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インボイス制度における一人親方の対応は?制度の概要と仕事への影響を解説

インボイス制度が2023年10月より開始し、消費税の納税事業者になるかどうか迷っている一人親方もいるはずです。

免税事業者のまま事業を継続できるものの、取引先からの発注が減る可能性もあり、無関係とはいえません。

この記事では、インボイス制度の概要と一人親方への影響、インボイス制度開始前に一人親方が検討する事項や対応について解説します。

本記事はこのような方におすすめです
  • 消費税納税事業者になるか迷っている
  • インボイス制度によって一人親方にどのような影響があるか知りたい
  • 課税事業者になった場合における対応が知りたい
  • 消費税納税の際の会計を楽にしたい

インボイス制度とは

インボイス制度とは

インボイス制度の概要について解説します。

インボイス制度とは
  • 適格請求書等保存方式
  • 売上1,000万円以下の一人親方にも納税義務が生じる可能性

そもそもインボイス制度は何か、一人親方の仕事内容に変化があるか、理解してから制度に合わせた対応をしましょう。

適格請求書等保存方式

インボイス制度とは、適格請求書保存方式を意味します。

所得税法等の一部を改正する法律(平成28年法律第15号)附則第44条第1項」により、上記制度の導入が決定しました。

簡単にいうと、売り手が買い手に対して、正確な適用税率および消費税額を伝え、適切な仕入れ税控除をおこなうための制度です。

以下の条件を満たした請求書が”インボイス”です。

インボイスの要件
  • 適格請求書発行事業者の、氏名または名称および登録番号
  • 取引年月日
  • 取引内容(軽減税率の対象品目である場合はその旨)
  • 税率ごとに合計した対価の額および適用税率
  • 消費税額
  • 書類の交付を受ける事業者の氏名または名称

インボイス制度とは、上記条件を満たした請求書を交付・保存する制度です。

インボイスは、課税事業者として登録番号を取得した事業者しか発行できません。

発行したインボイスは、売り手側も写しを保管する義務が生じます。

2023年10月1日以降買い手は、適格請求書以外の様式で消費税を請求され、支払ったとしても仕入税額控除が受けられなくなります。

売上1,000万円以下の一人親方にも納税義務が生じる可能性

インボイス制度の導入により、売上1,000万円以下の一人親方でも、消費税納税義務が生じる可能性があります。

従来は売上1,000万円以下の事業者は、消費税納税が免除されていました。

10万円の売上の場合は、11万円として請求でき、1万円分は利益にできるということです。また、買い手側は1万円分は消費税を支払ったとして、仕入税額控除に計上できます。

対応適格請求書発行事業者登録番号を取得した場合取得していない場合
請求書発行における対応適格請求書の発行・保存義務従来通りの請求書
消費税の請求可能実質不可
消費税の納税義務生じる売上1,000万円以下の場合は生じない

しかし、インボイス制度が開始すれば、売り手は適格請求書発行事業者登録番号を請求書に掲載しない限り、消費税の請求ができません。

厳密にいえば請求書に記載することはできます。
しかし、適格事業者以外からの請求書では買い手側が仕入税額控除を受けられないため、取引先の理解が必要です。

そのため、実質インボイスを発行しなければ消費税額を上乗せして請求できなくなります。

適格請求書発行事業者登録番号を取得した場合は、消費税上乗せが可能です。
しかし、確定申告時に消費税分に対して納税義務が生じます。

その他一人親方が知っておくべきインボイス制度の詳細は、以下の記事も参考にしてください。

インボイス制度で廃業?一人親方への影響

インボイス制度で廃業?一人親方への影響

インボイス制度がもたらす一人親方への影響について解説します。

インボイス制度で廃業?一人親方への影響
  • 消費税負担
  • 仕事量への影響
  • 適格請求書発行事業者の登録申請手続

売上1,000万円以下の一人親方にとって、今まで消費税は申告時に無関係の領域でした。

しかし、インボイス制度の開始により、消費税課税事業者にならざるを得なくなる可能性があります。

消費税負担

従来は売上1,000万円以下の事業者は、消費税納税を免除されていました。

しかし、インボイス制度の導入により、消費税負担が必要となります。

一人親方が仕事を受注している取引先から、インボイスの発行を求められる可能性があるためです。

インボイス事業者にならない選択肢も可能ですが、その場合は消費税の上乗せ請求ができなくなり、実質利益が10%目減りする可能性があります。

消費税を納税するか、10%の利益請求をせずに今後の事業を続けるか、一人親方が選ばなければなりません。

仕事量への影響

インボイスを発行できる事業者になることは、強制ではありません。

しかし、多くの取引先は課税事業者や適格請求書発行事業者へ仕事を依頼するようになる可能性があります。

免税事業者と取引をしても、発注元は仕入税額控除を受けられないからです。

そのため、取引先がインボイスに対応している一人親方への発注に切り替える可能性があります。

インボイスに対応していない一人親方は仕事が減る可能性があるでしょう。

適格請求書発行事業者の登録申請手続

インボイスに対応するために、適格請求書発行維持業者の登録申請手続きが必要です。

国税庁のホームページによると、10月1日より制度適用を受けるための登録申請の期限は2023年3月31日となっています。

提出時期

令和5年10月1日から適格請求書発行事業者の登録を受けるためには、原則として令和5年3月31日までに提出する必要があります。

【引用】[手続名]適格請求書発行事業者の登録申請手続(国内事業者用)

