住宅における子育て世代支援や脱炭素化を行うため、『こどもみらい住宅支援事業』が今年2022年(令和4年)からスタートします。
こどもみらい住宅支援事業は子育て世帯や若者夫婦世帯を主な対象として最大100万円の補助金を交付する、住宅取得や改修のための補助事業です。
今回はこども未来住宅支援事業について、事業の目的から補助対象、補助額、具体的な手続き方法、今後のスケジュールまで解説します。

目次
こどもみらい住宅支援事業とは

こどもみらい住宅支援事業は、子育て世帯や若者夫婦世帯による省エネ住宅の取得や改修などに対して最大100万円の補助金を交付する事業です。
まずはこどもみらい住宅支援事業の概要として、以下の3点を解説します。
- 事業の目的
- 補助対象
- 手続き
事業の目的
こどもみらい住宅支援事業が新設された背景には、以下2つの目的があります。
- 省エネ性能を有する住宅ストックの形成
- 子育て世帯や若者夫婦世帯の住宅取得に伴う負担軽減
目的の1つ目は、2050年カーボンニュートラルに向けて省エネ住宅を増やすことです。
住宅省エネ化のための制度はほかにも展開されていますが、こどもみらい住宅支援事業ではさらに子育て世代・若者夫婦世代の支援も2つ目の目的として含まれています。
このようにこどもみらい住宅支援事業は、「住宅の省エネ化」と「子育て世代・若者夫婦世代の住居費負担軽減」を目的とした事業です。
補助対象
こどもみらい住宅支援事業の補助対象は、主に「新築」と「リフォーム」の2パターン存在します。
それぞれ補助対象となるための要件は以下の通りです。
- 子育て世帯または若者夫婦世帯による、「注文住宅の新築」または「新築分譲住宅の購入」
- 発注者または購入者が自ら居住する住宅
- 一定の省エネ性能を有する住宅
- 住戸の延べ面積が50㎡以上
- 住宅の所有者などが工事を発注するリフォーム
- 以下いずれかに該当する工事
①開口部の断熱改修
②外壁、屋根・天井または床の断熱改修
③エコ住宅設備の設置
新築の場合は夫婦の年齢や子の有無に関する制限がありますが、リフォームの場合はそのような世帯制限がありません。
手続き
こどもみらい住宅支援事業における基本的な手続きは以下の通りです。

補助対象と補助額

こどもみらい住宅支援事業は子育て世帯や若者夫婦世帯を主な対象として最大100万円の補助金を交付する事業ですが、補助対象となるためには定められた要件を満たさなければなりません。
また補助額についても、住宅の省エネ性能や取得方法によって交付される額が異なる点を認識しておきましょう。
ここでは補助対象と補助額について、詳しく解説します。
- 補助対象者
- 助対象住宅
補助対象者
こどもみらい住宅支援事業の補助対象者である「子育て世帯」と「若者夫婦世帯」は、具体的には以下のように定義されています。
- 子育て世帯 … 18歳未満の子を有する世帯
- 若者夫婦世帯 … 夫婦のいずれかが39歳以下の世帯
要件に含まれる年齢は、2021年(令和3年)4月1日を基準日とします。
交付申請日が基準となるわけではないため注意しましょう。
たとえば2021年4月1日時点で夫婦のいずれかが39歳だった場合、交付申請日に40歳であっても補助対象として申請が可能です。
補助対象住宅
こどもみらい住宅支援事業の補助対象となる住宅は、主に高い省エネ性能を有する「住宅の新築」または「一定のリフォーム」です。
それぞれ要件や補助額が異なるため、以下で詳しく解説します。
住宅の新築
新築の場合の補助要件は以下の4つです。
- 子育て世帯または若者夫婦世帯による、「注文住宅の新築」または「新築分譲住宅の購入」
- 発注者または購入者が自ら居住する住宅
- 一定の省エネ性能を有する住宅
- 住戸の延べ面積が50㎡以上
これらの要件を満たしたうえで、住宅の省エネ性能によって以下のように補助額が異なります。
対象住宅 | 補助額 |
---|---|
ZEH ZEH、Nearly ZEH、ZEH Ready、ZEH Oriented | 100万円/戸 |
高い省エネ性能等を有する住宅 認定長期優良住宅、認定低炭素建築物、性能向上計画認定住宅 | 80万円/戸 |
省エネ基準に適合する住宅 断熱等級4かつ一次エネ等級4以上を満たす住宅 | 60万円/戸 |
リフォーム
リフォームの場合の補助要件は以下の2つです。
- 住宅の所有者などが工事を発注するリフォーム
- 以下いずれかに該当する工事
①開口部の断熱改修
②外壁、屋根・天井または床の断熱改修
③エコ住宅設備の設置
こどもみらい住宅支援事業のリフォーム補助対象は、上記3つのほかにも「子育て対応改修」や「耐震改修」など全部で8種類あります。
(※ただし、工事には要件記載の3つのうちいずれかが含まれている必要があります。)
詳細については国土交通省の「こどもみらい住宅支援事業の内容について」をご確認ください。
なお、リフォームについては、「子育て世代」や「若者夫婦世帯」でなくとも補助の対象となります。
上記の要件を満たしたうえで、「リフォームをおこなう世帯属性」と「住宅購入の有無」によって補助額が異なります。
▼子育て世帯・若者夫婦世帯の場合
対象工事 | 補助額 |
---|---|
既存住宅購入を伴うリフォーム工事 | 上限60万円/戸 |
既存住宅購入を伴わないリフォーム工事 | 上限45万円/戸 |
▼子育て世帯・若者夫婦世帯「以外」の場合
対象工事 | 補助額 |
---|---|
安心R住宅購入を伴うリフォーム工事 | 上限45万円/戸 |
安心R住宅購入を伴わないリフォーム工事 | 上限30万円/戸 |
安心R住宅とは、「基礎的な品質」や「リフォーム実施」、「情報開示」などにより安心して購入・居住できる住宅として国によって認められた既存住宅(中古住宅)のことです。
手続き方法と手続き期間

