2024年4月から建設業でも、残業・休日出勤といった時間外労働の上限が設定されます。
時間外労働の上限を超えて労働させると、雇用者は懲役や罰金などの罰則が科される可能性があり、時間外労働の対策は急務です。
しかし「売上が減少しそうで時間外労働を減らせない」と悩む経営者は、多いでしょう。
現在の売上を維持・拡大しながら、時間外労働を減らす方法として、IT導入補助金を活用し業務効率化システムを導入するのがおすすめです。
本記事では、建設業界と長時間労働との関係や時間外労働を解決できるおすすめの業務効率化システムについて解説します。
目次
建設業界で長時間残業が常態化する理由
建設業で長時間残業が常態化している理由は、下記4つです。
膨大な書類作成業務
施工管理者は、下記のような膨大な量の書類を作成しなければならず、長時間残業が当たり前となっています。
- 施工計画書
- 施工体制台帳
- 安全書類
国土交通省の工事関係図書一覧表には92種もの書類があり、施工管理者は膨大な書類を毎日作成しなけらばなりません。
また施工管理者は、作成しなければならない書類が溜まっていたとしても、一日中デスクワークをおこなうことは難しいです。
施工管理者の日中は、現場に出て職人さんの安全管理や作業内容の指示をおこなわなければなりません。
デスクワークは、職人さんが帰宅後の夕方からおこなうため、施工管理者の働き方が長時間労働を前提にしているといえるでしょう。
工期が短い現場
短い工期で受注していることも長時間残業の原因です。
建築主である顧客とは、竣工日を決めてから契約を交わします。
予定していた竣工日から遅れてしまうと、顧客からの信頼を失うだけでなく違約金が発生することもあるため、納期の遅れは避けなければなりません。
しかしそのそもの工期が短く、なんとか工期通りに間に合わせるために、長時間労働が常態化してしまいます。
設計変更への対応
設計変更の対応も長時間残業の原因です。
設計変更が発生せずに、竣工する現場はありません。
下記のような理由で設計変更が、発生した方も多いでしょう。
- 意匠変更
- コストダウンのための変更
- 施工不可のための変更
- 材料が間に合わないための変更
設計変更が起きると「工程の見直し」「業者の再選定」「施工図の作成」などの業務が増え、残業せざるを得なくなります。
気候や天候の影響
気候や天候も長時間残業を生み出す原因です。
下記のように気候や天候が理由で、工事が進められなかった経験のある方も多いでしょう。
- 連日の雨のコンクリートを打設できない
- 雪のせいでトラックが動かず、材料を搬入できない
- 猛暑で職人さんが予定通り作業ができない
気候や天候が理由で工事が進捗しなくとも、工期を延長することは難しいです。
工事が遅れてしまうと、工期に間に合わせるために長時間残業が発生してしまいます。
長時間残業を是正する必要性
長時間残業が常態化している建設業界ですが、下記の理由で長時間残業を是正する必要性に迫られています。
時間外労働の上限規制
これまで建設業は、36協定の時間外労働の上限基準の適用を除外されていたため、無制限に時間外労働をさせることが可能でした。
しかし建設業でも、2024年4月から残業・休日出勤といった時間外労働の上限が設定されるため、時間外労働を減らす取り組みが必要です。
法律で定められた労働時間の上限は、下記を参照してください。
- 1日8時間および1週40時間を超えて労働できない
- 少なくとも週1回の休日または、4週間の内4日以上の休日が必要
残業や休日出勤といった原則以上の労働をさせる場合は、使用者(企業)は労働組合または、労働者の過半数を代表するものと「36協定」を締結しなければなりません。
【引用】労働時間・休日-厚生労働省
- 月45時間
- 年360時間
また災害時などの特別な事情があっても、下記を超える労働はできません。
- 時間外労働が年720時間以内
- 時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満
- 時間外労働と休日労働の合計について、「2か月平均」「3か月平均」「4か月平均」「5か月平均」「6か月平均」が全て1か月当たり80時間以内
