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建設業の利益率は低い!?他業種との比較と利益率をあげる方法

建設業の利益率は一般的な業種と比較して低いといわれています。

建設業は原価が高く、また原価を抑えるための仕組み作り自体がリスキーなため、ローコスト・ローリスクで運営している企業が多いためです。

企業の利益率アップは経営における重大な課題といえます。

この記事では、建設業の利益率の低さとその要因について解説した上で、利益率をあげる方法を説明します。

この記事はこんな人におすすめです
  • 自社の利益率が低くて悩んでいる
  • 自社の利益率が適正かどうかわからない
  • 利益率をあげる方法が知りたい

建設業の粗利益率は25.41%

建設業の荒利益率は25.41%

国土交通省の「建設関連業の経営分析(令和2年度)」によると、建設関連業の粗利益率は25.41%でした。

しかし売上経常利益率を参照すると、2.4%まで下がってしまいます。

粗利率は利益の基礎となる利益額で、ここから特別損益や税金などが差し引かれていくため利益率が下がっていくことは当然ですが、建設業は特別利益率が低いです。

次の項目で他業種の粗利率を見てみましょう。

他業種との比較

日本政策金融公庫の「業種別経営指標」を参照すると、建設業以外の他業種の粗利益率は以下のようになりました。

他業種の粗利益率

製造業…41.8%

サービス業…70%

不動産業…44%

製造業:41.8

粗利益率の時点で、建設業はこれらの業界よりも利益率が低くなっています。

経営において粗利益率は、企業の利益の基礎となる指標です。

粗利益率が低いと最終的な当期純利益にも影響があるため、なるべく利益率は高いに越したことはありません。

どうしてほかの業種と比べて建設業の利益率が低いのか、次の項目から解説します。

建設業の利益率が低い理由

建設業の利益率が低い理由

建設業の利益率が低い理由を解説します。

建設業の利益率が低い理由
  • 完成工事原価が高額
  • 資材費・人件費
  • 下請け業者の低賃金問題

ほかの業界と比べて建設業界の利益率の低さは、以上の3つに原因があります。

利益率向上を目指している企業は、まずは自社の経営における利益率の低さの要因を特定した上で、解決するアイデアを考えましょう。

完成工事原価が高額

建設業の利益率が低い原因は完成工事原価が高額なためです。

建設業で請け負った工事を完成させるためには、多くの資材や人を使う上に、工期が長くなるためそれだけ費用がかかりやすいのが要因。

粗利益率は、以下の式で計算します。

粗利益率の計算式

粗利益率=粗利額(完成工事高ー工事原価)➗ 完成工事高×100

工事原価が占める割合が高すぎた場合、最終的に利益が上がらずに利益率が下がってしまいます。

資材費・人件費

建設業は膨大な資材や人件費を使用して工事を完成させるため、外注費用が発生するため減価率が高くなってしまいます

大手ゼネコンはこれらの外注費用を節約するために子会社を作り、親会社から発注するとで利益率を上げる方法をとっているのです。

しかし中小企業では、大手ゼネコンと同じく子会社の人件費や経費を担保すること自体がリスクとなるでしょう。

多くの人員を雇用し、資材を在庫で抱えることはリスクとなります。

そのため一部の大手以外は利益率が低くなろうとも、自社でリスクを負うことを避け、必要なときだけ外注する方法を取らざるを得ません。

結果的にリスクは低いが、同時にリターンとなる利益率も低い経営となる工務店や建設関連の企業が多くなります。

下請け業者の低賃金問題

建設業界は下請け業者に業務委託をおこなうことで、成り立っています。

大手ゼネコンから下請け企業へ、さらに孫請け企業へ業務を依頼していく形態であり、末端にあたる職人の賃金はかなり安いです。

下請け業者も「職人の賃金を上げたい」とは思っていても、現実的に賃金が高くなれば提示する見積りが高くなり仕事を受注しづらくなるため、職人に支払う賃金を高くできません。

