建設業で使える見積書のテンプレートを探しているものの、なかなか見つからずにお困りの方も多いでしょう。
建設業において見積書の作成は非常に重要な意味を持ちますが、作成に時間がかかります。
効率的に見積書を作成するなら、エクセルで使用できる見積書のテンプレートの活用がおすすめです。
今回はエクセルの見積書テンプレートについて、選ぶときのポイントや注意点、おすすめの無料テンプレートについて解説します。
どのテンプレートを使うと良いか知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
目次
建設業の見積書とは
建設業法では、契約前に発注者に対して工事費用を見積り、詳細な内訳を記載して提出する書類です。
見積書の内容を確認し、発注者は工事費用を確認し、契約の意思を固めます。
建設業法においては、以下のように定められています。
第二十条 建設業者は、建設工事の請負契約を締結するに際して、工事内容に応じ、工事の種別ごとに材料費、労務費その他の経費の内訳を明らかにして、建設工事の見積りを行うよう努めなければならない。
2 建設業者は、建設工事の注文者から請求があつたときは、請負契約が成立するまでの間に、建設工事の見積書を交付しなければならない。
【引用】建設業法 | e-Gov 法令検索
見積の発行義務はありませんが、契約前に見積もりを提示しなければ、発注者側も費用感を検討できません。
また、発注者と受注者側で金額についての合意を事前形成し、スムーズに契約を締結するという意味もあります。
【見本あり】建設業の見積書の記載項目
建設業の見積書に記載すべき項目は、下記の3つです。
表紙
見積書の表紙には、以下4つを記載します。
- 見積り金額の合計…見積り金額の合計額を税別・税込の表記をして記載
- 法定福利費…現場労働者の法定福利費(健康保険・雇用保険・介護保険・厚生年金保険など)
- 対象工事に係る項目…工事名や工事場所、発行日や有効期限、支払い方法など
- 作成者に係る広告…会社名・所在地・見積作成担当者の氏名・連絡先
内訳書
見積書は契約の意思決定に関係する金額面を確認するための書類です。
そのため、内訳は発注者側が「何にどんな費用がかかるか」わかるように、工事種別に分けて明瞭に記載しましょう。
- 見積り対象の品目
- 工事の要求・仕様
- 摘要や項目
条件書
条件書とは各工事の請負施工範囲を明記する書類です。
万が一追加工事が発生した際に、施工範囲を明記しておけば追加費用の請求がスムーズです。
- 施工範囲に該当する広告
- 施工範囲外の項目
以上の2点を明記し、発注者側から想定外の追加工事を要求されることがないようにしておきましょう。
建設業の見積書作成で特に重要なポイント
建設業の見積書作成で特に重要なポイントを紹介します。
見積番号
見積番号は、表紙等に記入する通し番号を意味します。
見積書を複数回発行した場合、見積作成者と発注者が違う見積書を見ながら話をしてしまうリスクがあります。
そこで通し番号を振っておき、同じ見積書を確認しながらの作業が可能な状態にしておきましょう。
工事内容や条件
工事内容や条件を見積書に記載することで、双方で見積がどのような前提で作られているかが明確となります。
「言った言わない」のトラブルを避けるために、見積書に含まれる工事内容や条件については、詳しく具体的に記載してください。
税別・税込の表記
見積書に記載する金額は、税別か税込かわかるように記載しましょう。
建設工事の請負額は高額であるため、税込か税別かで金額に大きな違いがあります。
税別と税込の記載義務はありませんが、金額に関連するトラブルを防ぐために、明確に記載してください。
工事範囲
工事範囲に入る項目と入らない項目を、見積書の時点で明記しましょう。
万が一工事範囲について記載がなければ、発注者側との認識に齟齬が生じ、想定していない工事を無償で受けるような事態になりかねません。
受注者側の立場を守るためにも、工事範囲を明記して合意をとっておきましょう。
工期
見積書には工期を記載しますが、契約を獲得するために極端に短い工期を設定することがないようにしてください。