- 時間外労働が月45時間を超えることができるのは、年6か月まで
上記を超えて労働させた場合、懲役や罰金などの罰則を科される恐れがあるため、対策は必須です。
人手不足
人手不足であることも、長時間残業を是正しなければならない理由です。
総務省と国土交通省によると建設業の就業者数は、2021年は482万となっており1997年の685万人をピークに、203万にも減少しています。
【参考】労働力調査(基本集計)2021年(令和3年)平均結果の要約-総務省統計局
【参考】建設産業の現状と課題-国土交通省
また、建設業は就業者の高齢化も課題です。
2016年時点で建設業の就業者は「約3割が55歳以上が占めており、29歳以下は約1割」となっています。
残業時間を削減する方法
残業時間を抑制しなければならない理由が理解したとしても「残業時間を減らす方法が分からない」と悩む方も多いでしょう。
売上や利益を落とさずに残業を削減するためには、業務を効率化し現在の業務量を短時間でこなせるようにしなければなりません。
ここでは、残業時間を削減するために業務を効率化する方法を下記2つ紹介します。
業務効率化システムの導入
最もおすすめの方法は、建設業に特化した業務効率化システムを導入し、ITを活用することです。
建設業に特化している業務効率化システムは、下記のような建設業の業務全般を効率化できます。
- 顧客管理
- 案件管理
- 見積り作成
- 原価管理
- 工程表作成
- 写真・資料管理
- アフター管理
業務管理システムは、情報を一元管理するため「情報を探す手間が省ける」「登録されたデータをさまざまな業務に活用できる」など、さまざまな業務を効率化します。
また全ての業務を網羅しているため、部門・部署ごとにITツールを使い分ける必要がなく、会社全体で使用可能です。
残業抑制の方法が分からず、どこから着手すれば悩む方は、業務効率化システムを導入し、業務をIT化することをおすすめします。
クラウドによるペーパーレス化
クラウドを活用したペーパーレス化も、業務の効率化に有効です。
建設業は書類や図面の種類が多く、今だにFAXが現役の会社もあります。
しかし、紙が多いと情報を探すのが大変で、管理にも手間が掛かりとても非効率です。
情報をクラウド上に保存することで、情報共有や更新を簡単におこなるようになり、業務効率化につながります。
また図面や工程表を更新した際も、都度関係者にメールやFAXすることなくクラウド上に保存すれば、関係者はいつでも最新版を確認可能です。
詳しくは、ペーパーレス化について解説した記事をご確認ください。
IT補助金が活用できる業務効率化システム5選
業務管理システムの導入で、残業時間を抑制できる理由は理解いただけたでしょう。
しかし、下記のような悩みで業務効率化システム導入に踏み切れない方もいるのではないでしょうか。
- どのくらい費用で導入できるのか分からない
- 数が多くて自社に最適なシステムを選ぶ自信がない
ここでは、IT導入補助金を活用できるおすすめの業務効率化システムを5つ紹介します。
IT導入補助金を活用すれば、最大350万円の補助金を受けられるため、資金に余裕のない会社でも業務管理システムを導入可能です。
サービス名 | サービス詳細 |
---|---|
AnyONE | ・工務店業務全般に対応している ・エクセルに似た操作感 ・6年連続で支援業者に選ばれている |
ANDPAD | ・現場作業の効率化をおこなえる ・電子黒板を利用できる ・連絡ツールとしても利用できる |
ダンドリワーク | ・登録アカウント数は12万人、利用率91% ・スマホで簡単に操作できる ・情報を更新した際は通知を遅れる |
建て役者 | ・カスタマイズ性に強みがある ・見積り情報をもとに実行予算を作成可能 ・ガントチャート式の工程表を作成できる |
Photoruction | ・報告作業に掛ける時間を95%削減できる ・撮影した写真はリアルタイムでアップされる ・写真整理は自動でおこなわれる |
AnyONE(エニワン)
AnyONEは、工務店業務全般に対応している業務効率化システムです。
