太陽光発電に蓄電池を組み合わせることで、省エネや災害時対応などの太陽光発電がもつメリットを更に引き出せるようになります。
しかし蓄電池を導入するためには相応の費用がかかるなどのデメリットもあるため、導入前にしっかりメリットとデメリットの両方を理解しておくことが重要です。
今回は太陽光発電と蓄電池を組み合わせることによるメリットやデメリットから、蓄電池導入がおすすめなケースや利用できる補助金まで解説します。
太陽光発電と組み合わせる蓄電池とは
蓄電池とは、電気を蓄えて必要な時に電力の供給ができるバッテリーのことです。
電力会社から供給される電気や太陽光発電で生み出した電気を管理できるようになるため、太陽光発電の効果をより高められるほか、HEMSなど家庭に置けるエネルギーマネジメントにも寄与します。
蓄電池を太陽光発電と組み合わせることによるメリットとデメリットは、以下の通りです。
それぞれのメリットとデメリットについて、以下で詳しく解説します。
- 太陽光発電と蓄電池を組み合わせるメリット
- 太陽光発電と蓄電池を組み合わせるデメリット
太陽光発電と蓄電池を組み合わせるメリット
太陽光発電と蓄電池を組み合わせることで得られるメリットは、以下の4つです。
- 節電・省エネ効果が高まる
- 災害や停電に対応できる
- 卒FITに対応できる
- パワーコンディショナーの寿命を延ばせる
節電・省エネ効果が高まる
電気を蓄えて好きな時間に利用できるようになるため、太陽光発電の節電・省エネ効果を高められます。
例えば太陽光発電のみであれば夜間や雨天時には電力会社から電力を買い取るしかありませんが、蓄電池に蓄えておけば太陽光発電が利用できない際にも余剰電力でまかなえます。
また夜間の割安な電力を蓄えて日中利用することで、電気代を抑えつつ売電量を増やすことも可能となるでしょう。
災害や停電に対応できる
太陽光発電を導入すると一時的な停電への対応が可能となりますが、蓄電池を導入するとさらに長期の災害・停電にも対応できます。
太陽光発電のみでは日照のある日中しか電力を供給できない一方、蓄電池があると夜間や雨天時にも電力供給をおこなえるためです。
蓄電池には、停電時に家全体に電力を供給する「全負荷型」と、特定の回路にのみ電力を供給する「特定負荷型」があります。
全負荷型は家全体をカバーするため10kWh程度など大容量のものが多く、特定負荷型は5kWh程度のものが多く展開されています。
卒FITに対応できる
電力を管理できるようになることで、太陽光発電による電力を売電から自家消費に切り替えるといった卒FITへの対応ができます。
太陽光発電の売電価格を一定期間保障する制度であったFITですが、その価格は年々下落しており期間満了(=卒FIT)を迎える家庭も多くなっています。
卒FIT後の太陽光発電活用方法として「自家消費への切り替え」が1つの手段ですが、効率よく自家消費をおこなうためには蓄電池の導入が必須といえるでしょう。
パワーコンディショナーの寿命を延ばせる
蓄電池の中には、蓄電池とパワーコンディショナーが一体化したモデルが存在します(パワコン一体型蓄電池)。
パワコンの寿命が10~15年程度である一方太陽光パネルの寿命が20年程度のため途中で交換が必要となりますが、パワコン一体型蓄電池を導入すれば別途パワコンを交換する必要がありません。
また新たに太陽光発電と蓄電池を同時導入する場合、蓄電池とパワコンが一体化していることで省スペースにも寄与するでしょう。
太陽光発電と蓄電池を組み合わせるデメリット
太陽光発電と蓄電池の組み合わせで知っておくべきデメリットは、以下の3つです。
- 初期費用がかかる
- ある程度の設置スペースが必要
- 蓄電容量・寿命に注意が必要
初期費用がかかる
蓄電池の導入には、本体価格と工事費を合わせて150万円程度の初期費用が必要です。
蓄電容量によっては80万円で導入できる場合もありますが、蓄電容量が小さくなるとその分メリットの効果も小さくなる点には注意しましょう。
節電効果が高まる点は蓄電池導入のメリットですが、初期費用分に見合う経済効果があるかどうかは十分に検討する必要があります。
近年太陽光発電設備や蓄電池を0円で設置できるサービスが注目を集めています。
それぞれ別記事で仕組みやメリットなどについて詳しく解説しているため、ぜひあわせてご確認ください。
ある程度の設置スペースが必要
蓄電池の導入にはある程度の設置スペースが必要である点も知っておきましょう。
蓄電容量や室内型・屋外型により異なりますが、一般的にエアコン室外機1~2台分程度の大きさがあります。
もっとも、「パワーコンディショナーの寿命を延ばせる」でお話した通り、パワコン一体型蓄電池の場合は太陽光システム全体で見ると省スペースとなることもあります。
蓄電容量・寿命に注意が必要
太陽光パネルやパワコンと同様、蓄電池にも寿命があり一般的には10~15年と言われています。
厳密には充放電回数に上限があり、上限を超えると徐々に蓄電容量が減るため交換が必要となります。
また、フルで充放電による劣化を防ぐために実際は最大でも90%程度の蓄電容量までしか使用できない点も知っておくべきでしょう。
太陽光発電と蓄電池の組み合わせはこんな人におすすめ!
