太陽光発電の「やばい、やめたほうが良い」という口コミを読み、施主から「本当に導入しても良いのだろうか」と相談を受けている工務店担当の方もいるでしょう。
太陽光発電は決してやばいものではなく、節電効果や停電対策としての有効性は高いです。
この記事では、太陽光発電導入で起きる「やばい」こと、デメリットに対しての対策を解説しています。
目次
やめた方がいい?太陽光発電はやばくない
「太陽光発電はやばい」という声もありますが、結論からいえばやばくありません。
もっとも、太陽光発電の売電価格の低下や初期費用の高さなど、デメリットがあることは確かです。
しかし、長期的に太陽光発電の導入で得られる節電効果を考えると、十分に元が取れます。
さらに、日本に住んでいる限り避けられない地震や台風など、天災による停電の備えになる点も太陽光発電におけるメリットです。
太陽光発電導入で起こる「やばい」こと
太陽光発電を導入すると起きるやばいことは、以下のとおりです。
悪質な施工業者とのトラブル
太陽光発電設備の導入は、専門知識と技術をもつ施工業者と契約しなければなりません。
しかし、なかには悪質な業者がおり、相場以上の金額をふっかけたり、施工不良で工事のやり直しを余儀なくされることがあります。
優良な施工業者なら施工不良にすぐ再施工してもらえますが、悪質な業者だと何かと言い訳をつけて施工に応じないケースもあります。
太陽光発電設備を導入する際は業者の口コミなどを参考に、信頼できる業者へ委託しましょう。
契約内容に関する行き違い
太陽光発電を導入する際の契約内容に関してのトラブルも多いです。
たとえば、見積もり外の追加工事が発生し、費用を請求されるようなケースもあります。
また、業者の説明に専門用語が多いことから施主が契約内容を理解しておらず、言われるがままに契約して施主が施工後に「お得じゃない」と気づく場合もあるでしょう。
上記のような問題を起こさないために、工務店としては信頼できる施工業者の見極めが重要です。
太陽光設備の施工業者と工務店が提携する際は、口コミを確認するなどし、誠実な業者か確かめてください。
初期費用の高さ
太陽光発電設備は初期費用のあまりの高さから「やばい」といわれることがあります。
資源エネルギー庁のデータによると、太陽光パネルの価格は1kWあたり6.3万円です。(【出典】太陽光発電について|資源エネルギー庁)
一般家庭に適切な太陽光パネルは5kWであり、パネルの購入費用だけで31.5万円の費用が必要です。
さらに、パネル以外に工事費用や架台、蓄電池やV2Hシステムを導入するとなると、数百万円単位の予算が必要となります。
太陽光発電設備の初期費用は確かに高額ですが、国としては導入ハードルを下げるための補助金を用意していることも知っておきましょう。
また、新築時に太陽光発電設備を導入する場合は、住宅ローンに費用を組み込む方法もあります。
その他、初期費用を抑えたいならソーラーローン、太陽光リースの利用もおすすめです。
太陽光発電設備の初期費用については、以下の記事もご覧ください。
メンテナンスコストや手間
太陽光発電設備は導入だけでなく、メンテナンス時にも費用がかかります。
さらにメンテナンスの予約は施主自身が入れなければならず、予定を合わせて日程調整するなどの手間もかかるでしょう。
メンテナンスコストを抑えるには、太陽光リースの利用がおすすめです。
太陽光リースはリース料を払って太陽発電設備を設置するサービスで、メンテナンスはリース業者にて手配、実施します。
リース料にメンテナンス費用も含まれているため、別で費用を払う必要はありません。
太陽光発電のメンテナンスの内容については、以下の記事で紹介しています。
気象や立地による発電量の変動
太陽光発電設備の欠点は、気象や立地条件により発電量が変動することです。
太陽が出ていない曇りや雨の日は発電量が下がります。
また、日照時間の少ない地域、周囲に太陽光を遮る建物が多い場合は、期待したほどの発電量を担保できません。
しかし、優良業者であれば設置前に検査を実施して、おおよその発電量を伝えるはずです。
