新型コロナウイルスが流行してから、生活様式は一変しました。
それはリフォーム市場においても例外ではなく、人々のリフォームに対する意識も変化を遂げています。
今回は、新型コロナウイルスによるリフォームへの影響や需要の変化、コロナ禍の時代に求められるリフォームについて解説します。
目次
コロナ以前のリフォーム需要
2015年における国土交通省の「住宅市場動向調査」によると、住宅のリフォームで変更されることが多かった主な設備は以下の通りです。
- 1位:キッチン(33.6%)
- 2位:トイレ(31.8%)
- 3位:浴室(29.8%)
- 4位:居間(25.4%)
これらの場所は新型コロナウイルスの流行以前に、リフォームしたい箇所として高い人気を保ち続けてきました。
まずは、これらの場所がどのようにリフォームされていたのかを解説します。
キッチン
リフォーム箇所として人気のあったキッチンは、特に女性からの需要が多かったとされています。
キッチンは毎日使用する場所であり、メーカーからさまざまな新製品がリリースされていたこともあり、リフォーム需要が高かったと考えられるでしょう。
キッチンにおける具体的なリフォーム箇所としては、日々の調理で汚れたり破損するコンロやグリルが代表的です。
トイレ
日々の生活で使用するトイレも、リフォーム需要が高い設備の一つです。
トイレのように水を使用する場所は、汚れやカビが付着しやすいため、清潔に保てるようにするリフォームが求められていました。
また、清潔さを保つだけではなく、使いやすさや節水・節電性能を向上させる省エネタイプのトイレへのリフォームも人気を集めています。
浴室
冬場に温度差が激しくなる浴室も、リフォームの需要が高い箇所です。
浴室では、急激な温度差による「ヒートショック」が起こりやすいとされていますが、リフォームにより暖房機能を追加することで身体への負担を軽減でき、ヒートショックを防止できます。
さらに、浴室の天井や壁などを保温材に変更することで、暖房にかかる光熱費を削減することも可能です。
その他にも、カビ防止のために換気性能を高めるリフォームや、節水性の高いシャワーやバスタブへの変更、掃除のしやすい排水溝に変更するリフォームなどが多かったとされています。
居間・リビング
居間・リビングでは、クロスや床の張り替え、窓や扉などの交換といった、部分的なリフォームが中心となっています。
また、高断熱の省エネ型窓が登場したこともあり、冷暖房の効率を高めて電気代を抑えようと考え、窓をリフォームするケースも多く見受けられました。
コロナ以降のリフォーム需要
ここまでは、新型コロナウイルス流行以前のリフォーム需要について解説してきました。
新型コロナウイルス流行以前は、生活を便利にするためのリフォームを行うケースが多かったものの、流行後はリフォームの需要が変化しています。
ここでは、新型コロナウイルス流行後に多くリフォームされている場所と、その理由について見ていきましょう。
玄関
新型コロナウイルスが流行したことにより、人々の手洗いに対する意識が高まりました。
ウイルスを部屋の中に持ち込まないために、玄関の横に手洗い器を設置したいと考える方が多くなっており、実際に下駄箱や収納スペースを手洗い場へとリフォームしたケースもあります。
洗面所
外からの帰宅時だけではなく、日常的に手洗いを行う人が増加したため、洗面所のリフォーム需要も増えています。
TOTOが2020年8月に行った「コロナ禍における生活意識と行動に関する実態調査」によると、新型コロナウイルス流行後に手洗い回数が変化した人は約7割にも及ぶとのこと。
手を洗う時間が増えたことで、それまで気にならなかった洗面所のインテリアなどを見直すようになった人も多く、見た目が美しい陶器製の洗面台や、丸みがあるベッセルボウル型洗面台などの人気が高まっています。
ワークスペース
新型コロナウイルスの影響により在宅ワークが普及したことで、ワークスペースのリフォームを検討する人も増えています。
在宅で仕事を行うようになったものの、仕事に適した環境ではないため不便さを感じている方も少なくありません。
ワークスペースのリフォーム例としては、リビング空間に仕切り壁を設けたり、部屋の一角をワークスペースとして囲うことで集中できるスペースを確保したり、などが挙げられます。
換気システム
新型コロナウイルス感染対策の一つとして、室内のこまめな換気が推奨されているため、換気システムのリフォーム需要も高まっています。
特に注目を集めているのが、玄関のドアを施錠したままの状態で換気できる「採風ドア」です。
通常、住宅を換気するためには窓や玄関のドアを開ける必要がありますが、玄関のドアを開放したままにすることは防犯面でのリスクにつながりかねません。
採風ドアを利用することで扉を長時間開放しなくても換気できるようになるため、防犯性と換気性を両立できます。
採風ドアは、ウイルス対策だけでなく玄関にこもりがちな靴の臭いや湿気の対策に効果的な点も人気を集めているポイントです。
コロナ禍の状況で求められるリフォームとは?
