工程表は、エクセルで作成されることも多いです。
使い慣れているツールのため、従業員の操作性もよく、また新しいソフトを導入する必要がありません。
さらにテンプレートを活用すると、効率的に見やすい工程表を作成できます。
ただし、エクセルでの工程表作成にはデメリットもあるため、双方を把握して効率的にエクセルで工程管理する方法を検討しましょう。
今回はエクセルで工程表を作成する理由や、エクセルでの作成が向いている工程表の種類、テンプレートを紹介します。
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目次
エクセルで工程表を作成するメリットとは

工程表は手書きやWordなどのツールでも作成できますが、エクセルを使用する場合は多いでしょう。
さまざまな表作成ツールがある中でエクセルを活用するメリットとデメリットを押さえ、最適なツール選定をおこないましょう。
エクセルで工程表を作成するメリット
エクセルで工程表を作成するメリットは以下の3点です。
従業員が使い慣れている
エクセルは工程表作成以外の業務でも使用していることが多いツールです。
また、新しいツール導入に抵抗がある方でも、長年なじみのあるエクセルなら使いこなせる人が多いため最も活用しやすいツールといえます。
編集の自由度が高い
エクセルで工程表を作るときはゼロから作ることができ、テンプレートを利用した場合も何度も修正することができます。
用途に合わせて関数の設定やデータのグラフ化など自由にカスタマイズすることが可能です。マクロを組んで自動化すると効率化を図ることも可能です。
連携できるツールが多い
エクセルと連携できる業務改善システムやカレンダーツールなどが多くあります。
新たなシステムを導入する際も、管理しているエクセルデータをそのまま活用できる場合が多いです。
導入コストを抑えられる
エクセルは多くの企業では既に導入されているため、新たに工程表作成ツールを購入する必要がなく、費用を抑えられます。
もしエクセルを導入する必要がある場合でも、ビジネス向けのMicrosoft 365は899円(ユーザー/月)から利用可能です。
エクセルで工程表を作成するデメリット
エクセル作成のデメリットは以下の3点です。
共有にタイムラグがある
原則エクセルは同じネットワーク内で作業している人にしか、同じ表を共有できません。
事務所内での共同編集作業は可能ですが、外出している人へ更新した工程表を共有するには、更新したエクセルをメールなどで共有する必要があります。
また事務所内で共同編集する場合でも、同じセルを間違って更新するなどのミスが起こり得るため、共同編集は避けた方が良いでしょう。
タイムラグなしで更新情報を伝えるには、スプレッドシートを使う方法もあります。
スプレッドシートなら、URLを共有している人員に素早く更新内容が共有されるため、タイムラグがありません。
ただし、オンラインで工程表を共有することとなり、セキュリティ面での懸念があります。
属人化しやすい
共通のフォーマットがない限り個人によって体裁がバラバラになることが多く、他の従業員のエクセルデータは扱いづらく感じます。
原則社内の工程表は雛形を作っておき、基準を合わせて運用しましょう。
また、ITスキルによって活用できる機能にばらつきが出るため、作成者以外が使えないデータになることも珍しくありません。
たとえば、エクセル管理者が休むとエクセル表の更新ができないなどの事象が起こり得ます。
特にデータを引き継ぐ際は次の人が扱いやすい工夫や擦り合わせの時間が必要です。

紛失やデータ破損のリスクがある
エクセルで工程表を作ると、紛失やデータ破損リスクがある点に注意しましょう。
ITスキルが足りない社員が工程表をいじると、データを破損させたり、入力してある関数を消してしまう可能性があります。
また、更新時に誤ってファイルを削除する可能性もあるため、データのバックアップを常時取っておくなどの対策が必要です。
エクセルは便利ですが、紛失・データ破損リスクがある点を踏まえて、編集権限を設けるなどの対策を取っておきましょう。
最新版の把握が困難
複数のファイルを作成すると、どのファイルが最新版なのか把握することが難しくなります。
原則エクセルは上書き保存し、過去のファイルは別シートに分けて保管するなど最新版がわからないような運用方法を検討しましょう。
作成できる工程表の種類が限られる
マクロや関数を使用しなければ作れない工程表もあります。
マクロや関数に詳しい人材が社内にいない場合は一から新規の工程表を作成したり修正することが難しいでしょう。

