工程管理のポイントは、情報を可視化し作業員にも素早く情報共有することです。
工程表を作成して業務を可視化し、改善点を見つけてPDCAサイクルを回します。
そのためにはシステムの導入や建設DX化が必要。
今回は工程管理の重要性や怠った際に起きうるリスク、また効率化のポイントや工程管理システムの選び方を解説します。
工程管理が重要な理由
工程管理はなぜ重要とされるのか、その理由を解説していきます。
何事も重要性を理解しておこなうことで、より目的意識を持って行動できます。
工程管理の重要性を改めて理解し、日頃の業務に活かしましょう。
納期の厳守
工事において納期はクライアントとの約束事であり、必ず守らねばなりません。
工程管理で全体を俯瞰し、進捗を把握しておけば遅滞にすぐに気づき、対処できます。
クライアントとの契約を守り、納期に収まるように作業を進めるうえで工程管理は重要です。
競合他社の増加
野村総合研究所の発表によると、コロナ化の影響で新規着工数は減少しています。
2019年には88万戸でしたが、2020年には73万戸にまで減り、今後も下がり続けると予想しました。
つまり、新規着工数の獲得競争が激化傾向にあります。
工務店や建設業界は高いクオリティでスピーディな納品をおこない、他社への優位性を保たなければなりません。
その観点においても徹底した工程管理が必要です。
コンプライアンスの遵守
投資会社や株主に対し、建設業界でも事業の健全な運営を示す必要があります。
特に建設業界は労働環境の悪さが問題となりがちなため、より効率的で労働環境の整備された企業運営が必要です。
工程管理をおこなえば自社工程の効率化やフロー改善につながります。
品質の向上
工程管理をおこない余裕を持ってスケジュールを組むことで、成果物の品質が担保できます。
常に資材の不足や人材を管理できるため、工程の遅れにも素早く対処できるためです。
成果物の品質チェックの時間も十分にとれ、成果物のクオリティが上がります。
生産性管理と利益最大化
工程管理によって人材や資材のチェックができ、無駄なコストを省けます。
予算の範囲を超えることなく施工できるため、利益の最大化につながるでしょう。
仮に予算を超えたとしても、工程管理の過程で起きたトラブルや人材・資材不足の原因を究明すれば、次回からの改善点として活用できます。
工程管理の概要については以下の記事で紹介しています。
工程管理に失敗した際に工務店が抱えるリスク
逆に工程管理に失敗するとどのようなリスクがあるか説明します。
適当な工程管理が企業にどんなダメージを与えるかを理解しておきましょう。
クライアントからの信頼の失墜
工程管理を怠って納期に間に合わなければ、クライアントからの信頼を失います。
先方も完成した建設物を利益を出すために施工依頼しているため、相手方にも損失を与えるでしょう。
次回からの契約を失うことになり、企業にとっては大きな損失です。
品質の低下
適当な工程管理により、進捗管理がうまくいっていないと遅滞に気付かず、後ほど慌てて修正作業をおこなう必要があります。
作業員も集中できず焦りの中で作業するため、成果物の品質も下がるでしょう。
品質の低下は自社の信頼の低下につながり、利益に損害を与えます。
作業員への負荷増大
工程管理が遅れて人材の割り振りを急に変更した場合、作業員に大きな負担となります。
認識していた作業外のことをおこなわなければならなかったり、時間外労働が発生するでしょう。
作業員の労働環境の低下や残業コストが増え、コンプライアンス的にも経費的にもダメージがあります。
工程管理を効率化するポイント
工程管理は多岐にわたる作業を監督者がおこなうため、施工管理者や現場監督の業務負担が大きいです。
監督者の労働環境も考えると、工程管理の効率化は重要といえます。
そのための方法は以下の通りです。
工程管理を効率化する方法を解説するため、自社で施工管理担当の労働時間が長く負荷が多い工務店の方は参考にしてください。
工程全体と進捗状況を見える化
工程と進捗を可視化し、監督者の監督作業負荷を減らしましょう。
工程表を用いることで、進捗状況と作業工程を一元管理できます。
従業員への情報共有
工程表を作成するだけでなく、従業員へ随時最新の状況を共有する仕組みが必要です。
具体的にいえばクラウド型の工程管理システムで、スマートフォンやタブレットで進捗を確認できるようにしましょう。
