工期短縮は建設現場の中でも重要な課題の1つです。工期短縮が実現できれば、生産性の向上や働き方の改革につながるなど多くのメリットが存在します。
しかし、思うように工期短縮が実現できず、頭を悩ませている現場がほとんどではないでしょうか。
今回は工期短縮を行うメリットから効率的に実現できる手法、注意点まで解説します。現場で工期短縮を求められているもなかなか実現できずに悩んでいる方は参考にしてください。
目次
工期短縮行うメリット
工期短縮に「発注元からの強引な要求」というイメージをもつかもしれませんが、実は工期短縮を行うことでさまざまなメリットを得ることができます。
ここでは工期短縮を行うメリットを4つ解説します。
コスト削減につながる
建設現場においては人件費をはじめ、重機を中心とした工事車両など多額の費用がかかります。
工期が短縮できれば、必然的に建設現場にかかる費用を安く抑えられるため、発注者側はもちろん施工者側も利益を増やすことができるでしょう。
競争力を向上させられる
実際に工期短縮を実現できる現場というのはなかなか存在しません。
そうした中で「工期短縮を実現できた」という実績は、他の施工者と比較したときに大きな実績となるでしょう。 発注者側に対して工期短縮の実績をアピールできれば、他社との比較になったときに受注できる可能性が高まります。
競争力が上がれば、受注できる件数も上がり自社の利益につながるため、大きなメリットとなるでしょう。
生産性の向上につながる
工期短縮を行うためには、あらゆる工程を効率化しなければなりません。
工程を効率化するために仕組みを作ることは、はじめは労力がかかってしまいます。しかし、一度仕組みができてしまえば、実際の作業にかかる負荷を大幅に削減することができます。
現場の作業員の負担も減らすことができるため、労働環境の改善をも期待できるでしょう。
事業者同士の協力体制を強化
工期短縮を実現するためには、さまざまな工程を見合わせる必要があるため、施工者側と発注者側で綿密な打ち合わせをする必要があります。
綿密な打ち合わせを行うことで、互いの協力体制を強化することができるでしょう。設計変更が生じるなどのトラブルを事前に回避できる可能性も高くなります。
工期短縮を実現する5つの手法
工期短縮は簡単にできるものではありません。
工期短縮には新しい機械を導入するなど、コストが発生することもあります。無理に工期短縮ばかり意識をしてしまうと、安全面の対応などがおろそかになってしまう可能性もあるでしょう。
こういったリスクを回避するためにも適切な手法で工期短縮を行う必要があります。
ここでは特に効果的な工期短縮の手法を5つ紹介します。
工事の制約条件を緩和する
工事現場では安全性などあらゆる観点から厳格なルール(規律)を設定して作業を行なっています。
しかし、厳格なルールであればあるほど作業時間を要するため工期は長期化する傾向にあります。
したがって工事で決めているルールをある程度緩和することで工期を短縮することができます。
当然ながらルールは現場の判断だけで変更することはできないでしょう。発注者との話し合いは必要になりますが、設定したルールが作業の効率性に関わるかどうかは施工者側にしか把握できないケースもあります。
そこで現場監督は作業の効率性に著しく影響を与えるルールを発見した場合は、発注者側に話し合いの機会を設けてもらいましょう。ルールを緩和することでコストダウンにつながるのであれば、発注者側も了承する可能性があります。
こういった機会を設けるには日頃からの信頼関係も大事になってくるので、常に発注者側とコミュニケーションを取っておくべきでしょう。
構法を変える
構法とは、建造物の構造の組み合わせ方や資材の使い方を示すものです。
例えば使用するのに事前処理が必要な資材を廃止したり、調達・運搬に時間がかからない資材を使用すればその分工事にかかる所要時間を削減することができます。
このように構法を変えて、工期短縮につなげることができるでしょう。
工法を工夫する
工法とは、作業方法などの施工の仕方を指します。
例えば今まで一人でやっていた作業を複数人でやれば時間の短縮につながるでしょう。もしくは作業用ロボットなど作業自体を機械に任せてしまえば、その分他の作業に人的リソースを費やすことができるので、全体的な作業の効率化につながります。
このように今までの工法を効率的なやり方に変えることで、工期の短縮が見込めるでしょう。
ただし、ロボットなどの設備投資や作業の外注化をする場合などはそれなりのコストがかかるため、どのくらいの予算を投入できるか検討すべきでしょう。
工程管理を見直す
作業の優先順位の見直しや同時に施工ができる工程を選別したりすることで、工事の効率化が図れるでしょう。工程管理を見直すには、工事管理システムなどを利用するのが便利です。
工事管理システムでは、着工した後の進捗状況などもわかりやすい形で把握できるため、効率化すべき作業の選別もしやすくなります。
こういったシステムを活用して適切な工程管理を行い、工期の短縮を図りましょう。
ITを取り入れる
多くの場合、人間が手作業で作業するよりもデジタル技術を活用して作業にあたる方が効率的です。
ですので、業務の効率化に関わるITを積極的に取り入れていくことをおすすめします。
逆にITの推進が遅れてしまうと、あらゆる作業に時間を要してしまい、予定していた工期に間に合わないリスクなども出てきてしまいます。
システム導入には費用もかかりますが、長期的な作業に要する時間を短縮できることも考え、システム導入に踏み切った方が利益につながるケースもあるでしょう。
社内体制を整え、IT化推進を積極的に行っていきましょう。
工期短縮を行う際の注意点
ここまで工期短縮を効率的に行う方法について解説しましたが、実施の際には、特に以下の2点に注意しましょう。
労働環境悪化の恐れ
まず懸念される点が、無理な工期短縮を行うと労働環境が悪化する恐れがあるということです。
システムや作業用ロボットなどを導入し作業を効率化させるというケースならば問題ないでしょう。
しかし、一人当たりの作業量を増やすことで工期短縮を図ろうとすれば、当然ながら作業員の負担が増えます。そうなると、作業員に無理が生じ病気・怪我などで体調を崩す恐れがあります。
かえって工期に遅れが生じてしまう可能性もあるため、工期の短縮の方法には十分注意すべきでしょう。
工期短縮が当たり前に
安易に工期の短縮を受けてしまうと、発注者側からは「工期短縮が当たり前」と判断されてしまい、更なる厳しい要求をされる可能性もあります。できる部分・できない部分は、はっきりと線引きをしていくことが大切です。
いずれにせよ工期短縮を行う場合は、現状のリソースを考えて無理のない範囲で行っていくことが重要です。
まとめ
ここまで工期短縮のための効率的な方法や注意点について解説をしてきましたがどうだったでしょうか。
工期短縮には生産性の向上をはじめ、さまざまなメリットが存在します。しかし方法によっては、労働環境の悪化を招くなどかえって工期が遅れてしまう可能性もあります。
工期の短縮を行う際は、発注者側とのコミュニケーションはもちろん、社内でも理解を得て無理のない形で行っていくことが結果的に効率的な工期の短縮につながります。
メリットや注意点を十分に把握した上で、実施する工事の状況にふさわしい工期短縮を行なっていきましょう。
工期短縮にITの導入を検討している場合は、まず工事進捗を管理するシステムを導入してはいかがでしょうか。
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