中小企業や小規模事業者は、今後数年にかけて行われる働き方改革や被用者保険の拡大などに対応した社内制度の変更や、業務改善を行う必要があります。
さらに、新型コロナ感染症による影響もあり、テレワーク体制の充実やITツール(ソフトウェアやサービス)導入を検討・実施するなど、企業の負担も増えています。
本記事では、中小企業・小規模事業者が使えるIT導入補助金の仕組みと建設業におすすめの対象サービスについて紹介します。
目次
【2022年最新】IT導入補助金とは?

IT補助金とは、中小企業や小規模事業者がITツール導入の際に活用することができる補助金です。IT補助金を活用して社内にITツールを導入することで、建築提案内容の充実や社内外の様々な業務をより効率化させることができます。
2022年は、IT導入補助金を含む中小企業生産性革命推進事業に約2,000億円の予算が確保されています。
2022年の変更点
主な変更点は3つあります。
IT補助金導入をはじめて知った方は、ここを飛ばして、次の「通常枠(A・B類型)とデジタル化基盤導入枠」から読み進めても問題ありません。
- 少額ITツールの補助率引き上げ
- デジタル化基盤導入枠の新設
- クラウド利用料の補助拡充
①少額ITツールの補助率引き上げ
会計ソフトや受注ソフトなどの補助対象となるITツールに関して、以下のように補助率が引き上げられています。
補助額〜50万円 | 従来の1/2から3/4に引き上げ |
補助額50〜350万円 | 従来の1/2から2/3に引き上げ |
これまで補助率は最大で50%まででしたが、2022年はそれ以上となり、ITツールの導入に伴う企業の負担はかなり抑えられます。
②デジタル化基盤導入枠の新設
インボイス制度を見据えたデジタル化推進や、複数の中小・小規模事業者が連携して地域内のDX化・生産性向上を目指す「デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型および複数社連携IT導入類型)」も新設されました。
③クラウド利用料の補助拡充
そして、2022年よりクラウドサービスを利用する場合は、インボイス制度を見据え、利用料2年分をまとめて補助してもらえます。
書類の保管や管理などにクラウドサービスを利用するケースが多くなると考えられ、IT補助金による支援は企業にとって重要といえるでしょう。
通常枠(A・B類型)とデジタル化基盤導入枠
IT導入補助金には令和元年度に設定された「通常枠(A・B類型)」と、令和4年度に新設された「デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型・複数社連携IT導入類型)」があります。
項目 | 通常枠(A類型) | 通常枠(B類型) | デジタル化基盤導入類型 | 複数社連携IT導入類型 |
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目的 | 様々な業種・事業形態に対応した、経営課題を解決するためのITツールの導入を補助 | 様々な業種・事業形態に対応した、経営課題を解決するためのITツールの導入を補助 | インボイス制度を見据えたデジタル化を見据え、会計・決済ソフトなどのITツールの導入を支援 | 複数の中小・小規模事業者が連携して地域内のDX化・生産性向上を目指すためにITツールの導入を支援 |
最大補助率 | 1/2 | 1/2 | 3/4 | 3/4 |
補助金額 | 30万円~150万円未満 | 150万円〜450万円 | 5万円〜350万円 (ハードウェア購入費に+10~20万円) | 最大3,000万円 (1事業あたり) |
補助対象となるITツール
ITツールといっても単なる会社や取扱商品を紹介するホームページ作成は、IT導入補助金の対象とはなりにくいです。
顧客管理システムと連動した機能があったり、会員登録やチャット機能が使えたりするホームページやECサイトなどが、ITツールを盛り込んだホームページ作成が対象となりえます。
2022年度におけるIT導入補助金の対象ソフトウェア及びサービスの分類は、下記の通りです。