建設業の総合指標には、下請け業者ももれなく含まれます。

中小企業は利益率を低くし、なるべく受注率を高めることに注力せざるを得ず、業界全体の利益率が低くなる悪循環が起きます。

建設業の利益率が低い場合の対応策

建設業の利益率が低い場合の対応策

建設業の利益率が低いと悩んでいる企業の方は、以下の対策を検討してみてください。

建設業の利益率が低い場合の対応策
  • 見積りと完成工事原価の差異
  • 固定費の削減
  • 作業効率化
  • 原価管理
  • 営業努力

利益率を上げるには利益を増やすと同時に、工事原価を下げる努力が必要となります。

しかし大手のように子会社を作るという工程は、中小規模の工務店・建設業者には難しいでしょう。

まずは粗利益率の向上を目指し、利益率対策に取り組んでみてください。

見積りと完成工事原価の差異

建設業の利益率をあげるために見積りと完成工事高の差異をなくすようにしましょう。

先ほどの項目でも紹介しましたが、建設業では下請けがなるべく見積りを安くし、仕事を受注しなければなりません。

見積り作成時にはあえて見積りを安く設定すると、完成工事原価との差異が生まれやすくなります。

最初に想定した利益率を達成できなければ、予算管理にも影響するでしょう。

まずは見積り作成を見直し、完成工事原価との差異をなくす必要があります。

そのためには精度の高い原価管理が必要です。

過去データを参照し、正確な原価を把握すれば完成工事高との誤差を減らせるでしょう。

見積り自体は高くなる可能性がありますが、予算管理の適正化をおこなえば経営状態の把握が容易となり、利益率を上げる試みが可能です。

自社の利益率を適正化にするためにも、まずは正しい見積りが出せるようにデータ管理をおこないましょう。

そのためにはエクセルなどのデータ管理よりも、見積り作成を一元管理できるシステム導入をおすすめします。

原価管理システムの導入を検討している方は、以下の記事も参照してください。

固定費の削減

建設業における原価は固定費と変動費で構成されています。

固定費とは主に人件費ですが、人員だけを減らしても工事進捗に支障が出たり、人員雇用がなくなり職人が減ってしまう問題が起こり得るでしょう。

まずは自社の作業工程を見直し、適正な人員の割り振りを考えてみてください。

作業効率化を図り無駄な工程を削減すれば、余った人員をほかの作業へ回し、工期を早めることもできます。

工期が短縮できれば自然と人件費は減り、固定費を安くできるでしょう。

作業効率化

建設現場の工程管理を徹底し、作業効率化を目指しましょう。

まずは工程表を用いた工程管理をおこない、最初に想定した予定通りに作業が進んでいるかを把握します。

作業が予定より早く進んでいる箇所は成功要因を突き止め、遅れている箇所は原因を特定しましょう。

無駄な工程を見つけて省ければ作業員の負担が減り、また自社の人件費負担を少なくできます。

作業効率化のためには工程表の導入以外にも、各種デジタル機器導入もおすすめです。

例えばウェアラブルカメラの導入で現場監督が現場に行かずとも監視・指示をおこなう体制を作れば、現場管理の長時間労働のコストカットが可能です。

同時に労働環境改善にもなります。

そのほか深夜の現場管理を監視カメラに切り替えるなど、デジタル機器の導入で作業の工数・作業事態を削減しましょう。

工程管理について詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてください。

原価管理

工期中の原価管理は毎日おこない、想定した見積りと工事原価の差異を逐一チェックしておきましょう。

毎日原価をチェックしていれば、誤差に気づいて修正できます。

原価率が高くなっているようなら、その原因を特定して次の現場で改善してPDCAを回していけば、徐々に見積りと原価の差異を減らせるはずです。

工事現場で管理すべき原価は非常に多いため、データ統合管理が必要となります。

原価管理に時間をかけると全体の作業効率が下がるため、原価管理システムの導入がおすすめです。

原価管理システムの概要やおすすめのシステムを知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

営業努力

原価を下げる以外に、より多くの工事を請負い利益を増やす努力も当然必要です。

利益率を上げるために適正な原価を元にした価格設定をし、営業に仮に競合よりも価格は高くとも発注してもらえるように、しっかり自社のメリットを説明する体制を作りましょう。

従来は見積りを下げることが最も有効な営業手段とされていました。

建設業界には下請け企業が多すぎて、競争が激しかったためです。

しかし、自社の原価を考えて値上げをしたとしても、営業が自社に依頼するメリットを説明できるなら受注は増える可能性があります。

作業効率を上げてほかの下請けよりも納期を短縮できる、質の高い工事ができることは施主へのアピールポイントです。

自社の工事体制を一度見直し、原価管理しつつ自社が競合に勝てる強みを見つけられるようにしましょう。

その上で、適正な価格で工事を受注するようにすれば、利益率は自ずと上がっていきます。

まとめ

建設業の利益率は他業種と比べて高いとはいえません。工事原価が高いため、どうしても利益率が下がりがちです。

建設業の利益率の低さにはさまざまな要因がありますが、原価を下げて利益を上げることで利益率も上がります。

まずは競合に負けない強みを作るためにも、自社の作業工程の見直しによるコスト低下を考えましょう。

その上で工期の短縮や成果物のクオリティアップなど競合に勝てる要素を生み出し、価格を適正化すべきです。

記事の中で紹介した見積り作成システムや原価管理システム、工程管理システムなどをひとつずつバラバラに導入すると手間がかかります。

ひとつのシステムですべての業務をカバーできる、工務店・建設業者向けの基幹システムの導入がおすすめです。

しかし、どのような基幹システムがあるかわからないという方もいるでしょう。

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【引用】AnyONE