建設業許可取得のために、専任技術者が必須です。
そのため急に専任技術者から退職・休職してしまうと、建設業許可が取り消されてしまう可能性があります。
工務店経営者は、最悪のケースに備えて専任技術者とぱるる従業員を複数に用意しておくのがおすすめです。
本記事では、本記事では、専任技術者となっている従業員が退職・休職してしまった際の手続きについて解説しています。
目次
専任技術者とは?
専任技術者とは、常勤している営業所で適切な建設工事の契約、契約した工事がしっかりと履行されているか確認する技術者です。
具体的な仕事内容は、以下を参考にしてください。
- 見積書の作成
- 契約の手続き
- 注文書との連絡
専任技術者について以下2つの観点から解説します。
建設業許可を取得するには専任技術者が必要
営業所が建設業許可を取得するには、専任技術者が必須です。
建設業法によると、営業所が建設業許可を取得するためには、以下5つの要件を満たさなければなりません。
- 建設業の経営業務を適切におこなえる者の設置(建設業法第7条第1項)
- 専任技術者の設置(建設業法第7条第2項)
- 請負契約において不誠実な行為をしない者の設置(建設業法第7条第3項)
- 請負契約を移行するだけの財産や金融的信用がある者の設置(建設業法第7条第4項)
- 欠格要件に該当しない者(建設業法第8条・17条)
【参考】許可の要件-国土交通省
上記の2を満たすために、営業所ごとに常勤できる専任技術者を設置しなければなりません。
また建設業許可を取得するためには、専任技術者の設置以外にも他4つの要件を満たす必要があります。
詳しくは国土交通省の「許可の要件」をご確認ください。
専任技術者の要件
専任技術者の要件は、建設業許可の中でも「一般建設業許可」「特定建設業許可」で異なります。
専任技術者の要件 | |
---|---|
一般建設業許可 | 1.指定学科修了者で高卒後5年以上または、大卒で3年以上の実務経験を有する者 2,指定学科修了者で専門学校卒業後5年以上の実務経験を有する者 3.専門学校卒業後3年以上の実務経験を有する者で専門士もしくは高度専門士を称する者 4.許可を受けようとする建設業で10年以上の実務経験を有する者 5.国家資格者 6.複数業種に関わる実務経験を有する者 |
特定建設業許可 | 1.国家資格者 2.指導監督的実務経験を有する者 3.大臣特別認定者 |
対象となる国家資格や実務経験は国交省のホームページをご確認ください。
専任技術者が退職したときの対処法
専任技術者が退職したときの対処法を2つのパターンに分けて解説します。
要件を満たす方を見つけられたケース
専任技術者が退職してしまっても、新たに専任技術者となれるものを見つけられたケースは大きな問題となることはありません。
所定の書類を都道府県へ、専任技術者の変更の変更があった日から14日以内に提出するだけで、手続きは完了です。
- 変更届出書
- 専任技術者証明書
- 新たな専任技術者の資格や実務経験を証明できる書類
- 常勤性が確認できる書類
- 専任技術者一覧表
要件を満たす方が見つからなかったケース
従業員や求人押しても要件を満たす従業員が見つからなかったケースでは、専任技術者が欠けたことがわかる所定の書類を提出しなければなりません。
14日以内に都道府県へ届出書を提出して、専任技術者が退職したことを知らせる必要があります。
専任技術者を用意できないことにより、対応業種が続けられないときは、廃業届を30日以内に提出しなければなりません。
開業届を出し忘れると最悪のケースでは、今後5年間建設業許可の許可申請をできなくなる可能性があります。
気になる方は、最寄りの役所へ確認してください。
退職以外で専任技術者が用意できないケース
専任技術者が用意できない最も多いパターンは、担当者の退職という会社は多いです。
しかし退職以外にも専任技術者を用意できないケースは存在します。
中小・零細企業と大企業の二つにわけて、退職以外で専任技術者用意できないパターンを解説します。
専任技術者が用意できなくなって廃業してしまうという最悪の事態を避けるために、これから解説する内容参考に対策を考えてください。
中小・零細企業
中小零細企業では社員の方が少なく、経営者が専任技術者となっていることも多いでしょう。
若く体力のあるうちは、経営者が専任技術者となっていても問題ありません。
しかし、専任技術者となれる者が経営者しかいない会社は、注意が必要です。
経営者が高齢とならば病気のリスクは高まりますし、若くても思わぬ事故に遭遇して常勤できなくなる可能性があります。
そのため経営者が常勤できなくなってしまうと、建設業許可が取り消され廃業となってしまうリスクが高いです。
廃業のリスクを下げるために、以下のような対策をおこないましょう。
- 国家資格取得の奨励
- 労働環境の改善
工務店であれば、建築士と建築施工管理技士の取得を従業員に奨励しましょう。
上記の国家資格を取得すれば、専任技術者の要件を満たせます。
- 資格取得手当の創設
- 資格取得のための勉強会
上記のように資格取得者にメリットのあるような制度を作り、従業員のモチベーションを上げるようにしましょう。
また専任技術者となれる従業員が、長く働きたいと思えるような労働環境も同時に整えましょう。
- 賃金の増加
- 残業時間の削減
- 柔軟な働き方
これらが達成されている会社は、従業員が止めにくく、求人の際もアピールポイントが多く有利になります。
しかし「どうやったら労働環境を改善できるかわからない」と悩む経営者もいるでしょう。
おすすめの方法は、業務効率化システムを導入し会社の生産性を上げることです。
以下二つの記事では、工務店が業務効率化システムを導入するメリットを解説しています。
労働環境の改善方法がわからないと考える方は、ご一読ください。
大企業
社員数の多い大企業であっても、専任技術者が用意できないケースを想定できます。
例えば、専任技術者となっていた従業員を異動させ、空席となる従業員がいないケースです。
上記のケースでは、すぐに代わりの従業員を別の営業所や支店から移動させないと建設業許可が取消となってしまいます。
また専任技術者担当していた従業員が急に体調を崩して、働けなくなることもあるでしょう。
上記のような事態を避けるために、以下のことをおこなうのがおすすめです。
- 専任技術者を移動させる際は、代わりとなる人材がいるか確認する
- 専任技術者となる従業員をリスト化しておく
専任技術者の名義貸しは違法
専任技術者の名義貸しは違法となるため、決してやめましょう。
専任技術者の名義貸しとは、自社で雇用していない他社の従業員など、専任技術者の要件を満たしている人物の名前を借りて専任技術者として登録することです。
本来専任技術者は自社で雇用している人材に限られます。
しかし名義貸しでは、働いていないのに働いているよう見せかけます。
昔は名義貸しで建設業許可が取れる時代がありました。
しかし現在は、健康保険証などの書類で本当に紅葉している従業員が、専任技術者になっているか確認されます。
仮に名義貸しが発覚すると、最悪のケースでは刑事罰を受けることもあります。
また刑事罰はならなくても、営業停止処分や許可取消処分が下される可能性は高いです。
まとめ
本記事では、専任技術者となっている従業員が退職・休職しまった際の手続きについて解説しました。
建設業許可を取得するために専任技術者は必須です。
そのため従業員の少ない会社であっても、専任技術者となれる従業員は複数人を用意しておきましょう。
また、従業員が退職しないように労働環境を整えることも重要です。
労働環境整備には、業務効率化システムの導入をおすすめします。
しかし「どの業務効率化システムを選べばいいか、わからない」と悩む方もいるでしょう。
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