立地条件や設置角度によっても発電量が異なる旨を施主に説明し、施工業者の事前調査の結果を受けて設置を決めるように案内しましょう。
近隣からのクレーム
太陽光パネルが原因で近隣トラブルになるケースがあります。
太陽光パネルが発する反射光が隣家に差し込んだり、熱によって室温に影響を与えるためです。
近隣の住宅に明確な損害が出た場合は、損害賠償を請求されるリスクがあります。
ただし、近隣からのクレームも事前検証により防止が可能です。
設置角度の調整で反射光や熱は抑制できるため、事前検査の際に近隣への影響がないか確かめるよう施主に伝えておきましょう。
売電価格の低下
太陽光発電が日本で普及し始めた当時は、売電により収入が得られる点が魅力でした。
しかし、近年は売電価格が低下しており「元が取れない」という声もあがっています。
過去10年間の売電価格の推移を見ると確かに売電価格は低下しており、以前より売電収入を得にくくなっています。
年代 | 売電価格(10kW未満) |
---|---|
2014年 | 37円 |
2015年 | 33〜35円(※出力制御対応機器の設置義務の有無により異なる) |
2016年 | 31〜33円 |
2017年 | 28〜30円 |
2018年 | 26〜28円 |
2019年 | 24〜26円 |
2020年 | 21円 |
2021年 | 19円 |
2022年 | 17円 |
2023年 | 16円 |
2024年 | 16円 |
2014年と比較すると約半額になっていることから、多くの方が「太陽光発電はもうやばい」と言っています。
しかし、売電価格は0になっているわけではなく、また節電効果も考えると経済的なメリットは高いです。
長期的な目線であれば初期費用やメンテナンス費用の元を取れると考えて良いでしょう。
想定以下の節電効率
太陽光発電設備を導入したが、節電効率が悪い意味で「やばい」という人もいます。
確かに太陽光発電設備のみの導入では、思ったほどの節電効果が得られません。
太陽光パネルで発電できる時間は日中ですが、多くの家庭では夜間の方が電力使用量が多いためです。
どうやったら節電できる?明日からすぐに役立つ節電・省エネのヒント|資源エネルギー庁によると、多くの家庭では18時から電力使用量のピークが訪れるという調査結果が出ています。
日中に発電した電力を夜間に活用した方が、より節電効果が得られますが、そのためには蓄電池やV2Hシステムが必要です。
昼間に発電した電力を蓄電池や電気自動車のバッテリーに貯め、夜間に自家消費すれば電力会社から購入する電力量を抑えられます。
結果として電力使用量が削減でき、高い節電効果を得られるでしょう。
アフターサービスの質が低い
太陽光発電設備の導入後は、施工業者によるアフターメンテナンスがおこなわれます。
しかし、施工業者によってアフターサービスの質はまちまちで、なかには緊急時の修理や点検に来てくれない業者もいます。
アフターサービスの質が低いという問題は、適切な施工業者選びで解決可能です。
工務店の営業担当としてもアフターサービスの質を確認し、なるべく施主のメンテナンス面で手間のない業者を紹介しましょう。
廃棄コスト
太陽光パネルを廃棄する際のコストは、一般的に30万円が相場です。
取り外しの工事費用やパネル、設備の廃棄全般を含めた価格です。
太陽光パネルを導入する際にも費用がかかり、廃棄時もまとまったお金が必要という点は施主へ大きな負担となります。
施主が廃棄コストを気にしている場合は、太陽光リースの利用がおすすめです。
太陽光リースはリース期間終了後に買取、またはリース会社へ返却できます。
そのため、施主が太陽光発電設備の廃棄コストを負担する必要がありません。
太陽光発電の「やばい」は対策できる
太陽光発電には「やばい」と感じるようなデメリットがありますが、以下の対策によって施主の負担を減らせます。
適切な施工業者選び
費用面や契約内容、アフターメンテナンスに関するトラブルの多くは、施工業者選びによって発生します。
