2024年から時間外労働の上限規制が始まり、建設業界では業務の効率化で時間外労働の削減が急務となっています。
しかし小規模工務店の中には「業務の効率化に時間とお金をかけている余裕はない」と考え、業務効率化を諦めている工務店も多いでしょう。
本記事では、10〜30人の工務店でも簡単に業務の効率化をおこなえる、業務効率化システムと導入コストを1/3に抑えられるIT導入補助金について解説します。
目次
小規模工務店が業務効率化する方法
小規模工務店が業務を効率化する方法は、下記に3つがおすすめです。
ITツールの導入
一番おすすめする業務効率化の方法はITツールの導入です。
ITツールは「工務店業務全般に対応しているサービス」から「見積り作成や工程表作成など1つの業務に特化したサービス」など、さまざまあります。
ITツールを導入するメリットとデメリットは下記を参照ください。
多くのサービスが提供されているため、自社の課題や効率化したい業務に合わせて柔軟にツールを選ぶことが可能です。
また、情報を一元管理できるツールもあり、過去現場の書類を探す手間から解放されます。
ネット環境さえ整っていれば、スマホやタブレットから情報にアクセルできるため、情報共有に手間や時間がかかりません。
ITツールのデメリットとしては、導入や運用に費用がかかることです。
しかしIT導入補助金を活用すれば、低コストで導入できるため、資金に余裕のない会社でも費用負担が重くなりません。
導入するツールによっては、操作が難しく使いこなせない場合があることもデメリットです。
サービス提供会社によっては、導入時セミナーなどサポートが充実しているため、不安な方はサポート体制がしっかりしているサービスを選びましょう。
エクセルの無料テンプレートの活用
費用をかけらない工務店は、無料のエクセルテンプレートを活用しましょう。
無料のエクセルテンプレートのメリット・デメリットは、下記を参照ください。
無料テンプレートの一番のメリットは、導入・使用に費用がかからないことです。
また、エクセルは既に業務で使用している会社が多いため、導入のハードルが低いこともメリットといえるでしょう。
しかし、セルのコピーや移動によって関数が崩れ不具合が発生した場合、サポートを受けられないことはデメリットです。
データの紛失や破損が起きた場合も、自社で対応しなければなりません。
エクセルは、外部との情報共有が難しいこともデメリットといえるでしょう。
マニュアルの作成
業務手順のマニュアルを作成することも、業務の効率化に効果的です。
マニュアルを作成するメリット・デメリットは下記を参照ください。
一度マニュアルを作成してすれば、教育にかける時間やコストを削減できることがメリットです。
また、社内の業務手順を統一できるため、人的ミスも減らせるでしょう。
しかし、マニュアルの作成は時間と手間がかかることがデメリットです。
また、業務手順を変更した場合は都度マニュアルも更新しなければなりません。
小規模工務店はITツールの導入が効果的
ITツールの導入は業務の効率化に効果がありますが「ITツールの導入は大企業がするもの」と、決めつけてはいませんか。
小規模工務店こそITツールの導入による効果は大きいです。
ここでは、小規模工務店がITツールの導入により業務効率化をおこなえた例を中小機構のITツール活用事例から2つ紹介します。
会社奈々ホーム
株式会社奈々ホームは、正社員が3名いる岩手県一関市の地域に根ざした大工です。
株式会社奈々ホームは、原価管理・業務管理の見える化を目的に「レッツ原価管理Go」を導入しました。
ITツールを導入した結果、原価情報や予算実績管理など知りたい情報がリアルタイムに集計され、いつでもチェック可能となりました。
また、経営管理に必要な情報を手動でまとめる手間が減り、従業員だけでなく経営者の業務も効率化されています。
株式会社大塚工務店
株式会社大塚工務店は、正社員が11名いる静岡県藤枝市の工務店です。
株式会社大塚工務店は、顧客へのプレゼン資料作成業務の負担軽減を目的に、3次元CAD「MADRIC・AD-1」を導入しました。
