工務店の施工管理は、住宅品質の安定化や、納期管理に用いられています。
高品質な住宅を、期日までに完成させて引き渡すためです。
しかし施工管理をおろそかにしてしまうと、現場が混乱してしまい、納期までに建築物を届けることができません。
そのため、施工管理体制の効率化を常に改善したいと検討している工務店もいるでしょう。
今回、施工管理の内容について詳しく紹介します。
最後には施工管理の効率化を上げるための施工管理ソフトについても解説するため、参考にしてください。
施工管理とは
工務店の施工管理とは、建築中の現場がスムーズに工事を進めるために工事を管理することを指します。
工務店が住宅を工事する場合、スケジュール管理だけでなく、予算などを含めた工事の全体管理は欠かせません。
施工管理は工事を円滑に進ませるだけでなく、会社の売上にも反映される重要な管理内容です。
施工管理と現場監督の違いとは
施工管理と現場監督は似たような印象を持っている方も多いです。
工務店によっては施工管理を行いながら現場監督をされている方もいます。
しかし、2つには資格の有無や業務内容に違いがあります。
- 施工管理技士の資格が必要
- 工事に関わるすべての管理をおこなう
- 現場ではなく、社内で業務することが多い
- 資格は不要
- 工事のスケジュール管理や人員配置、業者段取りなどをおこなう
- 複数の現場を巡回する
施工管理技士とは
施工管理技士とは、一定年数の実務経験を積むことで、受験資格を得られる国家資格です。
施工管理技士を取得すれば、施工管理を円滑に進められます。
そのような施工管理技士には以下の7種類があります。
建築施工管理技士
戸建て住宅や賃貸住宅、マンションや商業施設など、建物の新築工事・改修工事をする際に、必要な資格です。
建設機械施工技士
ブルドーザーやシャベルなど、建設機械を取り扱う工事の際に必要となる資格です。
電気工事施工管理技士
照明や送電設備、配線など、さまざまな電気設備関連工事をおこなう際に必要となる資格です。
電気通信工事施工管理技士
自宅にインターネットやWi-Fi、電話回線などの通信機器を接続するために必要な資格です。
土木施工管理技士
道路や橋、河川やトンネルなど、土木に関する工事をおこなう際に求められる資格です。
管工事施工管理技士
エアコンや換気扇の空調工事、プロパンガスや都市ガスのガス配管、給水・排水などの水道関連など、管工事をおこなう際に必要となる資格です。
造園施工管理技士
庭園や公園、道路沿いの緑化などを手入れ・補修する際に必要となる資格です。
施工管理の仕事内容とは
施工管理は、「4大管理」と呼ばれる仕事内容に分かれます。
原価管理
原価管理とは、工事に関わる原価を計算し、利益の改善やリスクなどコストマネジメントをおこなうことです。
工事原価には材料費や施工費用、人件費などさまざまな費用が該当します。
その費用を一つ一つ精査し、工務店が利益を確保できる状態にしなければならない重要な管理業務です。
原価管理について詳しく知りたい方は、「原価管理におけるPDCAとは?」をご覧ください。
工程管理
工程管理とは、期日までに工事を完成させるためのスケジュールを管理することです。
主に資材の発注タイミングや、スケジュール管理、業者段取りなどが該当します。
工程管理通りに工事が進まないと、引き渡し日にも影響が出てしまい、遅れた場合は施主から遅延損害金を請求される恐れもあるでしょう。
そのため、工事を進めるうえで工程管理は非常に重要となります。
品質管理
品質管理とは、建築した住宅が施主の要望通り、また地方自治体の法規通りの品質基準を満たしているかを管理することです。
住宅を建築する際は、建築基準法に則って設計し、工事をおこないます。
工事が完成したタイミングで、建築基準法に適合した住宅であるか、施主の要望通りの住宅品質であるかを検査することを指します。
安全管理
安全管理とは、自社の社員だけでなく、下請け業者の作業員も事故を起こさず工事を完成させるために管理をすることです。
住宅の建築は、足場を利用した危険な工事もあるため、作業現場の安全性が求められます。
また夏バテ防止など、作業員の体調管理なども必要です。
人に対する作業環境を整えることも、安全管理の一部となります。
施工管理の難しさ
施工管理の人材は、年々減少傾向にあります。
「技術者不足」「高齢化」「労働時間」などが原因となり、工務店の経営者も施工管理について悩んでいることでしょう。
施工管理を含めた建設業就業者の現状と悩みについて紹介します。
技術者の減少
国土交通省が発表した「建設業及び建設工事従業者の現状」によると、平成9年には41万人いた建設業技術者は、平成28年には31万人となっています。
また、技術者だけでなく、建設業就業者全体も平成9年には685万人でしたが、平成28年には492万まで減少しました。
施工管理の技術者だけでなく、建設業に携わる人の減少も工務店の施工管理に影響を及ぼしています。
施工管理技士の高齢化
IT化や個人で起業する方が増えたこともあり、若い施工管理技士は年々減少傾向にあります。
