エクステリアとは、工作物や構造物などを含んだ外部空間のこと。
エクステリアはデザインが多種多様で「施主様に対してどのように提案をしたらいいのか、自信がない」という方もいるでしょう。
施主様の中には、下記のような庭の使い方をイメージしている方もいます。
上記のような施主様のイメージを汲み取って提案をおこなうと、施主様に納得してもらえ家づくりのプロとして信頼されるでしょう。
本記事では、エクステリアの基本的な知識、施主様の要望に合わせた最適な提案例を解説します。
目次
エクステリアとは
エクステリアとは工作物や構造物などを含んだ外部空間のことです。
エクステリアは、カーテン・カーペットや家具を含めた内部空間を示すインテリアの対義語として使われています。
外構とエクステリアの違い
「外構」と「エクステリア」では、言葉が意味する範囲が異なります。
門扉・門柱や塀・フェンスなど建物周りの工作物自体のことを指す「外構」に対して、「エクステリア」は建物周りの外部空間全体のことを指します。
「エクステリアを構成する物の一部として外構がある」というイメージです。
エクステリアのデザインスタイル
エクステリアのデザインスタイルには、下記の3種類があります。
- オープンデザイン
- クローズデザイン
- セミオープンデザイン・セミクローズデザイン
施主様の希望や建物を建てる敷地の広さ、周囲の環境によって最適なデザインスタイルは変わってきます。
デザインスタイルごとの特徴を把握して、施主様に最適な提案をおこなえるようになりましょう。
オープンデザイン
オープンデザインとは、門扉・門柱や塀・フェンスなどで建物の周りを囲わずに、開放感を持たせるデザインスタイルのことをいいます。
オープンデザインのメリットは下記の3つです。
- 開放感を出せること
- 建物の周りを囲わないため金額を抑えられること
- 都会のような狭い敷地でも圧迫感が少ないこと
しかし、外部からの視線を遮る物を設置しないデザインスタイルのため「対策を講じないとプライバシーが守られない」デメリットもあります。
対策としては「窓の前に樹木や植栽を植えて最低限の視線を遮る」などの方法が考えられるでしょう。
クローズデザイン
クローズデザインとはオープンデザインとは対照的に、建物周りを門扉・門柱や塀・フェンスなどで囲い、重厚感を出せるデザインスタイルのことをいいます。
クローズデザインのメリットは下記の3つです。
- 重厚感を出せること
- 建物が囲われているためプライバシーを守れること
- エクステリアのデザインを楽しめること
しかし「一度外部からの侵入者を許してしまうと、侵入者に気付きづらい」という防犯上のデメリットがあります。
「防犯カメラ」「人感センサー付きの照明」を設置など、対策が必要です。
また建物全体を囲うため、オープンデザインよりも費用が掛かります。
施主様の希望と予算を考慮した、バランスの良い提案をおこないましょう。
セミオープンデザイン・セミクローズデザイン
セミオープンデザイン・セミクローズデザインとは、オープンデザインとクローズデザインの特徴を併せ持ったデザインスタイルのことです。
セミオープンデザインとセミクローズデザインの両者に明確な違いはありません。
デザイン例としては「見られたくない場所にだけ塀やフェンスを設置する」「建物を囲う物を高さは低くする」などがあります。
セミオープンデザイン・セミクローズデザインのメリットは下記の3つです。
- 開放感とプライバシー保護とのバランスが取りやすいこと
- エクステリアのデザインを楽しみやすいこと
- オープンデザインとクローズデザインどちらへのリフォームもおこないやすいこと
オープンデザインとクローズデザインの良いとこ取りができるセミオープンデザイン・セミクローズデザインですが「中途半端になりやすい」デメリットもあります。
良いとこ取りをしたつもりが「プライバシーは守られない」「開放感がない」「メリットを感じない割に費用が掛かる」という状況になりうるかもしれません。
