現場管理において欠かせない業務のひとつに受発注管理があります。
受発注管理は単に足りなくなった在庫の補充や業者の手配をするだけではなく、在庫状況の把握や発注先の選定、発注フローの管理をいかに行えるかが重要です。
無駄なコストを出さず事業の利益を上げ、スケジュール通りに施工を進めるために、どのようなことに気をつけて受発注管理を行えば良いのかを解説します。
目次
建設業向けの受発注管理システムとは?
受発注管理システムとは、建設業において受注した工事の内容、あるいは自社から下請けに対しておこなう材料の仕入れ、在庫状況の確認、入出金管理等を実施するためのシステムです。
発注管理は特に重要で、適切な発注管理ができていないと、いざ工事の際に資材が不足し、納期の遅延につながります。
受発注管理システムの導入により、材料の発注数量がタイムリーにわかるため、誤発注や発注漏れのリスクがありません。
発注管理の手順とコツ
受発注管理には手順があります。
まずは全体の流れを押さえて、ひとつ一つの手順を正確に行うことが大切です。
それぞれの手順について、効率的に行う方法と気をつけるべきポイントを見ていきましょう。
発注フローの整備
発注フローを整備して、発注の流れが見えやすいようにしましょう。
発注者、発注先、発注内容を把握することで、無駄なコストが発生せずに済みます。
また、発注先とのやり取りのツールを統一することも重要です。
発注先によって連絡手段が違うと見積書・発注書を探しづらかったり、発注までの金額調整の流れを把握しづらくなり、業務の負担が増えてしまいます。
発注先の選定
発注先の選び方も発注管理に重要な要素です。自社のビジネスの目的を果たすために、業務を遂行するだけのスキルを持った発注先を選ぶ必要があります。
ただ、初取引の業者であればスキルの見極めが難しいため、まずは少ない業務量で依頼して、仕上がりを確認後に発注業務を増やすかを判断すると良いでしょう。
発注先を選ぶポイントは以下の点があります。
建築現場の知恵袋には、読者から発注先の選定に関するご質問をいただく機会が増えてきました!
代表的なご質問と回答をご紹介します。
発注状況の把握
発注した業務の進捗状況を把握しておくことも発注管理において必要なことです。
スケジュール通りに施工を進めるため、発注後に「発注したものが届いているか」「納品に遅れは出ていないか」などの確認を随時行いましょう。
また、発注先のリソースを社内で共有することで、今後どのようなサイクルで発注から納品を行えば良いかの指針となります。
発注先ごとの発注担当者や納品までの手順をルール化しておきましょう。
受発注管理システムで工数削減・精度向上を実現
受発注管理には正しい手順やポイントがあり、プロセスが複雑であれば確認作業に時間がかかってしまいます。受発注管理発注管理には正しい手順やポイントがあり、プロセスが複雑であれば確認作業に時間がかかってしまいます。
効率的にかつ正確に受発注管理を行うためには受発注管理システムを利用することがおすすめです。
ここでは、発注管理システムの導入メリットを解説します。
0からのシート作成のため、時間がかかります。また、最新の情報を共有しにくいといった悩みが建築現場の知恵袋にもご質問として多くいただいています。
発注業務の工数削減
発注管理システムを利用すると、発注管理を行うための管理シートを作成する手間が省けます。
あらかじめフォーマットが定められていたり、テンプレートから選んで使用できたりするため、必要事項を入力するだけでシート管理ができるようになります。
テンプレートは無料ダウンロードできるものも多いため一度確認してみてはいかがでしょうか。
また、データを自動更新できるところも工数削減につながるポイントです。
Excelなどの管理では発注をかけるたびに、その内容を直接シートに入力しなければなりません。
発注管理システムであれば、以前に入力したデータを自動で反映させることや在庫に応じて自動発注することが可能になります。
進捗の可視化
各仕入先や各注文の進捗をデータベース上で簡単に確認できます。
進捗が可視化されることで、現場で材料がないといったトラブルが減り納期の遅れを防ぐことが可能です。
システムで進捗を更新すると現場の端末にリアルタイムで反映されるため、工事の進捗状況と照らし合わせて活用でき、より確実な発注管理につながります。