インターネットを主軸としたビジネスが構築され、若い世代には自由に働くという文化が根付いてきたことが考えられるでしょう。
また、「建設業及び建設工事従業者の現状」を確認すると、平成28年時点で、建設業に就業している方の33.9%は55歳以上、11.4%が29歳以下となっていることがわかります。
10年後には65歳以上の建設業就業者が約4割と高齢化が懸念され、施工管理技士はおろか、若い建設業就業者は減少する可能性が高い点も現状です。
労働時間が長い
建設業は全産業の中で運送業の次に労働時間が長いとされています。
厚生労働省が発表している「毎月勤労統計調査令和4年度1月速報」を確認すると、建設業就業者の月労働時間は149.3時間となっています。
調査産業計が129.4時間となるため、労働時間が長いと感じる建設業就業者も多いでしょう。
施工管理の効率化を図る3つの方法
施工管理には人材や労働時間という問題点が挙げられます。
しかし、問題点が改善できれば施工管理の効率化につながります。
ここでは3つの改善方法を紹介します。
人材育成
若手社員を積極的に採用し、新入社員から人材育成する方法です。
施工管理だけでなく、建設業就業者の高齢化が進むばかりでは、工務店の存在維持にも影響します。
そのため、新卒社員の導入を行い、施工管理能力を身に付けることで改善できます。
しかし、人件費も必要となるため、慎重に検討する必要があるでしょう。
週休2日モデルの構築
労働時間が長い建設業ですが、週休2日制を採用している企業が増えてきました。
休日を固定することで、労働時間が改善され、建設業就業者も減る可能性は低くなります。
しかし、建設業は現場主軸であり、納期に追われてしまうのが現状です。
週休2日制にすることで、工事が思うように進まず、期日通りに住宅の完成ができない可能性もあります。
さらに労働時間を減らすために未稼働現場を増やし、工事期間を延ばしてしまうと、受注率の低下にもつながり、売上が減少する要因にもなるでしょう。
施工管理ソフトの導入
「人材」と「労働時間」という問題点を改善してくれるのは施工管理ソフトの導入です。
施工管理ソフトは誰でも利用できるため、人材という問題点は改善され、さらに効率性の高さが労働時間の減少にもつながるでしょう。
施工管理ソフトは、原価管理から工程管理、現場状況の把握などをおこなうことができるため、近年大手の建設会社だけでなく工務店も採用しているソフトです。
施工管理ソフトのメリット
先ほど紹介した施工管理ソフトのメリットを3つ紹介します。
原価管理と工程管理の効率化
原価管理と工程管理は、建設業において最重要と言っても過言ではありません。
一つのミスが会社の利益に大きく影響します。
しかし従来の原価管理は、個々がエクセルを用いて作成していたため、ミスも目立ち、予算内に金額が収まらないことも多々ありました。
工程管理に関してもガンチャートやバーチャートを、エクセルを用いて一から作成していたため、時間効率の悪さが目立っていました。
しかし、施工管理ソフトを採用することで、原価管理と工程管理をシステム化にすることができ、ミスもなくなり時間効率が向上します。
施工管理ソフトはエクセルにように扱うことができるため、誰でも利用可能ですが、他のシステムとの連動性が高い特徴もあります。
連動性が高ければ原価管理だけでなく、簡易に工程表を作成することができ、施工管理の効率化が向上します。
作業効率の向上
施工管理ソフトは他機能との連動性の高さから、作業効率の向上につながります。
例えば、現場の施工写真をお客様に提出する際、スマホからパソコンに写真を転送するまでに時間に要してしまいます。
しかし、施工管理ソフトを利用すれば、スマホから施工管理ソフトに直接移動するため、パソコンに転送する必要もなくなり、作業効率が向上するでしょう。
さらに、スマホやパソコンがあればいつどこでも施工管理状況を確認できるため、休日に職場に出勤することは少なくなるメリットもあります。
一元管理によるシステム化の構築
施工管理ソフトは社内共有できるため、施工管理技士だけでなく、経営者、役員、現場監督の誰でも確認することが可能です。
現場で問題が発生し、経営判断が求められる場合でもあっても社内共有できていれば、即座に対応できる可能性も高くなります。
また一元管理できる状況であれば、問題点を見つけるだけでなく、未然に問題を防ぐことにもつながるでしょう。
まとめ
今回施工管理の仕事内容と、現状、今後の施工管理方法について解説してきました。
施工管理は、4つの管理から成り立ちます。
しかし、どれか一つでも管理をおろそかにしてしまうと、生産性の低下につながり、会社の売上にも大きく影響するでしょう。
そのため、施工管理は会社の基盤とも言えます。
また、年々建設業就業者が減り、施工管理を担う技術者が減少しています。
しかし、システムを導入することで、人材という悩みが解消され、さらに作業効率・時間効率の向上にもつながるでしょう。
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