エクセルで作成しやすい工程表の種類

工程表は目的や作業内容により作成すべき種類が異なります。
また、それぞれの工程表に合った作成ツールを使用することで作成を効率化できるでしょう。
ここでは工程表の種類ごとにエクセルとの互換性を比較します。
工程表の種類と互換性
工程表は大きく分類すると、下記の4つに分けられます。
- 横線式工程表
- 曲線式工程表
- 出来高累計曲線
- ネットワーク式工程表
それぞれの工程表の種類と互換性については以下の表の通りです。

工程表の中でエクセルで作りやすい種類は、バーチャート工程表とガントチャート工程表です。
バーチャート工程表・ガントチャート工程表の作成例と、特徴を解説します。
バーチャート工程表の作成例
バーチャート工程表は作業ごとにかかる時間を表した以下のような表です。
全体のスケジュールや手順をつかみやすい特徴があります。
また施工内容が一覧で確認できるため、工程の漏れを防いで計画的に工事を進められます。
日数ごとにマスを設け、予定日数を棒で表す仕様のため、比較的エクセルでも簡単に作成できる工程表です。

バーチャート工程表の概要や作り方、メリットについては以下の記事で解説しています。
ガントチャート工程表の作成例
ガントチャート工程表は作業ごとの進捗を表した以下のような表です。
それぞれの工程の進捗や各工程の関連性が分かりやすい特徴があります。
直感的に工程の進捗を把握できるため、現場作業員が今どの程度工事が進んでいるか把握するためにも役立ちます。
進捗の度数ごとのマスを分け、作業ごとにかかる時間を棒で表し、作業が進むごとに棒の長さを更新する仕様のため、エクセルを用いて作成することが一般的な工程表です。

ガントチャート工程表の作り方や利用メリットは、以下の記事で紹介しています。
分かりやすいエクセル工程表作成のポイント

誰にでも分かりやすいエクセル工程表作成のポイントを3つ紹介します。
作業担当者と作業内容を明記
まずエクセル工程表には作業担当者と内容を明記します。
作業担当者と内容が記載してあれば、誰でも「〇〇さんがAの作業をしている」と理解でき、作業の割り振りや終了後の次の作業を決めやすくなります。
残り日数を表示させる
長期にわたる工事の場合は、最終工期の日付まで後何日かカウントダウンを入れておくと良いでしょう。
残り日数を正しく把握すれば、作業員もより日数を意識して仕事ができます。

「DAYS」関数を使えば、簡単にカウントダウンを任意のセルへ表示できます。
=DAYS(終了日,TODAY())
今日を基準として、工期終了日まで後何日をカウントするか数える数式です。
図形の挿入機能で矢印等を挿入する
工程と工程の繋がりをわかりやすくするために、図表を使う方法もあります。
エクセルの「挿入」から、図表の挿入を選び、任意の図を選びましょう。

今回は矢印を選び、関連性の高い工程をつないでみます。

作業②が終わってから作業③に取り掛かる必要がある場合に、上図のように矢印を挿入しておくと関連性がわかりやすいです。
エクセルは表だけでなく図表の挿入も可能なため、適宜利用して分かりやすく仕上げましょう。
マクロや関数を活用する
エクセルを使って工程表を作成するときは、マクロや関数の活用がおすすめです。
マクロや関数を活用すれば自動計算や自動更新などができるため、担当者の作業効率を大幅に向上できます。
管理作業の負担軽減につながるので、スムーズに工程表管理ができるようになります。
ただし、マクロや関数の活用には専門的な知識が必要になるため、担当者は学習しなければいけないでしょう。
エクセルの工程表管理するときの注意点

エクセルの工程表管理するときは、以下のような点い注意してください。
属人化に気をつける
エクセルを使って工程表管理できる人が限られていると、工程表の業務が属人化する恐れがあります。
特定の従業員に負担が増えると、担当者の休職や退職につながってしまいます。
現場の属人化を回避するには、業務フローを作成して担当者以外も対応できるようにすることが大切です。
担当者の負担を軽減しながら、属人化させない取り組みを実施するようにしましょう。
エクセルとパソコンのバージョンに注意する
エクセルはバージョンによって仕様が異なるため、古いバージョンで作成するとほかのパソコンで開けないことがあります。
レイアウトが崩れてしまったり、マクロや関数がエラーしたりする可能性も高いです。
エクセルで工程表管理をおこなうときは、複数の環境で対応できるようにパソコンのOSやエクセルのバージョンを調査して互換性のあるものを使うことが大切です。
更新漏れに気をつける
エクセルで工程表管理をおこなう場合、進捗状況に合わせて更新が必要です。
工事の規模が大きくなると更新漏れの恐れがあるため、担当者は定期的に更新することが大切です。
工程表の更新漏れを防ぐには、各現場で更新担当者を決めたり設定した時間帯に更新したりとルール作りをするようにしましょう。
【2024年最新】初心者でも使いやすい!エクセルの無料テンプレート

