近年はコロナショックやウッドショックなど、住宅業界に大きな影響を与える出来事が頻出しました。
感染防止のためのリモートワークといった働き方改革、材料価格の高騰などにより従来の働き方では、利益を残すことが難しいです。
本記事では、住宅業界の今後と将来の対策について解説します。
目次
住宅業界の現状
住宅業界の現状を以下2つの観点から解説します。
新設住宅着工戸数
株式会社野村総合研究所の発表によると、新設住宅着工戸数の推移は2030年度は70万戸、2040年度は49万戸と減少する見込みです。
2021年の新設住宅着工戸数は国土交通省によると、865,909戸となっており、現在よりも市場規模は縮小すると予想できます。
日本は人口減少も予想されており、今後住宅を建てる方が少なくなるため、少ない顧客の奪い合いが起こるかもしれません。
人手不足
建設業界で働く方は年々少なくなっていることが、問題視されています。
国土交通省によると、建設業就業者数は1992年の619万人をピークに右肩下がりを続けているのが現状です。
近年はオリンピックの影響で、増加している年もあります。
しかし就業者の高齢化が進行しており、2025年を境に団塊の世代が75歳になるため大量の離職者が出て、人手不足が進行すると危惧されています。
2016年時点で建設業の就業者は3割以上が高齢者となっており、他産業よりも高齢化が著しいです。
住宅業界に大きな影響を与えた出来事
近年住宅業界に大きな影響を与えた出来事は、以下の3つです。
コロナショック
コロナショックは、住宅業界に2つの影響を与えました。
- 働き方の変化
- 顧客の住宅に対する価値観
従来の住宅業界は、顧客と対面しての商談や展示会での集客などオフラインでの働き方が一般的でした。
しかしコロナウィルス感染防止のために、顧客とオブラインでの交流がおこなえなくなり、Zoomなどを活用したオンラインでのコミュニケーションが浸透しています。
またITツールを活用して、自宅やコワーキングスペースで作業をおこなうリモートワークも盛んになり、事務所に集まらなくても仕事ができる環境が構築されました。
コロナウィルスの流行により、住宅の価値観も変化しています。
緊急事態宣言やステイホームにより従来よりも家で過ごす時間が増え、都心への近さよりも住宅の広さや過ごしやすさなどを重視する方が増えました。
ウッドショック
ウッドショックは、材料価格の高騰や材料が調達できないなど住宅業界に打撃を与えました。
材料の高騰は、工事原価の上昇の要因となり、中小工務店ほど価格転嫁が進まず利益率が悪化しています。
また材料が調達できないため、いつまで経っても住宅が完成しないという状況も発生しました。
また住宅が完成しないと工事代金を受け取れないため、資金繰りが悪化し倒産に追い込まれた会社もあります。
時間外労働の上限制限
2024年4月から住宅業界でも「36協定の時間外労働の上限制限」の対象となります。
2024年4月以降は、1日の残業時間を2時間ほどに抑えなければなりません。
上限を超えて従業員を残業させた場合、雇用主は懲役や罰金を課される恐れがあり、対策は急務です。
そのため、業界全体で業務の見直しやITツール導入による業務の効率化が叫ばれています。
住宅業界の今後
住宅業界で今後起こり得る将来は、下記の2つです。
新規住宅着工戸数の減少
人口減少に伴い、新規住宅着工戸数は減少すると予想されています。
先述したように株式会社野村総合研究所によると、新設住宅着工戸数の推移は2030年度は70万戸、2040年度は49万戸に減少する見込みです。
新たに住宅を建てる方が少なくなると、顧客の奪い合いが発生するでしょう。
これまで以上に、商品の差別化や手厚いサポートがおこなえないと収益を伸ばすことは難しいです。
収益を伸ばすためだけに時間を割くのではなく、新技術に対する勉強会や新たな税制に対する理解を深めるなど、顧客に付加価値を提供するための時間を割く必要があるでしょう。
リフォーム市場の拡大
新規住宅着工戸数の減少とは対照的に、リフォーム市場は拡大すると予想されています。
株式会社矢野経済研究所によると、2030年まで微増する見込みです。
そのため、新設住宅のみを取り扱っていた住宅メーカーや工務店が新規参入してくるでしょう。
市場でのプレイヤーが増えると、競争が激化するため成長市場だとしても他者との差別化は欠かせません。
工務店が生き残るための対策
今後ますます厳しさを増す住宅業界を生き残る対策は、下記の3つです。
ITツールの導入
1つ目の対策は、ITツールの導入です。
近年は国や業界を挙げて、業務効率化を進めています。
中でも導入後すぐに効果が表れやすい施策が、ITツールの導入です。
ITツールはさまざまな会社が提供しているため、自社の課題や問題に合わせてシステムの検討が可能です。
また現在は、情報を一元管理できるシステムが主流のため、情報共有を簡単におこなえます。
さらにネット環境が整っていれば、事務所や自宅など場所を選ばずに仕事がおこなえるため、働き方改革にも簡単に対応可能です。
しかし、操作方法を一から覚えなければならず、導入から業務への活用までタイムラグがあります。
加えてツールの導入や利用には、費用がかかることがデメリットです。
リフォーム業や太陽光発電への参入
2つ目の対策は、これから成長すると見込まれている、リフォーム業界や太陽光発電への参入です。
リフォーム業界は先述したように2030年まで、緩やかな成長が見込まれています。
また太陽光発電は、東京都を筆頭に設置を義務化しているため今後成長する市場といえるでしょう。
太陽光発電に関して詳しく知りたい方は、工務店が知っておくべき太陽光の導入メリットを解説した記事をご確認ください。
M&A
3つ目の対策は、競合他社や異業種のM&Aです。
M&Aは、事業エリアの拡大や優秀な人材をすぐに獲得できます。
また異業種の会社を買収すると、買収先が持つノウハウや顧客リストを手に入れることが可能です。
M&Aに興味のある方は、建設業におけるM&Aについて解説した記事をご確認ください。
まとめ
本記事では、住宅業界の今後と生き残るための対策について解説しました。
これからの住宅業界は、新規住宅着工戸数が減少すると予測されているため、 住宅メーカーや工務店は対策が必須です。
リフォーム業界や太陽光発電など、今後成長する業界への参入を検討してください。
またITツール導入による業務効率化が、最も簡単におこなえる対策です。
「何か将来の対策をしなければ」と考えている方は、一度ITツールの導入を検討してはいかがでしょうか。
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