「工程表」とは、仕事や作業の順序や日程などを記載した表です。
「行程表」とは、いつまでに何をやり、どのような状態になりたいかという目標や方法を定めた表です。
今回は「工程表」と「行程表」の違いについて、建設業での具体例も含めて詳しく解説していきます。
「ガントチャート工程表」や「バーチャート工程表」の概要にも触れています。
「工程表」と「行程表」の正しい使い分け方を知りたい方は、参考にしてください。
目次
そもそも工程とは?
工程とは「仕事や作業を進行させる順序や段階」のことを指します。
主に工事や工作の場面で使うことが多く、建造物や製造物のように何かを作るときの順序や段階を示す言葉です。
各作業の順序や段階を工程として事前に決めて作業にあたることで、目標とする品質や効率を維持できます。
よって、工程の進捗状況は常にチェックして、厳しく管理することが重要です。
- 建設工事の工程に遅れが生じている。
- 製品の工程は厳格にチェックされている。
そもそも行程とは?
一方で行程は、目的地までの距離や目標に到達するまでのプロセスという意味合いがあります。
「行」という文字がついていることからもわかるように、主に「すすむ」という意味で使われます。
特定の場所へ実際に移動する場合だけではなく、目標や目的に向かって進むと言った比喩的な使い方も可能です。
よって、「距離」「プロセス」に加えて、人生における目標達成までの道のりなども「行程」と表現できます。
- 東京まで約8時間の行程だ。
- 目標到達までの行程について考えよう。
工程と行程の違い
工程と行程の違いをまとめると以下の通りです。
工程は仕事の順序に対して用いるもので、行程は距離や目標までの道のりなどに用います。
したがって、行程は基本的に仕事や作業に対しては使いません。
しかし、行程には目標や目的に向かって進むプロセスを表す意味もあるため、比喩的に使うことも可能です。
行程を仕事や作業に使う例としては「ロードマップ(行程表)」があげられます。
ロードマップとは、企業が経営理念に基づき目指していく将来像を比喩的にまとめたものです。
企業が将来に向い進んで行く道のりを、人生に例えて将来の発展を目指していきます。
ロードマップはもともと日本語ではありませんが、外来語を翻訳して一般に的に使用されるようになりました。
現在では、意味合い的にも「ロードマップ=行程表」と訳されています。
このように工程は仕事での順序は段階を表すのに対し、行程は距離や道のり、さらにはプロセスとして比喩的に表現される場合もあります。
工程表と行程表は何が違う?
ここでは、実際に使われる工程表と行程表の違いについてそれぞれ解説していきます。
工程表とは?
工程表とは、仕事や作業の順序や日程などを記載した表です。
仕事や作業をどのように進めるかを作業の種類ごとなど細かい項目に分け、それぞれの項目で必要な期間や日数を算出し表にしていきます。
工程表はさまざまなビジネスシーンで用いられますが、特に製造業や建設業などでよく使われます。
行程表とは?
一方で行程表は、いつまでに何をやり、どういう状態にありたいかというような目標や方法を定めた表のことです。
前述の通り、ロードマップと呼ばれることもあります。
例えば「旅行の日程をまとめたもの」や「企業が5年後までの目標に道のりを記したもの」などが行程表に当てはまります。
工程表と行程表の大きな違いとは?
工程表と行程表の定義をまとめると以下の通りとなります。
- 工程表=仕事や作業の順序や日程などを記載した表
- 行程表=いつまでに何をやり、どのような状態になりたいかという目標や方法を定めた表
工程表は、基本的に仕事における作業スケジュールとしての役割を果たします。
スケジュールのため、既にゴールが設定されており、設定されたゴールに対してルールやマニュアルに従い進めていくという流れとなります。
一方で行程表の場合は、具体的な仕事のスケジュールではなく、将来像を表したものとなります。
そしてルールやマニュアルに従うという形ではなく、自分達で将来像を考え、行程を設定していきます。
どちらのケースでも、予定表としての役割は共通していますが、具体的な中身に関しては大きな違いがあります。
建設業での工程表とは?
ここでは建設業で使われる工程表について解説していきます。
建設業ではさまざまな種類の工程表が使われており、主に用いられるものとして以下の5つがあります。
なお、具体的な工程管理に関するポイントは以下の記事で解説しているため、興味のある方はチェックしてみてください。
ガントチャート工程表
ガントチャート工程表とは、縦軸に作業工程を横軸に作業の進捗率を数値として定め、各作業での進捗状況を示した表です。
特徴としては工程表の作成が簡単で、工事における作業の進捗状況を把握しやすいという点があります。
ただし、ガントチャート工程表では、どのぐらいの工数がかかるか分かりにくいというのがデメリットです。
さらに、各作業工程の関連度合いも判断しづらい点もデメリットといえます。
グラフ式工程表
グラフ式工程表は縦軸に進捗横軸に日付を数値として定め、曲線で進捗状況を示す表です。
口述するバーチャート工程表と、前述したガントチャート工程表の2つの特徴を持つ表となっています。
メリットは進捗状況と作業日時を両方ひと目で確認できるという点です。
ただし、他の工程表と比べて作成方法が複雑で難しい点をデメリットとして挙げられます。
グラフ式工程表も作業工程の関連度合いが判断しづらい点がデメリットです。
バーチャート工程表
バーチャート工程表は、縦軸に作業項目、横軸に日付を数値として定めた表のことです。
工程表の中では最もよく使われるものとなります。
メリットは作業項目と日付を記入するだけで良いため、作成が簡単であるという点です。
さらに、一目でスケジュールを把握できるなど視認性に優れている点もメリットといえます。
ただし、バーチャート工程表も作業工程の関連度合いが判断しづらい点がデメリットです。
ネットワーク工程表
ネットワーク工程表とは、丸印と矢印を用いて作業工程を示した表のことです。
作業項目ごとに必要な日数や関連する工事を見える化します。
工事全体の流れを把握しやすいのがメリットで、工事が順調に進んだ場合のおおよその期間を把握することが可能です。
作業工程間の関連性も把握しやすいことも大きなメリットですが、作成方法が複雑であることを難点といえます。
工程管理曲線
工程管理曲線とは、工事全体の進捗状況を管理し把握するのに適した工程表です。
縦軸に進捗率、横軸に日付を数値として定め、表を作成します。
許容限界曲線と呼ばれる補助線を用いることで、「予定している進捗からどのくらい工事が遅れているか」など進捗を工程表から把握することが可能です。
工事全体の進捗を把握する際には最適な工程表といえます。
ただし、各作業工程間の関連性が把握しにくい点がデメリットです。
まとめ
工程表は仕事や作業のスケジュールとしての役割を果たすのに対し、行程表は将来僧に向けた道のりやプロセスを示したものです。
建設業では、特に工事の工程管理が重要とされているため、工程表がよく用いられています。
適切な工程表を使い、工事における効率性を上げていきましょう。
また会社全体の工程管理には「業務効率化ソフト」を使うことをおすすめします。
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