「トライブリッドとV2Hは節電や停電対策に有効」だと認識していても、細かい違いを理解している方は少ないはずです。
どちらも節電や停電対策の効果がありますが、この2つには大きな違いがあります。
この記事では、トライブリッドとV2Hの違いとトライブリッドの仕組み、それぞれのメリットとデメリットをまとめています。
目次
トライブリッドとV2Hの違いとは?
電気自動車を活用した新しい電源供給方法であるV2Hについては、徐々に認知が高まっています。
さらに近年注目を浴びているエネルギーの確保方法が「トライブリッド」です。
新しい仕組みであるため、まだトライブリッドについての知識が浅く「施主へ自信をもっておすすめしづらい」と感じる工務店の方もいるでしょう。
ここからは、トライブリッドとV2Hの違いについて解説します。
トライブリッドは蓄電池とV2H、太陽光発電3つを活用する手法
トライブリッドとは、太陽光発電設備とV2H、蓄電池の3つの機器を連携させて電力を有効活用する方法です。
太陽光発電のみでは蓄電機能がありませんが、V2Hや蓄電池を取り入れれば発電した電力を貯めておき、必要なときに使用できます。
しかし、太陽光発電と蓄電池のみを併用した場合は家庭用蓄電池の電池容量が10kWh未満の製品が一般的であるため、貯めておける電力に限界がありました。
一方で太陽光発電とV2Hの併用は電気自動車の大容量のバッテリー(一般的に24kWh〜)を活用できるため、より多くの電力を溜めておけます。
さらに、電気自動車は移動手段としても活用できるメリットがあります。
しかし、電気自動車の使用中は蓄電ができないという弱点があり、電力を無駄なく活用するという観点からはやや不足がありました。
そこで新しいエネルギーの有効活用ソリューションとして「トライブリッド」が生まれました。
ソーラーパネルで発電したエネルギーを蓄電池、電気自動車のバッテリー双方に充電し、電気自動車使用中は蓄電池から家庭へ給電が可能です。
蓄電池の容量が満タンになれば電気自動車のバッテリーを蓄電池代わりに使用するなど、臨機応変に電池を貯める先を変更できます。
トライブリッドについてさらに詳しく知りたい方は、トライブリッドの概要やメリットをまとめた記事をご覧ください。
V2Hとは電気自動車を活用した電力確保の方法
V2HはV2H機器を経由して、家庭と電気自動車で相互に電力を行き来させるシステムです。
電気自動車と家庭用の電力は電流が異なるため、そのままでは電気自動車のエネルギーを家庭で使用できません。
しかし、V2Hシステムの導入により電流を変換し、電気自動車から家庭へ給電して家電を動かせます。
もちろん家庭から電気自動車への充電も可能です。
さらにV2Hシステムがあれば、万が一停電した際に電力復旧エリアまで電気自動車で移動し、給電スタンドで電力を家まで運べます。
V2Hの概要やメリットについてまとめた記事も、併せてご覧ください。
V2Hはトライブリッドの構成に欠かせない仕組み
V2Hとトライブリッドはまったく違う仕組みではありますが、トライブリッドにはV2Hシステムが欠かせません。
トライブリッドはV2Hと蓄電池双方の長所を取り入れた仕組みであり、この3つの中では最も節電、電力の有効活用効果が高いです。
トライブリッドを構成する3つの要素
トライブリッドを構成する3つの要素について、改めて理解しておきましょう。
太陽光発電システム
トライブリッドの要となるシステムが、太陽光発電です。
屋根に設置したソーラーパネルに日光が当たると、マイナス電子とプラス電子が発生し、それらが活発に動くことで電流を流し、電気を発生させます。
太陽光発電システムは太陽があれば発電できる再生可能エネルギーであり、環境にやさしい発電方法として注目されています。
太陽光発電の仕組みやメリットについてまとめた記事もご覧ください。
V2H
V2Hは電気自動車と家庭での電気の行き来を可能にする仕組みです。
通常家庭で使用する電流と電気自動車の電流は異なりますが、V2H機器を経由することで電流を変換し、家庭から電気自動車、電気自動車から家庭への給電が可能となります。
V2Hシステムの利用により電気自動車を急速充電でき、また停電時などには電気自動車のバッテリー内の電力を家庭で使用できる仕組みです。
トライブリッド蓄電池システム
トライブリッド蓄電池システムとは、トライブリッド専用の蓄電池システムです。
太陽光発電で作った電気を蓄電し、夜間や停電時に蓄電池から電気を取り出して使用できます。
トライブリッド蓄電池システムは一般的な蓄電池と異なり、電気自動車と組み合わせられます。
蓄電池にためた電気で電気自動車を充電するなど、従来できなかった電気の利用が可能となります。
トライブリッドのメリットとデメリット
トライブリッドとV2Hのどちらを導入するか、施主が迷っているケースも多いはずです。
