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電力の見える化とは?メリット・デメリットと活用法を解説!

電力の見える化とは?メリット・デメリットと活用法を解説!

電力に関する情報を可視化する「電力の見える化」。電力を見える化するには、スマートメーターの導入が欠かせません。

政府は2024年までにスマートメーターを全世帯に普及させることを目指していますが、一般住宅ではまだ十分に普及していないのが実情です。

電力の「見える化」は、建物の利用者の節電意識を高めます。家庭・企業の状況に合わせ、コストを削減するための解決案をクライアントに提案することが大切となるでしょう。

今回は、電力の見える化によるメリット・デメリット、節電のための具体的活用法を紹介します。

電力の見える化とは?

電力の見える化とは?

電力を見える化するためのシステムを導入していない場合は、電力会社の検針員が検針を行うことで、一か月間の電力使用量を把握することができます。

しかし、そのような従来の検針方法は他の月との電力使用量の差が分かるだけで、具体的に「どの機器の消費電力が高いのか」などの情報は把握することができません。

そこで、スマートメーター、BEMS、HEMSなどを使用し電力を見える化することで、消費電力や二酸化炭素排出量の数値化・グラフ化を行うことができます。

以下では、電力見える化導入の背景とメリット・デメリットについて解説します。

電力の見える化とは?
  • 電力見える化の導入の背景
  • 削減すべき部分が明確化する
  • 省エネへの意識が向上する
  • 二酸化炭素排出量の削減でエコに貢献
  • 最適な料金プランを選ぶことができる
  • 導入時にコストがかかる

電力見える化の導入の背景

2011年の東日本大震災により、日本は電力需給の逼迫に直面し、計画停電が行われました。
家庭や企業の電力使用量を制限せざるを得ない状況に陥ったことで、電力需給のバランスを意識したエネルギー管理対策の必要性が明確化しました。

2013年には省エネ法が改正され、夏場の昼間など、冷房で電力使用量がピークの時間帯などに使用量を制限する対策が行われました。

時間帯別の電力消費量を把握したり、計画的に電力消費量を抑えることで上記のような対策を持続的に行うために、電力見える化の導入が進められています。

削減すべき部分が明確化する

電力を見える化することにより、リアルタイムで消費電力の状況を把握することが可能になるため、削減すべきポイントが明確になり、省エネのために取り組むべき課題が見えてきます。

例えば、企業においては、電力使用量の多い機器を把握することや、業務時間外にどれだけ電力を消費しているのかなどの情報を得ることができます。
その情報を基に、電力消費量の少ない機器に変更することや、時間帯別に電力のマネジメントを行うなどの対策を行うことが可能となります。

省エネへの意識が向上する

電力使用量が常に目に入るようになるため、省エネに対する意識を高めることにもつながります。

スマートフォンやタブレットからいつでも省エネに取り組んだ結果の数値を見ることができるため、継続的に省エネに取り組むモチベーションにもなります。

二酸化炭素排出量の削減でエコに貢献

消費電力を削減することで、コストの削減と二酸化炭素排出量の削減につながります。

二酸化炭素排出量の削減により環境に優しいだけではなく、ISO14001の取得など、環境への取り組みを公開することで、環境面での企業イメージ向上につなげることもできます。

最適な料金プランを選ぶことができる

電力使用量がピークの時間帯(エアコンを使用する人が多い時間帯)などは電力単価が高くなります。

電力会社によっては、夜間に電気料金が安くなるプランなどを用意しているところもあります。

電力の見える化により夜間に電気を多く使うことが分かった場合は、夜間に電気料金が安くなるプランを選択することで電気料金の節約につながります。

導入時にコストがかかる

スマートメーターへの交換は費用がかかりませんが、HEMSやBEMS、FEMSの導入・システム構築にはコストがかかります。
家電や設備がシステムに対応していない場合は、機器も入れ替える必要があるため初期費用が高額になる場合も少なくありません。

スマートメーターと併用できるシステム

スマートメーターと併用できるシステム

電力見える化を実現するために、欠かせない機器がスマートメーターです。

スマートメーターとは、電気やガスなどの計量器に遠隔で検針を行う機能や収集データの自動送信機能などが搭載されているものです。
従来のアナログ電力メーターでは一か月単位での電力消費量の計測しかできなかったのに対し、30分毎の電力消費量をリアルタイムで把握することが可能です。

