スマートシティとは「インターネット技術を活用した街づくり」といわれ、地域の利便性の向上や環境問題などをテクノロジーで解決することが目的です。
新型コロナウイルスの感染拡大により、AIやICTといった最先端のデジタル技術を活用したスマートシティ化が一気に加速しました。
本記事では、スマートシティと建築業の関係性について詳しく解説します。
目次
スマートシティとは
国土交通省もスマートシティに関する取り組みを推進し、注目を集めています。
スマートシティには、自動運転やAI、スマートホーム技術・ロボットなど人々の生活を支える技術が導入される予定です。
実例としては、トヨタが静岡県に「ウーブン・シティ(Woven City)」と呼ばれる実験都市、ソフトバンクが東京都港区に「Smart City Takeshiba」というスマートシティプロジェクトを発足させ、さまざまに開発が進んでいます。
スマートシティが注目される背景
スマートシティが注目される背景には、2つの課題があります。
- 都市部への人口集中問題
- 環境汚染問題
都市部への人口集中問題
地方・郊外の人口が流出し、都市部に集中しています。
交通渋滞のさらなる増加や待機児童、医療介護の負担増加などの副次的な問題が生じています。
環境汚染問題
自動車・工場などの排ガスによる大気汚染や、大気汚染による健康への影響などがあります。
2つの大きな課題を解決するための施策としてスマートシティが注目され、今後は国をあげての普及活動が活発に取り組まれるでしょう。
スマートシティを支える技術とは
スマートシティを実現させるためにはデジタル技術の導入が不可欠です。
以下で代表的なデジタル技術を3つ紹介します。
- センシング技術
- 通信技術
- AI技術
センシング技術
センシング技術とは、センサーを活用して気象状況や音声などを感知し、数値化する技術のことです。
気温を調べるためには温度計が必要でしたが、センシング技術を活用することで大気の温度を感知して「今日の気温は25℃」というように教えてくれます。
ほかにも体温や脈拍の計測によって一度に大勢の人の健康管理ができるなど、さまざまな分野での活躍が期待されています。
通信技術
通信技術とは、インターネットを活用した技術のことです。
近年では「超高速・低遅延・多数同時接続」が可能な5GやGPS機能といった通信技術が進んでいます。
スマートシティではあらゆるものがインターネットに接続されているため、通信技術の発達はこれまで以上に求められるでしょう。
AI技術
あらゆる情報をAIに組み込み、分析させることで、街全体の最適化を測ることが可能となるでしょう。
空港ではすでにセキュリティ対策としてAIが導入されつつあります。
街頭に設置されている防犯カメラにAIを導入することで、犯罪の防止や抑制につながり、安全な暮らしを手に入れることができるでしょう。
スマートシティの実現で得られるメリット
スマートシティが実現することで得られるメリットを3つ紹介します。
- 交通渋滞の緩和
- 防災対策
- 感染症対策
交通渋滞の緩和
スマートシティ化が進むことで、交通渋滞の緩和が期待されています。
人口が増え続けている一部の都市では交通渋滞が問題となっており、国土交通省の「渋滞対策の推進」によると、渋滞での経済損失は年間約12兆円にまで上るといわれています。
スマートシティが促進されることにより、交通量・交通事故といった情報をリアルタイムで分析することができるため、今後、渋滞解消を期待できるでしょう。
防災対策
スマートシティは台風被害やゲリラ豪雨といった土砂災害において有効的です。
AIがエリアごとの降雨量のを常に集約・分析することで、河川の氾濫予測や避難計画の立案などの災害対策を迅速に行うことが可能となります。
AIやICTなどのデータ活用型のスマートシティが進むことで、災害時に人手をかけることなく効率的に防災対策を行えるでしょう。
感染症対策
COS濃度を計測するセンサーが感染症対策として活用されています。
街全体の感染症対策をクラウド上で管理する「スマートシティ感染症対策統合プラットフォームSensorCorpus IC(InfectionControl)」が開始されました。
