近年の電気料金高騰および電力逼迫を背景として、自家消費型太陽光発電が注目されています。
これまで、自家消費型太陽光発電は、企業向けのものが主でした。
しかし、一般家庭でも太陽光発電が身近になっているのはご存知でしょうか。
本記事では、自家消費型太陽光発電の概要や導入メリット、施主に提案する際に伝えるべきポイントをまとめています。
目次
自家消費型太陽光発電の概要
自家消費型太陽光発電とは、自宅にソーラーパネルを設置して、自分の家の電力を賄う仕組みのことです。
電力を自給自足できるため、電気料金の削減にもなり、また被災時の防災対策として活用できます。
一般的な太陽光発電との違いは、太陽光で発電した電力を電力会社へ売らずに自宅で消費する点です。
「電力会社に電力を売ったほうが得ではないか」と質問されることもあるでしょう。
しかし、自家消費型太陽光発電が注目されている理由は、売電価格の低下にあります。
太陽光発電エネルギーの売電価格は、固定価格買取制度によって定められています。
固定価格買取制度とは、再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が固定価格で一定期間買い取ることを、国が保証した制度です。
しかし、売電価格は毎年改定され、買取価格は下降傾向です。
2012年には1kwhあたり42円だった買取価格も、2022年には17円、2023年度は16円と下がり続けている状態です。
また、電力料金の高騰も自家消費型太陽光発電が注目されている理由です。
燃料高騰や世界情勢により、電力価格は高騰しています。
また電力逼迫も懸念されている状態です。
電力需要に対して、供給が少ない状態が続くと当然電力料金は高くなります。
再生可能エネルギーの買取価格が下がり電力料金が高騰したことで、発電した太陽光エネルギーを売るよりも、自宅で消費したいと考える施主が増えています。
今後の売電価格や太陽光発電の動向については、以下の記事も参考にしてください。
自家消費型太陽光発電の導入で電気料金を削減
自家消費型太陽光発電の導入メリットは、電気料金を含めて4つあります。
施主が自家消費型太陽光発電を希望した際にしっかり説明できるように、工務店側も把握しておきましょう。
電気料金の削減
世界的な燃料価格の高騰や、再生エネルギー賦課金により、電力料金は年々高騰しています。
東日本大震災以降、電力料金は一度は落ち着いたものの、2016年以降は上昇傾向にあります。
再生可能エネルギーの固定買取制度における賦課金の高騰も、電力料金高騰の一因です。
再生エネルギー賦課金とは、固定買取制度において、再生可能エネルギーを電力会社が買うコストを、家庭ごとに分割した負担する賦課金です。
自家消費型太陽光発電の導入により電力を自宅で消費することで、電気料金の削減効果が期待できます。
蓄電池との併用で、昼に発電したエネルギーを自宅で消費すれば、電力消費量を抑えられるためです。
電力会社から購入する電気エネルギーが減るため、当然支払い金額は安くなります。
補助金の活用
自家消費型太陽光発電の導入には、補助金の活用が可能です。
太陽光発電の導入コストは高額ですが、補助金の利用により、コストを抑えられます。
令和5年後以降の個人向け太陽光発電設備の補助金は、まだ概要が発表されていません。
しかし、令和4年には「ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業」においては、戸建て住宅への導入も対象となっていました。
令和5年後はまだ公募が始まっていない状態ですが、上記補助金が利用できる可能性は大いにあるでしょう。
住宅用太陽光発電で利用できる補助金については、以下の記事も参考にしてください。
停電対策
もともと太陽光発電が注目された背景には、東日本大震災以降の電力不足や防災意識の高まりがあります。
東日本大震災で福島原発の稼働が停止し、全国的な電気供給量が不足しました。
大震災をきっかけに、原発の稼働基準が見直されたことで、電力供給量が不安定に。
2022年は世界情勢も相まって、エネルギー不足が懸念され、政府も積極的な節電を呼びかけています。
電力供給逼迫注意報の発令で、停電への備えとして太陽光発電を取り入れる家庭が増えました。
万が一停電が起きると、電気が使えず、季節や地域によっては心身への影響が深刻となります。
また、地震が多い日本ではいつ大規模停電が起きるかわかりません。
停電への備えとして、太陽光発電の有効性が見直されています。
太陽光発電が停電対策にどのように役立つかは、以下の記事でまとめています。
(法人の場合)税制優遇
自家消費型太陽光発電の導入で、法人は税制優遇措置を受けられます。
工務店で相談を受ける対象は一般家庭がメインですが、予備知識として覚えておきましょう。
自家消費型太陽光発電導入の補助金、そして太陽光発電の設置をした企業は優遇税制を受けられます。
- カーボンニュートラルに向けた投資促進税制
- 中小企業投資促進税制
- 中小企業経営強化税制
また、各自治体で法人向けの補助金や税制優遇措置をとっている場合もあります。
自家消費型太陽光発電導入は費用シミュレーションが重要
施主から自家消費型太陽光発電導入について相談があった場合は、一緒に費用シミュレーションをおこない、合意を得ましょう。
太陽光発電設備は高額で、補助金を利用しても無料で設置はできません。
住宅を購入する施主の負担が少しでも軽くなるよう、工務店側も費用について知識をつけておきましょう。
設置・メンテナンス費用は施主が負担
自家消費型太陽光発電の導入は、高額の費用が必要です。
補助金は利用できますが、すべてのコストを補助金で賄えません。
施主が初めて自家消費型太陽光発電システムを導入する際は、初期費用は施主が負担する旨をしっかり説明しましょう。
認識が曖昧なまま契約を進めると、あとからクレームにもなりかねません。
費用面がネックになるようなら、リース型の太陽光発電システムの利用もおすすめです。
設置費用が無料かつ、施主がすべき太陽光発電システム申請も代行するため、導入のハードルはかなり下がるでしょう。
メンテナンスの手間
生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法(改正FIT法)にもとづき、自家消費型太陽光発電導入後のメンテナンスは、施主の責任でおこなう必要があります。
定期的な点検と、必要であれば修繕が必要です。
点検にかかる費用は施主が負担することとなるため、導入後のコストについても説明する必要があります。
先ほど紹介した初期費用がかからないリース型の太陽光発電の場合は、メンテナンス費用もかかりません。
メンテナンス面を施主が心配している場合は、リース型の太陽光発電を提案すると良いでしょう。
設置スペースの確保
自家消費型太陽光発電の設置には、スペース確保が不可欠です。
屋根の面積や角度によっては、十分な発電量が見込めない可能性もあります。
事前に住宅の依頼を受けた際に、発電量のシミュレーションができる体制を作っておきましょう。
夜間は発電不可
自家消費型太陽光発電は、蓄電池との併用が不可欠です。
太陽光パネルのみでは、昼間にしか発電ができません。
適切な蓄電池を購入し、蓄電することで夜間にも自家消費が可能となります。
蓄電池の寿命や適切な使い方については、以下の記事で紹介しています。
まとめ
自家消費型太陽光発電の導入が注目を浴びている今、工務店側も自家消費型太陽光発電の概要やメリットを理解しておきましょう。
施主の不安、導入後の負担を減らすためには、費用シミュレーションが重要です。
太陽光発電設備は購入だけでなく、リース型で初期費用を抑えて利用できます。
リース型の太陽光発電設備なら、施主の負担も減るうえ、工務店側も提案しやすいはずです。
リース型で初期費用無料の太陽光発電はどこの企業の商品が良いかと困っている工務店の方も多いでしょう。
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