関数やマクロを使ってイチから作成し自由に作成することも可能ですが、簡単に作成できる無料テンプレートの活用もおすすめです。
業務内容や目的に応じて、使いやすいテンプレートを選びましょう。
AnyONEの住宅業界・工務店専用テンプレート

AnyONEのテンプレートには下記の4つがあります
- 御見積書
- 工事請負契約書
- 工程表
- 工事台帳
A3・A4印刷に対応しており、ダウンロード形式はPDF対応が可能です。
住宅業界や工務店に特化した仕様となっており、カスタマイズの手間もほとんどなく導入をスムーズにおこなえます。
特に工程表のテンプレートは非常に見やすく、工程や日付を変えるだけですぐに利用できます。
従業員からも見やすい仕様となっており、混乱なく現場に取り入れられるためおすすめです。
Excel Pro 工程表

月間や年間などさまざまな期間に対応した工程表が簡単に作れるテンプレートです。
工程の開始日と終了日を入力すると、工程期間線が自動表示されます。
また、指定した年・月に合った、瞬時に日メモリと工程期間線が表示されるため、月が替わった時の工程表の作り直しの手間が省けるでしょう。
bizroute 工程表テンプレート

シンプルな工程表で、自分の使いやすいように修正できることが特徴のテンプレートです。
細かく設定する必要がある現場にはあまり向いていません。
また、自由度が高い分工程期間線などは自分で引く必要があります。
比較的シンプルな工程表が欲しい方、1年間など長期用の工程表テンプレートが欲しい方へおすすめです。

アイピア 工程表テンプレート

建築業界向けの施工管理システム「アイピア」も、工程表の無料エクセルテンプレートを公開しています。
工事工程表のテンプレートの種類が非常に多く、短期間の1カ月用テンプレートから半年間のテンプレートまで、期間に合わせて選べる点が特徴です。
ガントチャート、バーチャートからテンプレートを選べるため、使いたいエクセルテンプレートを選んで入力内容を追記するだけで、すぐに工程管理を始められます。
エクセル以外で工程表を作るには工程管理ツールがおすすめ

エクセルでの工程表作成は便利ですが、機能面で限界があることは確かです。
数式やマクロの知識がない場合は、全て手動でセルに色を付けたり日数を計算しなければなりません。
より効率的な工程表作成や修正をしたい場合は、工程管理ツールがおすすめです。
工程管理ツールとは、ツール上で工程表を自由に作成し、修正できるツールです。
基準となる日付を入力すれば、自動的に土日祝日に色を付けたり、ガントチャートを作成できます。
修正も該当箇所をクリックして日付を修正するだけで済むため、エクセルのように人為的なミスが発生しません。
おすすめの工程管理ツールが知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
工程表をエクセルで作成する方法についてのよくある質問

工程表をエクセルで作成する方法についてよくある質問の回答を紹介します。
まとめ
今回は工程表をエクセルで作成する理由やエクセルでの作成が向いている工程表の種類を解説したうえでテンプレートを紹介しました。
工程表は施工管理において土台となる重要な資料です。
テンプレートを利用して工程表作成すれば、工数をかけずに分かりやすいデザインの工程表が作れて施工管理がスムーズになるでしょう。
現場に出ている時間が長い期間でも簡単に工程表作成ができ、事務作業の負担を減らすこともできます。
エクセルテンプレートの使用よりも、より効率的に工程表を作成・管理したいなら、工務店向けの業務効率化ソフトがおすすめです。
過去の工程表を参考にワンクリックで新規の工程表を作成できたり、工程のズレをかんたんに修正できるなどエクセルテンプレートではできないような機能が備わっています。
建築現場博士がおすすめする工務店・建築業界の業務効率化ソフトはAnyONEです。
導入実績2,700社超の業界No.1基幹システムで、国交省「第一回 長期優良住宅先導的モデル事業」に採択されています。
エクセルのような操作感で、レイアウトもマウスで変更できるため、ITが苦手な方でも簡単にお使いいただけます。
また、システムの導入後も徹底的なサポートを受けられるため、安心して運用できるでしょう。
大手・中堅企業様から一人親方様まで規模感を問わず、業務状況に合わせて様々な場面でご利用いただけます。
