建設業界では、AR(拡張現実)やVR(仮想現実)といったデジタル化を取り入れることで生産効率を上げることができます。
建設業界では、現在20代30代の若手が少なく将来、人手不足になることが予測されます。
ARを導入し、作業の効率化や生産性を飛躍的に向上させましょう。
今回は、ARにできることや活用例をご紹介していきます。
目次
ARとは?
ARとは、「Augmented Reality」の略で一般的に”拡張現実”と訳されます。現実世界の風景にバーチャルな視覚情報を加えて現実世界を拡張する画期的なテクノロジーです。
ARとVRの違い
AR・VR・MRといったデジタル技術は、まとめてXR(クロスリアリティー)と呼ばれています。
ARとVRの違いは、現実空間を活用するか仮想空間を活用するかという点です。
ARは現実世界を拡張するものです。例えば、スマートフォンのカメラを向けると画面の中でバーチャル情報が浮かび上がるイメージです。
それに対しVRでは、作られた仮想空間にユーザー自身が飛び込んで仮想空間を体験することができます。
X=「未知数の」、R=「現実」という意味。VR(仮想現実)、AR(拡張現実)、MR(複合現実)などの仮想空間技術、空間拡張技術の総称。
MRとの違いを知りたい方は、建設業界でのMRの活用について説明している記事をご覧ください。
ARにできること
ARは、建設計画時に建物の外観図を確認することや、安全確保に役立ちます。
建設計画時に建物の外観図を確認する場合は、周辺の景観と建物の映像を重ねることで、立地のイメージを視覚的に確認することが可能です。
建設現場では、作業環境が日々変わる中での安全確保が求められています。
従来の画像認識技術とARが組み合わさることで、人や物を注視できるようにマークを映し出すことができるため、危険に早く対応することができます。
ARを従来の技術と組み合わせることで、危険を視覚的に捉えることができ、安全性や生産性の向上に貢献できます。
ARが建設業と相性がいい理由
建設業では、人手不足や非効率な作業が原因で、時間とコストがかかりすぎてしまっています。
しかし、建設業と相性の良いARを導入すれば、これらの課題を解決できるでしょう。
人手不足の解消
高齢化や労働人口の減少が懸念されているため、生産性の向上が必要だとされています。
2018年の建設技能労働者数のデータによると、60歳以上の高齢者82.8万人が就労しています。10年後には、このほとんどが引退して深刻な人手不足になると予測されています。
従来の技術とARを組み合わせることで作業効率を向上し、人手不足を解消することができます。
熟練の作業員と新人の作業員では、作業スピードはまったく異なります。
例えば配管や電工などの作業は、新人の作業員だと手間取るでしょう。そこで、ARで完成イメージを確認すれば、スムーズに施工することができます。
AR導入により、新人の作業員でも即戦力として活躍することができ、人手不足を解消できます。
現場の状況を視覚的に確認可能
建設現場では、配管の位置など視覚的に確認が必要な作業が非常に多いです。
設計段階に「BIM」で作った立体図面とARを組み合わせることで、壁の中に入っている配管や電気配線の位置を確認できます。効率よく作業を進められます
ARの導入することで保守点検やメンテナンスにかかっていたコストの削減が可能になり、生産性を向上できるでしょう。
デジタル化による作業の効率化
ARを取り入れることで、作業効率を高めることができます。
例えば、設計に使用するBIMとARを組み合わせることで、材料や資材の種類・サイズなどの情報をARを利用して目で見て確認できます。
またARは視覚的な情報共有も可能なため、突然の仕様変更があったとしても、全員が変更内容を目で見て把握できます。情報共有不足による施工ミスを防げるでしょう。
AR活用例3選
AR技術の導入で作業の効率化や安全性能の向上が可能になりました。実際に活躍しているAR技術を3つ紹介します。
①点検の効率化
建設業では、建物を作った後でもメンテナンスが必要です。ビルやマンションなど建物が大きくなれば確認することが膨大になり、かなりの時間と労力のコストがかかります。
点検作業では、AR技術を活用したアプリケーションとスマートグラスを組み合わせることで、点検した箇所を映像として記録できます。
今までは、紙に点検箇所を書いたり、パソコンにデータを入力していましたが、上記の方法では、点検内容を映像で共有することができます。点検作業が効率化できるでしょう。
「スマートグラス」とは、頭部に装着して使用するメガネ型のウェアラブル端末(身体に装着して利用する端末)のことをいう。実際に目で見ている光景に情報を重ねて表示するディスプレイを通じて、動画視聴や遠隔地との情報の送受信といったさまざまな機能を使用することができる。
②安全性の向上
建設作業には、目に見えない危険があります。令和元年の建設業界の労働災害による死傷者数は1万5183人です。
建設現場では、日々作業環境が変わります。
環境が変わるごとに注意する点も変わるため、情報の共有が大切です。そこでARの導入することで情報を映像として確認することができ、安全性の向上が期待できます。
例えば、株式会社クボタが開発しているアプリkubota diagnostics(クボタ ダイアグノスティックス)は、建機や重機などの大きな機械の情報をARで把握。不具合のあるまま使い続けることで重大な事故に至るという事故を予防できます。
効果検証段階ではありますが、リリースして実装されれば修理のコスト削減と安全性向上につながるでしょう。
【参考】スマートフォンで建設機械の故障修理を効率化するアプリを開発
③現場とオフィスの連携
建設業では、年々テレワークやリモートワークが普及しており、現場に赴く頻度が少なくなってきました。しかし建設業では、どうしても実際に目で見た感覚も大切になります。
現場で実際に人と会って物を見ながら説明することと、電話だけで説明することでは、相手の理解度は異なるでしょう。
適切なアドバイスや指示をするためにも現場との連携が必要不可欠です。
ARを導入すれば、オフィスにいても現場の状況を映像で確認することができます。
例えば、NECソリューションイノベータが提供しているARシステムでは、マートフォンやスマートグラスを活用して、現場にいる作業者とオフィスにいる支援者がリアルタイムで映像・音声を共有できます。
遠隔での指示が可能になったことにより移動のコストを下げたり、新人の作業員でも、生産性の高い作業が可能です。
まとめ
AR技術を取り入れることで人件費のコストや生産性も上げることが可能です。
今後、建設業界の人口減少や高齢化に対応するためには、より効率の良いものを選択しなければなりません。
ARの活用以外でも、業務を効率化したい方には工事管理ソフトの導入をおすすめします。
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