建設業には業界独自の会計基準があり、正確な原価の把握が難しいです。
正確に原価を把握することは、低利益工事や灯り工事を未然に防ぐことにつながります。
正確な原価管理をおこなうには、建設業に特化した原価管理ソフトの導入がおすすめです。
本記事では、建設業に特化した原価管理ソフトの選び方とおすすめソフトを6つ紹介します。
目次
建設業原価管理ソフトを選ぶポイント

建設業原価管理ソフトを選ぶポイントは、下記の5つです。
導入目的
ソフトの導入目的によって、最適なソフトは異なります。
原価管理の効率化が目的ならば原価管理に特化した「原価管理ソフト」の導入がおすすめです。
さまざまな業務を効率化したいならば、案件管理や見積り作成、工程管理など建設業全般の業務に対応した「業務効率化システム」の導入をおすすめします。
利用人数
会社の規模や利用人数に合わせて、ソフトを選びましょう。
大企業向けのソフトや大人数での利用を想定しているソフトは、多機能なため高額であることが多いです。
少人数の利用を想定しているソフトは、機能を絞っているため低価格で利用可能なソフトが大部分を占めます。
また低価格で導入できるソフトは、お試しプランを用意している場合も多いため、無料で利用できることも多いです。
社外からのアクセス
外出先からの作業やテレワークでの使用を検討するならば、社外からもアクセス可能なソフトを選びましょう。
クラウドでデータが一元管理されているソフトであれば、場所と時間を選ばずに仕事が可能です。
また、アプリを提供しているソフトであれば、スマホやタブレットでの情報確認・更新がスムーズにおこなえます。
費用
導入前に費用を確認することは、資金繰りを考える上で重要です。
原価管理ソフトの費用は、主に下記2つで構成されています。
- 導入費
- 月額利用料
導入費で「ソフト操作方法の説明会」「エクセルや既存システムからの移行」などもおこなってくれるのか、事前に確認しましょう。
また、月額利用料で利用できる機能の確認も必要です。
使用したい機能がオプション扱いとなっている場合、追加で料金が発生してしまいます。
想定外の出費にならないように、費用の確認は徹底的におこないましょう。
サポート体制
不明点やトラブルが発生した場合に、受けられるサポートについて事前に確認しましょう。
顧客サポートには、電話・メール以外にも下記のようなサービスがあります。
- Zoomによる画面共有
- 動画マニュアル
- 訪問・リモート研修
サポート体制が充実していると、トラブルが発生した場合でも業務がストップすることはありません。
業務時間を有効活用するためにも、サポート体制が充実しているソフトを選びましょう。
建設業原価管理ソフトを比較検討した結果

ここでは、6社が提供する建設業原価管理ソフトを一覧表にして比較します。
システム導入時の参考にしてください。
※各業者とも公式サイトの情報を参考に、評価をつけています。(2022/4/27現在)
標準機能 | エクセル・CADとの親和性 | 操作性 | カスタマイズ | セキュリティ | サポート体制 | |
---|---|---|---|---|---|---|
AnyONE | ◎ | ◎ | ◯ | ◯ | ◎ | ◎ |
アイピア | ◯ | ◯ | ◎ | ◯ | ◯ | ◎ |
ガリバー匠 | ◯ | △ | ◯ | ◎ | △ | ◎ |
Workspro | △ | – | ◎ | △ | ◯ | – |
どっと原価NEOクラウド | ◎ | △ | △ | × | – | ○ |
e2movE | ○ | ○ | △ | ○ | – | ○ |
総合評価が高い建設業原価管理ソフトは「AnyONE」
総合評価が高い建築現場管理ソフトは「AnyONE」です。
「AnyONE」はデータを一元管理しているため、一度入力したデータを流用可能で、何度も同じ内容を入力する必要はありません。
また標準機能が充実しているため、他社ではオプション扱いの機能も月額利用料だけで使用できます。
さらにエクセルとの親和性が高く、また操作面もシンプルで使いやすいです。
項目・分類別で見る!おすすめの建設業原価管理ソフト

ここでは、下記2つの項目別・分類別におすすめの建設業原価管理ソフトを紹介します。
標準機能の充実度で選ぶ
標準機能の充実度で選ぶ場合は、下記の3ソフトがおすすめです。
サービス名 | サービス詳細 |
---|---|
AnyONE | ・工務店業務全般に対応している ・実行予算と発注金額を連動できる ・月別支払い明細書で利益率悪化の原因を特定できる |
アイピア | ・見積りデータがあれば発注までワンクリックで処理 ・リアルタイムで粗利を把握できる ・さまざまなカスタマイズに対応している |
ガリバー匠 | ・現場と経理のデータを一元管理できる ・全部署が同じシステムを利用できる ・建設業の会計に対応している |
AnyONE(エニワン)

