建設業向けの受発注システムの導入により、受発注作業を一元管理すれば業務効率化だけでなく、顧客満足度の向上も目指せます。
しかし工務店向け受発注システムの選び方がわからなかったり、どのシステムがおすすめか決められなかったりとなかなか導入に踏み切れない方もいるでしょう。
この記事では建設業向け受発注システムの概要や導入するメリット、選ぶうえでの注意点、おすすめの受発注システム10選をご紹介します。

掲載内容は本記事執筆時点(2025年2月時点)での内容です。
記事掲載後に連絡先や料金など変更する可能性があるため、詳細は各社のホームページをご確認ください。
目次
建設業向けの受発注システムとは?


工務店向けの受発注システムとは、施主から建築やリフォームの依頼を受注してから引き渡しまで、また工事に必要な原材料・資材購入先へ発注から支払いまでを管理できるシステムです。
工事の受注には以下のような段階があります。
- 見積もり作成・承諾
- 契約締結
- 顧客データの入力
- 納期確認
- 工事注文書作成
また着工した後は、以下のような発注作業が発生します。
- 見積もりをもとにした在庫確認
- 仕入れ先への原材料発注
- 検品
- 支払い管理
受注と発注作業は関連性の強い業務であり、別のシステムで管理せずとも統合した方が効率的に管理できます。
現在受注・発注管理を別のシステムで管理している工務店も多いと思いますが、一括管理すればより作業を効率的に進められます。
建設業向けの受発注システムを導入する5つのメリット


工務店向けの受発注システムを導入するメリットは、以下の5つです。
受発注システムの導入を検討している工務店担当の方は、後ほど紹介するデメリットと比較して検証しましょう。
受発注業務の効率化
受発注システム最大のメリットは、業務の効率化です。
施主からの受注から引き渡しまでの細かな業務および、仕入れ先への発注作業や支払い管理を一元管理することで、複数のシステムを使い分ける必要がありません。
ひとつのシステムで受注も発注も管理できるため、効率よく作業を実施したり、データを共有できます。
ミスの削減
受発注システムには、入力ミスを防ぐ機能が搭載されています。
たとえば、入力ルールを決めておけば規定外の文字・数値が入力された場合にアラートを発したり、実行ボタンを押せないようにする機能です。
またマスターデータに原材料の金額を登録しておけるため、都度金額を確認して手入力する手間もなく、金額間違いもなくなります。
受注時の見積もりの提示もスピーディに実施できるようになり、商機を逃すこともなくなるでしょう。
なお、工事の注文・発注所の書き方については、「初心者でも分かる!工事注文・発注書の書き方と作成時の注意点」で解説しています。
ペーパーレス化促進
受発注システムの導入により、台帳が不要となります。
建設業界は紙契約・FAXでのやり取りを主流としており、紙の管理コストもかかっていました。
しかし、受発注システムに受注・発注情報を統合することで、台帳管理が必要なくなります。
台帳をキャビネットで管理したり、紛失のリスクを負う心配がなく、より安全にデータを保護可能です。
なお、ペーパーレス化に関連するDX推進に関しては、「【工務店】DXにおすすめツール4選!DX推進の課題・注意点も」の記事で解説しています。
過去データを有効活用
受発注システムには、過去の受発注データを蓄積できます。
類似の作業が発生した際には過去データを参照して、入力を簡易化できる点が強みです。
また過去の工事データも日時や名称で簡単に検索できるため、ファイルを探す手間もなくなります。
仮に紙の台帳での管理を続けていると、いちいち該当のファイルを探して台帳を参照しなければなりません。
以上のように過去データを活用する点においても、受発注システムは優秀なシステムです。
顧客満足度の向上
受発注システムの導入により、顧客満足度も上がります。
迅速に見積もりを提示したり、各所からの問い合わせに迅速回答できるためです。
たとえば、受発注システムで原材料の費用などを一括管理していれば見積もり作成のスピードが上がり、施主に対していち早く見積もり提示ができます。
また、営業担当に施主から問い合わせが入った際にもスマートフォンやタブレットで見積もり内容を確認し、迅速に回答できるでしょう。
同様に発注時にも仕入れ先に対して、迅速な注文ができ、また数量ミスなどの間違いもなくなるため先方へ迷惑をかけることもありません。
大切な顧客と取引先、仕入れ先に対しての対応速度も正確度も上がり、結果的に顧客満足度が上昇します。
建設業向けの受発注システムを選ぶときのポイント・注意点