建設業はIT導入補助金対象
業種や事業形態によって、IT導入補助金の申請枠が変わります。
下記の基本条件に当てはまる建設業者は、IT導入補助金の対象者です。
上記の2つの基本条件の他にも、自社が補助対象となる事業者であるかどうかをIT導入補助金の公式サイトにて、事前に確認しておきましょう。
補助対象の事業者であることを確認できれば、IT導入補助金のソフトウェアやサービスの導入を検討することができます。
建設業者はITツール顧客管理や設計・積算・図面管理、工程表作成の他にも、建築提案内容の充実を図れるなどの多くのメリットを享受することができます。また補助金は、IT導入支援事業事務局より補助対象者に直接支払われます。
【参考】交付申請の手続き
IT導入補助金交付までのフロー
IT導入補助金の申請や事業実施後の報告などの手続きはIT挿入支援業者のサポートが受けられますが、申請準備のためにも実際の申請から交付までのフローを確認しておきましょう。

2022年のスケジュール
2022年の交付申請期間は、2022年3月31日(木)受付開始~(終了時期は後日案内予定)です。
通常枠の1次締切は5月、2次締切は6月となっています。
デジタル化基盤導入枠は、4月・5月・6月にそれぞれ締切日を設けています。
建設業におすすめのITツール

建設会社におすすめのITツールは以下3つです。
建設業の業務効率化に特化したITツールは、いずれも住宅建築の一連の流れである見積りや工程管理、顧客とのやり取りやアフター情報などの履歴を含めた顧客管理など、これまで部署ごとに違うソフトを使って管理されていたものを一元化することができます。
ITツールを導入することで、案件ごとに異なるファイルを検索したり管理をする煩わしさがなくなり、情報をクラウドへ入力するだけで必要な見積書や図面を検索できたり、入出金や発注の管理もできるものもあります。
オンライン環境さえあれば、パソコンでもスマホでも必要な情報や写真データを閲覧することができ、社内全体での情報共有を可能とし時短と業務効率化に大きく役立ちます。
AnyONE(エニワン)


AnyONE(エニワン)は建設業の中小企業・小規模事業者に必要な業務が、ほとんど網羅されている充実した基本機能が特徴。2021年までの実績で6年連続支援事業者に選ばれており、採択率は92.2%の人気ITツールです。
- 顧客管理
- 帳票管理
- 工事管理
- 物件管理
- 実行予算管理
- 支払い管理
- 請求・入金管理
- 図面・写真管理
- アフター・メンテナンス管理
他にも、現在の帳票レイアウトをそのまま使える様なカスタマイズや、住宅CADソフトからの積算情報を実行予算に反映して実行予算書を出力する様なカスタマイズまで工務店の要望に幅広く対応します。
また、出先でもスマートフォンやタブレットで閲覧・操作できる優れものです。
ダンドリワーク


基本機能に加えて操作画面がとても分かりやすく、必要な情報を1回入力するだけで社外とも様々なツールで繋がることができる点がダンドリワークの特徴です。
閲覧制限が掛けられるファイル管理機能を使うことで、協力会社との情報共有も可能になります。
また、施主様と画像や現場情報を共有できるコミュニケーションツール「ieLeco(いえレコ)」があり、顧客満足度を上げるのに役立ちます。
クラウド業務管理システム アイピア


つい手間を掛けがちな見積や原価管理などの業務を効率化する目的で開発されたのが、アイピアです。
個別カスタマイズにも応じており、利用人数や運用フェーズに合わせて3つの基本プランがあります。
見積もり書は引き続きエクセルで作成し、顧客データの管理だけをクラウドに移行するリーズナブルなライトプランもあります。
まとめ
IT導入補助金は中小企業・小規模事業者がIT導入支援事業者にサポートを受けながら、申請から交付まで手続きを進めることができます。
1つの物件に対して広範な業務や複数の担当者を必要とする建設業に特化した、既に実績の多い特化ツールがあるので安心して導入することができます。
ITツールは社内情報や業務を一元化して社内連携を円滑化し、各々の仕事に集中できるより働きやすい職場環境を実現する手助けとなります。
複数の独立したファイルを各部署で管理する煩わしさや、追客からアフターまでの顧客管理の徹底など、この機会にITツール導入補助金を活用して改善してはいかがでしょうか。