「AnyONE」は、工務店業務全般に対応しているオールインワン基幹システムです。
実行予算から発注への連動が可能で、実行予算から発注金額の推移を簡単に把握できます。
例えば「月別支払い明細表」を活用すれば、一目で各工事の予算推移が分かるため、利益率を悪化させている工事を簡単に特定できます。
詳しくは、AnyONEの機能や特徴、口コミ・評判を解説している記事をご確認ください。
アイピア

アイピアは、リフォーム・住宅会社向けの業務管理システムです。
データを一元管理しているため、見積りデータを作成すれば、原価管理・発注までワンクリックでおこなえます。
追加工事も簡単に入力できるため、粗利をリアルタイムで把握可能です。
また、さまざまなカスタマイズに対応しており「集計データの作成」「帳票カスタマイズ」など、業務の流れに合わせて機能を追加できます。
詳しくは、アイピアの機能や特徴、口コミ・評判を解説した記事をご確認ください。
ガリバー匠
「ガリバー匠」は、小規模建設・工事業向けの建設クラウドERPサービスです。
現場と経理のシステムを統一できるため、現場の状況を経理担当者がリアルタイムで把握可能で、請求漏れなどを防止できます。
さらに現場と経理だけでなく、全部門で同じシステムを使用できるため、下記のようなルールを統一可能です。
- 業務ルール
- 入力ルール
- 管理帳票
建設業特有の工事進行基準といった、建設業会計基準にも対応しているため大変便利です。
原価管理に特化しているソフトから選ぶ
原価管理に特化しているおすすめの原価管理ソフトは、下記3つです。
サービス名 | サービス詳細 |
---|---|
Workspro | ・柔軟な売上管理をおこなえる ・詳細な実行予算を作成できる ・資格を保有している担当者がいる |
どっと原価NEOクラウド | ・アプリを無制限にインストールできる ・実行予算は4階層まで作成できる ・用途別に原価管理表を作成できる |
e2movE | ・実行予算は工種別に予算登録できる ・予算に対する原価実績をリアルタイムで把握できる ・工事原価を入力すると同時に仕訳データが作成される |
Workspro(ワークスプロ)

Worksproは、建設業に特化した基幹業務パッケージです。
建設業特有の下記の会計基準に対応しており、柔軟な売上管理をおこなえます。
- 完成基準
- 進行基準
- 出来高での請求
実行予算は、工種などを自由に組み合わせと設定をおこなえるため、細かい部分まで管理可能です。
システムを提供している株式会社日立システムズには、建設業経理士1級などの資格保有者が在籍しています。
建設業の原価管理に精通した担当者に相談の上、システムの導入を検討できるため、初めて原価管理システムを導入する会社であっても安心です。
どっと原価NEOクラウド

どっと原価NEOクラウドは、建設業に特化した原価管理システムです。
アプリを無制限にダウンロードできるため、テレワークや出張時なども時間や場所を選ばずに仕事ができます。
※同時に利用できる人数が20人までとなる点については、注意が必要です。
実行予算は、4階層まで対応しており大規模現場にも使用できます。
原価管理表は、下記の3つの用途別に作成可能です。
- 部門別
- 発注者別
- 工事別
詳しくは、どっと原価NEOクラウドの機能や特徴、口コミ・評判を解説している記事をご確認ください。
e2movE(イー・ツゥー・ムーブ)

e2movEは、建設・工事業向けERPパッケージです。
中でも『e2movE 工事管理』は建設業の原価管理に特化しています。
実行予算は工種別に登録できるため、工種ごとの予算に対する原価実績がリアルタイムで把握可能です。
工事原価を入力すると同時に仕訳データが作成されるため、入力の手間は掛かりません。
詳しくは、e2movEの機能や特徴、口コミ・評判を解説している記事をご確認ください。
まとめ
本記事では、建設業に特化した原価管理ソフトの選び方とおすすめソフトを6つ紹介しました。
原価管理ソフトを利用すると、複雑な建設業の原価も正確に把握できるようになり、利益率を向上させることができるでしょう。
原価管理ソフトには、工務店業務全般をおこなえるソフトと原価管理に特化したソフトがあります。
導入の目的によって最適なソフトは、異なるため本記事を参考に自社にとって最適な原価管理ソフトを選び、会社に利益を残しましょう。
しかし「自分では、最適な原価管理ソフトを選べない」と悩む方もいるでしょう。