採用難による人手不足は、建設業界が抱える大きな問題の1つです。
一方、建設業界の中にもITツールの活用で業務を効率化し、採用難の解消に成功している会社もあります。
ITツールの導入・運用には費用がかかりますが、IT導入補助金を活用すると、少ない費用負担でITツールを使用可能です。
本記事では、建設業の採用難の理由と採用難を解決できるITツールを紹介します。
目次
【建設業】採用難の理由
建設業が採用難に陥っている理由は、下記の3つです。
長時間労働・少ない休日
1つ目の理由は、長時間労働と少ない休日です。
下記は、国土交通省が建設業と「他業界の実労働時間」「年間出勤日数」の推移を比較した表です。
表を見てわかる通り、いずれの期間においても建設業は、全産業の平均や製造業の年間実労働時間や年間出勤日数を上回っています。
2016年度の製造業との差は、下記の通りです。
- 年間実労働時間の差:2056時間-1951時間=105時間
- 年間出勤日数の差:251日-234日=17日
上記の通り、他の産業よりも労働時間が長くうえ、出勤日数も多いため建設業は求職者から敬遠されているといえます。
高止まりする離職率
2つ目の理由は、高止まりする離職率です。
下記は、厚生労働省が新規高卒就業者の3年以内の離職状況の推移をまとめた表です。
高卒製造業の離職率は「24.4%〜39.1%」の間で推移しているのに対し、高卒建設業では「43.4%〜57.4%」の間で推移しており、10%ほど離職率が高いです。
高卒全産業と比較しても、高卒建設業の離職率の方が8%ほど高くなっています。
新規大卒者離職率は、大卒製造業と比較すると10%以上高止まりしています。
しかし、大卒全産業と比較すると概ね離職率は低く、他産業と比べても離職率が高い業界とはいえません。
高卒者と大卒者の離職率の差は、就業する職場環境の違いにあると思われます。
中小・零細企業は大企業と比べ、教育体制の不備や社会保険未加入など職場環境の悪い会社の割合が高いです。
大卒者より高卒者の方が、職場環境の整備された大企業に入社する割合が低くなるため、高卒者の離職率が高くなっているといえるでしょう。
離職率を低下させるためには、職場環境の整備は急務です。
マニュアル化されていない業務
3つ目の理由は、マニュアル化されていない業務が多いことです。
建設業界は「見て覚えろ」という文化が強く、しっかりとマニュアルが整備されている会社は多くありません。
特に施工管理者の業務は多岐に渡るため、マニュアルない状態では一つひとつの業務を覚えるのにとても苦労します。
業務ができていないと、怒られることも珍しい業界ではありません。
マニュアルがない中で、怒られるプレッシャーに耐えながら業務をこなさなければならない状況は、経験の浅い方の心身に負担をかけます。
採用難を解消するためには、可能な限り業務のマニュアルを作成し新卒者の負担を減らすことが重要です。
採用難解決の方法
前項で解説した建設業界が採用難に陥っている理由を踏まえて、採用難を解決する方法を下記3つ紹介します。
自社の悪い面も発信
採用活動時には、自社・建設業界の良い面・プラスの面だけでなく悪い面・マイナス面も発信しましょう。
どのような会社や業界であっても、良い面だけでなく悪い面も必ず持っているものです。
悪い面を隠して採用活動をおこなうと、求職者に不信感を抱かれるだけでなく、採用時のミスマッチの原因にもなります。
自社の悪い面も発信して離職率の減少に成功した例として、財務省がまとめた地域企業における従業員確保の動向について(特別調査)の中から、奈良県奈良市の株式会社楓工務店を紹介します。
同社は「学生の将来に重大な影響を与える就職活動に後悔が残らないように」との考えから、自社の良い面・悪い面どちらも積極的に情報提供をおこないました。
積極的な情報提供のおかげで、採用時のミスマッチを減少させるだけでなく、自社の理念に共感する学生の採用に成功しています。
【参考】地域企業における従業員確保の動向について(特別調査)-財務省
自社の悪い面を発信することは、勇気のいることです。
しかし、情報発信を積極的におこなうことで、求職者からの信頼を得られ採用のミスマッチ防止につながります。
採用難に悩んで会社は、一度情報発信の内容を見直し、自社の悪い面も発信することをおすすめします。
働き方改革への対応
働き方改革へ対応し、長時間労働や休日の確保をおこないましょう。きつい、汚い、危険
長時間労働は、建設業界に抱かれる悪いイメージの原因となっています。
2024年からは時間外労働の上限規制が始まり、労働時間の減少は建設業界全体の課題です。
また、国土交通省がまとめた『建設業における働き方改革』によると、2015年時点で4週8休を実現できている会社は5.7%と1割にも達していません。
過半数が4週4休というのが現状です。
建設業界でもテレワークの導入・フレックスタイムの導入などをおこない、働き方改革へ対応している会社もあります。
従来の働き方を見直し、積極的に新しい働き方を取り入れることが、採用難・従業員の離職を防ぐことにつながるでしょう。
業務効率化システムの導入
業務効率化システムを導入し、アナログの業務をデジタル化・クラウドの活用で効率化することもおすすめです。
詳しくは後述しますが、業務効率化システムなどのITツールを活用すれば、情報の管理・整理が楽になり従業員の負担を減らすことができます。
また、単純作業は自動化することも可能で、入力ミスなどの人的ミスの防止につながり業務効率化も可能です。
業務効率化システムの効果
建設業界が採用難に陥っている原因を解決する手段として、最も効果的かつ最短で成果の出る方法は、業務効率化システムの導入です。