建設業向けの受発注システムを選ぶときのポイントや注意点を紹介します。
原則として受発注システムを選ぶときは、現時点で保有しているデータを取り込みできるか確認してください。
表計算ソフトを用いているなら、csvデータを取り込めるシステムが便利です。
また同時に、システムの操作性を重視しましょう。
工務店など建設業界ではDXが進んでおらず、デジタル機器やシステム操作に不慣れな従業員が多いためです。
現時点でエクセルなどで受発注管理している場合は、エクセルと似た操作感のシステムを選びましょう。
またスマートフォンやタブレットへの複数端末に対応しているかも重要です。
営業担当が外部から受注情報を確認できるようにすれば、帰社の手間を省けます。
その他、導入費用や導入時・導入後のサポート体制についても確認しましょう。



建設業の受発注システムの導入準備


建設業の受発注システムを導入する前に、以下の準備をしておきましょう。
目的の明確化
建設業の受発注システムを導入する前に、何のためにシステム導入するか目的を明確にしておきましょう。
目的なくシステムを導入すると、システムの導入が成功したかどうか検証がうまくいきません。
事前にスタッフに受発注業務の困りごとをヒアリングしたうえで、「受発注業務にかかる時間を〜%削減する」など、数値目標を決めておきましょう。
受発注業務の範囲の決定
次に、受発注業務で自動化する範囲を決定します。
受発注双方を自動化できるシステムを選ぶか、総合的に業務を一元管理できるシステムを選ぶかを決めるためです。
一気に業務をシステム化するとなると、大幅に業務フローが変更となりスタッフに負担をかける場合があります。
まずは受注業務のデータ入力からなど範囲を決めて、徐々にシステムを活用するようにしましょう。
導入システムの検討
次に導入する受発注システムを検討します。
受発注システムの選び方の項目でも解説したポイントを重視し、実際にシステムをスタッフにも触ってもらい、使い勝手までしっかり比較しましょう。
ただ仕様や価格を見るだけでなく、実際にデモシステムを触ってみることが大事です。
受発注システムのテスト
導入対象のシステムが決定したら、受発注システムをテストします。
実務で使ってみて初めて「この機能が不足している」「このデータがうまく出ない」と気づくことは多々あります。
テスト段階で問題が発覚したら、その時点でベンダー側に伝えてカスタマイズまたは修正作業を依頼しましょう。
問題なく受発注システムが稼働するようになれば、データを完全移行して実運用を始めます。
【2025年最新】建設業向け受発注システム10選


