建設業法の改正により、建設業界でも電子契約システムの導入が急がれています。
しかし、どのような電子契約システムが自社に合っているか分からずお困りの方もいるでしょう。
そこでこの記事では、電子契約システムの概要や導入メリット、機能一覧とおすすめのシステムを5つ紹介します。
電子契約システムとは
電子契約システムとは、その名の通り電子契約の締結から管理ができるシステムです。
工務店などの建設業者で電子契約システムを導入する前に、電子契約の定義や種類について理解しておきましょう。
電子契約の定義
電子契約とは契約書の作成や合意を示す捺印をオンラインで実施することです。
電子署名や電子サインの有効性が法律で認められたことにより、電子契約の導入がより簡単になりました。
建設業法では建設請負契約においては書面の交付が義務とされていました。
しかし、法改正によって今は以下の電子契約が締結できるようになっています。
- 請負契約
- 発注書
- 売買契約
- 賃貸借契約
- 保証契約
電子契約システムの種類
電子契約システムの種類を解説します。
- 当事者署名型
- 立会人署名型
当事者署名型
当事者署名型の電子契約システムとは、当事者同士が暗号キー(秘密鍵)を購入し、その秘密鍵が入ったICカードを本人性の担保として使用する仕組みです。
確実に当事者のみしか契約書にサインできない仕組みのため、セキュリティ性が高く合意形成に第三者の意思が介入しない点がメリットです。
ただし、本人性の担保というセキュリティ面が堅固なだけに仕組みが複雑で、ICカードの購入が必要など契約書の作成に手間がかかります。
立会人署名型
立会人署名型の契約システムとは、メール認証などの電磁的認証をシステムログとして利用し、署名した人物が契約当事者であることを証明する仕組みのシステムです。
メールアドレスがあれば契約を締結でき、合意形成に手間がかかりません。
立会人署名型契約システムのデメリットは、セキュリティ面が当事者署名型よりも低いことです。取引相手のセキュリティシステムが脆弱な環境である場合は、不正アクセスやなりすましでの捺印が懸念されます。
ただし、近年のクラウドサインはセキュリティのための認証を強化しており、セキュリティも改善されています。
電子契約システムを導入する3つのメリット
建設業には契約書をはじめとした書類を紙面で発行、管理する慣習があります。
そのため電子契約システムへ抵抗を感じる方も多いでしょう。
しかし、電子契約システムの導入により以下3つのメリットが得られます。
印紙代や郵送コストの削減
建設業は工事請負契約書をはじめとして、書類が非常に多い業界です。
度々書類を印刷して契約書に印紙を貼り、郵送しているとコストがかかります。
しかし、電子契約システムを導入すればこれまでかかっていた印紙代や郵送コストはかかりません。
また、契約書をファイルに綴じたり、郵送手配をする人的コストも削減できます。
契約書管理を効率化
電子契約システムの導入により、建設業での契約書管理業務が効率化します。
従来の契約書管理方法では、契約書の雛形を営業が持参(または事務所で必要箇所を入力)、合意形成後に自社に持ち帰って締結作業していました。
契約書に手書きで書かれた情報をシステムに手入力し、契約書の控えを返送する手間もかかります。
しかし、電子契約システムを使えば上記の手順がすべて削減でき、契約締結から管理までが効率化します。
内部統制の強化
建設業で電子契約システムを導入すれば、内部統制の強化にもつながります。
契約書は合意形成における重要情報が記載された書類で、改ざんや紛失、漏洩は絶対に避けなければなりません。
しかし、紙面での契約書管理はこれらのリスクを完全に回避することができませんでした。
一方で電子契約システムであれば、システム上に契約書を保管でき、システムログもすべて記録されるため安全性が高いです。
電子契約システムの機能一覧
電子契約システムの機能一覧を紹介します。
工務店をはじめとした建設業に欠かせない機能一覧なので、システム選びのためにも機能について知識をつけておきましょう。
契約書ファイルの検索・印刷機能
建設業法において電子契約が認められる要件の1つに「見読性」があります。
