建設業界は「残業時間の上限規制」「減り続ける就業者」などの影響で、今後ますます競争が厳しくなることが予想されています。
厳しい建設業界で生き残るためには、生産性を高め競争力のある会社に変化しなければなりません。
小規模事業者は、ITツールの導入で生産性を向上させやすいことは、ご存じでしょうか。
本記事では、小規模事業者と生産性の関係やIT導入補助金を活用できるITツールについて解説します。
目次
生産性とは?

生産性とは「人・材料・お金などを経営資源を投資してどの程度成果が出せたのか」という指標です。
つまり生産性向上とは、下記2つのどちらかを示します。
- 経営資源を減らし、現状と同程度の成果を出す
- 同程度の経営資源で、現状よりも良い成果を出す
建設業界では「働き方改革」「残業時間の上限規制」などの影響で、今までのように無制限に働くことはできず、少ない就業時間で今までと同じ成果を出すことが求められます。
効率良く成果を上げるためには、生産性の向上は不可欠といえるでしょう。
詳しくは、建設業と生産性について解説した記事をご確認ください。
生産性の高い小規模事業者の特徴

「生産性向上は大企業のおこなうことで、小さい会社は関係ない」と考える方もいるでしょう。
しかし少ない経営資源で勝負しなければならない、小規模事業者こそ生産性向上を考えるべきです。
実際に中小企業より大企業の方が生産性が高いとのデータがある一方で、大企業よりも生産性の高い中小企業がいることも分かっています。
経済産業省の調査によると、生産性の高い小規模事業者は「成長投資に積極的に取り組んでいる」ことが分かりました。
ここでは、建設業界の小規模事業者に関係のある下記2つの成長投資について解説します。
積極的なIT投資
大企業よりも生産性の高い中小企業は、IT投資を積極的におこなっています。
下記の画像は経済産業省が、生産性の高い中小企業と低い中小企業の「設備投資額」「情報・通信処理費」「従業員一人当たりの人件費」の関係をまとめた表です。
生産性が大企業以上の中小企業は、情報処理・通信費に34.6百万円投資しています。
一方で大企業より生産性が低い中小企業は、情報処理・通信費に投資する金額は17.6百万円です。
生産性が高い中小企業は生産性の低い中小企業より、17.2百万円もITに対する投資額が多いことが分かります。
積極的な設備投資
また先ほどの表からは、生産性が高い企業は設備投資も積極的におこなっていることが分かります。
生産性が大企業以上の中小企業は、設備投資額が338.6百万円です。
一方で大企業より生産性が低い中小企業はの設備投資額は97.8百万円となっています。
生産性が高い中小企業は生産性の低い中小企業より、240.8百万円も設備投資に積極的ということが分かるでしょう。
【工務店】ITツールで生産性向上可能な業務

ITツールの導入が生産性向上につながることは理解いただけたでしょう。
しかし「建設業がITツールを導入しても、どのように生産性が向上するかわからない」と考えている方も多いのではないでしょうか。
ここでは、建設業がITツールの導入で生産性を向上できる業務を解説します。
顧客管理
顧客管理をおこなえるITツールは、情報の一元管理ができます。
ITツールを活用しない顧客管理は「名刺は名刺ホルダー」「氏名や住所はエクセル」「住宅展示場の来店記録は紙」と情報の管理がバラバラになりがちです。
情報の保管場所がバラバラだと、必要な情報を探すのに手間が掛かります。
しかし、ITツールに情報を集約していればITツールの確認だけで必要な情報を得られるため、情報を探す手間が掛かりません。
またITツールを活用しクラウド上で情報管理をおこなえば、スマホやタブレットから外出中でも情報共有・確認が可能です。
原価管理
原価管理をおこなえるITツールは、人的ミスの防止や業務効率化が可能です。
ITツールでの原価管理は、指定された項目に情報や数字を入力だけで自動的に原価計算されるため、計算ミスなどの人的ミスが発生しません。
また、エクセルの関数やマクロの知識がなくても自動計算される仕組みのため、誰でも簡単に原価計算をおこなえます。
導入するツールによっては、見積りデータから実行予算を組みことも可能で、何度も同じ情報を入力する手間が掛かりません。
写真・図面管理
写真・図面管理をおこなえるITツールは、写真の撮影・整理整頓や図面の管理が簡易化されます。
ITツールを活用すれば、電子黒板を使用できるため、黒板を持ち歩く必要ありません。
黒板の内容は自由に変更可能で、黒板の内容が間違っているという理由での再撮影をおこなうこともなくなります。
導入するツールによっては、撮影した写真は自動的にクラウド上へアップされるため、パソコンへの取り込み作業が不要です。
さらに、写真の情報を元にして自動で項目別に分類されるため、写真整理のための残業がなくなります。
ITツールで図面を管理しタブレットやスマホを活用すれば、現場内で大量の紙を持ち歩く必要はありません。
施工管理
ITツールを活用すれば、施工管理業務も効率化できます。
工程管理に欠かせない工程表を簡単に作成でき、担当者ごとにバラバラだった書式も統一可能です。
工事の進捗情報を都度更新すれば、経営者や管理者はどこからでもリアルタイムで現場状況を把握できます。
またチャット機能のあるITツールを活用すれば、工事関係者の連絡ツールを統一でき、情報確認の手間を減らすことが可能です。
IT導入補助金を活用できるおすすめのITツール

