2024年までに全世帯への普及を目指しているスマートメーター。 スマートメーターにすることによってどんなメリットがあるのか知らない人も多いのではないでしょうか。
今回は、スマートメーターのメリットやデメリット、おすすめできるクライアントについて解説します。
目次
スマートメーターとは?
2016年4月に電力の小売事業が全面自由化されて以降、電力会社は電力メーターを「スマートメーター」に取り替えています。
従来のアナログ電気メーターは人の手で電気の使用量を計測していましたが、デジタル式のスマートメーターには、電気使用量を計測し、通信する機能が備えられています。
政府は、2024年までにすべての電力メーターをスマートメーターに切り替えるための取り組みを行っています。
以下では、具体的にスマートメーターで何ができるのか解説します。
- 30分ごとに電気使用量を把握できる
- ブレーカー機能がある
- 家族の見守り機能を果たす
30分ごとに電気使用量を把握できる
従来のアナログ電力メーターでは、月1回の検針で1か月間の総使用量を計測していましたが、スマートメーターでは30分ごとに電気の使用量を計測できます。
時間帯ごとに細かく電気使用量データを把握することが可能になるうえ、スマートハウスの家電やHEMSなどのマネジメントシステムと連動することで、リアルタイムで電力の可視化を実現します。
いつでもどこでもスマートフォンやタブレットから電気の使用状況を確認できるようになるため、非常に便利です。
ブレーカー機能がある
スマートメーターには、ブレーカー機能が内蔵されています。屋内に分電盤を設置する必要がなくなるため、スペースの有効活用ができます。
スマートメーターには契約アンペア数以上の電気を使ったときに電気を遮断する「アンペアブレーカー」が内蔵されています。
そのため、契約アンペアを超える電気を使うと以前と同じように停電しますが、復旧のためにアンペアブレーカーをあげる必要はなく、10秒後に自動で電気が入る仕組みになっています。
従来のアナログ電気メーターではアンペアブレーカーを手動で元の位置に戻す必要があるため、スマートメーターは非常に便利です。
家族の見守り機能を果たす
スマートメーターを導入することで、電力が可視化できるだけでなく、家族の見守り機能を持たせることも可能となります。
例えば、離れて暮らす高齢の家族を見守るサービスとして、スマートメーターが計測する電気使用量のデータに異変があった際に契約者へ連絡するものなどがあります。
また、電気使用量の少ない時間帯があった場合に訪問対応を行ったりするサービスなどを用意している電力会社もあります。
また、留守番をする子供の見守りも可能です。子供が帰宅して照明やエアコン、テレビなど電化製品を使うと電力の消費量が増えます。
その情報を通知で受け取ることができるため、仕事中でも子供の見守りをすることができるでしょう。
スマートメーターのメリット・デメリット
ここまでは、スマートメーターの主な機能について紹介してきました。
以下では、スマートメーターを導入することによる具体的なメリット・デメリットを解説します。
- 電気消費量が可視化できる
- 検針が遠隔でできる
- アンペア数の変更が簡単になる
- 停電時の復旧が早い
- 情報漏洩のリスクがある
電気消費量が可視化できる
リモートワークが増えてきている今、生活リズムや季節の変化による電気代への影響が気になる方も多いでしょう。
先述の通り、スマートメーターを使用することで、30分毎の電気使用量を知ることが可能なため、無駄な電気を使いたくないときに使いすぎの原因をリアルタイムで探せます。
検針が遠隔でできる
先に述べたように、スマートメーターは電気消費量を自動で検針し、遠隔通信で電力会社に伝える機能があります。
これまでのアナログ電気メーターの場合、電力会社の検針員は毎月全世帯を一軒一軒検針する必要がありました。
しかし、スマートメーターの普及により、検針員確保する必要がなくなり、コストの削減にもつながっています。
また、これまでの目視による検針は人の手によるもののため、どうしてもヒューマンエラーなどによる検針ミスが起こることもまれにあります。
スマートメーターを導入することで、そういった検針ミスによるご請求のリスクもなくすことが可能です。
アンペア数の変更が簡単になる
従来のアナログ電力メーターでは、アンペアブレーカーが分電盤に設置されていたため、契約アンペアを変更するときはブレーカー自体の交換が必要でした。
しかし、スマートメーターはアンペアブレーカーが内蔵されているため、ブレーカーの交換は必要なく、遠隔から変更が可能です。
変更したい時にすぐに変更できる上、アンペア変更による立ち会いが必要ないのが特徴です。
