2022年(令和4年度)に公募される補助金・助成金の情報が公表されました。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響は大きく、テレワークを導入したハイブリッド型の働き方が建設業にも求められようとしています。今後の先行きが不透明だからこそ、補助金・助成金・給付金を上手に活用して、不測の事態に備えましょう。
本記事では、建設事業者が活用できるおすすめの補助金・助成金・給付金を紹介します。
補助金・助成金・給付金とは

国や自治体の事業支援金には、(1)補助金(2)助成金(3)給付金があります。定められている条件に該当して審査に通過すれば受給できます。融資とは異なり、返還する義務がない点が魅力です。
事業支援金を受給した場合は、「雑収入」として会計上に収益計上して課税対象にしなければなりません。
補助金・助成金・給付金の違い
各事業支援金には独自の特徴があるため、申請前に把握しておきましょう。
補助金
補助金は、政策目標を実現するために、目標に沿った事業主に支給されます。財源が税金のため、使用用途は制限されて予算や交付件数が決められています。また、補助金受給後に正しい用途で使用しているかを報告する必要があります。
助成金
助成金は厚生労働省による支援が多く、雇用増加や人材育成、労働環境の改善を行う際に支給されます。補助金のような厳しい審査はありませんが、厚生労働省による助成金は、社会保険に加盟していなければ受給できません。
給付金
給付金は、提示される条件を満たしている場合に国や自治体から支給されます。すまい給付金などさまざまな種類があります。条件に該当すれば、誰でも受給できるため不正受給が問題視されやすいです。
活用するメリット
補助金や給付金を活用すると、次のようなメリットが得られます。
経営を見直すことができる
補助金は、経営の合理化や人材育成など売上拡大に向けて取り組む施策の補助的資金です。申請時には事業計画書を作成するため、自社の経営課題を洗い出せたり、経営目標を明確にできます。つまり、補助金申請を機会に経営を見直すことができるのです。
3,000種類以上の補助金がある
補助金や助成金・給付金は多くの種類があり、3,000種類以上あるといわれています。内容も千差万別のため、自社に見合った支援金を見つけられるでしょう。また、社会保険労務士など専門家のサポートを受けると自社に見合うものが見つけやすいです。
併用も認められている
企業が複数の補助金・助成金の採択を受けることを防ぐ目的で、基本的に併用不可能なものが多いです。しかし、事業の目的や管轄によっては併用が認められています。
例えば、同じ企業が異なる事業で補助金の申請をする場合は認められるケースが多いです。
電子申請制度が導入されている
申請手続きが煩雑していることが課題でしたが、補助金・助成金の申請方法として、申請システムjGrants(ジェイ・グランツ)が登場しました。申請コストが浮き、過去の申請情報が蓄積されます。
コロナ禍で導入すべき補助金・助成金・給付金


国や自治体では新型コロナウイルスの影響を受けた企業を支援する補助金が用意されています。これらを上手に活用して、不測の事態を乗り切りましょう。ここでは、コロナ禍で建設事業者が導入すべき補助金・給付金を紹介します。
IT導入補助金
IT導入補助金は、企業の課題やニーズに見合うITツールを導入する経費の一部を補助するものです。指定されたITツールから選ばなければいけませんが、種類が豊富に用意されています。
2022年のIT導入補助金の補助額は以下の通りです。
補助対象 | 補助上限 |
---|---|
ITツール(会計ソフト、受発注システム、決済ソフトなど) | ・~50万円(補助率:3/4) ・50~350万円(補助率:2/3) |
PC、タブレットなど | 10万円(補助率:1/2) |
レジ | 20万円(補助率:1/2) |
ものづくり補助金
ものづくり補助金は、中小企業の設備投資や新サービス開発への投資として一部を補助してもらえるものです。
20222年には通常枠に加えいくつかの枠が新設されています。
補助上限額は、従業員規模に応じて決まります。
事業類型 | 補助上限 | 補助率 |
---|---|---|
通常枠 | 750万円、1,000万円、1,250万円 | 中小1/2 小規模2/3 |
回復型賃上げ・雇用拡大枠 | 750万円、1,000万円、1,250万円 | 2/3 |
デジタル枠 | 750万円、1,000万円、1,250万円 | 2/3 |
グリーン枠 | 1,000万円、1,500万円、2,000万円 | 2/3 |
持続化給付金
持続化給付金は、新型コロナウイルス感染症拡大により、特に大きな影響を受けている事業者に対して、事業の継続を支えて再起の糧となるように支給されるものです。
家賃支援給付金
家賃支援給付金は、新型コロナウイルス感染症拡大により、売上の減少に直面する事業者に対して地代家賃の負担を軽減するために支給されるものです。
建設業に特化した補助金・助成金・給付金


