種類も多くさまざまな用途で使用される合板は、住宅をはじめとした建築においても代表的な建材の1つです。
非常に扱いやすく日本では長く使われてきた合板ですが、今年2021年から来年にかけてはウッドショックの影響により値上げも起こっています。
場合によっては一部代替材使用の選択肢も考えられますが、そのような際にも今一度「合板がどのようなものか」基本をおさえておくといいでしょう。
今回は合板について、建材としての特徴や種類、用途まで解説します。
目次
合板とは
合板とは、木材から剥いて作った薄い板を重ねて接着剤で貼り合わせることで作られる板を指します。
木材から作られる薄い板をベニヤ(単板)といいますが、そのベニヤを木目の方向が交互に垂直となるように奇数枚重ね合わせて作られたものが合板です。
まず合板の基礎知識として、以下3点を解説します。
合板の特徴
合板には以下のような特徴があります。
- 軽量かつ高強度
- 切断や接合、釘打ちなどが容易
- 厚さや加工の種類が豊富
- 幅広かつ丈夫な面材として利用可能
- 断熱性や吸音性・吸収性といった木材の利点を持つ
- 反りや割れ、縮みといった木材の欠点がない
合板は軽量でありながら丈夫であり工作や加工も容易であるため、非常に扱いやすい建材です。
単板を組み合わせることで強度や精確性といった単板木材の課題を克服しており、また幅広の面材も容易に作り出せます。
このように合板は、木材特有の利点を保持しながら欠点を克服した優れた建材といえるでしょう。
合板のサイズ
奇数枚の単板を重ね合わせて作られる合板ですが、さまざまな大きさ、厚さのものが作られています。
幅と長さに関しては、一般的に以下の寸法のものが存在します。
- 610mm×1,820mm(通称ニロク)
- 610mm×2,420mm(通称ニハチ)
- 910×1,820mm(通称サブロク)
- 910mm×2,430mm(通称サンパチ)
- 910×2,730mm(通称サンキュウ)
- 910×3,030mm(通称サントウ)
- 1220mm×2,430mm(通称シハチ)
(910×1,820mmは「3尺×6尺」でサブロク、など)
また、合板の厚さと積層数(プライ数)はおおむね以下の通りです。
厚さ | 積層数 |
---|---|
2.3mm、4mm、5.5mm | 3枚貼り合わせ |
9mm、12mm | 5枚貼り合わせ |
15mm、18mm | 7枚貼り合わせ |
21mm、24mm | 9枚貼り合わせ |
30mm | 11枚貼り合わせ |
合板の種類によって標準的な寸法も異なりますが、上記以外のほかにも2.5mm、3mm、5mm、7.5mm、28mm、35mmなどが存在します。
合板の製造工程
合板は主に以下の3STEPで製造されます。
STEP1:単板の切削
まずは丸太から単板を作ります。
丸太を回転させながらかつら剥きのように切削して作られる「ロータリー単板」が一般的ですが、大きな刃物によってスライスして作られる「スライス単板」も存在します。
STEP2:単板の乾燥
切削した単板を乾燥させて水分を除きます。
熱風で含水率が10%程度となるように乾燥させたうえ、裁断や調版を行います。
STEP3:単板の接着
最後に奇数枚かつ繊維の方向に交互に垂直となるように単板を重ね合わせて接着します。
なお接着は合成樹脂をホットプレスによって熱して押さえることで行われます。
合板の種類
合板にはさまざまな種類がありますが、用途や素材によって分類されています。
ここでは合板の種類や使用される接着剤について解説します。
普通合板
普通合板とは、特別な用途などのために加工などがなされていない汎用的な合板です。
プライウッドとも呼ばれ、住宅をはじめとした建材から家具の製作やDIY、木工など幅広く使用されます。
コンクリート型枠用合板
コンクリート型枠用合板とは、コンクリートを打ち込む際に型枠として使用される合板です。
「コンクリート打設用のパネル材」のためコンパネとも呼ばれ、コンクリートをせき止めるために強度も高く設計されています。
構造用合板
構造用合板とは、壁や床・屋根の下地など、木造建築物の構造耐力上主要な部分に使用される合板で、Kプライとも呼ばれています。
構造用合板には上記のような用途で使用される2級とさらに強度性能が高い1級が存在しますが、1級はその分価格も高く流通量も多くありません。
特殊合板
特殊合板とは、普通合板の表面を美しくするために塗装などの加工を施した合板です。
美しい木目の薄板を貼り付けたり塗装を行ったりして見た目を美しくしますが、天然銘木を貼り付けたものを「天然木化粧合板」と呼び、樹脂や紙を貼ったものやプリント加工を施したものを「特殊加工化粧合板」と呼びます。
その他の合板
合板には上記以外のほかに、形状や性質によってさまざまな種類が存在します。
- 難燃合板・防炎合板
燃えにくい、または燃え広がりにくくなるように加工した合板。キッチンなどのほか、人が多く集まる場所などで使用される。 - 足場板用合板
建設現場の足場板用に、強度や滑りにくさといった性能を向上させた合板。 - 曲面合板・曲げ合板
曲面合板は家具などに使用するために曲線的に製造された合板。
曲げ合板は単板を重ね合わせる際に木目の流れを同方向にすることで曲げられるように製造された合板。 - 有孔合板・溝付け合板
装飾用に穴を開けたり溝を付けたりしてある合板。
このほかにも、さらに強度や遮音性、軽量性といった性能を高めたものなどが存在します。
合板に使用される接着剤
合板は接着剤によって単板を貼り合わて作られますが、使用する接着剤によって性能や安全性が異なります。
このため合板にはJAS(日本農林規格)による品質基準が定められており、接着剤の種類と耐水性によって以下の4つに分類されています。
- 特類
フェノール樹脂接着剤が使用されており、最も耐水性に優れる。 - 1類
メラミン樹脂接着剤が使用されており、屋外での使用に耐えうる耐水性を持つ。 - 2類
ユリア樹脂接着剤が使用されており、屋内での使用に耐えうる耐水性を持つ。 - 3類
増量ユリア樹脂接着剤が使用されるが、耐水性が弱いため現在はほとんど使用されていない。
また、JASの品質基準ではホルムアルデヒドの放散量も定められています。
ホルムアルデヒドはシックハウス症候群などの原因とされている物質であり、その放散量によってF☆~F☆☆☆☆の4段階に分類されています。
近年はコロナウイルスの影響もあり室内空気質への関心が高まっているため、非ホルムアルデヒド系接着剤などを使用することが望ましいでしょう。
まとめ
今回は合板について、建材としての特徴や種類、用途まで解説しました。
合板は木材の欠点を克服しながら利点を多く保持した建材であり、加工も容易であるためさまざまな用途での使用が可能です。
ただし一方で、使用される木材や接着剤の種類、加工の種類に従って適切な場所で使用しなければならない点には注意が必要でしょう。
このように基本と思われる建材であっても、今一度しっかりと特徴や注意点などを把握しておくことが重要です。
また、建材の原価管理をしっかりと行うことで粗利率を向上させることもできます。
取り扱う建材や原価管理の見直しには、工務店向けのソフトウェアを導入するといいでしょう。
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