事業を営む上で帳票の作成が欠かせません。
ただ帳票は種類が多く、作成に時間がかかっていると悩む経営者も多いです。
本記事では、帳票の概要や帳票を作成する上で欠かせない工事原価、帳簿を電子保存するメリットについて解説します。
目次
帳票とは

帳票とは、事業・経営をおこなう際に必要となる伝票や帳簿のことです。
帳票は伝票と帳簿の二つに分けられます。
帳票伝票帳簿はそれぞれ言葉が似ているため混同して覚えている方もいるでしょう。
帳票について理解を深めるため、それぞれの違いについて説明します。
伝票とは
伝票とは、会計上の取引内容を金額や勘定科目ごとにまとめた書類です。
- 入金伝票
- 出金伝票
- 振替伝票
伝票の記載項目は以下の通りです。
- 取引日付
- 勘定科目
- 取引内容
- 金額
- 起票者の押印またはサイン
帳簿とは
帳簿とは事業上の取引やお金の流れ、会社上の資産や負債を記した台帳のことです。
帳簿は会社法第432条より、作成が義務付けられています。
株式会社は、法務省令で定めるところにより、適時に、正確な会計帳簿を作成しなければならない。
【引用】会社法-e-GOV法令検索
また会社法は10年間の帳簿保存義務を設けています。
帳簿に記した内容は確定申告の際に必要です。
帳簿の内容をまとめ「損益計算書」と「貸借対象表」を作成します。
帳票の種類

帳票の主な種類を、一般的に使われる帳票と建設現場で使われる帳票に分けて紹介します。
- 総勘定元帳
- 仕訳帳
- 現金出納帳
- 預金出納帳
- 仕入先元帳
- 得意先元帳
- 固定資産台帳
- 請求書
- 領収書
- 契約書
建設現場で使用される代表的な帳票を長崎県建設技術研究センターを参考に紹介します。
- 施工体制台帳
- 再下請通知書
- 施工体系図
- 作業員名簿
- 実務経験証明書
- 施工計画書チェックリスト
- 工程表
- 全体工期工事安全衛生計画書
- 作業計画書(車両系建設機械)
- 作業計画書(移動式クレーン)
- 作業打合せ(安全管理及び品質管理)日誌
- 安全衛生パトロール点検表
- 安全教育・訓練実施報告書
- 新規入場者個人表
- 安全衛生パトロール指導表・是正報告書
- 労災保険成立票
- 建設物廃棄処理委託契約書
建設業の帳票に重要な4つの原価

建設業の案件は、一件当たりの金額が大きく長期にわたることが一般的です。
そのため建設業特有の以下4つの原価を理解していないと、帳票の作成は難しいです。
材料費
材料費とは、建物を建てるために直接購入された木材や鉄骨などの物品にかかる費用です。
材料は購入した時点では計上をおこないません。
購入した材料は工事に使用してから工事原価として計上します。
そのため常に材料の受払簿を記載し、材料の在庫や使用状況を確認することが重要です。
材料の在庫・使用状況を把握できないと、税務署から「適当に材料費を計上している会社」と思われます。
税務署からの印象が悪くなると、税務調査の際に思わぬ指摘をされる可能性が高いです。
外注費
施工の一部を協力業者に依頼する際に発生する費用です。
他業界では労務費として計上します。
しかし建設業界は、協力業者への発注費用が多くなるため、外注費として分けて計上します。
労務費
労務費とは、自社で直接雇用をしている現場作業員に支払う給料・福利厚生費などの費用です。
雇用形態は関係なく正社員以外にもパートやアルバイトも含みます。
注意点としては、現場で働いていたとしても事務員に支払う給料などは労務費には含まれないことです。
また現場作業員であっても協力業者に支払う費用は、先述したように外注費として計上します。
経費
経費とは、材料費・外注費・労務費に含まれない費用です。
例えば下記の費用が経費に該当します。
- 現場事務所で働く事務員に支払う費用
- 保険料
- 警備費用
- クレーンなどの重機使用料
- 水道光熱費
- 通信費
経費は、工事に直接関係のない間接工事費も含みます。
帳票の保存は電子保存がおすすめ

帳簿の保存は電子保存がおすすめです。
電子帳簿保存には、以下3つのメリットがあります。
セキュリティの向上
電子で保存するとセキュリティが向上します。
例えばデータのバックアップを取っておけば、トラブルが起きた際もデータの復元は簡単です。
また帳簿保存しているフォルダーにアクセス制限をかけると、帳簿の閲覧者を限定できます。
閲覧者が増えると、情報漏えいの心配も少なくなりセキュリティの向上につながります。
コスト削減
帳簿の電子保存によりコストも削減できます。
帳簿のやりとりを全て電子化すると、紙代やインク代といった印刷コストが削減可能です。
またデータ保存すれば、紙を保存するためのスペースや棚は必要ありません。
帳簿を保存するためのスペースが不要になると、広い事務所は不要です。
必要なスペースが狭くなると、現場の事務所より狭く家賃が低い事務所への引っ越しもできます。
業務効率の向上
帳簿を電子化すると、事務所だけでなく自宅や外出先からも閲覧可能です。
経営者・管理者は移動中の空き時間に帳簿を確認可能で、時間の有効活用できます。
また帳簿作成者は自宅での作業が可能となり、作成した帳簿をいつでも関係者に共有できます。
事務所以外でも作業できるようになると、テレワーク・働き方改革につながり、従業員の離職防止に効果的です。
帳簿の電子化によって、場所を問わず確認がおこなえ、作成した帳簿をいつでも共有できるため業務効率化につながります。
現在建設業界は、業務効率化・生産性向上によって人手不足問題の解消に動いています。
「業務効率化・生産性向上といっても何をしたらいいか、わからない」と悩んでいる方は帳簿の電子化から挑戦するのがおすすめです。
まとめ
建設業に必要な帳簿や電子帳簿を導入するメリットについて解説しました。
帳票とは、事業・経営をおこなう際に必要となる伝票や帳簿のことです。
また電子帳簿のメリットは以下の3つです。
- セキュリティの向上
- コスト削減
- 業務効率の向上
会社法では10年間の保存義務を設けています。
帳簿を電子化すると、バックアップも取りやすく、帳簿保存するためのスペースも不要となるためコスト削減につながります。
業務効率化やコスト削減に取り組みたい方は、帳簿の電子保存をご検討ください。
工務店やリフォーム会社が帳票を停止保存するなら、業務効率化システムの導入がおすすめです。