補助金や給付金は、新型コロナウイルス感染症対策だけではありません。建設業に特化したものも用意されているため、これらも上手に活用しましょう。ここでは、建設業に特化した補助金・給付金を紹介します。
人材開発支援助成金
人材開発支援助成金とは、労働者の職業訓練を実施した際の賃金の一部を助成してくれるものです。人材採用難のため、自社内で人材育成をする必要が出てきており、職務に関わる専門的知識や技能習得の研修を実施した際の経費を助成金で補うことができます。
令和3年度では、建設事業主向けに、建設労働者認定訓練コース(経費助成)と建設労働者認定訓練コース(賃金助成)が設けられました。
令和4年度には、「特定訓練コース」「一般訓練コース」「特別育成訓練コース」(仮称)などにコースを見直す予定です。助成額や訓練施設の要件変更が予定されています。
コース | 受給できる中小建設事業主 | 助成額 |
---|---|---|
経費助成 | ・都道府県から認定訓練助成事業費補助金又は広域団体認定訓練助成金の交付を受けて、認定訓練を行う雇用保険の適用を受ける中小建設事業主 ・雇用管理責任者を選任している | 助成対象経費とされた額の6分の1 |
賃金助成 | ・雇用保険の適用事業主 ・雇用する建設労働者に対して認定訓練を受講させ、その期間、通常の賃金の額以上の賃金を支払う ・雇用保険法施行規則による人材開発支援助成金の支給決定を受けた ・雇用管理責任者を選任している | 日額3,800円/1人 *生産性要件を満たした場合、1,000円割増 建設キャリアアップカード登録者は賃金助成額が1.1倍(令和4年度まで延長) |
人材確保等支援助成金
人材確保等支援助成金とは、従業員の定着を図るために雇用管理の改善や生産性などに取り組む企業に支給されるものです。この助成金は、現在就業している従業員に働き続けてもらうために職場環境を改善しようとするときに活用できます。
また、2022年からは、新たに「建設キャリアアップシステム等普及促進コース(仮称)」が設けられる予定です。
こちらのコースでは、建設事業主団体がおこなうCCUS技能者登録料などの補助やCCUS登録などに関する各種申請手続の支援、就業履歴を蓄積するカードリーダーの導入などの支援をおこないます。
トライアル雇用助成金
トライアル雇用助成金は、就業経験不足の求職者を原則3ヵ月間の試行雇用することにより、その適性や能力を見極めて、常用雇用へ移行する際に活用できます。求職者の適正を確認した上で常用雇用できるため、ミスマッチを防ぐことができるでしょう。
対象者 | 下記条件に該当する求職者を採用した事業者が対象 (求職者がトライアル雇用を希望していることが前提条件) ① 紹介日の前日から過去2年以内に、2回以上離職や転職を繰り返している ② 紹介日の前日時点で、離職している期間が1年を超えている ③ 妊娠、出産・育児を理由に離職し、紹介日の前日時点で、安定した職業に就いていない 期間が1年を超えている ④ 紹介日時点で、ニートやフリーターなどで 45歳未満 ⑤ 就職の援助を行うに当たって、特別な配慮を要する |
給付額 | 給付額 月額最大4万円(最長3ヵ月間) ※対象者が母子家庭の母等又は父子家庭の父の場合、1人につき月額5万円 |
職場環境改善計画助成金
2014年6月に公布された労働安全衛生法の一部を改正する法律によって、従業員50人以上の職場でストレスチェックと面接指導の実施が義務付けられました。
メンタルヘルス対策促進員の助言通りに職場環境改善計画を作成し、それを実施する際の機器・設備費用の助成を受けることができます。
対象事業者 | 下記の条件をすべて満たしている事業者 ・労働保険の適用事業者である ・元方事業者及び関係請負人を含めた労働者数が常時50人以上の建設現場である ・ストレスチェック後の集団分析を実施している ・令和元年10月以降、専門家と職場環境改善指導に係る契約を締結している ・専門家の指導に基づき、職場環境改善計画を作成し、当該計画に基づき職場環境の改善の全部又は一部を実施している ・職場環境改善計画に基づき職場環境の改善が実施されていることの確認を受けている |
給付額 | 1建設現場当たり100,000円(上限) |
建設業の補助金・助成金・給付金:まとめ
本記事では、建設会社が利用できる補助金・給付金を紹介しました。新型コロナウイルス感染症による経済不況のための支援金や、建設業界の労働環境整備のための支援金など、さまざまな種類の補助金・給付金があります。
特に、IT導入補助金は脱属人化や業務効率化に繋がるため、ぜひ導入を検討してみてはどうでしょうか。
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