建設業界において塗装工事とは、建物の外観をきれいにし、耐久性を上げるための工事です。
塗装工事は定期的に実施しないと、建物の見た目が悪くなるだけでなく、地震や台風で壊れやすくなるというデメリットもあります。
本記事では、塗装工事の基本情報や適切なタイミング、塗装工事の費用の内訳や工程、信用できる業者の選び方について解説します。
目次
塗装工事とは

塗装工事とは、建物の屋根・外壁を塗り替える工事で、一般的には修繕工事時におこなわれることが多いです。
塗装工事ではただペンキを塗るだけでなく、屋根や外壁を長持ちさせるためにさまざまな工程があります。
塗装工事の基本情報について理解するため、以下の2つを解説します。
塗装工事の必要性
塗装工事は、屋根と建物外壁を保護・美化するために必要な工事です。
塗料のグレードにもよりますが、塗膜の寿命は10年と言われています。
塗膜の寿命が切れると建物内に雨が侵入しやすくなり、外壁内部にある断熱材や柱が腐りやすくなります。
耐久性の下がった建物に住んでいると、万が一地震や台風が来たときに居住者の安全を守れない可能性があるため、塗装工事は定期的におこなわなければなりません。
また定期的に塗装工事を実施しないと、塗膜が剥がれ建物の見た目がみすぼらしくなります。
塗装工事によって建物の耐久性が上がり、外観もきれいになるというメリットがあります。
塗装工事の種類
文字通り屋根塗装工事では屋根の塗装をおこない、外壁塗装工事では外壁の塗装を実施します。
修繕工事時に実施する塗装工事には、屋根塗装工事と外壁塗装工事の2種類があります。
ただどちらの工事も足場を組むケースが多く費用と手間がかかるため、費用対効果を考え、屋根と外壁を同時期に塗装工事するのが一般的です。
塗装工事の適切なタイミング

塗装工事のタイミングについて以下の2つを解説します。
顧客に塗装工事の提案をおこなう際の参考としてください。
塗装工事のタイミングを見極める方法
前述の通り、一般的な塗膜の寿命は10年のため、寿命が切れるタイミングで塗装工事をおこなうのが望ましいです。
ただし、住宅の状況によっては、新築時や前回の塗装工事から早急に塗装工事をおこなった方がいいケースもあります。
例えば天井から雨漏りしているケースです。
天井からの雨漏りは、塗膜に寿命が来ており屋根から雨が侵入している可能性が高く、放置すると屋根や天井だけでなく建物内部が腐ってしまう可能性があります。
また建物内部が腐ってしまうとカビが発生しやすくなり、居住者の健康被害も考えられます。
また塗装が剥がれてきたり、金属製の屋根や外壁にサビが発生した場合も塗装工事をおこなうタイミングです。
塗装の剥がれは見た目が悪いだけでなく、塗膜の劣化が進行していることを示します。
塗装の剥がれを放置すると、外壁や屋根が何も守られていない状態になり、急激に劣化が進んでしまうため早急な対処が望ましいです。
サビは、塗装の屋根や外壁に対する保護機能が低下していることを意味します。
サビは塗装工事前に除去する必要があり、サビを放置すると除去するための範囲が広がってしまい、除去の費用が高額になってしまいます。
サビを発見した場合は早急に対処した方が、顧客の負担が少なくなるため、提案次第では新たな案件の受注につながりやすいタイミングとも言えるでしょう。
塗装工事に適した季節
最も塗装工事に適した季節はなく、どの季節であってもメリット・デメリットがあります。
季節ごとのメリット・デメリットを下記の表にまとめましたので参考にしてください。
季節 | メリット | デメリット |
---|---|---|
春 | ・天候が安定しているため工期が変更になりにくい ・比較的塗料が乾きやすい | ・繁忙期のため工事を受けてもらえない可能性がある |
夏 | ・春よりも塗料が乾きやすい | ・台風や夕立によって工程通りに進まない可能性がある ・お盆で工事が進まない可能性がある |
秋 | ・塗料が乾きやすく工事を進めやすい | ・夏以上に台風の影響を受ける可能性がある ・春ほどではないが繁忙期のため、工事受けてもらえないこともある |
冬 | ・閑散期のため価格を抑えやすい ・窓を閉めていても快適に過ごせる | ・気温が低いため塗料が乾きにくい ・雪や気温の影響で工事が進まない可能性がある |
工期通りに工事を進めたい場合は、春が最もおすすめです。
ただし春は天候による工期順延の可能性は低いですが、繁忙期で依頼者も多いため、依頼を断られてしまうケースも考えられます。
夏は気温が高いため塗料が乾きやすく、想定外の出来事がなければ最もスムーズに工事が進む可能性が高い季節です。
ただし台風や夕立の影響を受ける可能性があり、加えてお盆によって工期通りに進まない可能性があります。
秋も塗料が乾きやすく塗装工事を進めやすい季節です。
一方で夏以上に台風の影響を受けやすいため、余裕のある工期を設定する必要があります。
また春と同様に繁忙期のため、塗装工事の依頼は余裕を持っておこなわなければなりません。
冬は一般的に閑散期のため、他の季節よりも価格を抑えやすいことがメリットです。
しかし、気温が低く冬は塗料が乾きにくく、工期が伸びてしまうことがデメリットといえます。
塗装工事の費用