短期間での工期は成果物の品質を下げ、また現場作業員の労働負荷を高めます。
また、見積時点で工期の決定が困難な場合は「別途ご協議」などと記載し、後ほど話し合う機会を設けましょう。
法定福利費
法定福利費は、現場で作業する労働者の健康保険料や厚生年金、介護保険料や雇用保険料です。
見積書には、上記法定福利費のうち事業主負担分のみを記載します。
訂正は原則再発行にて対応
見積書の内容を訂正する際は、原則再発行が必要です。
発注者へ連絡して差し替えを依頼し、速やかに訂正済の見積書を作成してください。
急遽修正が必要になってしまった場合は、二重線と訂正印でも対応が可能です。
しかし、その場合でもあらためて再発行することで、認識の相違を防げます。
【建設業向け】見積書のエクセルテンプレートを選ぶポイント
ここでは、見積書のエクセルテンプレートを選ぶ際に覚えておきたい3つのポイントを解説します。
テンプレートといってもその種類はさまざまなため、ここで紹介するポイントを確認しましょう。
見やすい内訳
テンプレートを選ぶ際は、内訳を記載できるようになっているテンプレートを選びましょう。
内訳の記載ができないテンプレートの場合、施主様から問い合わせが来る可能性があります。
内訳が記載されていない見積書は、施主様からの信頼が得られにくいです。
また説明するために時間を割かなければいけないため、作業効率も下がります。
計算式
見積書テンプレートを選ぶ際は、既に計算式が設定されているテンプレートを選びましょう。
計算式が設定されていると、合計や税率などの計算が簡単となります。
ただし求めたい数値によっては、VLOOKUP関数やIF関数などエクセルに慣れていない方にとっては難しい関数を利用する必要もあるでしょう。
事前に計算式が設定されていれば、数字を打ち込むだけで見積書を作成できるため、手間がかかりません。
自社に合っているか
見積書の形式や記載されている項目が、自社に適しているかどうかも重要なポイントです。
テンプレートの中には、一般企業が利用できても建設業者の利用には向いていないものもあります。
そのため、自社の見積書にはどういった項目や形が必要なのか事前に把握したうえで適切なものを選ぶ必要があります。
エクセルで見積書を作成する注意点
ここでは、エクセルで見積書を作成するときに覚えておきたい注意点を3つ紹介します。
作成時のミスは大きなトラブルにもつながりかねないため、ぜひ参考にしてください。
信頼できるテンプレートを使用
インターネットを探すと、見積書のテンプレートはたくさん見つかります。
テンプレートによっては企業が配布しているものもありますが、中には個人が作成して配布しているものもあります。
しかし個人が作成しているテンプレートは、更新が定期的におこなわれていない可能性があり。最新の法律や税率に適合しているか調べる必要があります。
企業が提供しているテンプレートであれば、問い合わせれば更新日時を調べられ、精度が高く信頼もできるケースが多いです。
そのため、特別な理由がなければ、見積書作成ソフトを提供している企業が配布しているテンプレートの利用がおすすめです。
入力ミス
入力ミスがあると、金額にズレが生じ、後々のトラブルに発展する恐れがあります。
また、個人配布のテンプレートの場合、作成者が間違った関数を使用した状態で配布している可能性もゼロありません。
そのため、ダウンロードした見積書テンプレートを利用するときは、事前に仮の見積書を作成するなどして精度を確認しましょう。
管理方法
エクセルの見積書を管理する場合、属人化しないように管理することが重要です。
例えば、見積書ファイルの保存場所を知っているのが営業担当だけだと、社内の他の部署との情報共有が難しくなります。
管理する際は、施主様ごとにファイリングして社内で共有するなど、工夫するようにしましょう。
【無料】建設業向けエクセル見積書6選
ここでは、建設業で利用できる無料のエクセル見積書を6つ紹介します。どれも無料で利用できるため、ぜひ自社にあったものをダウンロードしてください。
AnyONE(エニワン)
「AnyONE(エニワン)」は、エニワン株式会社が提供する工務店向けの業務効率化ソフトの名称です。