ここでは、業務効率化システムの効果を下記4つ紹介します。
業務手順の統一
すべての業務をシステムを介することで、業務手順を統一できます。
紙を使用するようなアナログな業務は、担当者によって業務手順がバラバラになりがちです。
業務手順が統一されていないと、マニュアルの作成もおこない辛く、新人教育の負担も増加します。
業務効率化システムを導入すれば、システムの使用方法がそのまま業務の進め方にもなり、業務手順の統一は簡単です。
情報の一元管理
業務効率化システム上で、業務を進めることで、情報を一元管理可能です。
アナログな情報管理をしていると、下記のように情報がバラバラに整理され、情報を管理・探す手間や時間が無駄となります。
- 顧客情報(氏名や住所など)は名刺
- 案件情報(売上情報など)はエクセル
- 受注票は紙
業務効率化システムを導入で、情報はシステムに集約されます。
また、顧客や案件に情報を紐づけられ、過去案件の情報も簡単に検索可能です。
人的ミスの防止
単純作業はシステムの機能で自動化できるため、人的ミスの防止が可能です。
例えば、見積りデータを実行予算に転記する場合など、手入力や項目ごとにコピーを会社も多いでしょう。
システムを活用すれば、一度入力したデータはあらゆる業務に流用でき、同じ内容を何度も入力する必要はありません。
業務効率化システムの導入で、業務の手間が減るため、人的ミス防止につながります。
IT導入補助金の活用
IT導入補助金の活用で、費用負担を抑えて業務効率化をおこなえます。
IT導入補助金とは、中小・小規模事業者を対象とした業務効率化をおこなえるITツールを導入すると、導入費や使用料の一部を補助する制度です。
補助額は最大で「350万円」となっており、補助率は「3/4」「2/3」のいずれかとなっています。
IT導入補助金について詳しく知りたい方は、下記のリンクからIT導入補助金をわかりやすく解説している資料を入手してください。
IT導入補助金を活用できる業務効率化システム
IT導入補助金を活用できるおすすめの業務効率化システムは下記の3つです。
ツール名 | サービス詳細 |
---|---|
AnyONE | ・大部分の工務店業務を効率化可能 ・エクセルに似た操作感 ・充実のサポート体制 |
ANDPAD | ・シェアNo.1の施工管理アプリ ・大規模現場にも使用可能 ・自社内のタスク管理をおこなえる |
建て役者 | ・100社100通りの業務管理を実現できるシステム ・カスタマイズで従来の業務フローを再現できる ・顧客管理からデータ分析までおこなえる |
AnyONE(エニワン)
AnyONEは、工務店・リフォーム会社のための業務効率化システムです。
下記の業務に対応しているため、大部分の工務店業務を1つのシステムで効率化できます。
- 顧客管理
- 工事・施工管理
- 見積り書・実行予算・発注管理
- 入出金管理
- アフター管理
操作感はエクセルと似ており、エクセルの使用経験があれば直感的に操作方法を理解できる設計です。
また、サポート体制が充実しており、導入時研修・動画マニュアルなどシステムを業務に定着させるためのサポートがあります。
詳しくは、AnyONEの機能や特徴、口コミ・評判を解説している記事をご確認ください。
ANDPAD(アンドパッド)
ANDPADは、現場作業の効率化から経営改善までおこなえるシェアNo.1の施工管理アプリです。
住宅施工やリフォームだけでなく、ゼネコンが請け負うような大規模案件にも使用できます。
特に、便利な機能が「自社のタスク管理」です。
営業・経理・施工管理・設計など、すべての業務のタスクを管理できます。
終了していないタスクは常に表示されているため、新入社員でも今日やるべきことが明確となり、業務中の時間を無駄にしません。
詳しくは、ANDPADの機能や特徴、口コミ・評判を解説している記事をご確認ください。
建て役者
建て役者は、100社100通りの業務管理を実現できるシステムです。
カスタマイズに強みを持っており。今まで600以上に導入した実績があり、さまざまな会社の要望に応えてきました。
システム導入後の混乱を避けるために、従来の業務フローを再現することも可能で、導入する会社ごとにシステムをカスタマイズ。
標準機能も充実しており、顧客管理からデータ分析までと工務店・リフォーム会社の業務は一通りおこなえます。
詳しくは、建て役者の機能や特徴、口コミ・評判を解説している記事をご確認ください。
まとめ
本記事は、建設業が採用難に陥っている原因と採用難を解決するための方法やおすすめの業務効率化システムを紹介しました。
事業を継続・成長させるうえで、新たな人材の採用は欠かせません。
建設業は採用難に苦しんでいる会社が多いですが、先進的な取り組みによって採用難を克服している会社もあります。
本記事を参考に、採用難の対策を考えてください。
しかし「どの対策を講じたら良いか」と迷う方は、業務効率化システムの導入がおすすめです。
また「どのシステムが自社に最適化かわからない」方もいるでしょう。
建築現場博士がおすすめする工務店・建築業界の業務効率化ソフトはAnyONEです。
導入実績2,700社超の業界No.1基幹システムで、国交省「第一回 長期優良住宅先導的モデル事業」に採択されています。
エクセルのような操作感で、レイアウトもマウスで変更できるため、ITが苦手な方でも簡単にお使いいただけます。
また、システムの導入後も徹底的なサポートを受けられるため、安心して運用できるでしょう。
大手・中堅企業様から一人親方様まで規模感を問わず、業務状況に合わせて様々な場面でご利用いただけます。