オンラインで閲覧できれば工程表を印刷して持ち運ぶ必要もなく、端末ひとつで閲覧できます。
リアルタイム更新も可能で、常に作業員が進捗を意識しながら作業できるでしょう。
スケジュールと人員配置の妥当性判断
工程表にスケジュールと人員を書き込んでおき、妥当性を判断できるようにしておきましょう。
人員の不足が合った際に余裕がある作業から、遅れが発生している工程へ人員を移動できます。
入力ミスの防止
工程管理表に複数人が入力する場合は、ミスを防ぐ対策を作りましょう。
入力ルールの決定やミスが起きづらい仕組みの構築が必要です。
工程管理システムを導入すればミス防止機能がついており、自動で人的ミスを削減できます。
情報の一元管理
工程管理は生産管理なども同時におこなうため、管理する表や情報が散乱している状態は好ましくありません。
可能なら工程管理だけでなく、マルチに情報を一元管理できるシステムを導入しましょう。
複数ファイルを検索して照合する必要なく、必要な情報を一元管理、紐つけできます。
工程管理の業務負荷を減らす方法
工程管理の業務負荷が大きい場合は、以下の2つの方法を取り入れましょう。
手作業による工程表の作成はミスも多く、また作成自体に時間がかかります。
この2つの方法を取り入れれば、作業負荷を減らせるでしょう。
エクセルの自動集計機能・関数・マクロの使用
エクセルで工程表を作成している企業は、数式(関数)やマクロの活用でより効率的に表を管理できるでしょう。
数式での自動計算や、ほかのシートのデータの活用ができます。
また、マクロを扱える人材がいればボタンを押すだけで工程管理や生産管理を自動で計算できるでしょう。
工程管理で用いられるチャートについては以下の記事で紹介しています。
工程管理システムの導入
工程管理システムを利用すれば、工程表の自動作成やオンラインでの共有ができます。
システム上で工程表だけでなく、現場の図表を紐つけられ、効率的に工程や現場を管理できるでしょう。
建設業向けの工程管理システムの選び方
工程管理を効率化するためには工程管理システムがおすすめです。
どのように選べばよいか、5つのポイントを紹介します。
自社で導入を検討している方は参考にしてください。
自社に適切な機能
工程管理のみ効率化したいのか、そのほか帳票作成や生産管理もおこないたいかでシステム選びが変わります。
オールインワンのシステムを使えば、情報を一元管理できより効率化できるでしょう。
ただしコストがかかるため、安くシステム化したい場合は工程管理に特化したシステムを選ぶべきです。
コスト
システム導入には初期費用や利用料がかかるため、コスト面は慎重に選びましょう。
効率化によって削減できる経費を上回るコストなら、導入しても利益の最大化につながりません。
自社の運用や自動化したい範囲を洗い出し、適切なコストのシステムを選んでください。
自社会計システムなどとの連携
自社ですでに使用している会計システムと連携できるシステムを選びましょう。
データの互換性がないと、複数システムを利用する必要があり、作業員の負荷が増えます。
ひとつのシステムに情報を一元化するか、難しい場合はデータを連携できるシステムを選んでください。
エクセルデータの取り込み
現在エクセルで工程管理をしている場合は、csvによる取り込みができるか確認しましょう。
エクセルデータを取り込めなければ、既存データをシステムに入力できません。
エクセルとの親和性は調べておきましょう。
テレワーク・外部での閲覧への対応
工程管理システムはテレワークや外部での閲覧に対応したものを選びましょう。
アプリを提供しているシステムか、クラウド管理でスマートフォンなどで閲覧できるシステムがおすすめです。
外部でも進捗を確認できれば、進捗や連絡がスムーズになり、より効率的に作業できます。
まとめ
工程管理は企業の利益の最大化や従業員の労働環境の改善のためにもマストです。
効率化のポイントはエクセル機能や数式を用いて、監督者や作業者の負担を減らすこと。
工程管理を効率化すれば、進捗の共有も容易になり作業員の納期への意識も変わるはずです。
工程管理を効率化するためのシステムはどんなものが良いか迷っている方もいるでしょう。
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