太陽光発電設備の施工業者に悪質な業者がいることは事実であるため、工務店として責任をもって優良な業者を選定しましょう。
優良な太陽光発電設備の施工業者とは、費用が明朗であり契約者としっかりコンセンサスを取れること、またアフターメンテナンスが丁寧な業者です。
口コミなども含めて調査し、施工業者を選定しましょう。
太陽光発電に関する補助金の利用
太陽光発電設備の導入時にかかる初期費用は、補助金の利用で軽減できます。
太陽光パネルの導入は自治体からの補助金利用も可能です。
また、節電効果を高めるための蓄電池やV2Hにも補助金が利用できます。
工務店としても補助金の知識をつけておき、施主への安心材料として案内しましょう。
太陽光発電設備に関する補助金は、こちらの記事で紹介しています。
太陽光リースの利用
太陽光発電設備のメンテナンスや廃棄費用、初期費用の高さを解決できるサービスが、太陽光リースです。
太陽光リースとは、太陽光発電設備一式をリース会社から借りて、自宅の屋根に設置できるサービスです。
初期費用0円での導入が可能で、メンテナンス費用もリース料に含まれています。
また、契約期間終了後はリース会社へ設備を返却できるため、廃棄コストもかかりません。
太陽光リースの概要は、以下の記事をご覧ください。
V2Hや蓄電池の併用
想定以下の節電効果の問題は、V2Hや蓄電池の併用により解決できます。
V2Hとは、電気自動車のバッテリーを蓄電池代わりに利用し、蓄電あるいは車から家庭への給電が可能となるシステムです。
蓄電池は、太陽光パネルで発電した電力を貯めておき、必要な時に活用できます。
上記の設備を導入すれば、日中発電したエネルギーを貯めておき、夜間や停電時に活用できます。
V2Hと蓄電池を導入する際も本体購入費用、設置工事費用がかかりますが、前述した補助金の利用により負担を軽減できます。
太陽光発電とV2H、蓄電池の併用メリットについては、以下の記事をご覧ください。
電力の自家消費
太陽光発電の売電価格は年々低下していますが、近年は電力を自家消費し売電に頼らない運用がトレンドです。
環境省の調査によると、1世帯が1年間に消費するエネルギーは4,175kWh、1日にして11.4kWhとなります。(【出典】家庭でのエネルギー消費量について | 家庭部門のCO2排出実態統計調査|環境省)
一般家庭に設置した太陽光パネルの発電量の目安は8.2〜13.7kWhであるため、蓄電池やV2Hを併用すれば自家消費のみで電力を賄うことも不可能ではありません。
(【出典】太陽光発電の1日あたりの発電量は?季節・地域別での違いも解説 – EV DAYS)
完全に電力を自家消費で賄えれば、毎月かかっている電気代がかからず大きな節約効果を得られます。
現在の電気料金目安である31円/1kWhを基準にすると、以下の金額を節約できます。
一方で売電した場合は、発電量の約35%を自家消費するといわれているため、売電で得られる収入は以下のとおりです。
13.7kwh×0.65×16円=142.48(1日)
月間:4,274円
年間:51,292円
以上の計算結果を比較すると、売電収入よりも自家消費した方が経済的なメリットは大きいことがわかります。
上記の計算例を使用して、自家消費すれば売電価格が下がっていても、経済的なメリットが得られると施主へ説明してください。
電力を完全自家消費するオフグリッド生活の実現方法やメリットは、こちらの記事で説明しています。
まとめ
太陽光発電がやばいといわれる理由はさまざまですが、節電効果や停電対策ができることを考えると、デメリットばかりではありません。
また、多くのデメリットは設置業者の選定や補助金の利用、太陽光リースの活用で解決できます。
工務店の営業担当として最も重要なことは、施主に親切な対応をしてくれる設置業者を選ぶことです。
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31円×11.4kWh=353.4円(1日)
月間:10,602円
年間:127,224円