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工事見積書とは?役割から記載項目、作成の注意点まで解説!

工事見積書とは?役割から記載項目、作成の注意点まで解説!

工事見積書は、建設業界において大変重要な書類です。しかし、工事見積書の役割や作成方法、記載内容について、正確に全てを把握している人は少ないかもしれません。

本記事では、工事見積書の基本的な役割から、具体的な記載項目、さらには見積書作成時の注意点まで、詳細にわたって解説します。

工事見積書の理解を深め、プロジェクト管理に役立てていきましょう。

本記事は下記のような方におすすめです
  • 工事見積書の知識を深めたい
  • コスト管理に関心がある
  • 工事見積書の役割を理解したい

工事見積書とは?

工事見積書とは、建築や土木工事を行う際に作成される、工事にかかる費用や条件が記載された公式な書類です。

工事見積書には、工事の総額や工事の詳細、必要な材料、労務のコストなどが含まれます。

工事見積書の作成は、正確な計画立案とコスト管理のために不可欠であり、発注者と施工者間の重要なコミュニケーションツールとして機能します。

依頼方法と作成の流れ

工事見積書の依頼方法と作成の流れは、以下の通りです。

依頼方法

通常、発注者が施工者に対して工事見積書の作成を依頼します。発注者は、建設現場の情報、設計図、必要な工事の範囲などの詳細を施工者に提供します。

施工者は、発注者から提供された情報に基づいて工事の全体像を把握し、工程や必要な材料、人員を評価して見積もりを作成します。

作成の流れ

  1. 情報収集
    施工者が、発注者から提供された図面や見積条件などの情報を収集
  2. 評価と計算
    収集した情報に基づき、必要な材料、労働、時間、その他の要素を詳細に評価し、コストを計算
  3. 見積書の作成
    評価された各要素をもとに、総合的な工事見積書を作成
  4. レビューと調整
    発注者が見積書をレビューし、必要に応じて施工者と調整

工事見積書の役割

工事見積書の主な役割について、以下詳細に解説します。

工事見積書の役割
  • トラブルの防止
  • 工事内容の説明
  • 信頼関係の構築

トラブルの防止

工事見積書の最も基本的な役割は、トラブルの防止です。

見積書には、工事内容、費用、工事の範囲、条件などを明確に記載することで、発注者と受注者の間の認識のズレや誤解を防ぎます。

例えば、ある工務店が提供した見積書に、工事の全工程、使用される材料の種類と量、労働時間、費用など工事に関連する内容が詳細に記載されていたとします。

その結果、発注者と工務店は工事に関する具体的な内容を共有でき、予期せぬトラブルが発生したとしても、両者間で解決することが可能になるのです。

工事内容の説明

工事見積書は、工事内容の詳細を説明するツールです。

見積書には、どのような工事が行われるか、どの材料が使用されるか、それぞれの工程にどれくらいの時間とコストがかかるかが記載されています。

例えば、見積書にコンクリート工事、電気工事、内装工事などの主要な工程ごとのコストが明記されていることで、発注者は予算計画を立てることができます。

工事の内容が明確になることで、発注者はより情報に基づいた意思決定が可能です。

信頼関係の構築

工事見積書は、発注者と受注者間の信頼関係を構築するための重要な手段です。

正確で透明性のある見積書は、受注者が信頼できる施工者であることを示す証となります。

施工者が詳細で正確な見積書を提出することで発注者からの信頼を得られ、継続的なビジネス関係を築くことができます。

工事見積書の構成

一般的に、工事見積書は「見積書表紙」「見積内訳書」「見積条件書」の3つのセクションから成り立ちます。以下では、各部分について詳しく説明します。

工事見積書の構成
  • 見積書表紙
  • 見積内訳書
  • 見積条件書

見積書表紙

見積書表紙は、タイトルのほか工事に関する基本情報が記載される部分です。

例えば「新築一戸建て建設工事」というタイトルがあり、依頼主の名前、見積書の発行日、合計金額、工事名称、工事場所、工事概要などが明記されます。

この部分は工事見積書の最初の印象を与え、プロジェクトの全体像を概観するためのものです。

見積内訳書

見積内訳書は、工事の各項目の単価、数量、総コストなど工事の費用がどのように計算されたかを詳細に説明する部分です。

例えば、仮設工事、鉄筋工事、コンクリート工事などの項目ごとに、それぞれの材料費、労務費、その他の経費が細かく分類されます。

見積内訳書は、発注者がコストの内容を詳細に理解するのに役立ちます。

見積条件書

見積条件書は、工事内容、工期、支払い条件、法定福利費など工事の契約条件や特定の要件に関する情報を提供する部分です。

例えば、工事の詳細なスケジュール、支払いのタイムライン、必要な資材の種類と量などが記載されます。

見積条件書は工事のプロセスを明確にし、発注者と受注者の間のトラブルを防ぐ重要な情報です。

工事見積書の記載項目

工事見積書の各項目は、正確で分かりやすい記載が求められます。以下では、各項目の記載方法について具体的に説明します。

工事見積書の記載項目
  • タイトル
  • 見積番号
  • 宛先となる会社名・氏名
  • 見積金額
  • 法定福利費
  • 発行日
  • 見積有効期限
  • 工期
  • 保証内容
  • 支払い条件
  • 作成した会社名・氏名