見読性とは契約の相手方がデータをいつでも取り出し、印刷するなどして書面で表示できる状態のことです。
つまり、電子契約システムには契約書ファイルを検索し、指定のファイルを印刷できる機能が必要となります。
単なる電子契約書のPDF化や保管機能だけでなく、検索や印刷機能がついた電子契約システムを選びましょう。
電子印鑑や電子サイン
建設業法における電子契約の要件には「本人性」が含まれます。
本人性とは、契約書にサインした人物が本当に当事者であるかを証明できる状態のことです。そのための機能が電子印鑑や電子サインです。
当事者が直接会わずに契約書へ印鑑やサインできるため、契約書締結の時間を大幅に削減できます。
タイムスタンプの付与
次に重要な機能が、「原本性」を担保するタイムスタンプの付与機能です。
原本性とは、その契約書が当事者間で合意されており、内容が改ざんされたものでないことが証明できる状態を意味します。
電子契約における原本は、タイムスタンプや電子署名において担保可能です。タイムスタンプの付与によって、契約書が作成された日時を明確にし、契約書が原本であることを証明できます。
契約ステータス管理
建設業の電子契約システムには、契約ステータス管理が搭載されています。
契約ステータス管理とは、システム上で作成した契約書の処理状況を確認するための機能です。
契約書を作成して先方に確認してもらっている状態、サインが終わり締結作業を実施している状態など、一目でステータスを確認できます。
契約書管理
電子契約システムでは、契約書の管理が可能です。
作成した契約書は自社ネットワーク内やクラウド上に保管されます。
今までキャビネットなどに保管していた契約書のファイルが、オンラインに移行したものと考えるとわかりやすいです。
契約書作成
電子契約システムでは、契約書の作成も可能です。
雛形をシステムに取り込んでおき、必要情報を入力するだけで契約書を出力できます。
契約書の冊子を印刷会社に依頼して作成する手間もなくなり、必要な時に必要な分だけ契約書を作成できる点がメリットです。
ワークフロー
契約書作成後のワークフローを自動化する機能も搭載されています。
営業担当が作成した契約書を自動的に上長へ回覧して承認を得たり、システム上に保管された顧客情報へ自動でメール送付が可能です。
定型の業務を自動化することで、効率よく契約書の締結作業や管理ができます。
工務店におすすめの電子契約システム5選
工務店におすすめの電子契約システムを5つ、以下2つの種類別に紹介します。
以下の比較表も参考に、自社にマッチする電子契約システムを選びましょう。
製品名 | AnyONE | ANDPAD | 建て役者 | GMOサイン | クラウドサイン |
評価 | (4.5 / 5.0) | (4.5 / 5.0) | (3.5 / 5.0) | (3.5 / 5.0) | (3.0 / 5.0) |
補助金・助成金 | 2024年対応 | 2024年対応 | 2023年対応 | 2023年対応 | ー |
料金 | お問い合わせ | お問い合わせ | ・初期費用3万円~58万円 ・プラン料金4,000円~80,000円 | 月額9,680円〜 | 月額10,000円〜 |
デモ | 無料体験デモ | 掲載なし | デモサイト無料体験 | フリープランあり | フリープランあり |
基本機能数 | 8 | 7 | 10 | 8 | 20 |
スマホアプリ | あり | あり | なし (iPadでの使用は可能) | あり | あり |
他ソフトとの連携 | あり (エクセルやCSV形式データの引き継ぎも可能) | なし | 可能 | 可能 | 可能 |
オプション カスタマイズ | ・各種帳票カスタマイズ ・エクセル修正レクチャー | 他11製品(機能)あり | ・5機能カスタマイズ可能 ・オプション7機能 | オプションパックあり | 問い合わせ |
アフターサポート | ・無料ヘルプデスク ・バージョンアップ(自動配信) ・オンライン打ち合わせ ・追加講習 | ・カスタマーサクセス ・スタマーサポート | ・電話/メール/FAXにて操作方法の案内あり | ・導入サポート/ヘルプデスク | ・導入サポート/ヘルプデスク |