建設業におけるITツールの有用性は、理解いただけたでしょう。
ここでは、機能別におすすめのITツールをご紹介します。
また、紹介するツールは全てIT導入補助金を活用できるため、費用負担を抑えて導入可能です。
ツール名 | サービス詳細 |
---|---|
AnyONE | ・工務店業務全般に対応している ・エクセルのような操作性 ・活用方法までサポート |
myhm for Business | ・工務店向けのクラウド顧客管理アプリ ・家づくりに必要な情報を集約できる ・顧客とチャットでやりとりできる |
SAKSAK | ・粗利益管理に強みを持っている ・実行予算は見積り書に基づいて作成される ・粗利益低下や赤字工事になりそうな場合は警告表示される |
ARCHITREND ZERO | ・工務店やリフォーム会社向けの3D建築CAD ・作成した図面を基にパースを生成できる ・確認申請用の図面を自動チェック |
Photoruction | ・写真や図面に関連する業務に強みを持つ業務効率化サービス ・大容量の図面をライムラグなしで閲覧できる ・撮影した写真は自動で整理される |
ANDPAD | ・導入企業数No.1のクラウド施工管理アプリ ・工程表を変更すると関係者へ自動通知 ・工事関係者だけのチャットルームを自動作成 |
AnyONE(エニワン)


AnyONEは、工務店業務全般に対応している業務効率化システムです。
データはクラウド上で一元管理しているため、情報共有や確認に手間が掛かりません。
AnyONEの主な機能は、下記を参照してください。
- 顧客管理
- 施工管理
- 見積り・実行予算・発注管理
- 入出金管理
- アフター管理
またエクセルと近い操作性があり、エクセルを使用したことがあれば迷わず使用できるでしょう。
サポート体制も充実しており、導入時講習や追加講習に対応しているため、AnyONEを業務に活用できるまでしっかりとサポートします。
さらにAnyONEを提供しているエニワン株式会社は、6年連続で支援業者に採択されており、IT導入補助金の活用を最大限サポート可能です。
詳しくは、AnyONEの機能や特徴、口コミ・評判を解説している記事をご確認ください。
myhm for Business(マイホム フォー ビジネス)
myhm for Businessは、工務店向けのクラウド顧客管理アプリです。
家づくりに必要な情報は、すべてmyhm for Businessに集約できます。
担当者が不在でも、myhm for Businessを確認すればすぐに必要な情報を得られるため、情報の属人化を防止可能です。
家づくりに必要な図面・書類・見積り書も管理可能で、業務をペーパーレス化できます。
顧客とはチャットでコミュニケーションが取れ、やり取りのハードルが下がるだけでなく、現場写真の共有も簡単です。
詳しくは、myhm for Businessの機能を解説している記事をご確認ください。
SAKSAK(サクサク)


SAKSAKは、粗利益管理に強みのあるリフォーム業や建設業のための総合管理システムです。
原価管理に欠かせない実行予算は、見積り書のデータに基づいて作成されるため情報や数字の転記をおこなう必要がありません。
また、責任者や管理者の承認がない予算に基づく発注書は作成できないため、担当者のミスにより低利益工事・赤字工事を防止します。
仮に低利益工事・赤字工事が発生する場合は、事前に警告が表示されるため、事前の対策を講じることが可能です、
詳しくは、SAKSAKの機能や特徴、口コミ・評判を解説している記事をご確認ください。
ARCHITREND ZERO(アーキトレンドゼロ)


ARCHITREND ZEROは、工務店やリフォーム会社向けの3D建築CADです。
マウスだけで間取り図の作成が可能で、間取り図を基にしたパースはワンクリックで生成されます。
また図面同士が連動しているため、図面を1ヶ所訂正すると、関係する図面全て自動で修正されるため、大変便利です。
確認申請用の図面は、ARCHITREND ZEROが自動でチェックをおこない、確認漏れや不具合を防止可能です。
詳しくは、ARCHITREND ZEROの機能を解説している記事をご確認ください。
Photoruction(フォトラクション)


Photoructionは、写真・図面に関連する業務に強みを持つ業務効率化サービスです。
大容量の図面でもタイムラグなしで閲覧できるため、タブレットを携帯すれば大容量の図面を持ち歩く必要はありません。
撮影した写真は、自動でクラウド上にアップされるだけでなく項目別に自動整理されるため、写真整理を効率化できます。
また電子黒板機能も搭載されており、工事写真撮影に掛ける時間を削減可能です。
さらに電子黒板はテンプレートを作成可能で、都度内容を書き換える手間はありません。
詳しくは、Photoructionの機能や特徴、口コミ・評判を解説している記事をご確認ください。
ダンドリワーク


ANDPADは、導入企業数No.1のクラウド施工管理アプリです。
一度作成した工程表は、手軽に更新できます。
工事関係者・各工程担当者へは自動で通知が届くため、連絡が漏れる心配はありません。
自動で工事現場ごとのチャットルームが立ち上がるため、仕事に関するやり取りはANDPADに一本化できます。
詳しくは、ANDPADの機能や特徴、口コミ・評判を解説している記事をご確認ください。
まとめ
本記事は、小規模事業者と生産性の関係やIT導入補助金を活用できるおすすめのITツールについて解説しました。
これからの建設業界を生き残るためには、生産性を高め競争力のある会社になる必要があります。
小規模事業者は、IT投資や設備投資を積極的におこなえば、大企業を超える生産性を持つことも可能です。
本記事を参考にITツールを導入し、生産性を高めライバル企業の一歩先を歩きましょう。
しかし「ITツールは種類がありすぎてどれを選べば良いか迷う」と考える方もいるでしょう。