中小企業や小規模事業者は、今後数年にかけて行われる働き方改革や被用者保険の拡大などに対応した社内制度の変更や、業務改善を行う必要があります。
さらに、新型コロナ感染症による影響もあり、テレワーク体制の充実やITツール(ソフトウェアやサービス)導入を検討・実施するなど、企業の負担も増えています。
本記事では、中小企業・小規模事業者が使えるIT導入補助金の仕組みと建設業におすすめの対象サービスについて紹介します。
目次
【2023年最新】IT導入補助金とは?

IT導入補助金とは、中小企業や小規模事業者がITツール導入の際に活用できる補助金です。
IT補助金を活用して社内にITツールを導入すると、業務を効率化でき、残業時間の削減・働き方改革の対応・賃上げがおこなえます。
2023年は、IT導入補助金を含む中小企業生産性革命推進事業に約2,000億円の予算が確保されています。
IT導入補助金2023年の変更点
2022年と2023年の主な変更点は3つあります。
IT補助金導入をはじめて知った方は、ここを飛ばして、次の「通常枠(A・B類型)とデジタル化基盤導入枠」から読み進めても問題ありません。
- 通常枠(A類型)の補助下限引き下げ
- 通常枠でもクラウド利用料の補助期間が最大2年間に延長
- デジタル化基盤導入枠の補助下限の撤廃
通常枠(A類型)の補助下限引き下げ
通常枠(A類型)の補助下限 が30万円→5万円に引き下げられました。
2022年は補助下限が30万円、補助率が1/2だったため通常枠(A類型)を活用するには、60万円以上の購入が必要でした。
しかし2023年からは、10万円以上の購入から通常枠(A類型)が活用可能です。
通常枠でもクラウド利用料の補助期間が最大2年間に延長
2022年の通常枠では、クラウド利用料の補助期間は最大で1年間でした。
2023年は最大2年間に延長され、より長い期間ランニングコストの補助が受けられるようになりました。
デジタル化基盤導入枠の補助下限の撤廃
デジタル化基盤導入枠の補助下限の撤廃されました。
2022年は補助下限が5万円、補助率が3/4だったため、デジタル基盤導入枠を活用するには約7万円の購入が必要でした。
しかし2023年からは補助金が撤廃されたため、2022年には申請できなかった少額な案からサービス・製品の補助も受けられるようになりました。
通常枠(A・B類型)とデジタル化基盤導入枠
IT導入補助金には令和元年度に設定された「通常枠(A・B類型)」と、令和4年度に新設された「デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型・複数社連携IT導入類型)」があります。
項目 | 通常枠 (A類型) | 通常枠 (B類型) | セキュリティ対策 推進枠 | デジタル化基盤 導入類型 |
---|---|---|---|---|
目的 | さまざまな業種・事業形態に対応した、経営課題を解決するためのITツールの導入を補助 | さまざまな業種・事業形態に対応した、経営課題を解決するためのITツールの導入を補助 | セキュリティ上の脅威によって、供給制約・生産性向上の阻害を防止するためのサービスの導入を補助 | インボイス制度を見据えたデジタル化を見据え、会計・決済ソフトなどのITツールの導入を支援 |
最大補助率 | 1/2以内 | 1/2以内 | 1/2以内 | 3/4〜2/3以内 |
補助金額 | 5万円~150万円未満 | 150万円〜450万円以下 | 5万円~100万円 | 下限なし〜350万円 |
補助対象となるITツール
ITツールといっても単なる会社や取扱商品を紹介するホームページ作成は、IT導入補助金の対象とはなりにくいです。
顧客管理システムと連動した機能があったり、会員登録やチャット機能が使えたりするホームページやECサイトなどが、ITツールを盛り込んだホームページ作成が対象となりえます。
2023年度におけるIT導入補助金の対象ソフトウェア及びサービスの分類は、下記の通りです。

建設業はIT導入補助金対象
業種や事業形態によって、IT導入補助金の申請枠が変わります。
建設業者は少なくとも、以下の2つの条件を満たしていなければいけません。
上記の2つの基本条件の他にも、自社が補助対象となる事業者であるかどうかをIT導入補助金の公式サイトにて、事前に確認しておきましょう。
【参考】交付申請の手続き
IT導入補助金交付までのフロー
IT導入補助金の申請や事業実施後の報告などの手続きは、IT導入支援事業者のサポートが受けられます。
申請準備のためにも実際の申請から交付までのフローを確認しておきましょう。

