工程の”見える化”は、近年業務効率化や建設DXの導入とともに重視されています。
工程管理において、現在の現場の作業進捗を共有するために必要です。
この記事では、工程管理における”工程の見える化”と方法、工程の見える化で得られる効果を解説します。
目次
工程管理における”工程の見える化”とは
工程管理において重要なことは、工程を見える化することです。
可視化で得られる効果を解説する前に、正しい工程管理の概要と工程管理の見える化とは具体的にどのような作業かを解説します。
まずは工程管理や可視化の概要を知り、その上で工程管理の可視化や効率化を考えていきましょう。
工程管理の概要
工程管理とは、工事における施工計画を立てて実行し、万が一遅滞がある場合は人員配備を変更するなどの調整をおこなうことです。
工事現場には、さまざまな業者がかかわっているため、工程管理をおこない全体の統率を取る必要があります。
スムーズかつ納期を厳守するためにも、工程管理は欠かせない要素です。
工程管理の概要や方法はこちらの記事で紹介しています。
工程の見える化とは進捗管理を可視化すること
工程管理の見える化とは、進捗を可視化してわかりやすく共有することです。
マネージャーが工程を管理して進捗を把握するだけでは、工程管理とはいえません。
監督が把握している進捗状況や工程の遅滞を現場に共有し、各自に作業の状況を認識させる必要があります。
そのためには、現場監督や管理者が分析した進捗状況を、誰でもわかるように図表で示さなければなりません。
工程表を作ることは基本です。
しかし、作った工程表を更新せずにそのままするのであれば、それは工程管理ではありません。
その後の進捗状況を目に見える形で工程表に反映させ、随時作業員に共有することが見える化といえるでしょう。
工程を見える化する方法
工程管理を見える化するためにはどうしたら良いのか、その方法を説明します。
一般的な建設業界の企業で使われている方法は、以下の3つの方法です。
工程を見える化するための工程表の作り方や、更新の方法を含めて解説します。
ホワイトボード・紙を使用
ホワイトボードに直接工程表を書き込む、または紙を使用して現場作業員に進捗を共有している企業も多いです。
ホワイトボートや紙を使用するメリットとデメリットを比較してみましょう。
双方のメリットは導入コストがないことで、特別な技術も要りません。
誰でも作成できるため、すぐにでも工程管理を始められます。
また、ホワイトボードは簡単に消して書き直せるため、更新も容易でしょう。
ただしあくまでも紙やホワイトボードはアナログな方法で、変更履歴やログが確認できません。
また、変更時に1から書き直しをしなければならないので二度手間な側面もあるでしょう。
紙やホワイトボードは持ち歩けないため、状況を随時更新して共有することは難しいです。
作業現場で進捗を確認したい場合は事務所まで戻らなければならず、作業員にとっては不便でしょう。
エクセルの共有機能
自社のパソコンにインストールされているエクセルを使って、工程表を作成することができます。
エクセルを使用して工程を見える化している企業も多いでしょう。
工程管理をエクセルでおこなうメリットとデメリットを比較します。
エクセルは操作し慣れている人が多く、また初心者でも項目を埋めるだけで工程表が作れるテンプレートも展開されています。
特に「AnyONE」では高品質な無料のエクセルテンプレートが展開されているため、参考にしてください。
また、基幹システムの導入が不要で、設定すればログも残せるのが特徴です。
多少知識は必要ですが、数式やマクロを活用することで高度な工程表を作って効率化できます。
デメリットとしてはリアルタイム共有ができないことでしょう。
社内ネットワークでは反映されても、外部からのアクセス自体が困難なため、リアルタイムで情報共有ができません。
進捗が変更されても、その情報は別途で伝える必要があり、情報共有の方法が分散化します。
エクセルの工程表は自社でマクロや関数を使って効率化できますが、知識がある人が少なく、やや難易度が高いので属人化しやすいこともデメリットでしょう。
工程表をエクセルで作成する方法や数式については、以下の記事で解説しています。
工程管理システムの導入
工程管理システムを導入して、工程管理を可視化することができます。
工程管理システムとは、工程表の作成や更新、また休日の自動判別機能などを効率化できるツールです。
導入にはどのようなメリットとデメリットがあるのか、比較していきましょう。
工程管理システムは休日自動判定などが設定でき、作業工程に対して自動で必要な日数を計算してくれます。
進捗もリアルタイムで更新し、外部端末で閲覧できるので作業員がいつでも自身の作業の進捗を確認できるのが大きなメリットです。
工程管理のみならず、建設業に関しての生産管理や帳票作成などの機能も付帯したオールインワン型のソフトを使えば、自社の情報を一元管理できます。
結果的に散乱していた情報をひとつにまとめられるため、作業も効率化するでしょう。
そして何より工程管理自体の作業を効率化して、誰でも見やすく見える化できます。
