一般住宅建設時に太陽光パネルの義務化が進み、再生可能エネルギーへの注目が高まっています。
しかし一方で、太陽光パネル設置にあたり、施主から感電リスクについて懸念する施主も増え、質問に答えられず困っている工務店担当者もいるでしょう。
この記事では、太陽光パネルの感電事故で起きること、感電事故の原因と対策を解説しています。
目次
太陽光パネルで感電すると起きること
太陽光パネルで感電した場合の主症状はやけどです。
人体は7割以上が水で構成されており、電気への抵抗値が低く、電流が流れやすくなっています。
電流が大きいほど人体への影響は強くなり、痛み・やけどで死亡するケースもあります。
静電気などはかなり低い電流のため、パチッと瞬間的な痛みを感じる程度です。
しかし、5mAを以上の電流を受けると痛みが強くなり、10mAでは絶叫するほどの痛みを感じます。
また、100mA以上の電流を受けるとやけどとショックにより、死亡する可能性が高いでしょう。
そのほか、浸水時に太陽光パネルに近づいて感電したような場合は、電流のショックで気絶して水たまりへ倒れ、そのまま溺死するケースも考えられます。
太陽光パネルによる感電事故の原因
太陽光パネルによる感電事故がなぜ起きるか原因を説明します。
太陽光パネルの感電事故を防ぐためにも、販売する工務店側も原因について把握しておきましょう。
雨
雨の日は太陽光パネルや周辺機器が漏電しやすくなります。
人体には水を通しやすい性質があり、雨に濡れているとさらに電流が流れやすい状態となり、感電しやすくなってしまいます。
雨の日は不用意に太陽光パネルへ近寄らないようにしましょう。
また系統異常のアラームが出ていないか、施主にて確認しておく必要があります。
水害・浸水
水害や浸水によって太陽光パネルが浸水したり、周辺機器が水に浸かってしまうことがあります。
そうすると、水を伝って電流が流れやすくなってしまい、関電の危険性が高まり危険です。
水害や浸水が起きているときには、太陽光パネルに近づいてはいけません。
万が一漏電の危険性がある際は、業者へ速やかに連絡するよう施主に伝えてください。
火災時の消防活動
万が一太陽光パネルで火災が起きた場合、消防活動によって感電するリスクがあります。
放水車による消化活動で水を使用するためです。
上記のリスクを考えて、消防庁は6メートル離れての消化活動を義務づけています。
低地設置パネルへの接触
一般住宅の太陽光発電パネルは、屋根のうえに設置する施主が多いです。
ただし、工業用のパネルは低地に広い面積で設置されていることもあります。
人が立ち入らないよう柵などが設けられています。
しかし、人が立ち入って接触して感電するリスクが考えられるでしょう。
万が一施主が低地に太陽光パネルを設置したい場合は、感電リスクがある旨や安全対策が必要な旨を伝えてください。
施工不良による漏電
太陽光パネル自体の施工不良により漏電が起こり、感電する危険があります。
日頃からコントロールパネルをチェックし、漏電アラームが出ている場合は、パネルや周辺機器に近づかないようにしましょう。
また、施主は速やかに設置業者へ連絡して不良箇所の修正対応依頼が必要です。
日常的にパネルの発電量などのチェックが必要であること、異常があれば業者に連絡することを施主に伝える必要があります。
パワーコンディショナー蓄電池・変電設備も注意
経済産業省が発表した「太陽電池発電設備による感電事故防止について」によると、浸水や水没発生時に太陽光パネルおよびパワーコンディショナー、蓄電池・変電設備へ近づくと感電するリスクがあると発表されています。
経済産業省が発表した「太陽電池発電設備による感電事故防止について」によると、水没発生時に下記の設備へ近づくと感電リスクが高まります。
- 太陽光パネル
- パワーコンディショナー
- 蓄電池・変電設備
水害発生時またパネルにおいて漏電アラームが出ている場合は、周辺機器にも近づかないよう施主に注意喚起してください。
【注意喚起】太陽光パネルにおける火災発生時放水できないはデマ
東京都の太陽光発電義務化の動きに対して、SNS上で「太陽光パネルで火災が発生した際に、消防士はパネルが燃え尽きるまで消化活動ができない」という投稿が話題になりました。
しかしこの投稿の内容は真実ではありません。
感電リスク自体はあるものの、消化活動自体は可能です。
「太陽光発電システム火災と消防活動における安全対策」によると、消防士の感電を防ぐため6メートル以上離れての消化活動を指導するなど、対策がおこなわれています。
施主が上記の投稿を見ており、間違った知識を持っていることもあるでしょう。
万が一施主から消化活動についての質問があれば、消化活動は問題ないと説明できるよう内容を理解しておいてください。
太陽光パネルの感電事故防止対策
太陽光パネルの感電事故防止のためにできる対策を4つ紹介します。
施主が太陽光パネルを設置する際に感電リスクを懸念しているなら、対策についてもあわせて説明しましょう。
太陽光パネルへの接触防止対策
太陽光パネルへの直接接触は非常に危険なため、子供などが立ち入れないように対策が必要です。
パネルは屋根の上に設置するケースが多いため、低地に設置する際は立ち入りを規制する設備が必要となります。
また、地面に設置するパワーコンディショナーなどの周辺機器は、子供などが触れないように表示をおこなうなど対策が必要だと説明してください。
破損・水没時の適切な距離
万が一太陽光パネルや周辺機器が破損、水没した際は「適切な距離を取りましょう」と伝えてください。
水没したパネルに近づくと感電リスクがあるためです。
漏電アラートが出ているなど異常を感知した際は、パネルや周辺機器に触らず安全な距離を保ちましょう。
距離をとったうえで施工業者に連絡をして、点検や復旧作業、または撤去作業を依頼するよう施主に伝えてください。
異常感知時には緊急連絡
太陽光パネル自体に破損などがなくても、漏電しているケースがあります。
漏電すると感電リスクが高まるため、速やかに処置が必要です。
施主自身では対応できないため、パネルなどで発電量に異常があったり、漏電アラートが出ている場合は、施工業者へ連絡して点検してもらう必要があります。
定期的なメンテナンス
太陽光パネルは定期的なメンテナンスが必要です。
発電量の維持、そして漏電や感電リスクを下げるためにも、定期点検が必要な旨を施主に伝えましょう。
メンテナンス費用は施主負担となるため、伝えにくいと感じる方もいるはずです。
しかし、定期点検をおこなえば感電事故の防止につながり、安心して太陽光発電を利用できるメリットがあります。
太陽光発電の定期メンテナンスの概要や重要性については、以下の記事も参考にしてください。
まとめ
太陽光パネルは安全性が高い発電設備です。
ただし感電のリスクがあることは施主にも説明する必要があります。
感電はどのような時に起きるかを理解し、災害や破損発生時の対策も施主にあわせて伝えましょう。
一版の太陽光発電パネルによる感電防止策は、異常を感知した際に近寄らないことです。
速やかに施工業者に連絡をして、点検や対処をしてもらうよう伝えてください。
また、太陽光発電パネルの感電事故は、施工不良によって起きる場合もあります。
このような事故を防ぐために、感電事故の原因となる施工不良のリスクが少ない信頼できる業者を選定することが大事です。
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