受発注履歴の蓄積
受発注履歴も保存・管理されるため、発注漏れや発注ミスが少なくなります。
担当者が変わった際の引継ぎや再発注も行いやすく便利です。
また、検索機能を活用すると、過去の施工現場での発注先を調べて進行中の現場での参考にしたり、見積りを行う際の原価の予測を立てたりできるようになります。
建設業向け受発注管理システムの選び方
建設業向け受発注管理システムの選び方におけるポイントを3つ紹介します。
他システムとの連携性
受発注管理システムを選ぶ際は、他システムとの連携性を重視しましょう。
既に自社で管理システムを導入している場合に、工事情報や顧客情報などのデータを連携するためです。
データ連携ができなければ、各システムごとに独立したデータベースを構築することとなり、データの分散につながります。
データが分散すると紛失や改ざん、漏洩リスクが上がるため、できるだけデータは1箇所にまとめることをおすすめします。
API連携やエクセルでの取り込みなどで、データを連携させて同期できるかどうかを確認しましょう。
操作性
新しいシステムを導入する際には、操作性をよく確認しましょう。
使いやすいシステムとは、既存システムと操作の方法に大きな差がないシステムです。
システム導入により操作やフローが大幅に変わると、現場が混乱し予期せぬミスにつながります。
受発注管理システムにはデモシステムや体験期間が設けられている製品が多いため、現場の社員にシステムを実際に操作してもらい、使いやすい製品を選びましょう。
導入後のサポート
受発注管理システムを導入したあとのサポートの充実度も確認しましょう。
サポートとは、ヘルプデスクやメールでの問い合わせ、バージョンアップへの対応などです。
ヘルプデスクが整備されていれば、万が一システムでエラーが発生した場合や操作方法に不明点があった場合にいつでも問い合わせをし、速やかに問題を解決できます。
また、IT専任チームがない場合でもバージョンアップ等の保守対応サポートがついていれば、いつでも最新のセキュリティが入ったソフトを使用できます。
建設業向けおすすめの受発注管理システム6選
ここではおすすめの受発注管理システムを紹介します。特に建設業に強いシステムを取り上げています。自社に合った管理システムを選び、導入を検討してみてはいかがでしょうか。
製品名 | AnyONE | アラジンオフィス | ANDPAD施工管理 | ダンドリりワーク | SMAC工事管理 | 建て役者 |
評価 | (4.5 / 5.0) | (2.5 / 5.0) | (4.5 / 5.0) | (3.5 / 5.0) | (3 / 5.0) | (3.5 / 5.0) |
補助金・助成金 | 2023年対応 | 2023年対応 | 2023年対応 | 2023年対応 | 掲載なし | 2023年対応 |
料金 | お問い合わせ | お問い合わせ | お問い合わせ | 初期費用20万円~ 月額利用料19,800円/月~ | ・基本ソフトウェア価格1機能10万円~15万円 ・オプションソフトウェア価格5万円~20万円 | ・初期費用3万円~58万円 ・プラン料金4,000円~80,000円 |
デモ | 無料体験デモ | 掲載なし | 掲載なし | あり | オンライン/訪問デモ | デモサイト無料体験 |
基本機能数 | 8 | 各業態・業種別によって異なる | 7 | 5 | 8 | 10 |
スマホアプリ | あり | 建設業向けはなし | あり | あり | なし | なし (iPadでの使用は可能) |
他ソフトとの連携 | あり (エクセルやCSV形式データの引き継ぎも可能) | 会計システム、オンライン請求書、WMS、RFID、BI・分析ツールなど様々 | なし | あり | 掲載なし | 可能 |
オプション カスタマイズ | ・各種帳票カスタマイズ ・エクセル修正レクチャー | あり | 他11製品(機能)あり | オプション7種 | オプショ/ライセンス追加 | ・5機能カスタマイズ可能 ・オプション7機能 |
アフターサポート | ・無料ヘルプデスク ・バージョンアップ(自動配信) ・オンライン打ち合わせ ・追加講習 | 掲載なし | ・カスタマーサクセス ・スタマーサポート | ・チャット ・電話/WEBミーティング | ・電話/オンライン ・無償バージョンアップ ・特別割引バージョンアップ ・プログラムディスク破損・紛失 ・マニュアルダウンロード | 掲載なし |