進捗の遅れなどから問題点を見つけて、自社の作業の効率をあげるアイデアを得られるでしょう。
工程管理システムの概要やおすすめのツールを知りたい方は、こちらの記事でも紹介しています。
工程の見える化で得られる効果
工程の見える化を意識すると、以下の4つの効果があります。
工程の可視化がいかに重要かを意識し、改善をおこなうと自社の作業効率も大きく変わるでしょう。
工程を可視化して管理・共有を効率化
工程を可視化すると、監督者も工程の進捗を管理しやすくなります。
まず作業の全体像が一覧化され、その進捗がチャートで確認できるため、直感的に作業の遅れや予定通りに進んでいるかを確認できるでしょう。
さらに、監督者が工程表を更新すればリアルタイムで進捗が共有され、作業員も納期に対して作業の遅れを認識できます。
口頭での共有や、紙での管理に比べて圧倒的にスピードが速く、効率的に進捗を管理できるでしょう。
工程の見える化で顧客満足度も向上
工程を見える化すると、納期の厳守につながります。
納期を守ることはクライアントからの依頼を受ける基本であるため、納期より早めに作業が完了すれば、クライアントからの好感度も上がるでしょう。
信頼関係を構築し、再受注にもつながるため、顧客との良好な関係の構築にも役立ちます。
自社の工程における問題点改善
工程を見える化すると、自社の工事が遅れている部分が明確となります。
その際に「遅れているから人材を補充しよう」と対応するだけでなく、なぜ工事が遅れたのかを考えることが大切です。
人材の補充に至る原因を究明すれば、そもそも人員が足りていなかったのか、作業部分でミスが起きたのかなど問題点が見えてきます。
根本的なフローに問題がある場合は、改善をおこなって自社の今後に活かせるでしょう。
労働環境の改善
工程を見える化することで、作業にあたる人員全員で納期を意識できます。
人は期限を決めないとダラダラ作業し、逆に納期が決まっているものに対しては迅速に行動する生き物です。
作業員が納期を意識して行動し、また管理者も工程を見える化して管理しやすくなるため、労働時間の短縮につながります。
長時間労働になりがちな建設業界ですが、業務効率化に伴って残業が減り、ライフワークバランスがとりやすくなるでしょう。
労働環境が改善されれば、若者や女性の雇用も容易になり、人員確保もできます。
工程管理を見える化する際に意識するポイント
工程を見える化して管理する際に意識すべきポイントを3つ紹介します。
工程管理を可視化すればなんでもうまくいく、というわけではありません。
工程を組み立てる段階や使用するツールも意識すれば、より仕事を効率的に実践できます。
作業内容を網羅できているか
まず工程表を作成する際にすべての作業を洗い出してから作成をしましょう。
作業内容が網羅できていなければ、工程表自体が正しくありません。
可視化は正しい情報を一覧化することから始まります。
すべての作業を書き出して、正しく納期を管理できるようにしましょう。
スケジュール設定に無理がないか
つい納期に対して早めの期日を設定したくなるのが心理です。
万が一の遅れや修正に対応できるよう、余白を空けたくなるでしょう。
しかし、スケジュールを立てる時点で予定を詰めすぎると、焦りのあまりミスが頻発するリスクがあります。
無理のあるスケジュールでは遅滞が当然発生しますが、その際の人員補充や予定修正の手間がかかってしまうリスクも。
まずは無理なくこなせるスケジュールを設定し、徐々に効率的におこなえる部分などを改善していきましょう。
従業員が操作しやすいツールか
工程管理を見える化するために、すでに工程管理ツールを導入している企業や検討している工務店もあるでしょう。
その際に重視して欲しいことは、操作性です。
従業員が使いづらいツールの導入は、社内でのツールの浸透を妨げてしまいます。
結果的に無駄な経費を払って全く無用のシステムを導入することになるでしょう。
事前に無料トライアルなどで操作感を確認し、自社の作業員にテストしてもらってください。
まとめ
工程管理を見える化すれば、全員で納期を意識して作業ができます。
また、効率的な工程管理がおこなえれば重責かつ仕事量が多い監督者の負担も減らせるでしょう。
工程を見える化して進捗管理し、自社の問題点を見つけてPDCAを回していけば業務改善にもつながります。
工程管理を見える化するためには、工程管理システムの導入がおすすめです。
しかし、どんな工程管理システムを選べば良いかわからない方もいますよね。
建築現場博士がおすすめする工務店・建築業界の業務効率化ソフトはAnyONEです。
導入実績2,700社超の業界No.1基幹システムで、国交省「第一回 長期優良住宅先導的モデル事業」に採択されています。
エクセルのような操作感で、レイアウトもマウスで変更できるため、ITが苦手な方でも簡単にお使いいただけます。
また、システムの導入後も徹底的なサポートを受けられるため、安心して運用できるでしょう。
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