情報はすべてAnyONEに集約できるため、情報共有・確認に手間は掛かりません。
操作感はエクセルと似ているため、ITツールに苦手意識がある方でも簡単に使用可能です。
AnyONEを提供しているエニワン株式会社は、6年連続で支援業者に選ばれています。
豊富な実績があるため、IT導入補助金を初めて活用する会社にとって心強いパートナーとなるでしょう。
詳しくは、AnyONEの機能や特徴、口コミ・評判を解説している記事をご確認ください。
ANDPAD(アンドパッド)
ANDPADは、ユーザー33万人を抱える施工管理アプリです。
下記の機能で現場作業を効率化します。
- 写真・資料整理
- 日報作成
- 工程表作成
- チャット
現場写真に関連する業務の効率化に欠かせない、電子黒板を利用できます。
電子黒板を利用すれば都度黒板を持ち歩く必要がなく、撮影後に黒板の内容を変更でき、写真を撮り直す手間が発生しません。
チャット機能も備えているため、工事関係者はANDPADを見るだけで、リアルタイムで最新情報を共有可能です。
詳しくは、ANDPADの機能や特徴、口コミ・評判を解説している記事をご確認ください。
ダンドリワーク
ダンドリワークは、現場情報を一元管理できる施工管理アプリです。
登録アカウント数は14万人、利用率は91%と一度利用すると手放せなないアプリといえます。
直感的に操作できる設計のため、ITが苦手な年配の職人さんでも迷わず使用可能です。
現場情報や図面、工程表などを更新した際は、通知を送れるため情報の共有漏れを防止できます。
詳しくは、ダンドリワークの機能や特徴、口コミ・評判を解説している記事をご確認ください。
建て役者
建て役者は、高いカスタマイズ性に強みを持つ建設・リフォーム業界に特化した業務一元管理システムです。
16年で600社以上に導入されており、導入実績やカスタマイズ実績が豊富に持っています。
標準機能も優れており、一度登録したデータを別業務に活かすことが可能です。
例えば、見積り書のデータを実効予算に反映できるため、同じ内容を何度も入力する手間が掛かりません。
また、マウスだけでガントチャート式の工程表を作成できるため、工程表作成の時間を短縮できます。
詳しくは、建て役者の機能や特徴、口コミ・評判を解説している記事をご確認ください。
Photoruction(フォトラクション)
Photoructionは、写真や図面に関する業務に強みを持つ建設・土木の生産支援クラウドサービスです。
公式サイトには、Photoructionを導入すると下記のような効果があると説明があります。
- 現場での1人あたりの作業を月9時間削減
- 報告作業に掛ける時間を95%削減
写真を撮影するとリアルタイムでクラウド上にアップされるため、事務所に戻ることなく情報共有をおこなえます。
また写真は自動で整理されるため、写真整理に時間は掛かりません。
詳しくは、Photoructionの機能や特徴、口コミ・評判を解説している記事をご確認ください。
まとめ
本記事では、建設業界と長時間残業との関係や時間外労働を解決できるおすすめの業務効率化システムについて解説しました。
これからの建設業界は、長時間残業を前提とした働き方ができなくなります。
残業時間を削減した上で、売上・利益を拡大させるためには業務の効率化が必須です。
業務効率化システムいったITツールの導入は、高い効果が見込める業務効率化の方法の1つといえます。
業務効率化システムを導入して、残業時間を1/3に削減しましょう。
しかし「どのシステムが自社に最適か分からない」と悩む方もいるのではないでしょうか。
建築現場博士がおすすめする工務店・建築業界の業務効率化ソフトはAnyONEです。
導入実績2,700社超の業界No.1基幹システムで、国交省「第一回 長期優良住宅先導的モデル事業」に採択されています。
エクセルのような操作感で、レイアウトもマウスで変更できるため、ITが苦手な方でも簡単にお使いいただけます。
また、システムの導入後も徹底的なサポートを受けられるため、安心して運用できるでしょう。
大手・中堅企業様から一人親方様まで規模感を問わず、業務状況に合わせて様々な場面でご利用いただけます。