建設業の見積りは階層が多く、作業にかかわる人員や発注先も多いため、作業が非効率化しやすい領域です。
建設見積りクラウドソフトを導入すれば、比較的安価かつ容易に見積り作成業務の課題解決が見込めます。
本記事では、建設見積りクラウドソフトの概要や導入によって得られる効果、そして導入時の注意点を解説。
さらに、建設業で導入実績が多い優秀な建設見積りクラウドを10種類紹介します。
建設見積りクラウドソフトとは
建設見積りクラウドとは、建設業における見積りを管理できるソフトです。
クラウドはネットワーク上にデータを保管できる仮想空間を意味します。
見積りソフトは、工事現場に働いている監督者や営業担当者も利用することが多いため、クラウド型の方が利便性は高いでしょう。
建設見積りクラウド導入の効果
建設見積りクラウドの効果は、下記の通りです。
導入前に建設見積りクラウドがどのような効果を発揮するか理解し、自社のニーズにあっているか確認しましょう。
初期費用の安さ
建設見積りクラウドは、導入費用がオンプレミス型に比べて安価です。
オンプレミスとは、日本語訳すると「自社運用」という意味です。
ソフトウェアを社内のサーバー上に、直接インストールして運用する形式を意味します。
運営会社が提供するクラウドを使用するため、自社のサーバーやネットワーク環境を変更する必要がなく、比較的安価に導入できます。
導入の簡易さ
建設見積りクラウドは、自社にインターネット環境があればすぐに導入できます。
オンプレミス型は自社サーバーの増強や設定変更が必要ですが、クラウド型には必要ありません。
すぐに建設見積りシステムを導入したい企業や、導入に手間をかけたくない企業におすすめです。
データの一元管理
建設見積りクラウドは、インターネット上のクラウド環境でデータを管理します。
データをひとつの場所で管理できるため、作業おこなう際にさまざまなファイルを探して開く必要がないのがメリットです。
データの保管場所がバラバラになっていると、効率的な作業の妨げとなります。
見積りクラウドを利用すれば、作業効率化が期待できるでしょう。
精度の高い見積り
建設見積りクラウドは、階層別の見積り作成機能や過去データの利用、またマスター登録機能が搭載されています。
いちいち自社の過去データを参照するために、ほかのファイルを開く必要はありません。
またワンクリックで階層の設定ができるようになるため、エクセルで行を増やして項目を追加するなどの作業も省けます。
クオリティの統一
作業する人員の経験やスキルによって、見積り内容の精度がばらつきも防止可能です。
見積りソフトに設定したフォーマットに沿って入力するため、統一された体裁の見積り書を作ることができます。
また、過去の工事データの参照なども簡単にできるため、誰が作業しても精度の高い見積りが作成可能です。
作成・承認作業の効率化
見積り作成や承認作業に時間が掛かっている担当者も、建設見積りクラウドでより効率的に作業・承認ができます。
クラウド型の強みは、外からでも閲覧・作業・承認ができることです。
従来のように、承認が遅くクライアントに見積りの提示ができないというタイムロスを減らせるため、営業機会の損失も防げるでしょう。
情報共有
見積りは営業担当者だけでなく、監督者や事務員も利用します。
クラウドは随時データが自動保管されていくため、情報共有のスピードが非常に早いです。
クラウドにデータを保管すれば瞬時にデータが更新され、社内外問わず必要な作業員が情報を速やかに得られます。
建設業で見積りクラウドを導入する際の注意点
建設業で見積りクラウドを導入する際の注意点を解説します。
見積りクラウドのデメリットを理解したうえで、導入を検討してください。
カスタマイズの幅の狭さ
クラウド型のサービスは、低いカスタマイズ性がデメリットです。
オンプレミス型(自社サーバーにソフトをインストールする方式)よりも安く、導入が簡単ですが、ソフトの内容を自由に操作できません。
ただし、最近のクラウド型ソフトはカスタマイズができるソフトも多いです。
後ほど紹介するソフトの中から、カスタマイズ可能なソフトを選ぶと良いでしょう。
セキュリティ面
見積りクラウドは、オンプレミス型よりもセキュリティは低いです。
オンプレミス型は自社ネットワーク内でしか機能しないため、外部からの侵入の可能性はほぼありません。
