建設業は、紙を使ったやりとりや手続きが多く、従業員の負担も大きいため電子化が求められています。
この記事では、なぜ建設業で電子化が求められるのか、電子化でどういったメリットが得られるのか、電子化を図る際の注意点などについて解説します。
電子化は、建設業の人手不足改善につながります。
業務効率化を図りたい、人手不足に悩んでいるといった企業の担当者は参考にしてください。
目次
紙の手続きが多い建設業
建設業界は発注の仕組みや業務で使う資料などの影響から、紙による手続きが多いです。
例えば、案件は元請けから一次請け、二次請けとピラミッド構造で発注されており、このピラミッド構造の中では各業者間で、見積書や契約書、請求書などが書面でやりとりされています。
また、工事に伴い発生する検査で必要となる書類、建物の図面などは紙で作成され、そのまま作業に用いられることが一般的です。
多くの業界でデジタル化に伴うペーパーレス化が進められている中で、建設業界の紙文化は大きな課題といえます。
建設業で電子化が求められる理由
建設業界で電子化によるペーパーレスを求められる理由の1つは、紙の使用による業務効率の低さを改善するためです。
紙に依存した業務では、資料の印刷や管理、必要な書類探しなど非効率な作業が発生します。作成した資料にミスが見つかれば、作り直して再度印刷しなければなりません。資料を現場で使用するために持ち運ぶことも手間となります。
建設業界は契約書や見積書、図面、工程表などの資料を頻繁に使います。こういった紙文化は従業員の業務効率を大幅に低下させる要因となっています。
また、建設業界は長年人手不足が課題となっていますが、ただでさえ人が少ない中で、業務で紙を使用すると従業員の負担は大きくなるはずです。
少ない人員で効率よく業務に取り組むには、電子化によるペーパーレス化が必要不可欠です。電子化に取り組みたい方は、帳票の電子化について解説している記事を参考にしてください。
電子化で得られるメリット
企業が電子化を推進することで得られるメリットはさまざまです。主に3つのメリットがあります。
業務効率化
電子化でペーパーレスが実現すると、印刷や押韻、持ち運びといったさまざまな手間が省け、業務効率化につながります。
例えば、スマートフォンやパソコンで常に資料を確認できるようにしておけば、印刷をする必要がありません。
また、電子化したデータをクラウドサービスに保管することで、現場や取引先からでもスマートフォンを使って資料にアクセス可能です。
紙の場合、資料を確認するだけでも大きな手間がかかっていましたが、電子化が実現すればそのような手間は全て無くなります。
万一、資料にミスがあったとしても、当該箇所を修正するだけで印刷し直す必要がありません。
コストカット
電子化で業務効率化が実現すると、従来の業務を少ない人員で対応できるようになる可能性があり、人員を減らし人件費をカットすることを期待できます。
また、電子化で紙の資料を印刷する機会が少なくなると、紙代・インク代など印刷にかかるコストカットにもつながります。
そのほかにも、紙の資料は保管スペースが必要となりますが、電子化すればスペースは不要で保管にかかるコストも削減可能です。
情報セキュリティの強化
電子化は、「紙の資料のように持ち運んで紛失し情報が漏洩する」、「保管中に火事が起こって消失する」といったリスクがないため、情報セキュリティの強化につながります。
また、電子資料を管理するシステムによって閲覧権限を設けることもできるため、業務に関係ない人が資料にアクセスする心配もありません。
クラウド型のシステムで管理すれば、万一パソコンやスマートフォンが壊れても、インターネット環境さえあれば他の端末からアクセスできるため安心です。
電子化に向けてできること
企業は電子化に向けてさまざまな取り組みをできます。具体的な取り組みとして以下3点を紹介します。
電子契約書の利用
2001年に建設業法が改正されたことで、電子契約書の利用が建設業界でも認められるようになりました。
実際に契約書・見積書など資料の電子化はすでに各工務店でも進んでいます。
電子契約書を利用することで、書類への押印や印刷、郵送の手間などが不要となり、顧客とのスムーズなやりとりが可能となります。
クラウドサービスの利用
建設業界では作成・管理する資料が多いため、クラウドサービスなど大容量のデータ保管に対応しているサービスの利用もおすすめです。
クラウドサービスは、基本的にインターネット環境さえあれば利用でき、現場からスマートフォンで簡単にチェックできます。
また、資料をリアルタイムで共有できます。例えば社内で誰かが修正した資料を、外出先からリアルタイムで確認することも可能です。
建設業の場合、図面や工程表など、資料が修正される場合がよくあり、修正のたびに情報共有することは大きな手間でしたが、クラウドサービスを利用することで手間も軽減されるはずです。
電子納品
建設業では、工事の写真や図面などを顧客に提出することもありますが、これらを電子成果物として電子納品することでより業務効率がアップします。
これまで資料は紙での納品が一般的でしたが、書類作成や保管に手間がかかるため、国土交通省も電子納品を推奨しています。
電子化に移行する際の注意点
電子化によって得られるメリットはたくさんありますが、電子化に移行する際には、従業員のICTリテラシーやスペックに注意しなければなりません。
従業員の中には、ICT機器に疎く、パソコンやスマートフォンの操作が苦手な人もいます。
彼らの存在を無視して電子化に移行したとしても、現場で十分に使いこなせないため、期待するような成果をあげられません。
導入にあたっては、実際に使用する従業員のスキルを把握し、必要に応じて研修などをおこなってください。
建設業における電子化の事例
建設業では、さまざまな場面で電子化が進められています。
具体的な例としては以下のようなものが挙げられます。
これらの手続きが電子化されることで、申請時の手間も大幅に軽減されるでしょう。
まとめ
今回は、建設業界の電子化について、電子化が求められる理由や電子化によるメリット、電子化に向けてできる具体的な取り組みなどを紹介しました。
建設業界は、紙文化が浸透しており、図面や契約書、見積書、工程表など資料を紙で管理するケースが一般的でしたが、従業員の負担を軽減するためにも、電子化が求められています。
電子化が実現すれば、業務効率化はもちろん、コストカットやセキュリティ強化などさまざまなメリットを享受できます。
電子納品やクラウドサービスの利用など、自社でできるところから少しずつ電子化に取り組んでみてはどうでしょうか。
電子化を図る場合、特定の業務や資料管理だけでなく、業務全体を管理できるシステムの導入がおすすめです。
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