中途半端にならないためには、設計段階から施主様としっかり打ち合わせして、完成後のイメージを共有することが大切です。
エクステリア建材の種類
エクステリアはさまざまな要素で構成されており、施主様の要望や敷地条件によって提案は変えなければなりません。
施主様に喜ばれる提案をおこなうために、主要なエクステリア建材の下記8種類を理解しておきましょう。
門扉
門扉(もんぴ)とは文字通り「門の扉」のことで、初めに来訪者を出迎える「玄関の顔」です。
外部との境界線を示す効果もあり、防犯の役目もあります。
門扉の開き方には下記の3種類があり「どのような住宅に見せたいのか」「ライフプランをどのように考えているか」「門扉に使用できるのスペースはどのくらいか」などを考慮して、門扉の開き方を決めましょう。
- 内開き:外部から住宅側に向かって開くタイプ
- 外開き:住宅から道路側に向かって開くタイプ
- 引き戸:横方向にスライドさせるタイプ
門柱
門柱(もんちゅう)とは、玄関先に設ける独立した壁状の構造物のことです。
表札・ポスト・インターホン・郵便受けなどを取り付けます。
門扉と同様に外部との境界線を示すことが可能です。
門柱の素材は「コンクリート・ブロック・タイル・レンガ・木」と多様で、デザインを決める際は門扉や塀やフェンスとの相性を考えて、チグハグな印象にならないように注意しましょう。
塀
塀とは、外部と敷地の境界線に設けられる連続した囲いのことです。
背の高い塀を設置すれば、外部からの視線を遮れるためプライバシー保護もおこなえます。
塀の素材は下記の種類があり、家の雰囲気や周囲の環境を考慮して施主様に提案しましょう。
- ブロック
- コンクリート
- レンガ
- タイル
- 土
- 石
フェンス
フェンスは柵・囲いのことで、塀と同様に敷地外と敷地内の境界線を示す役割があります。
境界線を示すだけでなく、フェンスの背を高くすれば外部からの目線を切ることも可能です。
フェンスの素材はさびに強いアルミが一般的ですが、アルミ鋳造や木や樹脂なども使用できます。
門扉や門柱との調和を考えて、素材や形状・デザインを選ぶようにしましょう。
カーポート
カーポートとは、車を日差しや雨・雪から守る車庫のことです。
カーポートがあれば、雨が原因の汚れや鳥のふんから車を守れるため洗車などメンテナンスの負担が軽くなります。
カーポートを設置する際は、現在だけでなく将来を見据えた計画が大切です。
- 夫婦で1台ずつ車を所有する
- 子供が産まれたらワゴン車の購入を予定している
- 車だけでなく自転車も置いておきたい
上記のようなことを考慮した上で、車の出しやすさやドア・トランクの開閉スペースなども考えてカーポートの設置計画を立てましょう。
デッキ
デッキとは部屋のリビングの床高さとほとんど段差のない外部スペースのことです。
リビングの延長として使われ、BBQやティータイムなどを楽しみたい方におすすめします。
デッキの素材には、木やタイルが使用されることが多いです。
木製のデッキを「ウッドデッキ」と呼びます。
木を使用しているため、木が持っている温かみのある印象が特徴です。
ウッドデッキはカビやシロアリが発生しやすいため、定期的なメンテナンスが必須となりランニングコストも考慮した上で採用しましょう。
メンテナンスの手間や費用が気になる方には、人工木を提案することも検討してください。
タイルを使用するデッキは「タイルデッキ」と呼びます。
ウッドデッキと対照的に、掃除が簡単におこなえメンテナンスの手間が掛かりません。
タイルを使用しているため、火や汚れに強くBBQやホームパーティーを楽しみたい方におすすめです。
しかし、タイルの特性上雨などで濡れると滑りやすくなるため、小さい子供がいる方へ提案をおこなう際は、デメリットもしっかり説明しましょう。
テラス
テラスとは、地面より一段高くなったスペースのことです。
室内からそのまま外へ移動できるようになっています。
テラスは「テラス屋根を設置し洗濯物干しのスペース」「家具を設置した第2のリビング」のような使い方をされることが多いです。
