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スマートハウスとは?IoTとの違いと設備について解説

スマートハウスとは、最新技術を活用し、エネルギーを効率的に利用する住宅のことです。

スマートハウスに関する問い合わせを受ける機会の多い工務店も多いのではないでしょうか。

今回は、スマートハウスの概要について解説します。

混同しやすいIoT住宅との違いは何か、どういった設備を利用するのかなど基本的な部分を解説しているため、工務店の担当者はぜひ参考にしてください。

スマートハウスとは

スマートハウスの概要

先ほど紹介したように、スマートハウスとは、最新技術を活用し、エネルギーを効率的に利用する住宅のことです。スマートハウスでは、主に以下の3つのエネルギーが利用されます。

  • 創エネ:住宅に設置されている設備で作り出すこと
  • 蓄エネ:作ったエネルギーを蓄積すること
  • 省エネ:効率的なエネルギーの使用を通してCO2の排出量を削減すること

詳しくは後述しますが、例えばHEMSという設備を使用してエネルギーの使用料を目に見えるようにすることで、電力の消費量を抑えられます。また、対抗発電システムや家庭用蓄電池を使って電力の自給自足に取り組むことも可能です。

スマートハウスは成長が予測される市場

スマートハウスは、多くの人の注目を集めていることもあり、今後の成長が予測されています。

矢野経済研究所によると、スマートハウスをはじめとした「国内の次世代住宅関連主要設備機器」の市場規模は、2018年で6,796億円(見込み)となっていますが、2022年には7,899億円まで成長すると予測されています。

今後住宅を建てようとする人の中には、スマートハウスを希望する人が増えてくると考えられるため、工務店側でもスマートハウスへの対応は必要不可欠だといえるでしょう。

【参考】次世代住宅関連主要設備機器市場に関する調査を実施(2019年)-株式会社矢野経済研究所

スマートハウスとIoT住宅の違い

スマートハウスとIoT住宅の違い

スマートハウスと混同しやすいものに「IoT住宅」がありますが、両者は異なります。

スマートハウスとは、太陽光発電や家庭用の蓄電池などを活用することで、エネルギーを効率よく利用することを目的としている住宅です。

一方のIoT住宅は、いろいろなモノをインターネットに接続することで、より快適な生活の実現を目指す住宅です。

例えば、外出先から冷蔵庫の中身を確認できたり、帰宅時間に合わせてお風呂のお湯を入れたりといった機能を実現できます。

これらの操作をスマートフォンから行えるものも登場しています。

どちらも最新技術を活用している点は同じですが、IoTは利便性や快適性を求めているのに対して、スマートハウスは省エネやエネルギーのコントロールを重視しているという点で異なります。

スマートハウスの設備

スマートハウスの設備

スマートハウスでは、効率よくエネルギーを利用するためにさまざまな設備を設置します。ここでは、具体的な設備として以下の3つについて解説します。

  • 太陽光発電システム
  • 家庭用蓄電池
  • HEMS

太陽光発電システム

太陽光発電システムとは、太陽の光を活用して電気を作るシステムのことです。

住宅の屋根にソーラーパネルを設置したうえで発電し、パワーコンディショーナーと呼ばれる変換装置によって電気を利用できる形に調整します。

太陽光発電システムは、発電時に二酸化炭素が排出されないため、環境に優しい電気が特徴です。

また、自宅で作った電気が余った場合は、電力会社に販売することもできるため、うまくいけばエネルギーコストにかかる収支がプラスになる可能性もあるでしょう。

家庭用蓄電池

家庭用蓄電池とは、太陽光発電システムで発電した電気や電力会社から購入した電気などをためられる充電式電池のことです。

太陽光発電システムを利用する場合は、合わせて利用することで相乗効果を発揮できるでしょう。使い方次第では電気代の節約も可能です。例えば、電気代が安い深夜のうちに電気をためておき、日中にためた電気を使用することもできます。

また、台風・地震などの自然災害が発生し、停電してしまったときでも、蓄電池にたておいた電気を使用できるため、いつもと変わりない生活を送ることができるでしょう。

HEMS

HEMSとは、正しくは「Home Energy Management System」といい、それぞれの単語の頭文字をとって呼ばれています。HEMSは、使用している電力エネルギーを目に見える形にしてくれるシステムのことです。

例えば、電気・ガスなどの使用量をモニターで表示してくれるほか、電気機器の自動制御なども行ってくれます。日々のエネルギー収支がはっきりとわかるため、使用量の変化や使いすぎに気づくことができ、節電意識を高めることができるでしょう。ちなみに、HERMSはスマートフォンによる家電の遠隔操作にも対応しているため、こまめな節電に取り組むことも可能です。

スマートハウスのメリット・デメリット

スマートハウスのメリット・デメリット

スマートハウスはエネルギーを効率よく利用することで、多くのメリットをもたらしてくれますが、その一方で少なからずデメリットも存在します。ここでは、スマートハウスのメリットとデメリットについて解説します。

スマートハウスのメリット

スマートハウスの一番のメリットは、電気料金の削減ができる点です。先ほども説明しているように、スマートハウスでは太陽光発電システムや家庭用蓄電池を使用しており、外部の電力会社を利用する機会が大幅に減るため、電気料金自体を抑えることができます。

また、電気をためておける点も大きなメリットです。電気料金の安い時間帯に電気を作ってためておけば、さらに電気代を削減できるほか、電気が余った場合は電力会社に販売もできるため、光熱費に充てることもできるでしょう。

そのほかにも、災害時の停電対策になる点も大きなメリットです。近年では大雨や地震といった災害も少なくありません。また、万が一使わなかったとしても販売もできるため、電気を備えておいて損をすることはありません。

このようにスマートハウスは、主に電力にかかるコスト面でのメリットが特徴だといえます。

スマートハウスのデメリット

スマートハウスのデメリットとしては、初期費用が高額になってしまう点が挙げられます。スマートハウスを実現するためには、ソーラーパネルなどの太陽光発電システム、家庭用蓄電池、HEMSといった高性能な設備の設置が必要不可欠です。そのため、どうしても初期段階での費用負担は大きくなってしまいます。

これらの設備は消耗品であるため、一度設置した後でもメンテナンスや交換が必要になる可能性もゼロではありません。そのため、設置後に高額な費用負担が発生する点にも注意してください。

「何年間どのくらい使用すれば初期投資を回収できるか」など、長期間で採算が取れるよう前もって算出すべきでしょう。

なお、スマートハウスに対しては、設置の際に補助金を利用することもできます。補助金を利用することで初期の費用負担を最小限に抑えることができるため、顧客に対してそういった情報を提供することも大切です。

まとめ

今回は、スマートハウスの概要から、IoT住宅との違い、スマートハウスで使用する設備などについて解説しました。スマートハウスは、高性能な設備を設置してエネルギーを効率よく利用することを目的としている住宅です。

設備の設置コストは高額ですが、消費電力の削減や余った電力の販売を通して電気代を抑えることも十分可能です。今回の内容を参考に、顧客に対してスマートハウスの提案を行ってみてはいかがでしょうか。

この記事の監修者

中島崚真 (一級建築士 日本建築学会 会員)

1976年生福岡県出身。空間は人の感情に共鳴する。揺れ動く心と高鳴る胸の鼓動、揺り動かされる感情のデザインを意識して設計活動をしている。
design creation office FIVE COLOR[S] INK 一級建築士事務所