製品名 | ![]() ![]() AnyONE | ![]() ![]() | ![]() ![]() | ![]() ![]() | ![]() ![]() | ![]() ![]() ダンドリワーク | ![]() ![]() サクミル | ![]() ![]() 注文分譲クラウドDX | ![]() ![]() | ![]() ![]() |
評価 | (4.5 / 5.0) | (4.5 / 5.0) | (4 / 5.0) | (3.5 / 5.0) | (3.5 / 5.0) | (3.5 / 5.0) | (3.0 / 5.0) | (3.0 / 5.0) | (3.0 / 5.0) | (3.0 / 5.0) |
補助金・助成金 | 2024年対応 | 2024年対応 | 2024年対応 | 掲載なし | 2023年対応 | 2024年対応 | 記載なし | 2021対応 | 2025年対応 | 2025年対応 |
料金 | お問い合わせ | お問い合わせ | ・初期費用12万円~ ・最低月額利用料金1万円~3万円 ・ユーザー追加2,000円/1ユーザー | ・基本ソフトウェア価格1機能10万円~15万円 ・オプションソフトウェア価格5万円~20万円 | ・初期費用3万円~58万円 ・プラン料金4,000円~80,000円 | ・初期費用20万円〜 ・月額費用15,000円〜 | ・初期費用無料 ・詳細見積もり | 問い合わせ | ・初期費用:220,000円(税込) ・月額料金(システム利用料):19,580円(税込) ・スマートフォン利用料(1台あたり月額):550円(税込) | 問い合わせ |
デモ | 無料体験デモ | 掲載なし | 無料体験デモ | オンライン/訪問デモ | デモサイト無料体験 | 問い合わせ | 無料プランあり | 問い合わせ | 無料体験デモ | 問い合わせ |
基本機能数 | 8 | 7 | 18 | 8 | 10 | 12 | 9 | ・注文住宅:8 ・分譲住宅:8 | 13 | 12 |
スマホアプリ | あり | あり | なし (スマホからの使用は可能) | なし | なし (iPadでの使用は可能) | あり | あり | 問い合わせ | あり | なし |
他ソフトとの連携 | あり (エクセルやCSV形式データの引き継ぎも可能) | なし | あり | 掲載なし | 可能 | 問い合わせ | 問い合わせ | あり | 問い合わせ | あり |
オプション カスタマイズ | ・各種帳票カスタマイズ ・エクセル修正レクチャー | 他11製品(機能)あり | カスタマイズ可能 (別途有償対応) | オプショ/ライセンス追加 | ・5機能カスタマイズ可能 ・オプション7機能 | 問い合わせ | 問い合わせ | 可能 | 問い合わせ | 問い合わせ |
アフターサポート | ・無料ヘルプデスク ・バージョンアップ(自動配信) ・オンライン打ち合わせ ・追加講習 | ・カスタマーサクセス ・スタマーサポート | ・メール/電話 ・動画マニュアル ・リモート研修 | ・電話/オンライン ・無償バージョンアップ ・特別割引バージョンアップ ・プログラムディスク破損・紛失 ・マニュアルダウンロード | ・電話/メール/FAXにて操作方法の案内あり | ・導入サポート ・カスターサクセスチームによるサポート | 問い合わせ | ・セミナー ・運用サポート ・オンラインサポート ・メール/電話 | ・見積書、請求書、発注書の作成サポート ・報告書の作成サポート | ・初期データセットアップ ・使い方のレクチャー |
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AnyONE


AnyONEは建設業向けの業務効率化システムで、受発注管理はもちろん請求管理や見積もり作成、アフター管理まで全般的に工務店の業務を一元管理できるシステムです。
導入者数3,400社以上、ユーザー数は14,000人を超えており継続利用率も99.5%と評判が良いシステムです。
AnyONEの魅力はまず、エクセルと似た操作性と親和性です。
画面操作がエクセルとほぼ同じであるため、今まで工務店でエクセルを使用して受発注管理していたなら非常に操作しやすいでしょう。
またcsvにてエクセルデータの取り込みや出力も可能なため、エクセル管理からの切り替えも簡単です。
原材料のマスターデータ管理もできるため、見積もり作成や受注業務も効率化します。
さらに発注管理においても、発注済み・未発注などのステータス管理ができるなど、発注漏れなどのミスを削減する機能が満載です。
詳しくは、AnyONEの機能や特徴、口コミ・評判を解説している記事をご確認ください。
ANDPAD


ANDPADは建設業界でのシェアが高い施工管理システムです。
施工管理システムであるものの、受発注業務も同じシステムで一元管理できます。
資材の配送状況や配送方法を一覧管理できたり、下請けや発注先との契約状況を一覧化するなど業務を見える化できます。
もちろんクラウドに対応しており、外注先から見積書の確認も可能です。
より詳細に知りたい方は、ANDPADの口コミや機能、料金を解説した記事をご覧ください。
アイピア


アイピアは建設業で愛用されている業務管理システムです。
社内の情報を一元管理できるシステムであり、受発注管理に関しても効率化できる機能を搭載しています。
見積もり作成や原価発注管理、請求や入金管理もひとつのシステムでおこなえます。
また工程管理などもひとつのシステムで実施できるため、受発注作業を工程と照らし合わせて間違いがないか確認する作業も簡単です。
詳しくは、アイピアの機能や特徴、口コミ・評判を解説した記事をご確認ください。
SMAC工事管理


SMAC工事管理は見積もり作業から受発注管理まで、業務や規模に合わせて柔軟にカスタマイズできる管理システムです。
クラウドサーバーと連携させての導入も可能で、スマートフォンなどの外部端末からのアクセスができるため、営業担当が見積もりを確認するなどの作業も効率化します。
また、サポートが手厚い点もSMAC工事管理のメリットです。
導入から保守サポートまで一括してサポートしてくれるため、導入後も安心して利用できます。
詳しくは、SMAC工事管理の口コミや機能一覧、料金についてまとめた記事をご覧ください。
建て役者