申請はe-taxまたは、郵送によっても手続き可能です。

一人親方でインボイス制度の課税事業者登録する場合は、申請が必要となり書類作成の手間がかかります。

請求書の様式変更

インボイスを発行する書式に指定はありませんが、記載事項に変更があります。

そのため、今までの請求書の雛形に変更を加えなければなりません。

適格請求書の様式
  • 適格請求書発行事業者の、氏名または名称および登録番号
  • 取引年月日
  • 取引内容(軽減税率の対象品目である場合はその旨)
  • 税率ごとに合計した対価の額および適用税率
  • 消費税額
  • 書類の交付を受ける事業者の氏名または名称

以上の内容を記載した請求書様式を新たに作成する必要があります。

一人親方で課税事業者登録する方は、制度開始までに請求書様式を変更しておきましょう。

一人親方のインボイス制度における対応方法

一人親方のインボイス制度における対応方法

インボイス制度導入に向けて、一人親方がとるべき対応方法は以下です。

一人親方のインボイス制度における対応方法
  • 課税事業者になるか検討
  • 税額分の収益を差し引いた資金繰りの検討
  • 請求書様式の見直し
  • 簡易課税方式の検討
  • 会計ソフトの導入

一人親方の方は、インボイス制度を利用しなければ今後受注が減るのではと不安な方もいるでしょう。

インボイス制度開始前に適切な対応を検討してください。

課税事業者になるか検討

インボイス発行は、課税事業者になることを強制するものではありません。

課税事業者になるかどうか、経営状態に応じて考える必要があります。

課税事業者になった場合
免税事業者のままの場合
  • インボイス発行が可能となる
  • 消費税納税義務が生じる
  • 仕入税額控除を受けたい事業者からの受注が増える可能性がある
  • 消費税の上乗せ分は利益とすることができる
  • 消費税納税は免除される
  • 仕事が減る可能性がある

免税事業者のままでも消費税分の請求は可能ですが、取引先としては仕入税額控除の対象外となるため、「インボイスを発行できる事業者に依頼したい」というのが本音でしょう。

ただし、インボイス事業者になるための手間、納税義務が生じます。

一人親方は双方のメリットとデメリットを比較し、課税事業者になるかどうか検討しましょう。

税額分の収益を差し引いた資金繰りの検討

インボイス制度は、一人親方の売上にも影響を及ぼします。

これまで売上1,000万円以下の一人親方は、10%の消費税を取引先に請求しても納税義務はなく、利益にできました。

しかし、課税事業者になった場合は消費税を納めなければなりません。

納税分の資金を用意し、翌年の納税に備えましょう。

免税事業者になった場合は、従来通りの取引をしてもらえるように取引先との交渉が必要です。

取引先が消費税分の支払いをしてくれれば問題ありませんが、10%分上乗せできなくなる可能性もあります。

その場合は、消費税分を利益とできなくなるため、資金繰りを見直さなければなりません

税額分の収益を0として、事業が継続できるか検討しましょう。

請求書様式の見直し

適格請求書発行事業者になる場合は、請求書様式を見直す必要があります。

インボイス発行の条件に適う請求書は、条件が決まっているため、抜けがあってはなりません。

従来の様式を利用できなくなる可能性があるため、請求書様式も新しくしましょう。

簡易課税方式の検討

消費税納税の際に、課税方式を以下の2つから選択できます。

課税方式
  • 原則課税方式
  • 簡易課税方式

原則課税方式とは、課税売上にかかる消費税から、課税仕入れにかかる消費税を引いて、差額を納税する方式です。

原則課税方式の計算式

納税額=(課税売上高×10%)-(課税仕入れ高×10%)

例)売上高2,000万円・課税仕入高1,000万円の場合

200万円-100万円=100万円

仕入額をすべて調べたうえで、消費税を計算する手間があるため、一人親方には負担が高いでしょう。

簡易課税方式は、中小の事業者向けの特例方式で、原則課税方式よりも納税計算が簡単です。

課税売上高から、”みなし仕入率”をかけた仕入額を差し引いて納税します。

仕入れの消費税をすべて調べる必要がなく、手間がかかりません。

国税庁の”簡易課税制度の事業区分”によると、建築業者のみなし仕入率は70%です。

簡易課税方式の計算式

納税額=(課税売上高×10%)-(課税売上高×10%×みなし仕入率)

例)売上高2,000万円の場合

200万円-140万円(200万円×0.7)=60万円

以上のように、簡易課税方式を用いた方が節税になる可能性もあります。

事業の帳簿を見直し、消費税納税にかかる申請の手間を減らし、節税になる方式を選びましょう。

会計ソフトの導入

インボイス制度に対応するにあたり、会計ソフトを導入しましょう。

消費税納税義務が生じた場合、手作業での計算は実質不可能です。

会計ソフトを導入すれば、適格請求書の様式を変更しなくとも、自動でソフトから適格請求書を発行できます。

ソフト自体が法改正に対応しているため、自身で請求書様式を変更したり、計算する手間を省けます。

また、消費税計算なども自動でおこなえるため、消費税納税時の負担が減るでしょう。

会計ソフトの概要や機能について詳しく知りたい方は、以下の記事で紹介します。

工務店の現場管理費とは?相場価格とポイントを紹介!

まとめ

インボイス制度は一人親方の仕事量、納税義務、収入にも大きな影響があります。

課税事業者、免税事業者になるかの判断も含め、インボイス制度について理解して、適切な対応をとりましょう。

課税事業者として申請する場合は、適切な請求書発行と納税のためにも、会計ソフトの導入がおすすめです。

しかし、一人親方用の会計ソフト選びに迷っている方もいるでしょう。

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