タイトル

タイトルは、工事がどのようなものかを一言でで表します。以下のように工事の種類に応じて表現が異なります。

〇〇邸新築建設工事見積書

△△株式会社オフィスリノベーション工事見積書

見積番号

各見積書には独自の番号を設定し、発注者と施工者が文書を特定できるようにします。番号のフォーマットは、以下のような形式をとることが一般的です。

2024-001

XYZ-建設-100

宛先となる会社名・氏名

宛先は、見積書を受け取る会社名や個人の氏名を記載します。

株式会社山田 山田太郎様

見積金額

見積金額は、工事に関わる総コストを示すもので、工事の直接的な費用だけでなく、必要な材料、労働、およびその他の関連経費も含まれます。

例えば、住宅建設プロジェクトの見積金額が1000万円であれば、その金額には建築材料、労働者への支払い、設計費用などが全て含まれることを意味します。

見積金額は、発注者が予算計画を立てる際の基礎となるため、正確で透明性のある数字でなければなりません。

見積金額:1000万円(材料費:400万円・労務費:300万円・設計費:200万円・諸経費:100万円)

法定福利費

法定福利費は、従業員の福利厚生に関連する費用を指し、健康保険、雇用保険、厚生年金などが含まれます。

建設業界において法定福利費の適切な計上は、企業が責任を果たしていることを示す指標となります。

法定福利費:40万円(健康保険:20万円・雇用保険:10万円・厚生年金:10万円)

発行日

発行日は見積書が作成された日付を示し、見積書の有効期限や、工事開始の基準点として機能します。

発行日は見積もりの有効期限の計算や、契約の締結、工事の開始日の計画に影響を与えます。

また、見積書が最新の情報に基づいていることを保証し、材料費や労働コストなどの市場価格の変動を考慮した適切な見積もりであることを示します。

発行日:2024年5月1日

見積有効期限

見積有効期限は、提出された見積もりが有効である時間枠を示し、市場の価格変動やリソースの可用性などに対応するために非常に重要です。

例えば、建築材料の価格が急激に変動する市況では、見積もりの有効期限を短く設定することが一般的です。

その結果、業者は材料費の変動に伴う費用の不一致を避けることができます。

有効期限:見積もり後1ヶ月

工期

工期は、工事が開始される日から完了する日までの期間を示します。

着工:2024年4月1日 完了:2024年12月31日

保証内容

保証内容は、工事完了後に発生する可能性のある問題に対する業者の責任範囲を定めます。例えば、以下のような保証が提供されることがあります。

工事完了後1年間は無料で修理を行う

支払い条件

支払い条件は、工事費用の支払い方法やスケジュールを定めるもので、支払総額、分割払いの場合の各回の額や期日、支払方法(現金、小切手など)が記載されます。

着工時:工事費用の50% 完了時:工事費用の50% いずれも現金払い

作成した会社名・氏名

見積書を作成した会社名や担当者の氏名は、責任の所在を明確にし、信頼関係を構築する上で重要です。

佐藤建設株式会社 担当:佐藤一郎

工事見積書作成の注意点

信頼性と透明性を高める上で、工事見積書の作成時の注意点を解説します。

工事見積書作成の注意点
  • 市場価格の把握
  • 変更費用の明記
  • 定期的な見直し
  • 発注者とのコミュニケーション強化

市場価格の把握

市場価格の適切な把握は、見積もりの正確性を保証する上で不可欠です。材料費や人件費など、各種コストは市場の状況によって変動することがあります。

最近の建設材料の価格動向や地域ごとの労働コストを把握し、見積もりに反映させることが重要です。

その結果、見積もりが実際の市場状況を反映し、発注者からの信頼を得やすくなります。

具体的には「2023年の東京地域におけるコンクリートの平均単価は1立方メートルあたりX円」といったデータを活用します。

変更費用の明記

工事の進行中には、設計変更や追加工事などが発生する可能性があり、こうした変更が生じた際の費用は、見積書に明記しておくことが重要です。

変更が発生した場合の費用計算方法や、追加料金の基準を予め定めておくことで、後々の誤解やトラブルを防ぐことができます。

例えば「設計変更による追加工事は、基本工事費の10%を加算」といった具体的なガイドラインを設けることが効果的です。

定期的な見直し

工事見積書は、一度作成したらそれで完了というわけではありません。市場の状況、材料費の変動、作業の進捗に応じて、見積書は定期的に見直す必要があります。

例えば、材料の価格が急激に上昇した場合、見積もりの金額が現実と乖離することがあります。

そのため、月ごとや四半期ごとに見積もりの内容をチェックし、必要に応じて更新することが重要です。

見直しを通じて、見積書の正確性を保ち発注者に対する信頼性を維持できます。

発注者とのコミュニケーション強化

工事見積書の作成では、発注者とのコミュニケーションが極めて重要です。

見積もりの各段階で、発注者の要望や期待を正確に理解したうえで見積書に反映させることが求められます。

例えば、発注者からの追加の要望や変更点に迅速かつ柔軟に対応することで、プロジェクトの成功に貢献します。

また、見積もりの内容に関する疑問や不明点をクリアにするためにも、定期的なミーティングや報告が効果的です。

まとめ

市場価格の把握、変更費用の明記、定期的な見直し、発注者とのコミュニケーションの強化は、工事プロジェクトの成功に不可欠です。

工事見積書を適切に作成することで、プロジェクトの透明性と信頼性を高め、最終的には発注者の満足度を向上させることができます。

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この記事の監修者

せいた

保有資格:建設業経理士1級、国際会計修士(専門職)、日商簿記2級、宅地建物取引士

大学卒業後、スーパーゼネコンに13年間勤務。
経理や財務に8年間、民間建築工事の現場管理に5年間携わる。施工実績は20件に及ぶ。