ITツールを導入した結果、マイホームの詳細なイメージが顧客と共有でき、満足度と理解度の向上につながりました。
また顧客のマイホームに対しての理解度が向上した結果、提案から受注までの期間が短縮され、クレーム防止の効果も現れました。
【IT導入補助金】1/3のコストでITツールを導入する方法
IT導入補助金を活用すれば、通常かかる費用の1/3のコストでITツールを導入可能です。
ここでは、IT導入補助金の概要と適用される条件を解説します。
IT導入補助金とは、業務を効率化するITツールを導入するための費用を一部補助する制度です。
補助率は「3/4」または「2/3」となっており、導入するツールにより異なり、補助額は最大350万円となっています。
補助対象の事業者となるための条件は、複数ありますがここでは代表的な条件を2つ紹介します。
1つ目の条件は、中小企業・小規模事業者であることです。
中小企業・小規模事業者の定義は業種によって異なり、建設業は下記の条件どちらかに該当すれば、中小企業・小規模事業者と認められます。
- 資本金が3億円以下
- 常勤の従業員が300人以下
2つ目の条件は、gBizIDプライムを取得していることです。
gBizIDプライムとは、法人・個人事業主のための共通認証システム「GビズID」のアカウントの1つです。
アカウントは1つ取得するだけで、有効期限や年度更新は不要となっています。(2022年6月24日現在)
【参考】gBizID
その他の条件もありますが、難しいものはありません。
詳しくは補助対象について-IT導入補助金2024をご確認ください。
ITツールで効率化できる工務店業務
ここでは、ITツールの導入で効率化できる工務店業務を下記5つ紹介します。
案件・顧客管理
情報の一元管理により、案件・顧客管理を効率化します。
情報を1ヶ所に集約できていない場合、下記のように情報がバラバラになっている会社も多いでしょう。
- 案件の詳細はエクセル
- 顧客の氏名や住所は名刺
- 展示場などの来店記録は紙
情報がバラバラに管理されていると、必要な情報を探すのに手間や時間がかかります。
ITツールの導入で情報を一括管理できるため、案件・顧客管理の効率化が可能です。
見積り作成
見積り作成は、テンプレートの活用や過去の見積りの流用で効率化できます。
過去の見積りを流用できれば、経験の浅い方でも精度の高い見積りを作成可能です
また、頻出する工事や協力業者を項目名や単価を登録することもできます。
実行予算作成
実行予算作成は、同じ案件で見積り書を作成していれば、データを流用することが可能です。
データを流用すると、同じ項目や数字を何度も入力する必要がないため、人的ミスを防止でき、業務の効率化につながります。
施工管理
工事に関する情報をITツールに集約すれば、現場に行く回数を減らせ施工管理者の負担が軽くなります。
例えば、協力業者から施行箇所の写真を送付しもらえれば、事務所にいながら工事の進捗状況を把握可能です。
写真・書類管理
写真・書類は、顧客や案件に紐づけて自動整理できます。
手動で整理する必要がなくなるため、人的ミス発生しません。
また、情報が都度整理されるため、過去の案件を探す手間がなくなります。
IT導入補助金を活用できる工務店業務効率化ITツール
ここでは、IT導入補助金を活用できる工務店業務の効率化に役立つITツールを5つ紹介します。
サービス名 | サービス詳細 |
---|---|
AnyONE | ・工務店業務全般に対応 ・エクセルのような操作感 ・6年連続で支援業者に採択されている |
みつもり主任 | ・建設業界向けの見積り作成ソフト ・見積り作成を効率化する豊富な機能 ・見積りにカタログの写真を貼り付けられる |
工務店クラウドEX | ・工務店に特化したクラウド型基幹業務システム ・全ての業務の情報が連動する ・エクセルからのデータ移行が簡単 |
ANDPAD | ・クラウド型の工務店向け現場管理アプリ ・ゼネコンから専門工事業者まで使用できる ・アプリ上で顧客とコミュニケーションが取れる |
Photoruction | ・写真・図面に関連する業務に強みを持つ業務効率化サービス ・大量の工事写真を自動整理してくれる ・電子黒板の使用が可能 |