塗装工事の内訳について、費用の内訳と費用を抑えるためのポイントを解説します。
塗装工事の費用内訳
屋根・外壁塗装工事の費用の内訳と一般的な単価を以下の表にまとめました。
工事項目 | 単価 |
---|---|
仮設足場 | 600円〜900円/㎡ |
養生 | 100円〜300円/㎡ |
飛散防止ネット | 200円〜300円/㎡ |
縁切り | 400円〜500円/㎡ |
高圧洗浄 | 200円〜350円/㎡ |
下塗り | 600円〜900円/㎡ |
上塗り塗料 | 1,000円〜6,000円/㎡ 塗料のグレードによって価格は大きく異なる |
廃棄物処理 | 見積り金額のおよそ5%〜10% |
運搬費 | 見積り金額のおよそ5%〜10% |
諸経費 | 見積り金額のおよそ5%〜10% |
上記費用の内訳は、あくまでも一例です。
住宅の状況によっては追加の工程が発生する可能性があるため、塗装工事会社に見積り条件を確認してください。
費用を抑えるためのポイント
費用を抑えるためには相見積りをおこない、最低でも3社に見積りを依頼しましょう。
複数の業者に見積りを取ると、相場がわかり適正価格を判断できるようになります。
また見積もりをお願いする際は、見積り条件をしっかりと明示しましょう。
例えば塗装工事は使う塗料のグレードによって大きく金額が異なります。
最も安価なアクリル塗料と高価なシリコン塗料の価格を比べると、2倍から3倍近い価格差があります。
見積り条件をしっかり定めないと、精度の高い価格相場がわからないため注意しましょう。
塗装工事の工程と流れ

塗装工事の一般的な工程は下記の通りです。
仮設足場の設置
高所の塗装作業をおこなう際の作業員の作業場所になります。
養生
塗装予定外の箇所に塗料が飛散しないようにするための作業です。
高圧洗浄
塗装前に屋根や外壁に付着して汚れを落とします。
縁切り
塗装後の水の通りを良くするための作業です。
上塗り・中塗り・上塗り
一般的に塗装工事では、塗膜の厚みを持たせるため3回塗装作業をおこないます。
信頼できる塗装工事業者の選び方

塗装工事業者を選ぶ際は、以下の3つを指標にするのがおすすめです。
実績では、担当した建物の規模や発注会社を確認しましょう。
一概には言えませんが、一般的に規模が建物の大きい塗装や大手工務店・建設会社から仕事を請け負っている塗装工事会社は、実質レベルが高いと予想できます。
また経験年数も重要です。
経験年数が長い会社は、リピーターや多くの発注先から信頼されている可能性が高いためです。
また業界内の評判や口コミも必ず確認しましょう。
業界内で評判がいい会社は、技術レベルが高く安心して工事を任せられる業者の可能性があります。
塗装工事業者の選び方で唯一の正解はありません。
さまざまな指標をもとにして信頼できる業者を選びましょう。
まとめ
本記事では、塗装工事の基本情報や適切なタイミング、塗装工事の費用の内訳や工程、信用できる業者の選び方について解説しました。
塗装工事は見た目をきれいにするだけでなく、建物の耐久性を維持するために必要な工事です。
塗膜の寿命は一般的に10年と言われており定期的に塗装工事を実施しないと、建物がみすぼらしくなるだけでなく耐久性が下がり、居住者の健康被害も懸念されます。
そのため工務店や塗装会社は、本拠地を参考に塗装工事の適切な時期を見極め、顧客に提案できるようにしましょう。
しかし「顧客数が多いと、適切な塗装工事時期をいちいち管理できない」と悩む方もいるでしょう。
そのような方は建設業に特化した業務効率化システムの導入がおすすめです。