クラウド型もセキュリティソフトを使用してはいますが、万が一が心配な方はセキュリティ面やデータ保全についてサービス提供会社に確認しましょう。
サービスの急な終了の可能性
クラウドサービスの難点は、運営会社の倒産やサービス提供の終了によりツール自体が使えなくなる点です。
あくまでサービス提供会社ありきの契約のため、提供元の意向次第で使えなくなる可能性があります。
建設見積りクラウドを選ぶ際は、経営母体が安定した企業が提供するサービスを選びましょう。
おすすめ建設見積りクラウドソフト10選
おすすめ建設見積りクラウドを10種類ご紹介します。
サービス名 | サービス詳細 |
---|---|
AnyONE | ・見積り業務以外に商談管理からアフター管理まで対応 ・エクセルと似た操作感で使いやすい ・アプリ版があり、外部からの閲覧もできる ・カスタマイズにも対応 ・サポート体制が手厚い |
建設BALENA | ・複数階層見積りを作成でき詳細な積算ができる ・見積りマスタを登録・更新して作業を効率化する ・現場管理機能を搭載している |
アイピア | ・アプリ版でスマホ・タブレットから閲覧できる ・見積りから工程管理まで一括管理できる ・外出先から承認できるため業務が効率化する |
みつもり主任 | ・ブラウザがあれば外部から見積り閲覧ができる ・細かい階層設定ができる ・見積りシート上に計算式の埋め込みができる |
せきさん係長 | ・リフォームに特化した見積りクラウド ・マスタ構築支援サービスがある ・操作方法のリモートサポートを受けられる |
使えるくらうど建築見積V2 | ・5段階の階層を作成できる ・マスターの一括変更ができ、単価変更が容易 ・エクセルの見積書取り込みが可能 |
建て役者 | ・過去データを引用して見積り作成出来る ・カスタマイズ性が高い ・商談管理や顧客管理など営業支援機能もあり |
見積RICH | ・見積りの作成から承認、請求書まで全てクラウド上で可能 ・領収書作成もできる ・商品や顧客マスタ登録・作成ができる |
unconnect | ・比較的安価に導入できるクラウドソフト ・売上と原価の入力だけで自動で工事台帳登録が可能 ・データ分析・集計機能が使用できる |
BLACK HAND | ・Officeに似た操作感で使いやすいクラウドソフト ・必要機能のみを選んで導入できる ・工程管理や人員配置機能も利用できる |
AnyONE
AnyONEは、建材販売会社によって作られた、工務店向けクラウドソフトです。
建設見積りだけでなく、商談管理からアフター管理まで一括で業務がカバーできます。
導入実績は2,700社以上と多く、顧客継続率は99.4%とほぼ100%のクライアントが満足している点もポイントです。
サポートも手厚く、導入後の操作方法の習得への懸念も少ないでしょう。
AnyONEの見積りに関する機能は、下記の通りです。
- エクセルに近い操作感で見積り作成が簡単
- 見積りマスタの簡易作成
- 過去情報のコピー・インポート機能があり見積り作成業務を効率化
- 複数階層見積りの作成が可能
- アプリ版がありスマホ・タブレットからも閲覧可能
- サポートが手厚く、メール・電話・来社研修あり
- 最新セキュリティを導入しており、安心して利用できる
またAnyONEでは今すぐ使える便利なエクセルテンプレートを公開しています。
現状エクセルで見積りを管理している工務店の方は、テンプレートを試しに使用し、使いやすいと感じればシステムを導入するのがおすすめです。
建設BALENA
建設BALENAは建設業専用の業務統合システムです。
工事台帳を一括管理し、見積り書をベースとした発注書・請求書が自動作成できるなど、業務効率化を目指せます。
またアプリから日報登録ができるなど、テレワークにも向いているクラウドソフトです。
- 工事台帳の登録
- 複数階層見積りの作成
- 見積りマスタの作成
- 見積り書をもとにした発注書・請求書作成
- 現場管理機能も搭載
詳しくは、建設BALENAの機能や特徴、口コミ・評判を解説した記事をご確認ください。
アイピア
アイピアは、建設業向けクラウドソフトで業務の統合管理ができます。
見積り作成はもちろん、現場管理や事務作業、経理などもすべて管理できるのが特徴です。
動画マニュアルを公開するなどサポートが充実しており、導入時もスムーズに研修できます。