工務店の営業担当としてトライブリッドの利点と欠点を理解し、施主に適切な電気活用法かどうか決断するサポートをしましょう。
トライブリッドのメリットは電力の自給自足
トライブリッドの導入で電力を完全に自給自足できる可能性があります。
太陽光発電で自宅で使用する電力をまかなえば、電力会社から購入するエネルギーは最小限に、うまく活用すれば0にできます。
さらに、トライブリッドは電気自動車のバッテリーと蓄電池の双方に電力を蓄えておけます。
蓄電池、電気自動車どちらか一方だけを導入するときよりも蓄電可能な容量は増えるため、停電対策を万全にしたいという方におすすめです。
トライブリッドのデメリットは導入価格の高さ
トライブリッドのデメリットは導入時のコストです。
選択する機器によって価格は異なりますが、トライブリッド蓄電池とパワーコンディショナー、V2H機器をセットで購入すると、約250〜500万円必要です。
さらに太陽光発電の導入に約80〜130万円必要であり、総額で約600万円のコストを支払わなければなりません。
できるだけ施主の負担を抑えるために、補助金についても理解しておきましょう。
トライブリッド機器は国や自治体の補助金対象となっています。
また、太陽光発電の設置費用を抑えたい場合は、リースを活用して初期費用を減らす方法もおすすめです。
V2Hのメリットとデメリット
次にV2Hのメリットとデメリットについて解説します。
トライブリッドのメリットとデメリットを比べて、理解を深めましょう。
V2Hのメリットは電気自動車を有効活用できること
V2Hのメリットは、電気自動車のバッテリーを蓄電池として使用し、電力を有効活用できる点です。
電気自動車のバッテリーは一般的に24kWh以上と、家庭用蓄電池10kWhと比べて2倍以上の電力を蓄えられます。
V2Hシステムの導入により、昼間太陽光で発電した電力を蓄えて夜間や停電時に使用できる点は大きなメリットです。
また、V2Hシステムを経由した電気自動車への急速充電も可能と電気自動車を使ううえでも便利な機能を利用できます。
V2Hのデメリットは電気自動車の購入の必要性
V2Hシステムのデメリットは、電気自動車が必須の仕組みである点です。
電気自動車は安い製品でも200万円以上と、ガソリン車と比べて高価です。
さらにV2H機器の購入費用と設置工事費用が上乗せされるため、導入には最低でも約400万円の費用がかかります。
もちろんV2H機器や電気自動車の購入には、補助金が活用できますが、電気自動車を所有していない施主にとっては車の買い換えという新たな負担が生じます。
V2Hシステムに対応した電気自動車の対応車種をまとめた記事もご覧ください。
トライブリッドとV2Hどちらを選ぶべきか迷った際の対処法
V2Hのメリットやデメリットは、トライブリッドに包括されます。
初期費用のみを考えるとV2Hの方が安価ですが、長期的な節電を考えるとトライブリッドの方が優れているといえるでしょう。
施主がトライブリッドとV2Hどちらを選ぶか迷った場合は、施主が一番実現したいメリットをヒアリングして、適切な手法をアドバイスしてください。
電気の自給自足を目指すならトライブリッド
施主が電気を自給自足したいと考えている場合は、トライブリッドがおすすめです。
V2Hシステムや蓄電池のみでは、電気の自給自足はできません。
トライブリッドであれば蓄電池と電気自動車のバッテリーを併用し、より多くの電力を蓄えられます。
日中にソーラーパネルで発電した電力を蓄えておき、夜間に使用すれば電力会社からの電気購入を0にできます。
初期費用は補助金や太陽光リースで抑制できるうえ、長期的に電気代がかからないと考えると経済的なメリットも大きいはずです。
電気の有効活用や停電対策のみが目的ならV2H
電気の有効活用や、停電対策が施主の目的であれば、V2Hがおすすめです。
V2Hの活用で電気自動車の大容量バッテリーを蓄電池代わりに使用し、節電や電力を効率よく使用できます。
施主が電気自動車を所有している場合は、V2H本体機器の購入と設置工事費用、太陽光発電設備の導入費用のみで導入が可能です。
さらに導入費用を抑えたい場合は太陽光リースを活用しましょう。
「Solacoe」の太陽光リースであれば、太陽光発電と併せて簡易V2Hの設置が可能です。
施主にとっての導入ハードルは大きく下がるため、ぜひ検討してみてください。
まとめ
V2Hとトライブリッドの違いやそれぞれのメリットを理解することで、施主に対して適切な電力有効活用方法を提案できます。
脱炭素のために国や自治体からも補助金が出るため、施主の負担を抑えることも可能です。
さらに太陽光リースを活用すれば、初期費用無料で太陽光発電設備の導入もできます。
しかし、工務店営業担当の方は「どの業者の太陽光リースが良いか」とお悩みのはずです。
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