停電時の復旧が早い
先ほども述べたように、契約アンペア以上の電気を使用してしまってブレーカーが落ちた場合、スマートメーターの内部にあるアンペアブレーカーが作動し、約10秒で自動復旧します。
従来のアナログ電力メーターの場合、夜間に停電すると復旧が大変な上、暗闇の中での作業は危険が伴います。スマートメーターを導入することで、そのようなリスクも減らすことが可能です。
情報漏洩のリスクがある
スマートメーターの情報によって把握できる世帯の情報は多くあります。
例えば、消費電力の有無、量や変化、消費時間帯などの情報によって、在宅か不在か、空き家かどうか、帰宅時間・家を出る時間、単身か家族持ちかどうか、高齢者世帯かどうかなどなどがわかってしまいます。
データ送受信時のセキュリティ対策はされていますが、万が一データが漏洩した場合には、空き巣などの被害に遭う可能性もあります。
気になる方は、導入予定の電力会社がどのようなセキュリティ対策をしているのか調べてみるといいでしょう。
スマートメーターの導入がおすすめなクライアント
ここからは、どのようなお客様にスマートメーターがおすすめなのか解説します。
- 省エネな暮らしをしたいと考えている
- 防犯面からなるべく検針員に訪問されたくない
- メーターの取り換え時期が近づいている
- 電力会社を変えようと思っている
- HEMSを導入しようと思っている
省エネな暮らしをしたいと考えている
これまでのアナログ電気メーターでは、一か月ごとの電気使用量をまとめて知ることしかできませんでした。
しかし、スマートメーターを導入することでほぼリアルタイムに電気消費量を知ることが可能なため、生活におけるどの部分で電力が多く消費されているのか、無駄なものはあるのかどうかなど、節電や省エネの対策を考えやすくなります。
また、家族のライフスタイルにあったプランに変更することも簡単になります。
一部の電力会社では「夜間に電気料金が安くなる」などライフスタイルに応じて電気料金を調整できるプランを用意している企業もあります。
夜間に電気を多く使う家庭では、こういったプランを選ぶことで節電につなげられるでしょう。
防犯面からなるべく検針員に訪問されたくない
従来のアナログ電力メーターでは検針員による目視検針が必要なため、自宅の敷地内に検針員が入ることや、留守中に検針員が家に来ることに抵抗がある人もいるでしょう。
しかし、スマートメーターの設置により遠隔での自動検針が可能となります。そのため、他人が自宅の敷地内に入ることがなく、安心して利用できます。
先ほども述べた通り、電力会社にも人件費の削減や検針業務の負担軽減などのメリットがあるため、電力会社と利用者の双方にとってメリットのあるシステムです。
メーターの取り換え時期が近づいている
電力メーターには有効期限があり、種類により異なりますが約5~10年とされています。期間満了の場合、スマートメーターへの取り換えが行われます。
スマートメーターへの取り換えは特別な手続きはかからないため、時期が来たら管轄の電力会社に取り替えてもらいましょう。
電力会社を変えようと思っている
近年、電気料金を見直すために電力会社を変更する人は増えています。
電力会社を変える際、従来のアナログ電気メーターを使用している場合は、スマートメーターへの切り替えが行われます。
HEMSを導入しようと思っている
HEMS(Home Energy Management System)は、導入することによって家庭内の電化製品の消費電力を知ることができ、電力を節約・最適化するためのマネジメントをしてくれるシステムです。
スマートメーターと混同される方も多いのではないかと思いますが、HEMSはエネルギーの可視化と管理を行うシステムのことを指します。
一方で、スマートメーターは各家庭や地域の電力使用量を電力会社に伝えるための電力量計のことを指します。
HEMSを導入するためには、同時にスマートメーターも導入する必要があります。
まとめ
2016年頃から導入され、2024年度末までに全国の家庭に導入が完了する予定のスマートメーター。
電力使用量をリアルタイムで見ることができるだけでなく、ブレーカー機能や見守り機能を果たすなど、さまざまな機能があることがわかりました。
何よりも、これまで検針員が計測に来ていた電力の検針を自動で行い、遠隔で共有してくれるというのは最大のメリットでしょう。
もしクライアントから「省エネな暮らしがしたい」「防犯対策を強化したい」「電力メーター取り換え時期が近い」「電力会社を変更しようと思っている」「HEMSを導入したい」などの相談を受けた際は、スマートメーターを提案すると良いでしょう。