建て役者は見積もり作業や契約情報の管理、原価管理から発注管理をでまとめて管理できるシステムです。
顧客情報や契約内容の管理をひとつのシステムでできるため、他部門との共有もスムーズになります。
また取引先の請求情報をもとに原価情報を更新する機能もついており、原価変動にも対応できます。
またオプションにで受発注業務をPDF化する機能も追加できるため、受発注作業を電子化したい工務店にもおすすめです。
建て役者の機能や口コミ、費用についてまとめた記事も参考にしてください。
ダンドリワーク


ダンドリワークは、受発注業務を含めた施工に関する業務を管理できるアプリです。
利用者数は10万社以上、ユーザー数は17万名以上と多くの建設業者に導入されています。
現場ごとに受発注情報を登録し、金額の相違や入金漏れに気づきやすくし、受発注管理におけるミスを減らします。
一覧で受発注管理ができるため、金額の相違を防ぎ予実管理や請求管理の業務を効率化させるツールです。
建設業界出身者によって運用・サポートが実施されるため、業務フローの考案や社内説明会の実施、アフターフォローなどサポートも充実。
年配の職人でも使いやすいと評判も良いツールのため、受発注業務を効率化したい工務店・建設事業者の方はぜひ運用を検討しましょう。
ダンドリワークの詳細は【ダンドリワーク編】料金や口コミは?気になる工務店向けサービスを徹底調査!で紹介しています。
サクミル


サクミルは、月額4,000円(30ユーザー)から利用できる現場管理アプリです。
工事案件をシステムに登録してリストかし、その中で見積書や請求書の発行等受発注に関する情報を管理できます。
その他スケジュール管理や作業日報の提出、写真や図面の管理もサクミルで一元管理が可能です。
経営レポートをダッシュボードとして出力する機能も搭載されており、受発注から現場管理まで幅広い範囲をDXできます。
注文分譲クラウドDX


注文分譲クラウドDXは、注文住宅と分譲住宅の業務を総合的に管理できるクラウド型受発注管理システムです。
注文住宅の場合は商談打ち合わせ段階から、分譲住宅の場合は事業計画や土地の仕入れ、建物計画から管理できます。
双方工事発注状況まで管理でき、住宅業界の受発注業務を効率化します。
さらにその後の支払い管理や入金管理も可能で、1つのシステムで住宅メーカー業務を統合できるツールです。
施工管理+α


施工管理+αは、見積から請求、発注、レポートまで一元管理できるシステムです。
直感的な操作でわかりやすく、建設業経験者による万全なサポート体制が備わっています。
システムに搭載されている受発注機能を使えば、見積書〜発注書の作成・管理が可能となっています。
発注額(利益率)の計算もできるため、効率良く予算組みが可能です。
施工管理に必要な業務をまとめて一元管理するなら、施工管理+αの利用がおすすめです。
anymore


anymoreは、中小企業向け機能特化施工管理アプリです。
施工管理の効率化・施工品質の改善を目的としており、LINEから施工予定の確認や現場の情報の確認、報告まであらゆる業務を完結できます。
LINEで登録されたデータはリアルタイムでクラウド上のサーバーに反映されるため、現場で何が起きているか把握できます。
案件ごとにその都度LINEで現場へ伝達されるので、伝えられていなかったことによるエラーを防止可能です。
LINEを使った受発注システムを求めるなら、anymoreの利用がおすすめです。
建設業向け受発注システムについてよくある質問


建設業向け受発注システムについて、導入前によく抱えがちな質問をまとめました。
まとめ
建設業で受発注システムを導入すれば、複雑な見積もり作成や契約管理、仕入れ先への発注作業を効率化できます。
エクセルやFAXでの受発注管理を続けていて効率化に悩んでいる工務店担当の方は、受発注システムの導入を検討しましょう。
記事で紹介した5つのシステムのなかでも、「AnyONE」は導入実績も豊富でエクセルとの親和性の高さ、業務効率化において優秀なシステムです。