AnyONE(エニワン)
AnyONEは、工務店・リフォーム会社のための業務効率化システムです。
工務店業務全般に対応しており、どのITツールを選んだらよいか迷う方におすすめします。
操作感はエクセルに近く、ITツールに苦手な方でも問題なく使用可能です。
また、AnyONEを提供しているエニワン株式会社は、6年連続で支援業者に採択されています。
豊富な実績を持っているため、初めてIT導入補助金を活用する会社でも、安心して相談できる会社といえるでしょう。
詳しくは、AnyONEの機能や特徴、口コミ・評判を解説している記事をご確認ください。
みつもり主任
みつもり主任は、建設業界向けの見積り作成ソフトです。
下記のような見積り作成業務を効率化できる機能が搭載されています。
- 単価構成
- 端数処理設定
- 複数シートを並べて表示
- 単価マスター更新
- 過去データの参照
- 自動上書き保存
さらに、見積り書にカタログ社員を貼り付けられる機能もあり、視覚的にわかりやすい見積りを簡単に作成可能です。
詳しくは、みつもり主任の機能や特徴、口コミ・評判を解説した記事をご確認ください。
工務店クラウドEX
工務店クラウドEXは、工務店に特化したクラウド型基幹業務システムです。
工務店のあらゆる基幹業務に対応しています。
クラウド上で情報管理しており、一度入力電話登録された情報は、あらゆる業務に流用可能です。
また、エクセルからのデータ移行も簡単で、データ移行に手間はかかりません。
詳しくは、工務店クラウドEXの機能や特徴、口コミ・評判を解説した記事をご確認ください。
ANDPAD(アンドパッド)
ANDPADは、クラウド型の工務店向け現場管理アプリです。
ゼネコンや工務店からリフォーム会や専門工事業者まで、さまざまな業種で使用できます。
クラウド上でデータを管理しており、図面や工程表などの共有はすべてアプリ上で完結するため、電話・メール・FAXといった連絡手段は必要ありません。
また、アプリ上で顧客とコミュニケーションが図れるため、進捗状況の共有や図面の承認などをスムーズにおこなえます。
詳しくは、ANDPADの機能や特徴、口コミ・評判についての記事をご確認ください。
Photoruction(フォトラクション)
Photoructionは、写真・図面に関連する業務に強みを持つ業務効率化サービスです。
スマホやタブレットで撮影した工事写真は、自動で整理されるため、写真整理のための残業は必要ありません。
また、電子黒板を使用可能で現場で黒板を持ち歩くことがなくなります。
さらに「黒板の内容が間違っている」などの理由で、工事写真を撮り直す手間もかかりません。
詳しくは、Photoructionの機能や特徴、口コミ・評判を解説している記事をご確認ください。
まとめ
本記事では、10〜30人の工務店でも簡単に業務の効率化をおこなえる、業務効率化システムと導入コストを1/3に抑えられるIT導入補助金について解説しました。
ITツールでの業務効率化は「大手企業がおこなうもの」と思われがちですが、人員の少ない中小・小規模事業者こそITツールでの業務効率化をおこなうべきです。
IT導入補助金を活用すれば、導入コストを1/3とすることも可能で、資金に余裕のない会社でもITツールを使用できます。
本記事を参考に、IT導入補助金を活用して自社にあったITツールで、業務を効率化しましょう。
しかし「ITツールの種類が多すぎて自分では選べない」と悩む方もいるでしょう。
建築現場博士がおすすめする工務店・建築業界の業務効率化ソフトはAnyONEです。
導入実績2,700社超の業界No.1基幹システムで、国交省「第一回 長期優良住宅先導的モデル事業」に採択されています。
エクセルのような操作感で、レイアウトもマウスで変更できるため、ITが苦手な方でも簡単にお使いいただけます。
また、システムの導入後も徹底的なサポートを受けられるため、安心して運用できるでしょう。
大手・中堅企業様から一人親方様まで規模感を問わず、業務状況に合わせて様々な場面でご利用いただけます。