CLTとは、ひき板を並べて作られた資材のことです。
この記事ではCLTについてその概要や活用事例、利用に伴うメリットなどについて解説します。
CLTは、日本では2016年から一般利用されるようになった新たしい資材です。
どのような特徴があるのか、導入によってどういったメリットがあるのかといった点が気になる建設業の担当者はぜひ参考にしてください。
目次
CLTとは
CLTとは、ひき板を並べ、繊維の方向が直交するように積層接着された資材のことです。
正しくは「Cross Laminated Timber」といい、頭文字をとってCLTと呼ばれています。
CLTは厚みのある資材であるため、戸建や中層の共同住宅、高齢者施設、ホテルなどさまざまな建物を建設する際の資材として使用されることが多く、また土木用材や家具の材料などにも使用されるなど、CLTの用途はさまざまです。
CLTは、1995年ごろよりオーストリアを中心に広がってきました。
現在ではヨーロッパ各国や北米、オーストラリアなど幅広い地域で使用されており、中にはCLTを使って高層建築物が建設されたケースもあります。
日本におけるCLTの始まりは比較的最近で、2016年4月にCLTに関する建築基準広告の公布・施行によって一般利用されるようになりました。
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CLTが注目を集める背景
CLTが注目を集めている背景には、森林資源の有効活用があげられます。
日本は、国土の約7割が山林であるなど、膨大な森林資源を有する国です。
しかし、建設業などで使用される資材の多くは外国産が使用されており、日本の森林資源はこれまで十分に活用されてきませんでした。
一方でCLTは、日本に多く植林されている杉やヒノキをメインの材料として作られます。
杉やヒノキをCLTに使用することで、日本の森林資源の有効活用が可能となり、海外頼みの木材の自給率改善にもつながるでしょう。
他にも、森林の荒廃を食い止めに対策としてCLTの普及が注目を集めています。
日本では外国産の木材を多く使用していることに加え、従事する人の高齢化などによって、林業の人材不足が発生しており、日本の人工林が伐採されずに放置されているのが現状です。
国産の木を活用したCLTへの需要が高まれば、林業も活発となり森林の荒廃の食い止めにもつながるでしょう。
CLTの活用例
CLTは高い強度を持つ資材であるため、ヨーロッパなどでは8〜10階程度の建物などにも使用されています。
また、建物によっては「RC造とCLTを組み合わせ」「鉄骨とCLTの組み合わせ」など混構造で建てられている例もあり、幅広い場面での活用が期待できるでしょう。
日本においてもバス停のような小規模な建物や、事務所や集合住宅、高齢者施設といった比較的規模の大きい建物に使用されるなど、その用途はさまざまです。
最近ではCLTを利用した構法で、会社のオフィスを建設した事例なども見られます。
CLT自体はまだまだ使われ始めたばかりの資材ですが、今後日本でもさらに普及していくことが考えられるでしょう。
CLTの特徴
CLTはさまざまな特徴を持った資材です。
ここでは具体的な特徴として以下の3点について解説します。
- 軽い
- 耐火・耐震
- 環境に優しい
軽い
CLTは資材の中でも非常に軽く、鉄筋コンクリートと比較すると、その重さは約5分の1となります。
軽量であるため、基礎コストや材料輸送費といった各種コストを抑えることも可能です。
また、他の資材よりも持ち運ぶ際の労力が掛からないため、工事の際も作業がしやすくなるでしょう。
耐震・耐火
CLTは耐震性能、耐火性能にも優れています。
耐震に関しては、CLTを使用した建物に阪神・淡路大震災よりも大きな力が加わったとしても、倒壊しないことが確認済みです。
また、木材は1mm/分の速度で燃えていくとされていますが、厚さ90mmのCLTを1時間燃やしても、燃え抜けないなど耐火性能も優れています。
地震や地震に伴い発生する恐れのある火事に備えるためにも、CLTは大いに役立つでしょう。
環境に優しい
CLTを作るために木を切り倒すことで森林を活発にできるなど、CLTは環境にも優しい資材であるといえます。
多くの人は「木を伐採する=環境を破壊する」と考えるかもしれません。
しかし、木が多すぎると、1本1本の木々に栄養が行き渡らないため、かえって木に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、樹木が多いと太陽光が当たらない木が発生してしまうことにも注意が必要です。
木が多すぎて発生する問題を解決するためには、木を伐採して間引くことが重要といえます。
森林を活発化するために伐採された木をCLTに活用できれば、木を無駄にすることなく有効活用できるため、環境を損なう心配もありません。
CLT作成にあたっては従来の資材よりもたくさんの木を使用するため、従来はあまり活用できなかった細い木や節が多い木なども有効活用できます。
また、余分な木を伐採することで、木が活発となるため、CO2削減効果の向上にもつながります。
そのほかにも、CLTは断熱性にも優れている点も特徴です。
断熱性が高いと暖房を効率よく使用できるため、必要以上に暖房を使用することがなくなり環境保護にもつながります。
CLTを利用するメリット
CLTを利用することで企業は、さまざまなメリットを享受する可能です。
ここではCLTを活用する主なメリットとして、以下の4点について解説します。
- スムーズな施工ができる
- 解体後も使える
- 国産材を活用できる
- 端材も有効活用できる
スムーズな施工ができる
CLTは、コンクリートとは違って養生する必要がないため、スムーズに施工を進めることができます。
また、事前に工場で材料の一部を組み立ててから現場で使用することもできるため、施工期間の短縮も可能です。
また、工期が短縮されればコストも削減できるでしょう。
解体後も使える
CLTを使った建物は、解体後もCLTを木質ペレットに加工するなどして燃料として活用可能です。
CLTは乾燥しているため簡単に貯蔵できるほか、燃焼する際に発生する有害物質の量も少ないため、資源を最後まで有効活用することができます。
国産材を活用できる
CLTは、日本各地に植林されている杉を使って作るため、日本でCLTの普及が進むことで国産材を活用できる機会が広がります。
従来は、杉は規模の大きい構造物には不向きだとされていましたが、CLTの登場によって用途が拡大しました。
端材も有効活用できる
建築工事では、たくさんの端材が発生しますが、CLTの場合、発電時の燃料に活用することもできるため、端材の有効活用が可能です。
端材を捨てると、処分代が発生しますが、端材まで活用できればコスト削減につながります。
また、CLTの端材を使ってエネルギーを自給自足すればさらなるコスト削減ができるでしょう。
CLT利用時の注意点
CLTは、まだまだコストが高いため企業によって利用をためらうケースもあるでしょう。
しかし、今後環境問題への意識からCLTへの需要が高まると考えられます。
企業もCLT導入によって各種コスト削減の恩恵を受けられるため、予算とのバランスを考慮する必要はありますが、コストの高さをカバーできる可能性はあるでしょう。
また、国や自治体による補助金制度も設けられているため、CLTを導入したい場合は補助金の利用も検討してみてください。
まとめ
今回は、CLTの概要や注目を集める背景・特徴、メリットなどについて解説しました。
CLTは、ひき板を並べ、繊維の方向が直交するように積層接着された資材です。
従来の資材よりも軽く、耐震性、耐火性にも優れている点が特徴です。
国産材の活用にもつながるなど、今後の需要拡大が予想されます。
CLTの登場のように建設業界の状況は目まぐるしく変わっており、状況の変化に対応するためには業務を効率化し、会社に余裕を持たせておくことが重要です。
簡単に業務効率化をおこなうためには、業務効率化ソフトの導入をおすすめします。
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