これまでのお話を踏まえて、以下のような方には太陽光発電と蓄電池の組み合わせがおすすめです。
- 卒FITを迎える方
- 災害対策をしたい方
- オール電化やHEMS、電気自動車を導入済みの方
卒FITを迎える方
「卒FITに対応できる」でお話したように、これから卒FITを迎える方は太陽光発電の活用方法を見直す必要があります。
蓄電池があれば自家消費に切り替えることで卒FIT後も太陽光発電の恩恵を受け続けられるうえ、災害対策やパワコンの寿命延長など太陽光発電設備の強化にもつながるでしょう。
卒FIT買取サービスは卒FIT家庭を対象とした電力買取プランで、大手電力会社や新電力会社から多数展開されています。
自家消費への切り替えのほかに卒FIT買取サービスを利用することも選択肢に入りますが、その買取価格は1kWhあたり10円程度にとどまっています。
災害対策をしたい方
災害時の停電にしっかり備えたいという方には、夜間や雨天時にも対応できる蓄電池の導入をおすすめします。
節電や自家消費などの経済的なメリットを感じにくいとしても、十分な災害対策をおこなうためには蓄電池など電気を蓄えておく設備が必要です。
オール電化やHEMS、電気自動車を導入済みの方
オール電化やHEMS、電気自動車など、家庭の電気化やエネルギーマネジメントを進めている方は蓄電池も導入すると良いでしょう。
蓄電池を導入することで「いつ・どこに・どれだけ」電力を供給するかコントロールできるようになるため、電気化やエネルギーマネジメントを効率的におこなえます。
太陽光発電・蓄電池に利用できる補助金
太陽光発電や蓄電池に利用できる補助金は、国や地方自治体から以下のようなものが複数展開されています。
補助金を活用することで、「初期費用がかかる」という大きなデメリットを緩和できます。
国と地方自治体の補助金を併用することでさらに導入のハードルを下げられる可能性もあるため、しっかりと把握しておきましょう。
- 国からの補助金
- 地方自治体からの補助金
国からの補助金
国からの補助金としては、「ZEH補助金」や「DER補助金」が展開されています。
- ZEH補助金
ZEHと呼ばれる一定の省エネ基準をクリアした住宅に対して、省エネ要件に応じて最大1戸あたり105万円が補助額として交付される補助金です。
蓄電池の設置も追加補助という位置付けで補助対象であり、「2万円/kWh、補助対象経費の1/3、20万円」のうちいずれか低い額が補助額として交付されます。 - DER補助金
蓄電池やエネファームなどの「分散型エネルギリソース(DER)」の更なる活用を目的として、それらの機器の導入に対して補助金が交付される事業です。
蓄電池の設置に対しては、1/3以内を補助率として「初期実効容量 × 4万円 / kWh」が補助額として交付されます。
いずれも太陽光発電システム単体への補助金ではなく、蓄電池に対する補助金である点には注意が必要です。
ZEHやDERの活用に際して蓄電池を導入する場合に、補助金が交付されます。
地方自治体からの補助金
各都道府県や市区町村からは太陽光発電システム単体を対象に含めた多くの補助金が展開されています。
- 自家消費プラン事業(東京都)
すでに太陽光発電システムを設置しているか同時設置を条件に、蓄電池の導入に対して「7万円/kWh、42万円」のうちいずれか低い額を最大補助額として交付されます。 - 太陽光発電初期費用ゼロ促進事業費補助(神奈川県)
「かながわソーラーバンクシステム」に登録された0円太陽光を契約した方を対象に、太陽光発電設備には最大全額、蓄電システムなどには「補助対象経費の1/3、12万円」のうちいずれか低い額が補助額として交付されます。
まとめ
今回は太陽光発電と蓄電池を組み合わせることによるメリットやデメリットから、蓄電池導入がおすすめなケースや利用できる補助金まで解説しました。
太陽光発電と蓄電池を組み合わせることで、節電や省エネ効果を高められるだけでなく災害や卒FITへの対応ができるなど多くのメリットを受けられます。
また初期費用などのデメリットに関しても、補助金や0円蓄電池などを組み合わせることで少なからず緩和できるでしょう。
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また太陽光発電は台風による機能不全などのリスクが指摘されていますが、ダブルZEROでは「太陽光発電+簡易版V2Hシステム」という構造のためより安定的な災害対策がおこなえます。
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