建設業界でも働き方改革の動きが強まり、施工管理を含め自社の業務改善の必要に迫られている企業も多いでしょう。
建設業界では働き方改革は難しいと言われていますが、問題を解決するために国土交通相は「建設業働き方改革加速化プログラム」を発表しました。
この記事では建設業働き方加速化プログラムの概要と現時点の施工管理における問題点、施工管理を効率化する方法を解説します。
目次
施工管理業務における問題点

働き方改革が実施される以前、施工管理の業務にはどのような課題があったのか3点を解説します。
労働環境改善のヒントを得られるため、まずは問題点を理解すべきでしょう。
長時間労働
施工管理の仕事は工期管理だけでなく多岐にわたります。
- 納期管理
- 人材・資材の配備・調整
- 近隣住民との交渉
- 取引先との打ち合わせ
- 帳票作成
- 工事に関する書類の作成
そのため施工管理の仕事は多忙で長時間労働になりがちです。
現場での監督作業を終えて事務所へ帰り、事務作業をおこなうために残業が多い点も問題でした。
業務負荷
施工管理は業務の範囲が広く、工期の管理を含めて幅広い仕事を担当します。
現場監督の業務を兼ねる企業も多く、現場に出て監督・チェックをした上で、書類の作成や事務作業などもおこなわなければなりません。
そのため負荷が高く、精神的ストレスも多い仕事でした。
不明確な人事制度
施工管理の資格を持っていても、収入が安定するとは限りません。
正社員雇用されていれば収入は安定しますが、フリーランスで現場ごとに依頼を請け負っている人もいます。
また、正社員であっても昇進の機会が少ないなどの問題点もありました。
せっかく資格を取ってもキャリアアップできないとあっては、モチベーションや生産性も下がり、施工管理資格を持つ人が流出する原因となり得ます。
建設業働き方改革加速化プログラムとは

建設業界において「働き方改革はできない」という声もありました。
それを受けて、政府は建設業働き方改革加速化プログラムを発表しています。
建設業働き方改革加速化プログラムとは、主に以下の内容です。
働き方改革を推進する参考にしてみてください。
働き方改革で変わる長時間労働への規制
働き方改革で大きく変わる点は、長時間労働の規制です。
これまで36協定に加入している事業者には、長時間労働の上限がありませんでした。
しかし、2024年4月1日以降、時間外労働の上限は原則として月に45時間、年間360時間の規制を設けられます。
また、36協定に加入していなかった事業者に対しては、時間外労働週40時間までの規制があるものの、罰則はありませんでした。
しかし、働き方改革により上限を破った場合は以下の罰則が科せられます。
- 30万円以下の罰金
- 半年以下の懲役
上記のいずれか、または双方を科せられる恐れがあり、事業者側も時間外労働の削減について真剣に考えなければなりません。
時間外労働が多いと言われている建設業では、大きな課題です。
長時間労働の是正
国土交通省は長時間労働の是正のため、2つの指針を打ち出しました。
- 発注者の特性を踏まえた納期の設定
- 週休二日制の導入
建設業はクライアントとの契約のために無理な工期で契約する場合があります。
作業員や監督は納期厳守のために、やむをえず長時間労働をしていました。
この現状を変えるために、発注者の事情や現場の特性を配慮して、国土交通省が適切な納期についてのガイドラインを作成する予定です。
長時間労働の是正への取り組みの一環として、週休二日制の導入を推進しています。
建設業では週休一日の工務店・企業も多いですが、労働環境の改善のために休日を取得しやすい環境を作ることが目的です。
週休二日制の導入方については以下の記事で解説しています。
給与・社会保障の改善
建設業界への雇用促進のため、給与や社会保障面での改善もおこなわれます。
社会保険への加入を促進して福利厚生面を充実させ、新規雇用と安定した労働環境を提供する狙いです。
また、建設キャリアアップシステムへの加入を推進します。

建設キャリアアップシステムとは、建設業界の従事者が自身のスキルなどを登録・閲覧できるクラウドシステムです。
事業者は技術者を探しやすく、技術者は仕事を見つけやすくなります。
建設キャリアアップシステムの利用で、安定した収入や効率的な人材配備につながるでしょう。
生産性の向上
建設業界は人が担当する作業が多く、働き方改革が難しいとされてきました。
しかし、建設DXの導入で効率を上げて省人化を進め、労働環境の改善と生産性の向上が見込めます。
作業ロボットの導入や電子契約の有効化による効率化など、政府を上げて建設業界のデジタル化が進んでいる状況です。
建設DXの概要については以下の記事で紹介しているため、参考にしてください。
施工管理の業務を効率化する方法

先ほど紹介した施工管理の問題点を踏まえ、働き方改革に向けて自社の業務を効率化する方法を紹介します。
国道交通省が推進する働き方改革加速化プログラムの内容を反映し、自社の取り組みを変えていきましょう。
テレワーク設備の導入
働き方改革の長時間労働の是正や生産性向上を達成するため、テレワーク設備の導入は不可欠です。
建設業界でもコロナ禍の影響で、現場に集まる人員を減らす試みが大手ゼネコンを中心としておこなわれました。
例えばウェアラブルカメラを作業員に装着させ、映像を事務所に中継する仕組みもそのひとつです。監督者は現場に行く必要がなく、映像を見ながら指示・監視ができます。
工務店がテレワークを導入するポイントはこちらの記事で紹介しているため、併せて参考にしてください。
キャリアアップ体制の整備
建設業界はキャリアアップの仕組みが明確化されず、モチベーションが低下し、離職率の高さの原因と言われています。
貴重な施工管理資格保持者を失わないために、自社のキャリアアップ制度を再構築しましょう。
年功序列だけでなく、仕事量や責任に応じた適切な人事評価が大切です。
また、フリーランスの施工管理を雇用して自社人員の業務負荷を減らせます。
建設キャリアアップシステムを活用し、必要な人材を増やす、調整するなどしてはいかがでしょうか。
建設DXの推進
建設業界の長時間労働の是正や効率化を図るために、建設DXの推進が欠かせません。
人手を介さない自動作業を増やせば、業務負荷を軽減できます。
例えば施工管理を含めた管理システムの導入がおすすめです。
施工管理の膨大な業務を一元管理でき、効率的に管理作業ができます。
また、工務店向けのオールインワン型システムなら、複数システムを使用するよりも効率的に事務作業が完結するでしょう。
まとめ
施工管理を担当する人員の長時間労働や施工管理自体の煩雑さは、建設業界に取って働き方改革推進のハードルとなります。
反対に施工管理の仕事を効率化すれば、現場作業の効率化もでき労働環境が改善するでしょう。
働き方改革の取り組みを自社でもおこない、業務負荷を取り除くよう体制を変える必要があります。
そのためには社内制度の見直しやテレワーク、建設DXの推進がおすすめです。
具体的に何をすれば良いか分からない方もいるでしょう。
その場合はまずは工程管理システムの導入をおすすめします。
施工管理を効率化して業務負荷を減らし、長時間労働の是正にもつながるシステムです。
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