公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
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AnyONE(エニワン)
AnyONEは、発注管理だけではなく、顧客情報管理や社員情報管理、施工管理、見積もり作成、入出金管理、アフター管理など様々な機能を備えているシステムです。
エクセルのデータを連携させることもできるという特徴があり、これまで発注管理をエクセルで行っていた企業でもスムーズに業務支援システムに移行することができるでしょう。
またセキュリティ面では、サービスの利用者を制限でき、さらに利用者別にパスワードを設定することもできるため安心して利用できます。
今後他の機能との連携を考えている企業や従業員がエクセルに使い慣れている企業におすすめです。
アラジンオフィス
アラジンオフィスは、案件ナンバーごとに手配状況や利益の見通しができ、幅広い業務に対応しています。
コンサルティングやカスタマイズ、システム運用支援からメンテナンスまで充実したサポート体制があることも特徴です。
個別受注生産管理や、販売と施工をまとめて行いたい企業に合っているシステムといえます。
ANDPAD(アンドパッド)
ANDPAD(アンドパッド)は、現場管理の効率化から経営改善までを行える施工管理システムです。
工務店やハウスメーカーに限らず、メーカー・商社・流通会社など、施工に関わる幅広い業種で活用されています。
特長は、今まで電話・メール・FAXで行っていた業者さんとのやりとりをチャットで完結させられることや機能改善を積極的に行っていることです。
契約社数2,000社、利用社数50,000社以上の実績もあるため、実績豊富なシステムを導入したい企業におすすめです。
ダンドリワーク
ダンドリワークは、施工管理と現場管理を効率化するために作られたツールです。
受発注機能はオプションになりますが、受発注から検収、請求までをクラウド上で一括で管理でき、アプリやPC画面上で現場自社で請け負っている受注情報や発注情報を可視化できます。
さらに、協力会社とのワークフローや自社現場承認フローを自動化するなど、ペーパーレスが難しい建設業者の業務を効率化する仕組みが満載されています。
詳しくは、ダンドリワークの機能や特徴、口コミ・評判を解説している記事をご確認ください。
SITE
詳しくは、SITEの機能や特徴、口コミ・評判を解説している記事をご確認ください。
SMAC工事管理
SMAC工事管理は、目的にあわせたシステム構築ができ、導入コストを最小化できる点が特徴です。また、システム連携により現場別、得意先別でデータ管理が可能です。
データ利用率が向上して業務全体の効率を大幅に改善できるでしょう。
コストを抑え必要な機能のみ選びたい企業におすすめです。導入後のユーザーサポート体制も整っており安心です。
建て役者
建て役者は、工事に関わる受発注や工事工程の管理、実行予算作成ができるだけでなく、工事後の定期点検管理や契約データをグラフ集計することができるシステムです。
顧客関係管理機能も充実しているため、過去の工事履歴を元にDMを打つなど、リピート需要の獲得にも有効です。
まとめ:発注管理のコツとおすすめの管理システム
今回は、発注管理の手順とコツ、おすすめの発注管理システムについて紹介しました。
発注準備から発注後までの段階ごとにポイントを押さえて管理することで、無駄なコストを出さず事業の利益を上げ、スケジュールが遅れる恐れもなくなります。
また、システムを活用することでさらに管理がスムーズになったり、蓄積したデータを今後の現場管理に活かすことができます。
これを機に自社に合ったシステムの導入を検討してみてください。
建築現場博士がおすすめする工務店・建築業界の業務効率化ソフトはAnyONEです。
導入実績2,700社超の業界No.1基幹システムで、国交省「第一回 長期優良住宅先導的モデル事業」に採択されています。
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