設計図書は、住宅をはじめとした建築物を建てるために必要なものです。
設計図書には保存義務があり、違反すると罰金を科される可能性があることは知っているでしょうか。
本記事では、設計図書の概要や種類、保存期間について解説します。
本記事を一読すれば、設計図書についての理解が深められ効率的な保存方法もわかります。
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目次
設計図書とは
設計図書とは、建築物を建てるために必要な図面・仕様書を含めた書類全般です。
さらに建築確認書類や行動計算書が含まれる場合もあります。
法的な定義では「建築物の建築工事の実施のために必要な図面(現寸図その他これに類するものを除く)及び仕様書」とされています。
【参考】建築士法2条6項-e-GOV法令検索
また法的に設計とは、設計図書を作成することです。
手書きが主流だった時代は、青図(青焼き)が用いられていました。
現在ではAutoCADやjw_cadといったCADソフトウェアでおこなわれるケースが一般的です。
設計図書と似た言葉で「設計図」があります。
設計図は設計図書の一部で、建築物の構造や機能などが記されている図面を指します。
設計図書9つの種類
設計図書には、主に以下の9種類の図面・書類があります。
1.付近見取図
付近見取図とは、建築物を中心として以下の項目が記された図面で、案内図と呼ばれることもあります。
設計図書の初めに最終配置されることが多く付近見取図は、建築物が地域のどこに建てられるのか確認に使用されます。
使用目的から縮尺は1/2,500以上で作成されるケースが一般的です。
2.配置図
配置図とは、建築地の中で建築物と敷地の位置関係を示した図面です。
外構や造園計画図も兼ねることも多く重要な図面です。
また下記の境界線や高低差も記載します。
- 道路境界線
- 隣地境界線
- 敷地内の高低差
- 敷地と道路の高低差
建築物の規模にもよりますが、縮尺は1/100が一般的です。
3.平面図
平面図とは、建築物の各階のおよそ1m上の高さから水平方向に切って上から見ている図面です。
部屋名・キッチン・トイレ・風呂・階段・柱が記載されており、建築物の大まかな造りを把握できます。
また建築物の全体がわかるため、内装や家具の配置を決める際に役立ちます。
4.断面図
断面図とは、建築物を垂直方向に切って横から見ている図面です。
下記を確認する際に用いられます。
- 階高
- 庇・軒の出や高さ
- 屋根勾配
- FL・GL
5.矩計図(かなばかりず)
矩計図とは、断面図をより詳細に記した図面で「詳細断面図」とも呼ばれます。
例えば、断面図では縮尺1/40で1階・2階を記載して、矩計図では縮尺1/20で1階と2階をそれぞれ記載するイメージです。
基礎や天井裏、材料の種類などが細かく記載されています。
6.立面図
立面図とは、建築物の外観を東西南北の4方向から見た図面です。
大まかな建築物の形状や窓や扉の位置を確認するために用いられます。
立面図だけでは、外壁の凹凸はわからないため平面図と併せて確認します。
7.仕様書
仕様書には以下の2種類があります。
特記仕様書
特記仕様書とは、後述する標準仕様書を補足し、施工や固有の技術的要求を定める仕様書を指します。
工事に使用する材料のグレード・仕様など、図面内では表現しにくい内容が記述されています。
また施工上の注意事項や制約が定められており、標準仕様書より優先するのが特徴です。
標準仕様書
標準仕様書には、主に以下の情報が記載されています。
- 使用する材料の規格
- 施工手順
- 検査方法
標準仕様書は国土交通省の「公共建築工事標準仕様書」が使用されることも多いです。
また地方自治体が作成した仕様書を用いるケースもあります。
8.工事請負契約書
工事請負契約書は、施主(発注者)と元請会社(工務店やリフォーム会社)との間で締結する工事に関する契約書です。
民法上は口頭であっても契約は成立します。
しかし建設業法19条では、建設工事の請負契約において契約書の作成・交付・施主と元請会社の双方の署名する義務が課されています。
建築工事は、動くお金が大きく工期が数か月にわたるため、事前に契約内容をまとめておかないと、後々のトラブルにつながりかねません。
建設工事のトラブルを避けたい方は、工事請負契約書の記載項目や注意点について解説した記事をご確認ください。
9.建築確認申請
建築確認申請とは、新設する建築物が法律・地方自治体の条例に適合しているかを判断する審査です。
建築確認申請は、自治体か民間の指定確認検査機関に手続きしておこないます。
申請に不備がなければ検査済が発行され、着工ができます。
建築確認申請の費用は床面面積によって変動するため、詳しくは着工エリアの自治体の公式サイトをご確認ください。
本記事では参考に大阪府の確認申請の手数料を記載します。
書類申請 | Fd申請 | |
---|---|---|
100平方メートル以下 | 33,000円 | 31,000円 |
100平方メートル超〜 200平方メートル以下 | 44,000円 | 42,000円 |
200平方メートル超〜 500平方メートル以下 | 60,000円 | 58,000円 |
500平方メートル超から〜 1,000平方メートル以下 | 87,000円 | 85,000円 |
1,000平方メートル超〜 2,000平方メートル以下 | 116,000円 | 114,000円 |
2,000平方メートル超〜 10,000平方メートル以下 | 275,000円 | 273,000円 |
10,000平方メートル超〜 50,000平方メートル以下 | 470,000円 | 468,000円 |
50,000平方メートル超〜 | 730,000円 | 728,000円 |
10.構造計算書
構造計算書は、建築物が地震や台風に耐えられる安全かどうかを確認している書類です。
建築物の安全は風・地震をはじめとした外力、計画敷地条件、地盤構成などによって決まります。
構造計算書では上記の要素を考慮して建築物が安全となる構造を研鑽しています。
建築物は梁・柱・壁などの構造によって支えられており、構造がしっかりしていると建物は安全といえます。
構造計算書は建築確認申請時に提出しなければなりません。
また一定以上の大規模な建築物は、構造設計一級建築士の承認が必要です。
設計図書の保存期間
設計図書の保存期間は、建築士法施行規則21条第5項によって作成した日から15年と定められています。
上記の保存義務に違反すると、30万円以下の罰金を科される恐れあります。
住宅は15年以上使用する可能性が高く、長期間使用する場合はリフォーム需要が生まれるケースもあります。
そのため、15年を超えてからも設計図書は保存しておきましょう。
ただ紙で設計書類を保存すると、管理コストや保存スペースを確保しなければならないため、非効率です。
設計書類は、ペーパーレスで管理するのがおすすめです。
工務店向けの業務効率化システムであれば、1つのシステムであらゆる書類を管理できます。
おすすめのシステムは下記の記事を確認してください。
まとめ
本記事では、設計図書の概要や種類、保存期間について解説しました。
設計図書とは、建築物を建てるために必要な図面・仕様書を含めた書類全般です。
設計図書には15年の保存義務が設けられています。
保存義務に違反すると、30万円以下の罰金が科される可能性があるため注意が必要です。
設計図書の保存には、工務店向けの業務効率化システムの活用がおすすめです。
しかし「どのシステムを選んだら良いかわからない」と悩む方もいるでしょう。
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