公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
内容の正確性、適切性、最新性および完全性を保証するものではありません。
※ロゴおよび商標に関する権利は、個々の権利所有者に帰属します。
※掲載に関するお問い合わせは、お問い合わせフォームよりご連絡ください。
建設業の電子契約から業務管理を一元管理できるシステム
建設業におすすめの電子契約を含めた業務を一元管理できるシステムは、以下3つです。
- AnyONE
- ANDPAD
- 建て役者
AnyONE
AnyONEは工務店の業務に特化した業務管理システムです。
見積もり情報の作成や、見積もりをもとにした契約書の作成をシステム上で完結できます。
また、契約書のステータス管理や印刷、検索機能も1つのシステムで対応可能です。
またオプションにてfreeeサイン経由での契約書への捺印や電子契約にも対応しています。
詳しくは、AnyONEの機能や特徴、口コミ・評判を解説している記事をご確認ください。
ANDPAD
ANDPADは、建設業界のDX化に役立つシステムで、電子契約への対応や契約書の管理、保管が可能です。
取り込んだ契約書データへの電子署名やタイムスタンプの付与など、法令を遵守しているシステムのため、安全に契約書管理ができます。
さらにANDPADでは電子契約や契約書の管理だけでなく、施工管理や図面の管理、共有、チャットによるコミュニケーションも可能です。
より詳細に知りたい方は、ANDPADの口コミや機能、料金を解説した記事をご覧ください。
建て役者
建て役者は電子契約に対応した業務管理システムです。
建設業界を前提に作られたシステムであるため、煩雑な工務店や建設業者の契約書管理や書類作成を一元管理できます。
電子契約の捺印はオプション加入が必要となりますが、電子契約後の契約締結作業や顧客管理、現場管理を1つの流れで実施できるため業務が効率化します。
詳しくは建て役者の機能や口コミ、費用についてまとめた記事も参考にしてください。
電子契約に特化したシステム
次に、電子契約のみに特化したシステムを2つ紹介します。
建設業に特化したシステムではないものの、建設業界での導入実績も多くセキュリティ面でも信頼性も高いシステムです。
- GMOサイン
- ドキュサイン
GMOサイン
GMOサインは多くの企業へ導入されている電子契約サービスです。
立会人・当事者型の双方に対応する電子契約システムであり、契約の性質や本人確認のレベルに応じたサインを選択できます。
建設業界では鹿島建設などの大手ゼネコンやハウスメーカーにも導入されており、工務店の業務にも対応できるシステムです。
フリープランで無料で電子契約システムの使い方を確かめることも可能なため、まずはお試しから使用してみましょう。
クラウドサイン
クラウドサインは、クラウド上で契約を完結させる電子契約システムです。
電子署名法に準拠した電子契約システムで、官公庁や金融機関も利用している高度なセキュリティで安全性も高いです。
契約締結から契約書の管理までクラウドで完結するため、複数のシステムを同時に走らせる必要がありません。
三井ホームやタマホームでも導入されており、工務店の業務にも適した電子契約システムといえます。
まとめ
電子契約システムは建設業の契約締結や管理作業を効率化できるシステムです。
導入によって業務効率が上がるだけでなく、重要な書類の厳重な保護を低コストで実現できます。
記事で紹介した5つの電子契約システムは、法律に準拠しセキュリティ面でも安心して利用できます。
建築現場博士がおすすめする工務店・建築業界の業務効率化ソフトはAnyONEです。
導入実績2,700社超の業界No.1基幹システムで、国交省「第一回 長期優良住宅先導的モデル事業」に採択されています。
エクセルのような操作感で、レイアウトもマウスで変更できるため、ITが苦手な方でも簡単にお使いいただけます。
また、システムの導入後も徹底的なサポートを受けられるため、安心して運用できるでしょう。
大手・中堅企業様から一人親方様まで規模感を問わず、業務状況に合わせて様々な場面でご利用いただけます。