新型コロナウイルスの影響によってリフォーム需要は変化しました。
これからの時代は、以下のようなリフォームが求められます。提案時の参考にしてください。
手洗い器を増やす
新型コロナウイルスの影響により、手洗いへの意識が向上している近年では、手洗い器を増やすリフォームが効果的だといえます。
脱衣所などにある既存の洗面台に加えて、玄関や勝手口に2台目となる「セカンド洗面台」を設ける提案を行うとよいでしょう。
ただし玄関に手洗い器を増やす場合は、下駄箱などの撤去が必要となるケースがあるため、施主と相談しながらリフォームプランを検討することが重要です。
節水性・節電性の高いトイレに変更する
コロナ禍の状況においては、節水性の高いトイレに変更するリフォームも効果的でしょう。
外出の自粛や在宅ワークの普及などにより、人々が自宅で過ごす時間やトイレの使用回数は増加傾向に。
さらに、手洗いの頻度も上がり水道代が高くなっている家庭もあるため、この機会に節水性の高いトイレへと変更する人が増えています。
また、節水性だけではなく節電効果があるトイレに変更することも有効です。
断熱性の高い便座・蓋の導入や、必要なときだけ温めるヒーターの搭載、タイマーによる節電などの効果があるトイレにリフォームすることで、「毎月の光熱水費を抑えたい」という顧客のニーズに応えられるでしょう。
非接触タイプの自動水栓やトイレに変更する
新型コロナウイルス感染拡大を防ぐためのリフォームとして、非接触タイプの自動水栓やトイレに変更することも有効です。
手洗いやうがいを行う洗面台においても、感染のリスクはゼロではありません。
帰宅後は手指にウイルスが付着した状態で蛇口から水を出すため、手洗いをしても水を止める際には再び手指にウイルスが付着する可能性があります。
それを避けるためには、センサーが反応して自動的に水を出す非接触タイプの自動水栓の導入が効果的です。
センサーから手を離すと水が自動で止まるため、節水につながるというメリットもあります。
また、トイレにおいては便座蓋の自動開閉機能や、センサー式の自動洗浄などの機能がついてるものにリフォームすることで、他の人が触った便座の蓋やボタンに触らずに水を流すことが可能となります。
まとめ
今回は、新型コロナウイルスによって変化したリフォームの需要や、コロナ禍におけるリフォームについて解説しました。
新型コロナウイルス流行以前は、生活を送る上で便利に暮らせるようリフォームする人が多数でしたが、流行後は手洗い器の増設や非接触式への変更など、衛生面でのリフォームを希望する人が増加しています。
コロナ禍の状況においては、衛生面や節水・節電を考慮したリフォームを提案するとよいでしょう。
また、リフォーム時の見積書や工程表などを作成する際には、工務店向けの業務効率化システムの利用がおすすめです。
建築現場博士がおすすめする工務店・建築業界の業務効率化ソフトはAnyONEです。
導入実績2,700社超の業界No.1基幹システムで、国交省「第一回 長期優良住宅先導的モデル事業」に採択されています。
エクセルのような操作感で、レイアウトもマウスで変更できるため、ITが苦手な方でも簡単にお使いいただけます。
また、システムの導入後も徹底的なサポートを受けられるため、安心して運用できるでしょう。
大手・中堅企業様から一人親方様まで規模感を問わず、業務状況に合わせて様々な場面でご利用いただけます。