補助金を活用するためには、所定の手続きに従って所定の期間内に申請をおこなう必要があります。
最後にこどもみらい住宅支援事業の具体的な手続きと各手続きの期間や時期について、5STEPに分けて解説します。
こどもみらい住宅支援事業を利用するための5STEP
補助金を受け取るためには、主に以下5つのステップが必要です。
こどもみらい住宅支援事業は、建築事業者や販売事業者などの住宅事業者が申請者となって手続きを進めます。
このため住宅事業者は、まず以下の期間内に「補助事業者」として登録を受ける必要があります。
2022年1月11日 ~ 遅くとも2022年10月31日(予定)
事業者登録後にはじめて着工が可能となりますが、契約自体は登録前でも可能です。
ただし、2021年11月26日以降に締結した工事請負契約が対象です。
住宅事業者が申請者となって交付申請を行います。
交付申請期間は以下が予定されています。
2022年3月頃 ~ 遅くとも2022年10月31日(予定)
なお交付申請は、以下の書類のスキャンデータを補助事業ポータル上にアップロードすることで完了します。
※新築の場合を記載。リフォームの場合は異なります。
補助対象となった場合、以下の時期に指定口座に補助金が交付されます。
「2023年3月末頃」または「完了報告提出の翌月末」いずれか早い方
※完了報告の提出は当月20日締めとし、翌月末に支払われる予定です。
なお補助金は住宅事業者に交付されますが、建築代金の一部に充当することで住宅取得者へ還元される必要があります。
新築の場合は、定められた期限内に住宅の引き渡しと入居をおこない、以下の期限までに完了報告を提出する必要があります。
住宅の種類 | 完了報告提出期限 |
---|---|
戸建住宅 | 2023年5月31日 |
共同住宅など (階数が10以下) | 2024年2月15日 |
共同住宅など(階数が11以上) | 2024年12月31日 |
まとめ
今回はこども未来住宅支援事業について、事業の目的から補助対象、補助額、具体的な手続き方法、今後のスケジュールまで解説しました。
こどもみらい住宅支援事業は、子育て世帯や若者夫婦世帯を中心として多くの世帯が対象となりうる補助金事業です。
ZEHをはじめとした省エネ住宅とあわせて提案できれば、注文住宅やリフォームの訴求力を高める大きなカギとなるでしょう。
説得力のある提案をおこなうためにも、今回の記事を参考にすることに加えて工務店用のソフトウェアなどを用いて提供可能な工事や費用感を一度整理しておくことをおすすめします。