テラスと言っても、施主様の目的によってテラスの仕様は変わります。
施主様がテラスに求めていることを理解した、提案をおこないましょう。
エクステリアライト
エクステリアライトは、防犯上の役割だけでなく建物の印象を柔らかくする効果があります。
「表札や郵便受けを照らし夜でも見えやすくする」といった実用性を重視した使い方から「花壇やガーデニングを照らして建物を引き立たせる」など、使い方はさまざまです。
施主様に最適なエクステリア・庭を提案
最適なエクステリアは施主さまのライフプランや要望、敷地の条件や周囲の環境によって変わります。
施主様の要望別にエクステリアの提案例を下記5つ紹介します。
- ガーデニング
- 和風
- 食事・BBQ
- 子供・ペットの遊び場
- 防犯
施主様に喜ばれる提案例を知りたい方は、参考にしてください。
ガーデニング
「ガーデニングは広い庭がないと、十分に楽しめない」と考える方も多いのではないでしょうか。
もちろん広い庭でガーデニングをおこなう楽しみ方もありますが、狭い庭でも工夫次第でガーデニングを楽しむことは可能です。
例えば、上記画像のように花を絡ませられるタイプのフェンスであれば敷地の広さに関係なくガーデニングを楽しめます。
植木鉢を掛けられるフェンスを選べば、いろいろな花を育てることが可能です。
敷地に余裕があれば、芝生張り・乱石貼りや植栽などを組み合わせて見応えのあるガーデニングも行えるでしょう。
和風
和風の庭というと、日本庭園のような広い敷地を贅沢に使用した見応えのある庭を思い浮かべる方も多いでしょう。
現在はさまざまなエクステリア建材があり、庭の一部を和風にして雰囲気を変えることも可能です。
例えば、門扉から玄関までの通り道である「アプローチ」を砂利敷と庭石を組み合わせて作るだけで、和風の雰囲気を出せるでしょう。
敷地と予算に余裕がある場合は「フェンスの素材に竹を選び、砂利敷や植栽、庭石」を組み合わせると日本庭園のような庭を作れます。
食事・BBQ
庭で食事や軽食、ティータイムを楽しみたいならウッドデッキの設置をおすすめします。
木の温かみを感じられるウッドデッキは、家族や友人を招待してのホームパーティーや安らぎを求めるティータイムにぴったりです。
さらに予算に余裕があれば、屋根の設置で雨天時でもウッドデッキを活用できます。
BBQを楽しみたい方には、タイルデッキがおすすめです。
タイルは木と比較して火に強く、BBQ中に汚れがデッキに付着しても掃除が簡単でメンテナンスに手間が掛かりません。
敷地に余裕があれば、庭の一部を砂利敷にすれば大人数でのBBQにも対応できるでしょう。
子供・ペットの遊び場
庭を安全な子供やペットの遊び場にしたい場合は、下記のエクステリア建材の設置をおすすめします。
- フェンスを設け道路に飛び出せないようにする
- 日除けを設け日差しを遮れるようにする
- 芝生を張り、子供やペットが走り回れるようにする
防犯
安心してマイホームに住み続けるためには、防犯対策をしっかりおこなうことが重要といえます。
監視カメラや人が近づくと反応するセンター付き照明の設置が、安価におこなえる防犯対策です。
さらに「塀やフェンスを高くする」「門の前にシャッターゲートを設置する」などすれば、敷地内に侵入しづらくなります。
まとめ
本記事では、施主様に最適なエクステリアを提案するための知識と提案例を解説しました。
エクステリアの正解は、施主様の要望や周囲の環境によって異なります。
最適な提案をおこなうためには「エクステリアの知識を身に付けること」「施主様との綿密な打ち合わせ」の2つが重要です。
しかし忙しい業務の中で「勉強時間の確保すること」「施主様との打ち合わせ内容を完璧に記録すること」はとても難しいと考える方が多いでしょう。
上記のような悩みを解決するために、業務効率化システムの導入を検討してはいかがでしょうか。
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