建設業界の建設DX推進の動きは、政府の法整備等によって加速しています。大手ゼネコンを始めとし、建設業界でも約4割がデジタル化を導入。
将来的には、建設業界全体の業務がデジタル化されることが予想できます。
しかし、従来アナログな文化が浸透して建設業界が、建設DXを容易に導入できないのも事実です。
この記事では、建設DXが推進された背景と推進によるメリット、建設DXを推進する際のポイントを解説します。
目次
法整備により推進が加速する建設DX
建設業界でも、建設DX推進の文化は進んできています。
働き方改革による労働基準法などの整備や、今まで紙面でのやり取りが義務つけられていた契約関係を電子化する取り組みが進んでいるのが現状です。
ゼネラルリサーチ株式会社が2021年に建設業従事者に対して実施したアンケートによると、実に建設業界の4割程度でデジタル化が進んでいると回答しています。
また、デジタル化に対応しなければ、今後仕事が減る可能性があると懸念している建設業界従事者は66%にも上りました。
建設業界にはさまざまな技術者が関わっています。設計士などは約半数がデジタル化を取り入れているものの、その図面から必要な材料を計算する拾い業務を担当する会社では「電子化が難しい」という声も多かったです。
建設業界の業種によっても差はあるものの、関連企業がデジタル化していく風潮が強いため、今後どの業種においてもデジタル化は必須であるといえます。
建設DXを推進して得られるメリット
建設DXを推進すると、以下のようなメリットを得られます。
すでに大手ゼネコンを始めとしてデジタル化が進んでいます。各企業が効率化や業務の推進の上で出した成果をもとにまとめました。
業務の効率化
デジタル化の促進により、従来人手がかかっていた業務を自動化したり、効率よく業務共有等をおこなえるようになりました。
例えば、電子契約の導入で締結作業を簡略化できます。さらに、図面の共有も紙で印刷することなく、タブレットやPC等で確認ができるようになりました。
今までは監督者が進捗を確認し、現場で作業員に共有していましたが、アプリを用いて可視化することに成功。
結果的に作業員の進捗の把握に差が生まれづらくなり、工事管理も効率的になりました。
そのほかの事例では、CRM(顧客管理システム)やSFA(セールスオートメーション)の導入をおこない、取引先との連携や営業の案件管理や日報作成もデジタル化されています。
特にSFAでは、営業が帰社して日報を作ったり、交渉の詳細を上司へ電話・口頭で報告する手間がなくなりました。
外出時もアプリを使った簡単に入力できるため、マネージャー自体の業務も効率化します。
熟練職人のノウハウの継承
ベテラン大工の技術は、本人が経験則で得たノウハウや感覚的な面も多く、継承が難しいためです。さらに、建設業界への就職希望者の減少から、高齢化・人手不足も問題となっていました。
しかし、デジタル化推進の動きにより、BIM/CIMという、設計の計画段階から3次元モデルを導入して、その後の施工や維持管理に役立てるワークフローが導入されました。
BIM/CIMを導入すると、3次元モデル自体で設計計画等を全て記録しながらおこなえます。
すなわち、ベテラン技術者が「この図面だと、作業はこのようにおこなうべき」等判断していたことを3Dモデル上に記録できます。
今まではベテラン技術者がその場で判断し、指示を出して作業をしていました。しかし、新人はその場で「なぜそう判断したのか」という基準の習得が難しかったのです。
しかし、3Dモデルに全ての判断が記録されているため、後から記録を見直して、ベテラン技術者の判断等のノウハウを学べます。
この技術の導入で、ベテランのノウハウを記録、デジタルデータ化でき、新人やほかの作業員が学べる環境を作ることができるはずです。
省人化
建設業界の建設DX推進により、省人化効果も得られます。省人化とは、工程を減らして人手不足を解消する考え方のことで、業務効率化の1つです。
例えば現場の管理や指示をモニターカメラでおこない、遠隔から指示できます。
また、作業現場に人がいなくても資材の運搬をロボットが自動でおこなう等、現場に人がいないとできない作業が劇的に減りました。
深夜の監視や清掃等も、ロボットやカメラの導入で可能です。
危険作業や深夜の労働も減るため、労働環境の改善により、人手不足解消、新規人材の獲得双方に役立つでしょう。
建設DX推進をおこなうポイント
建設業界は従来、紙ベース・人ベースで作業をおこなってきました。
そのためデジタル化が難しいという声もありますが、現時点ですでに大手ゼネコンでは建設DXが導入されています。
段階的に建設DX推進をおこなうポイントは以下の通りです。
政府の統計調査では建設DX推進が遅れることで、経済損失は12兆円にも上ると試算されています。
国としても建設業界の建設DX推進をおこなう動きが強いため、導入コスト等の問題を解決しつつ、ゆくゆくは基幹システムを取り替える日がくることは明らかです。
段階的に建設DXを導入し、自社の成長に役立てるべきといえます。
建設DX推進における課題の把握
建設DX推進における課題は、以下を挙げられます。
- アナログな文化が浸透している
- 建設DX導入の目的・目標が不明瞭である
- ITリテラシーが不足している
- 長年の取引慣行が紙ベースである
- 資金がかかる
- ツールの浸透
2021年の中小企業白書によると、建設業界従事者が建設DX化において不安を感じていることは上記のようなものでした。
まずは自社で建設DXの妨げになっている課題を洗い出し、解決策を考えることが大切です。
ポイントは、建設DX導入の目的や目標を明確化し、従業員に理解を得ることです。ITリテラシーが低い場合でも、目的に理解があれば、研修への積極的参加も期待できます。
段階的に建設DX化を推進
建設DX推進に資金面で不安があるなら、まずは事務作業をシステム化することがおすすめです。
例えばクラウド型の受発注システムを導入する場合、1ユーザー数百円から利用可能です。紙ベースの作業は、人手がかかり、また管理コストも必要。この作業が不要になるだけで、残業が減り、残業コストも削減できます。
また、アプリの導入で進捗確認をおこなうのも効果的です。
段階的に導入すれば、ITリテラシーが低い場合でも、徐々に従業員に慣れてもらえます。
一気に建設DX推進をおこなうと、現場や取引先との関係に支障をきたすため、徐々に建設DXを推進することが重要です。
まとめ
この記事では、建設業界の建設DX推進がおこなわれた背景やメリット、自社で建設DXを推進する際のポイントを解説しました。
国を上げて建設業界の建設DXを推進している現状からも、建設業界は今後電子化・デジタル化が進んでいきます。
なおかつ、デジタル化しなければ仕事が減るという不安を従事者の6割が抱えており、競合・取引先も順次業務のデジタル化に取り組むべきです。
建設DX推進によって、業務効率化が進めば、人手不足や人材獲得面での課題も解決できます。
まず自社が抱えている課題を洗い出し、その上で段階的に建設DX推進をしていきましょう。
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