド型の工事原価管理システムは「AnyONE」
先程の表で総合的に高い評価を得ていたのは、「AnyONE」でした。
AnyONEは、標準機能に工務店業務に欠かせない機能が備わっていることが特徴です。
他のソフトは、オプションで機能追加をおこなう必要があり、費用が嵩んでしまいます。
エクセルとの親和性も高く「エクセルからのコピー&ペースト」「エクセルへの貼り付け」どちらにも対応可能です。
またカスタマイズにも対応しており、標準外の外部ツールでも連携できる点も強みといえます。
項目・分類別で見る!おすすめクラウド型の工事原価管理システム

ここでは、下記2つの項目別・分類別におすすめの工事管理ソフトを紹介します。
標準機能の充実度で選ぶ
ここでは、下記4つの標準機能が充実しているシステムを紹介します。
サービス名 | サービス詳細 |
---|---|
AnyONE | ・工務店業務全般に対応している ・利益に推移を追える ・エクセル感覚で使用できる |
使えるくらうど工事台帳V3 | ・全ての機能をクラウド上でおこなえる ・電子承認もおこなえる ・実行予算を活用しての原価管理が可能 |
アイピア | ・顧客データはすべてアイピアに集約される ・見積り書を流用して原価管理が可能 ・不明点をその場でサポートしてくれる |
SAKSAK | ・独自の粗利管理ノウハウを持っている ・見積り書を活用して原価管理をおこなえる ・3つのプランが用意されている |
AnyONE(エニワン)

AnyONEは全ての工務店業務に対応しているため、大手工務店から一人親方まで規模を選ばずに、使用できます。
案件ごとのお金の状況は、AnyONEに集約されるため「見積り・実行予算・発注」それぞれの段階での利益推移を確認可能です。
また操作性はエクセルと近いため、エクセルの使用経験があれば迷わず活用できます。
詳しくは、AnyONEの機能や特徴、口コミ・評判を解説している記事をご確認ください。
さらにAnyOneは、すぐに活用できるエクセルテンプレート集を無料で配布しています。
手軽に業務効率化を体験してみたい方は、利用してはいかがでしょうか。
使えるくらうど工事台帳V3

使えるくらうど工事台帳V3は、クラウド上で全ての機能を使用可能です。
管理者はクラウド上で電子承認をおこなえるため、移動時間などの空き時間を有効活用できます。
電子承認の活用で待ち時間を減らせるため、会社全体の業務効率化が可能です。
また、マスタに下記の項目を登録しておけば、工事や仕入れ先を入力するだけで簡単に原価の登録をおこなえます。
- 名称
- 使用
- 単位
- 単価
詳しくは、使えるくらうど工事台帳V3の機能や特徴、口コミ・評判を解説している記事をご確認ください。
アイピア

アイピアには、顧客や案件に関するデータが集約されるため、お金の流れはアイピア見るだけで簡単に確認できます。
原価管理は、見積り書を流用しておこなえるため、同じ項目を何度も入力する手間が掛かりません。
またサポート体制が充実しており、不明点があればZOOMを用いて画面共有をおこないながら、リアルタイムでサポート受けられます。
詳しくは、アイピアの機能や特徴、口コミ・評判を解説した記事をご確認ください。
SAKSAK(サクサク)

SAKSAKは独自の粗利管理ノウハウを持っており、常に利益を把握・管理できる仕組みを構築しています。
また完工時の利益を予測でき、赤字や低利益になる工事がある場合は、早急な対策を取ることも可能です。
実行予算はの作成は、見積り書を活用しておこなうため、手動による転記作業は発生しません。
料金プランは下記の3つ用意されており、導入目的や会社の規模によって選択可能です。
- Limited(リミテッド):小規模〜中規模組織向け
- Standard(スタンダード):中規模〜大規模組織向け
- Premiun(プレミアム):オプション機能もフル活用したい組織向け
詳しくは、SAKSAKの機能や特徴、口コミ・評判を解説している記事をご確認ください。
原価管理に特化したシステムから選ぶ
ここでは、原価管理に特化したシステムを下記4つ紹介します。
サービス名 | サービス詳細 |
---|---|
どっと原価NEOクラウド | ・中小規模向けの原価管理システム ・目的別に原価管理表を作成できる ・カスタマイズ事例がテンプレート化されている |
e2movE | ・建設業の原価管理に特化している ・売上と仕入を同時に登録できる ・システム継続率は98.2% |
すごいよ山下くん | ・ほとんどの業務がWEB上で完結できる ・電子発注が可能で履歴をすぐに確認できる ・検証機能が充実している |
uconnect | ・登録した案件に売上・原価を紐づけられる ・複数の会計ソフトと連携できる ・30日間の無料トライアル |
どっと原価NEOクラウド

どっと原価NEOクラウドは、中小規模向けの原価管理システムです。
原価管理表は、下記3つの目的別に作成可能で、原価と利益を一覧で把握できます。
- 部門別
- 発注者別
- 工事別
また人気のあるカスタマイズ事例はテンプレート化されており、さまざまにニーズに対して柔軟に対応できます。
詳しくは、どっと原価NEOクラウドの機能や特徴、口コミ・評判を解説している記事をご確認ください。
e2movE(イー・ツゥー・ムーブ)

e2movEには複数のパッケージがあり、中でも『e2movE 工事管理』は建設業の原価管理に特化しています。
売上と仕入を同時に入力可能で、入力の手間を減らすだけでなく、仕入品をどこに販売したのか履歴を追跡しやすいです。
またシステムの継続率は98.2%、となっており一度導入したら手放せないシステムとなっています。
詳しくは、e2movEの機能や特徴、口コミ・評判を解説している記事をご確認ください。
すごいよ山下くん

すごいよ山下くんを活用すれば、見積り作成から請求管理までの業務をWEB上でおこなうことが可能です。
案件に関連する書類や図面は、クラウド上で管理できるため必要書類を探す時間がなくなり、生産性を高められます。
協力業者への発注は、電子発注のため下記の履歴が残り不正を未然に防ぐことが可能です。
- 発注者
- 発注時間
- 発注金額
さらに、検証機能が充実しているため簡単にPDCAサイクルを回すことができ、低利益率の案件を減らすこともできます。
詳しくは、すごいよ山下くんの機能や特徴、口コミ・評判を解説している記事をご確認ください。
uconnect(ユーコネクト)

uconnectは、登録した案件に売上・原価を紐づけられるため、案件ごとの粗利を瞬時に把握可能です。
また下記のクラウド会計ソフトと連携するため、会計ソフトに同じ内容を入力する手間が掛かりません。
- 弥生会計
- クラウド会計ソフト freee
- MFクラウド会計
また、30日間の無料トライアルを利用できるため、導入の効果や操作感を確認してから、本格導入をおこなうことも可能です。
詳しくは、uconnectの機能や特徴、口コミ・評判を解説している記事をご確認ください。
まとめ
本記事では、クラウド型工事原価管理システムの選び方とおすすめのシステムを8つ紹介しました。
工事原価管理システムは、さまざまな会社が提供しているため、本記事を参考にして自社にとって最適なシステムを選んでください。
しかし、「最適なシステムを選ぶ自信がない」と悩む方もいるでしょう。