建築業界の「人口減少と少子高齢化による労働者不足」、「働き方改革の推進」といった問題を解消するために、工事現場の労働時間を削減し、全体の効率化を図ることが求められています。
工事現場の生産性向上と業務効率化を強力に推進するためには、工事管理システムの導入と、効果的な運用が必須です。
本記事では工事管理システムの特徴や、導入後の成功事例を紹介します。
目次
工事管理システムとは
工事管理システム(施工管理システム)とは、工事現場における受注から売上入金まで、工事に関する情報を一元管理するシステムです。
経営と同じように、工事についてもヒト・モノ・カネを、適正にマネジメントする必要があり、それぞれがバラバラになっている各情報をタイムリーに把握しなければなりません。
工事管理システムを使用することでタイムリーな情報共有が可能となるため、今や工事現場には欠かすことのできないツールとなっています。
工事全体の一括管理
工務店の業務は、見積書の作成、受発注管理、入出金管理、資材の発注や納品に関する情報、工事現場の作業員の勤怠情報、工事の進捗状況の情報など、多岐にわたります。
これらの情報がそれぞれ別々のシステムで管理されているケースや、工事現場において紙ベースで管理されているケースなど、従来の工事現場の情報は、バラバラで煩雑になっていました。
工事管理システムを使用して一元管理ができると、どこからでも必要となる情報や知りたい情報が、簡単に抽出可能となります。
また、どこからでも同じシステムに入力するので、情報が日々アップデートされ、工事の全関係者が正確な情報を把握することができるでしょう。
ペーパーレス化とミス削減
工事に関する管理項目を、ペーパーレス化することが可能となります。
工事管理表や工事現場の日報など、従来、膨大に使用されてきた紙をなくすことで、印刷にかかるコストや時間を削減できます。
また、同じシステムに全ての情報を入力できるため、異なるいくつものシステムに情報を入力しなければならない状況と比べ、人的ミスの削減効果も狙えるでしょう。
適正な予算管理
工務店において、最も重要なことの一つが工事現場の予算管理です。
予算管理ができていないと、余分な材料費・人材費がかかったりする等、赤字の工事現場が発生する恐れもあります。
工事前に行う実行予算をもとに、工事の進捗とともに実行予算との差異が生じていないか、しっかり工事原価管理することが必要です。
しかし、人手不足などにより、適正な工事原価管理ができていない工事業者もあるのが実態です。
工事管理システムを使用することで、効率的な実行予算管理と工事原価管理が可能となり、適正な予算管理を実現できるでしょう。
工事管理システムの基本的な機能
この章では、工事管理システムで可能な基本的な機能を紹介します。
受注工事管理
受注した工事案件の情報を一覧で管理することができます。
契約日、工事期間、契約内容、受注金額、物件情報などの工事現場にかかわるデータを入力します。
入力したデータは工事現場や各関係先からも閲覧可能で、例えば担当者が変更になっても、後任者への引き継ぎ漏れもなく、業務や工事に支障をきたしません。
発注管理
工事の実行予算に従い、工事全体の発注業務の管理もできます。
発注情報、発注金額、発注先などを入力します。
工事や発注先ごとにデータを管理したり、実行予算に対して自社利益を加味した掛け率から発注金額を算出したり、注文書を出力したりといった機能も利用できます。
入金管理
発注元からの入金情報を管理することで、経理作業が大幅に効率化されるメリットがあります。
請求書の発行日や入金日に合わせてリマインド機能をかけられるため、入金・請求漏れ防止につながるでしょう。
支払管理
発注した資材代金の支払い管理が効率的にできます。
発注処理する際に入力したデータをもとに、仕入先ごとに支払日を登録することで、支払依頼書の作成、支払内容の自動仕訳、発注先ごとの集計などの管理が可能となります。
請求管理
請求作業は、工事現場ごと・工事種類ごとに管理することが可能です。
原価情報などのデータの自動更新や、発注先ごとの請求書発行、入金予定日の管理などの機能により、事務作業の効率化できます。
実行予算管理
工事前に作成する実行予算の管理が可能です。
工事の手段方法、工事費用、工事期間など具体的な数字で入力し、工事案件ごとの売上や最終利益を可視化します。
また、工事がスタートした後、実際に発生した原価と実行予算をリアルタイムで比較できるので、スピーディで適切なコスト管理を実現します。
工事原価管理
工事現場ごとに仕入などの原価管理が可能です。
支払予定や原価率など、煩雑な工事原価管理をシステム上で管理することで、実行予算作成時には、想定していない外注費などを防止し、赤字工事の発生防止にもつながります。
工程管理
工事現場ごとに、工事の進捗管理が可能です。
工事の遅延が発生していないかをリアルタイムに把握することは重要です。
万が一、工事に遅れが発生している場合でも、作業員の増員などにおける対応で、工事の遅延を防止することができます。
日報管理
工事案件ごとに、作業日報の管理が可能です。
作業日報の記録をもとにして、実行予算との乖離を把握し、工事原価管理を適切に実施できます。
また、工事現場では想定していない問題も起こり得ます。
作業日報から現場の課題をあぶり出し、適切な工程を組むことで工期の遅延を防げるでしょう。
工事管理システムの効果的な運用方法(導入事例)
本メディアがおすすめする工事管理システム「AnyONE(エニワン)」を導入することで、これまでに抱えていた課題を解決した成功事例を紹介します。
約3割の業務削減を実現【藤田建設工業】
株式会社 藤田建設工業では、工事管理システムを導入することで、「約3割の業務削減が実現できた!」と、全メンバーが実感しています。
これまで同社は、顧客情報や見積書などの帳票を、Excelや書類で管理していました。
しかし、それぞれの管理がバラバラで、いざ必要な情報を探そうとすると、なかなか探すことが出来ず、多くの時間を要していました。
また、Excelで顧客情報を管理していたため、担当者に情報が属人化するようになりました。
「このままでは、大きなミスにつながるのでは?」という危機感を抱き、工事管理システムの導入を決めました。
導入後、顧客管理・見積書・工程表などが一元管理できるようになったことで、約3割の業務削減効果を実現しました。
さらに削減できた時間を自社のより良いサービスにつなげていく取り組みを進めています。
部署ごとにバラバラだった管理システムの統一に成功【吉村一建設】
株式会社 吉村一建設では、工事管理システムを導入することで、社内の全部署が同じシステムへ入力できる体制を構築し、社内の連携を強化しました。
これまでの同社では、部署ごとに全く異なるソフトを使用し、バラバラに情報管理や書類作成を行っていました。
そこで、工事管理システムを全ての部門に導入したところ、社内全体で統一的に情報管理できるようになり、顧客の見積り・図面などを部署に関係なく確認できるようになりました。
例えば、これまで他部署が作成した見積書のデータは、メールなどでやりとりしていましたが、システムを見るだけで簡単に確認できるようになったそうです。
まとめ
労働者不足や働き方改革を背景に、工務店の抱える業務負担は大きなものとなっています。
今回紹介した工事管理システムの機能を活かし、工事現場の業務効率化を推進してはいかがでしょうか。
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エクセルのような操作感で、レイアウトもマウスで変更できるため、ITが苦手な方でも簡単にお使いいただけます。
また、システムの導入後も徹底的なサポートを受けられるため、安心して運用できるでしょう。
大手・中堅企業様から一人親方様まで規模感を問わず、業務状況に合わせて様々な場面でご利用いただけます。