IT導入補助金2023年のスケジュール
IT導入補助金2023年の交付申請期間を下記にまとめました。
【交付申請期間】
2023年3月20日(月)受付開始~終了時期は後日案内予定
【1次締切分】
締切日:4月25日(月)17:00
交付決定日:5月31日(木)
事業実施期間:交付決定~2023年11月30日(火)17:00
事業実績報告期間:2023年11月30日(火)17:00
【2次締切分】
締切日:6月2日(月)17:00
交付決定日:7月11日(火)(予定)
事業実施期間:交付決定~2023年11月30日(火)17:00
事業実績報告期間:2023年11月30日(火)17:00
【3次締切分】
締切日:7月10日(月)17:00
交付決定日:8月22日(火)(予定)
事業実施期間:交付決定~2023年11月30日(火)17:00
事業実績報告期間:2023年11月30日(火)17:00
【4次締切分】
締切日:7月31日(月)17:00(予定)
交付決定日:9月12日(火)(予定)
事業実施期間:交付決定~2023年11月30日(火)17:00
事業実績報告期間:2023年11月30日(火)17:00
デジタル化基盤導入類型(デジタル化基盤導入類型)は、下記のスケジュールが公表されています。
【交付申請期間】
2022年3月31日(木)受付開始~終了時期は後日案内予定
【1次締切分】
締切日:4月25日(火)17:00
交付決定日:5月31日(水)
事業実施期間:交付決定~2023年11月30日(火)17:00
事業実績報告期間:2023年11月30日(火)17:00
【2次締切分】
締切日:5月16日(火)17:00
交付決定日:6月21日(水)(予定)
事業実施期間:交付決定~2023年11月30日(火)17:00
事業実績報告期間:2023年11月30日(火)17:00
【3次締切分】
締切日:6月2日(金)17:00(予定)
交付決定日:7月11日(火)(予定)
事業実施期間:交付決定~2023年11月30日(火)17:00
事業実績報告期間:2023年11月30日(火)17:00
【4次締切分】
締切日:6月20日(火)17:00
交付決定日:8月1日(火)(予定)
事業実施期間:交付決定~2023年11月30日(火)17:00
事業実績報告期間:2023年11月30日(火)17:00
【5次締切分】
締切日:7月31日(月)17:00
交付決定日:8月22日(火)(予定)
事業実施期間:交付決定~2023年11月30日(火)17:00
事業実績報告期間:2023年11月30日(火)17:00
【6次締切分】
締切日:9月12日(火)(予定)
交付決定日:9月12日(火)(予定)
事業実施期間:交付決定~2023年11月30日(火)17:00
事業実績報告期間:2023年11月30日(火)17:00
デジタル化基盤導入類型(商流一括インボイス対応類型)は、下記のスケジュールが公表されています。
【1次締切分】
締切日:7月10日(月)17:00
交付決定日:2023年8月22日(火)(予定)
事業実施期間:交付決定~2023年11月30日(火)17:00
事業実績報告期間:2023年11月30日(火)17:00
【2次締切分】
締切日:7月31日(月)17:00
交付決定日:9月12日(火)(予定)
事業実施期間:交付決定~2023年11月30日(火)17:00
事業実績報告期間:2023年11月30日(火)17:00
IT導入補助金での導入をおすすめするITツール

IT導入補助金での導入をおすすめするITツールは以下3つです。
建設業の業務効率化に特化したITツールは、これまで部署ごとに違うソフトを使って管理されていたデータ・情報を1か所に集約できます。
- 顧客情報
- 見積り情報
- 工事状況
- 原価情報
- 入出金情報
- アフター管理上場
1つのITツールにデータ・情報を集約すると、案件ごとに異なるファイルの検索・管理をする煩わしさがなくなります。
さらに案件の情報を1度ITツールに入力するだけで、ネットが使える環境であれば必要な見積り書や図面を検索できたり、入出金や発注の管理が可能です。
AnyONE(エニワン)

AnyONE(エニワン)は建設業の中小企業・小規模事業者に必要な業務が、ほとんど網羅されている充実した基本機能が特徴です。2021年までの実績で6年連続支援事業者に選ばれており、採択率は92.2%の人気ITツールです。
- 顧客管理
- 帳票管理
- 工事管理
- 物件管理
- 実行予算管理
- 支払い管理
- 請求・入金管理
- 図面・写真管理
- アフター・メンテナンス管理
他にも以下のようなカスタマイズにも対応しています。
詳しくは、AnyONEを提供しているエニワン株式会社にお問い合わせください。
- 現在の帳票レイアウトをそのまま使えるカスタマイズや
- CADソフトから積算情報を実行予算に反映し、実行予算書を出力するカスタマイズ
ダンドリワーク

ダンドリワークは、操作画面がとても分かりやすく、ITツールに苦手意識を持つ方でも簡単に使用できます。
また必要な情報を1回入力するだけで、社外ともさまざまなツールで繋がれることが特徴です。
閲覧制限が掛けられるファイル管理機能を使うことで、協力会社との情報共有も可能になります。
また、施主様と画像や現場情報を共有できるコミュニケーションツール「ieLeco(いえレコ)」があり、顧客満足度を上げるのに役立ちます。
クラウド業務管理システム アイピア

つい手間を掛けがちな見積や原価管理などの業務を効率化する目的で開発されたのが、アイピアです。
個別カスタマイズにも応じており、利用人数や運用フェーズに合わせて3つの基本プランがあります。
見積もり書は引き続きエクセルで作成し、顧客データの管理だけをクラウドに移行するリーズナブルなライトプランもあります。
まとめ
IT導入補助金は中小企業・小規模事業者がIT導入支援事業者にサポートを受けながら、申請から交付まで手続きを進められます。
1つの物件に対して広範な業務や複数の担当者を必要とする建設業に特化した、既に実績の多い特化ツールがあるので安心して導入可能です。
ITツールは社内情報や業務を一元化して社内連携を円滑化し、各々の仕事に集中できるより働きやすい職場環境を実現する手助けとなります。
複数の独立したファイルを各部署で管理する煩わしさや、追客からアフターまでの顧客管理の徹底など、この機会にITツール導入補助金を活用して改善してはいかがでしょうか。