施工管理技士の平均年収は、日本全体の平均よりも高い水準ですが、一口に施工管理技士といっても担当する工事現場や企業規模によっても年収は変動します。
上記のように考えている施工管理技士の方は、多いのではないでしょうか。
この記事では、施工管理技士の平均年収の概要を年代や業種、勤務先企業に区分して解説します。
さらに、施工管理技士としてさらに年収を上げるポイントも調査しました。
施工管理技士として年収を上げたい方は、ご一読ください。
目次
施工管理技士の平均年収の概要

施工管理技士の平均年収は、年齢や業種、工事現場の種別によっても変わります。
さまざまな角度から、施工管理技士の年収に触れていきましょう。
- ボリュームゾーンは400〜600万円
- 年代別の施工管理技士の年収
- 業種や工事別の施工管理技士の年収
- 大手ハウスメーカーで施工管理の年収が高い企業ランキング
- 建築業界で最も年収の高い企業ランキング
ボリュームゾーンは400〜600万円
施工管理技士の平均年収のボリュームゾーンは、400〜600万円の間です。
求人サイトより、施工管理の求人に記載されている年収例をまとめました。
国税庁が発表した「令和2年分 民間給与実態調査統計」によると、日本人の平均年収は約430万円です。
施工管理の年収は、平均から平均以上の水準であることが分かりました。
企業の規模や、経験年数によっても年収は変動します。
20代の年収は400〜500万円の間となっており、年齢を重ねるごとに施工管理経験も増えるため年収が上がっていく傾向にあることが分かりました。
年代別の施工管理技士の年収
次に、施工管理技士の年収を年齢別に比較していきます。
年代 | 業界全体平均年収 | 施工管理平均年収 |
---|---|---|
20代 | 387.5万円 | 435.89万円 |
30代 | 479.98万円 | 501.47 |
40代 | 568.87 | 623.39 |
50代 | 600.83 | 748.75 |
施工管理技士の年収は、年齢に比例して上がっていきます。
建設業従事者全体の平均値と比べても、20代と若い世代でも高い水準です。
業種や工事別の施工管理技士の年収
施工管理技士の年収は、担当する業種や工事の種別によっても変わります。
工事種別 | 施工管理平均年収 |
---|---|
外壁工事 | 455万円 |
原子力 | 475万円 |
解体工事 | 478万円 |
アパート | 502万円 |
パイプライン | 650万円 |
パイプラインなど、規模が大きな工事になると、平均年収が上がる傾向にあります。
大手ハウスメーカーで施工管理の年収が高い企業ランキング
施工管理の仕事の中でも、特に大手ハウスメーカーの年収は、1,000万円を超えることもあります。
平均年収 | 施工管理の平均年収 | |
---|---|---|
住友林業 | 870万円 | 645万円 |
大和ハウス工業 | 867.8万円 | 600.6万円 |
積水ハウス | 802.2万円 | 452.8万円 |
大和ハウス工業の施工管理の年収例を見てみましょう。
大和ハウス工業の有価証券報告書によると、平均年収は867.8万円です。
Resacoのリサーチ結果によると、ボーナスの支給額は全国平均で9ヶ月分・年2回支給されます。
indeedで施工管理の平均月収は28.6万円と報告されているため、想定される施工管理の平均年収は、600.6万円という結果になりました。
同様に住友林業・積水ハウスも調査した結果、賞与の額によっても変動はしますが、大手ハウスメーカーでは、平均以上の高い年収が期待できます。
大手ゼネコンで最も年収の高い企業ランキング
大手ゼネコンで、最も年収の高い企業ランキングを10位まで調べました。
あくまでも会社全体での平均年収の値ですが、年収が高い企業は施工管理の給与も高水準です。
建築施工管理技士で高年収を目指すポイント