同社では、無料のエクセル見積書テンプレートの配布も行なっています。
テンプレートはA4、A3サイズに対応しており、エクセルはもちろんPDF形式での利用も可能です。
エニワン株式会社は、業務システムを長年にわたって提供してきており、そのノウハウから住宅業界や工務店の業務で使いやすいテンプレートを提供しています。
アイピア
アイピアは建設業向けの業務管理システムを開発しており、ホームページにて無料の見積書テンプレートを公開しています。
エクセル形式のためダウンロード後すぐに使用でき、また自社で数式を入れるなどのアレンジも可能です。
COREC
クラウド受注・発注システム「COREC」を提供する株式会社ラクーンコマースは、建設業はもちろんそれ以外の業種でも利用できるスタンダートなテンプレートから建設業に特化したテンプレートまで様々な種類を取り扱っていることが特徴です。
具体的には、以下のような見積書が利用できます。
- 見積書テンプレート(スタンダード 15行)
- 見積書テンプレート(スタンダード 10行)
- 見積書テンプレート(横長)
- 見積書テンプレート(建築・工事)
エクセルで作成されているファイルであるため、項目の増減など編集も自由に行えます。
Smartsheet
米国ワシントン州に本社を構える「Smartsheet」は、建設業向けの見積書テンプレートを、シンプルなものから複雑なものまで幅広く取り扱っています。
新築はもちろん、改築や増築の際にも利用できるテンプレートで、必要に応じて編集することも可能です。
ちなみに建設工事見積書以外にも、建設工事予算や入札書の要約、入札書の集計表などに利用できるざまざまなテンプレートも取り扱っているため、こちらもぜひチェックしてみてください。
テンプレートBANK
TB株式会社が運営する「テンプレートBANK」は、各種業務で使用するさまざまな書類のテンプレートや販促・案内などに使用できるテンプレート、写真素材などを提供しているサービスです。利用にあたり無料の会員登録が必要です。
見積書のテンプレートは、縦型で明細内の備考欄がついています。
計算式も記入済みであるため、ダウンロードしてすぐに利用できます。
さらに内税と外税の設定変更にも対応しているため、施主様の要望に応じた見積書作成が可能です。
テンプレートの編集も可能ですが、計算式がすでに記入されていることもあり、編集できない部分もあるため注意が必要です。
bizocean
株式会社トライベックが運営するビジネス情報サイト「bizocean」では、建設工事の中でも小規模〜中規模の工事向けの見積書を配布しています。
テンプレートは、表紙に加えて明細書26項目が5ページという内訳になっています。また、消費税率変更にも対応可能です。
経費削減実行委員会
株式会社オーナー’sが運営する、企業のコスト削減と業務効率を推進するサイト「経費削減実行委員会」では、建設工事で利用できる内訳書・明細書付きの見積書テンプレートを配布しています。
金額だけでなく内訳や明細まで記載できるため、施主様にとってわかりやすい見積書を作成することができるでしょう。
まとめ
今回は、建設業に欠かせない見積書のエクセル無料テンプレートを選ぶ際のポイントや使用時の注意点、さらにはおすすめの無料テンプレートを紹介しました。
見積書は、施主様が実際に発注をするかどうか判断するための重要な資料です。
内訳が記載できるかどうか、明細が記載できるかどうか、そして見やすくてわかりやすいかどうかなどテンプレートを利用する際にはさまざまな点に注意する必要があります。
見積書以外の帳票もテンプレートで作成したい方には、業務効率化ソフトがおすすめです。
業務効率化ソフトを導入すれば、過去のデータを参考にスピーディーに帳票を作成できるほか、管理も簡単におこなえます。
建築現場博士がおすすめする工務店・建築業界の業務効率化ソフトはAnyONEです。
導入実績2,700社超の業界No.1基幹システムで、国交省「第一回 長期優良住宅先導的モデル事業」に採択されています。
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