センサーでCO2濃度を計測し、室内の「密」を見える化することで換気を促す仕組みです。
すでにアプリで接触確認や濃厚接触の確認が行なえるようになっていますが、建物や公共施設などとシステムの連携がとれれば、施設の利用者や従業員の安心にもつながるでしょう。
スマートシティの課題点
スマートシティ化が進むことでわたしたちの生活に危険が及ぶ可能性もあります。
今後改善すべき課題点を確認しておきましょう。
- 監視社会
- サイバー攻撃
- 市場の独占
監視社会
ありとあらゆる情報が収集され、プライバシーを侵害されるのではないかと不安視されています。
スマートシティ化は街中にセンサーが張り巡らされたり、さまざまなモノがインターネットに接続されるため、国や自治体が個人を監視することが可能となってしまいます。
技術が発展することで生活の利便性・安全性は高まりますが、プライバシー保護が徹底された街づくりを行う必要があるでしょう。
サイバー攻撃
スマートシティ化を進めるうえで、サイバー攻撃への対策を徹底しなければなりません。
さまざまなモノがインターネットに接続されているため、サイバー攻撃によって機器・デバイスがハッキングされるリスクがあります。
「サイバー攻撃の最近の動向について -総務省」によると、2018年から2019年にかけて「不正アクセス」や「フィッシング届出件数」はいずれも2倍以上に増加しています。
クラウドシステムの利用が拡大していますが、セキュリティ対策を万全にしておかないとハッキングで情報が漏洩する危険もあります。細心の注意を払いましょう。
市場の独占
膨大なデータの活用を得意とする大手IT企業が、スマートシティ市場を独占するのではないかと懸念されています。
スマートシティの実現にはあらゆる情報をうまく活用できることが前提となるため、IT企業やICTに強い企業が有利でしょう。
しかし、一部の企業が市場を独占してしまうと健全な競争が阻害されてしまうため、市場の独占は望ましくありません。
建築業におけるDXとは
DXとはデジタルトランスフォーメーションの略語で、「既存のビジネスから脱却し、新しいデジタル技術を活用することによって、価値を生み出していくこと」です。
DXの環境整備の推進は、建築業が抱えている問題解決にはなくてはならない存在といえます。
ここでは建設DXを進めるメリットを3つ紹介します。
- 業務効率の向上
- 省人化の促進
- 技術の伝承
業務効率の向上
建設DXを導入することで業務効率が格段に向上します。
建築業ではいまだに電話や紙などのアナログ業務が多く、効率的とはいえません。
しかし、顧客管理・工程管理といった業務をクラウド上で一括管理することで、情報共有がしやすくなり業務の効率化を図れます。
省人化の促進
建築業界は「従業員の高齢化」や「離職率の高さ」といった労働力不足が深刻化していますが、建設DXを導入することで省人化を促進することができます。
- 危険作業を機械で行うことで、作業員の安全確保ができる
- 重機を遠隔操作・自動で行うことで、作業効率が向上する
建設DXにより省人化が進むことで、少ない人員でも効率的に業務を行うことが可能となります。
技術の伝承
デジタル技術を活用することで、熟練技術者の高度な技術を伝承することができます。
建築業界は新しい人材の確保が難しい状況です。これまでと同様に経験を積んで技術を習得していくほどの時間的な余裕はないでしょう。
AIに作業現場のデータや熟練技術者のノウハウを収集・解析することで、業務の見える化やデータ化が可能となり、全国各地の技術者に短い期間で技術を伝承することが可能となります。
まとめ
本記事では、スマートシティの概要や建築業との関係性を解説しました。
スマートシティ化が進むことで、生活の利便性が向上するだけではなく、建築業界における人材不足問題の解消が期待されていまが、セキュリティ面で課題が残されていることも理解しておきましょう。
スマートシティ実現のためには、建築業界でDXの導入成功が重要です。顧客管理や工程管理といった業務をクラウド上で一括管理することで、情報を共有しやすくなります。
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