施工管理技士として、高年収を目指したい方は以下のポイントを意識してみましょう。
- 勤務先企業の規模
- 勤続年数・経験
- 工事現場の規模・種別
- 役職
- 1級施工管理技士の資格
勤務先企業の規模
建築施工管理技士の年収は、勤務先企業の規模によっても変動します。
先ほど紹介した大手ハウスメーカーやゼネコンなど、年収の高い企業は施工管理の給与も高水準です。
知名度が高く、従業員規模の大きな大手はもちろん、建築DXを推進して効率化に取り組んでいる企業も年収は高い傾向にあります。
建設DXを推進している企業は、粗利率の管理などがしっかりされており利益率が高く、年収に反映される可能性が高いです。
高年収を求めて就職・転職活動をおこなう場合は、大手企業の求人だけでなく、建設DXを推進している企業の求人も探してはいかがでしょうか。
勤続年数・経験
勤続年数が長くなるほど、施工管理技士の年収は高くなる傾向にあります。
また、転職の際は経験年数に応じて入社時の給与の打診が上がるでしょう。
1つの企業で施工管理技士として長く勤め上げる、または経験を積んでさらに大手の企業へステップアップするようにすると、年収を上げられます。
工事現場の規模・種別
施工管理技士の年収は工事現場の規模や種別によっても変わります。
建築施工管理技士の求人票を、工事種別に分けて調査しました。
現場の例 | 想定年収 |
---|---|
オフィスビル・非住宅案件 | 480〜750万円 |
マンション修繕 | 500〜800万円 |
賃貸マンションリフォーム | 400〜600万円 |
駅舎の改修工事 | 700〜1,100万円 |
年齢や経験に応じて幅があるものの、工事現場の規模が大きくなるほど、施工管理の年収は高くなります。
求人票で、工事現場の規模を見て、大規模工事を担当している会社を重点的に探すようにすると、年収は高くなるでしょう。
役職
施工管理技士に限った話ではありませんが、企業で役職がつけば役職手当が付与されるため、年収は上がりやすくなります。
役職をつけるには、勤怠態度・勤続年数・スキルなど総合的に会社に評価される必要があります。
施工管理技士として、企業に貢献する姿勢が大切です。
1級施工管理技士の資格
施工管理技士は、保有資格によっても年収が大きく変わります。
資格の種別 | 年収 |
---|---|
無資格 | 350万円〜 |
2級 | 400万円〜 |
1級 | 500万円〜 |
施工管理技士は所持している資格に応じて、担当できる工事の種別が限定されます。
1級所持者は、大規模工事の担当も可能なため、1,000万円以上も目指せるでしょう。
実際の求人票で、資格について記載がある求人を比較しました。
資格の種別 | 年収 |
---|---|
2級建築施工管理の募集 | 500〜900万円 |
1級建築施工管理の募集 | 650〜1,000万円 |
工事現場の規模も関係してきますが、資格を所持していることで大幅に年収が変わります。
特に転職の場合は、経験年数・資格の有無が想定年収の算出で重視されるため、施工管理技師は取得しておくべきです。
建築施工管理検定を受けたい方へ、下記の記事で詳細をまとめています。
施工管理で高年収企業を目指す際の2つの注意点

施工管理は平均して高年収を目指せる仕事ですが、求人票の額面だけを見て安易に転職・就職を決めることはおすすめできません。
あくまで求人票に載っている金額は想定であり、実際の額面とは違う場合もあります。
下記の注意点を頭に入れて、希望通りの収入を得られる企業を選びましょう。
- 見なし残業で給与が高く見える場合がある
- 業績により賞与額が下がる可能性がある
見なし残業で給与が高く見える場合がある
施工管理の求人票を見るときは、残業時間や見なし残業も確認しましょう。
例えば求人票で年収が600万円、想定月収が37.5万円の場合でも、見なし残業が40時間含まれるケースがあります。
つまり、日常的に残業が発生する可能性が高く長時間労働が求められる職場と判断できるでしょう。
ライフイワークバランスも重視したいと考えているなら、上記の職場は理想とは違います。
また、給与に見なし残業が含まれている場合は、所定の時間を越えない限りは残業代が発生しません。
業績により賞与額が下がる可能性がある
施工管理の年収は、賞与を含めた金額で計算されています。
賞与は現時点での業績を考慮して計算されるため、入社後に業績が下がり、賞与が低くなる可能性もあるでしょう。
求人票で見た年収と大きく変わることがあるため、上場企業の場合は業績を確認してください。
非上場の場合は、経営状態を明確に推し測れないため、転職サイトなどを見て元社員の口コミを参照してみましょう。
「年々ボーナスの額が下がっている」という口コミがあったり、賞与に不満を持っている社員が多い場合は、ボーナス額が想定より低い場合があります。
まとめ
施工管理技士の年収は、建築業界全体から見ても高い水準です。
働いている企業規模や資格の有無なども、年収の上下に関わります。
施工管理の仕事によりやりがいを見出すためにも、記事で紹介した年収アップのポイントを参考に、今後のキャリアプランの参考にしてください。
転職・就職先の企業を決めかねている場合は、建築DXを導入している企業を基準とすることもおすすめです。
また、企業は建設DXを進め利益率を向上させ、従業員の年収をアップさせる意識がないと、人材獲得競争に負けてしまいかねません。
建設DXへの取り組み方が分からない場合は、業務管理システムの導入をおすすめします。