スマートメーターと一緒に以下のようなシステムを導入することにより、電力の見える化だけでなく省エネのための適切なマネジメントを行うことができます。

スマートメーターとは?
  • HEMS
  • BEMS
  • FEMS
  • CEMS

HEMS

HEMSとは「Home Energy Management System」を省略したものです。

HEMSは、家庭や企業の機器をネットワーク化し、機器ごとの電力使用量をモニターなどで可視化することや、電気を効率的に使えるようエネルギーマネジメントを行うことができるシステムです。
外出先から機器の電源を制御することや、部屋の温度や時間帯などによって自動で消費電力を制御することも可能です。

BEMS

BEMSは「Building Energy Management System」を意味します。

家庭や企業での機器の使用状況、電気やガス消費量、水温などのさまざまな計測データを長期的に収集し、グラフを作成してくれるシステムです。
計測データをグラフで作成してくれるため、機器の状態や電力・ガス消費量など、建物内のさまざまな情報を視覚的に把握することが可能です。

FEMS

FEMSとは、「Factory Energy Management System」を省略したものを指します。

工場内生産設備のエネルギー使用状況・稼働状況を把握することで、エネルギー使用の合理化と、工場設備や機器管理の最適化を行うためのシステムです。

CEMS

CEMSとは、「Community Energy Management System」を省略したもので、BEMSやHEMS、FEMSなど、地域全体のエネルギーの見える化と管理を行うシステムのことを指します。

点在している太陽光発電や風力発電などの発電設備における電力供給・需要量の管理を行います。

太陽光や風力などの自然エネルギーは、季節や天候などの要因により供給量が大きく変動するため、需給のバランスが崩れやすいという欠点があります。

しかし、CEMSを導入することで、地域全体の需要に応じて火力や水力、自然エネルギーなど、異なるエネルギーを最適に組み合わせることができるため、安定的に電力を供給しながら省エネを実現できます。

電力見える化の活用例

電力見える化の活用例

電力見える化システムを導入しただけでは省エネにはつながりません。
消費電力削減の方法を把握し、利用者の一人ひとりが継続的に省エネのための行動を行う必要があります。

ここでは、省エネやコストの削減につながる電力見える化の活用例を紹介します。

電力見える化の活用例
  • 省エネ性能の高い家電で節電&コスト削減
  • ピークを避けてコスト削減
  • 自動制御でオフィス全体の節電

省エネ性能の高い家電で節電&コスト削減

HEMSを導入することにより、家電の消費電力をスマートフォンやタブレットでいつでも確認できるようになります。

どの家電がどれくらい電力を消費しているのか数値で把握し、使い方を見直すことができます。

また、古い家電は電力消費量が大きいものも多く、あきらかに消費電力の多い家電があった場合は、より省エネ性能の高い家電を購入することで節電やコストの削減につなげることが可能です。

ピークを避けてコスト削減

電力小売りの自由化とスマートメーターの登場により、電気料金のプランは細分化されてきています。これまでも、電力需要の少ない深夜などは、深夜電力料金のように割引プランが用意されていました。
しかし、スマートメーターが登場したことで、30分単位の細かな電力単価が設定されるようになりました。

HEMSを導入し家電の制御が可能になると、電力単価の変動に合わせ、ピーク時の単価が高い時間帯には自動で無駄な電力消費を抑える運転に切り替えることも可能となります。
また、HEMSと太陽光発電や家庭用蓄電池を組み合わせることで、夜間に安価な電気を蓄えておき、昼間のピーク時に消費することや、発電した電気をピーク時間に売電して利益を得ることも可能です。

自動制御でオフィス全体の節電

オフィスにおいては、BEMSによりビル全体の設備を統合的に監視・自動制御することで省エネ化や運用の最適化を行うことが可能です。

照明や空調、エレベーターなどの設備がいつ、どれぐらい電力を消費しているのかが分かるため、管理者はデータに基づきエネルギーの自動制御を行い、無理のない節電を行うことが可能です。

まとめ

スマートメーターを導入することにより電力を見える化するだけでなく、同時にHEMSやBEMSなどのシステムを導入することで、家庭や企業で使用するエネルギーを効果的にマネジメントできます。

長期的に省エネに取り組むためには、単に電力を見える化するだけでは意味がなく、電気の見える化で得た分析結果を基に、一人ひとりが電気の使い方や使用量を意識しながら生活をしたり、業務に取り組むことが大切です。

電力見える化の仕組みをつくるための初期費用はかかりますが、適切に使用すれば効果的な省エネ対策ができ、長期的なコストの削減を行うことが可能です。
それぞれの家庭や企業の持つ課題に合わせた電力見える化・コスト削減への提案をしていきましょう。

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