- アプリがありスマホ・タブレットで利用可能
- 見積り・発注作業・顧客管理・営業商談管理・工程管理も可能
- 外出先からの帳票確認・入力・承認作業
- 要望に合わせてカスタマイズ
詳しくは、アイピアの機能や特徴、口コミ・評判を解説した記事をご確認ください。
みつもり主任
みつもり主任は、見積り作成に特化したクラウドソフトです。
見積りをもとに注文書や契約書作成もでき、実行予算管理も一括でおこなえます。
- クラウドで情報閲覧可能
- 細かく見積り階層を設定できる
- 見積りシートに自由に計算式を埋め込める
- マスタデータの更新が簡単にできる
詳しくは、みつもり主任の機能や特徴、口コミ・評判を解説した記事をご確認ください。
せきさん係長
せきさん係長は、リフォーム業者向けの見積りクラウドソフトです。
積算基準書を標準装備しており、簡単に見積り作成ができます。
過去に20万棟の積算実績があり、信頼の厚いソフトです。
- クラウドに対応している
- リフォームに特化している
- マスタ構築支援が受けられる
- 操作方法についてリモートサポートあり
使えるくらうど建築見積V2
使えるくらうど建築見積V2は、簡単操作で見積りを作成できるクラウドソフトです。
単価の一括修正機能もついており、常に最新情報を全社で共有できます。
- アプリがありスマホ・タブレットで利用できる
- 階層を5段階まで作成できる
- マスタの一括変更機能があり、更新作業が効率化できる
- 原価管理や実行予算管理もできる
- エクセルの見積り書を取り込める
建て役者
建て役者は16年以上の実績をもつクラウドソフトです。
過去の見積りデータの引用やデータの集積、エクセルからの取り込みもできます。
- 過去データの引用で見積り作成を効率化
- 見積りだけでなく商談管理・契約作業・顧客管理とマルチな機能
- 過去600社以上の導入実績がある
- カスタマイズ性が高く自社にフィットしたツールを導入できる
詳しくは、建て役者の機能や特徴、口コミ・評判を解説している記事をご確認ください。
見積RICH
見積RICHは、見積り作成・承認・請求書をクラウドでおこなえるソフトです。
見積り以外に納品書や請求書も作成でき、またクラウド対応のため外部からの承認作業もできます。
場所を選ばずに見積り作業をおこなえるのが強みです。
- 見積りをすべてPDFで発行でき、改ざん防止対策になる
- 承認が外部からでき効率的な作業が可能
- 商品や顧客マスタを作成できる
- セキュリティが厳重
uconnect
unconnectは、小規模工事業向けの建設見積りクラウドです。
見積り作成時点でから原価管理が同時にでき、正確な会計作業をサポートするツールです。
初期費用が無料で、月額6,600円からと安価に導入できます。
- 見積り作成・印刷ができる
- 売上登録や発注書作成、原価管理や請求・支払い管理も可能
- データ分析・集計機能がついており経営判断にも利用できる
詳しくは、uconnectの機能や特徴、口コミ・評判を解説している記事をご確認ください。
BLACKHAND
BLACKHANDは、見積りと原価管理、仕訳作成まで一括でおこなえるクラウドソフトです。
クラウドサービスで遠隔地からも操作でき、操作感はOfficeソフトと似せてあるため操作が簡単で導入しやすいでしょう。
- 見積りだけでなく原価管理・仕訳作成まで一括でできる
- 見積り機能のみの導入も可能
- そのほか工程管理・人員配置をカスタマイズで追加できる
建設管理クラウドの機能や導入事例を比較した記事も参考にしてください。
まとめ
建設見積りクラウドは、作業を効率化しデータを一元管理できるツールです。
見積り作業は、単価の更新や見積り書作成のバラツキなど課題を抱えがちな業務ですが、クラウド導入により工務店が陥りがちな業務の非効率性を解決できます。
今回は10種類のクラウドソフトを紹介しましたが、選択肢が多く「どのツールを選べばよいかわからない」と悩む方もいるでしょう。
建築現場博士がおすすめする工務店・建築業界の業務効率化ソフトはAnyONEです。
導入実績2,700社超の業界No.1基幹システムで、国交省「第一回 長期優良住宅先導的モデル事業」に採択されています。
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