エンドユーザーの新たな需要、空き家の活用が叫ばれているため、リノベーション市場の動向が気になっている工務店経営者も多いのではないでしょうか。
国の後押しもありリノベーション市場は、今後も緩やかに成長を続ける見込みです。
本記事では、リノベーションとリフォームの違いや2023年の展望、これからのリフォーム業界で生き残る方法について解説します。
リノベーション業界への参入を考えている方は、ぜひ最後まで読んでください。
目次
リノベーションとリフォーム
リノベーションをリフォームと比較して解説します。
リノベーションとは
リノベーションは、大規模な工事をおこない、新築以上に建物の価値を高めることです。
- 間取りの変更
- 全内装の撤去
- 給排水設備の交換
上記のような大規模工事をおこない、リフォームよりも居住者のライフスタイルに合わせた居住空間の実現ができます。
また時代に合わない古い内装や設備が一新されるため、資産価値が向上します。
さらに築年数の古い物件を購入しリノベーションをおこなうと、新築よりも安価に理想の住宅に住むことが可能です。
そのため「予算は厳しいが、自分たちの理想の空間を実現したい」というお客様への提案がおすすめです。
リフォームとは
リフォームとは、小規模な工事で建物の価値を新築に近づけることです。
長年住宅を使用していると、以下のように建物が老朽化します。
- 壁紙の日焼け・シミ
- 家電・家具の設置跡
- 給排水設備の経年劣化
リフォームでは、建物が老朽化した箇所を改修して建物を新築の状態に近づけます。
リフォームはリノベーションに比べ工事規模が小さいため、半日〜1日で終わることも珍しくありません。
また工事規模が小さいため、リノベーションよりも費用がかからないことがメリットです。
2023年のリノベーション・リフォーム市場
2023年のリノベーション市場・リフォーム市場の予想を下記4つの観点からおこないます。
2023年の予測
株式会社矢野経済研究所は、2023年のリフォーム市場規模を6.8〜7.5兆円と予想しています。
2022年の住宅リフォーム市場規模は7.3兆円だったため、ほとんど横ばいになるとの予想です。
2022年まではコロナ禍による行動制限が実施されていたため、居住空間を快適にするためのリフォームが活発におこなわれていました。
しかし2023年は行動制限がなくなると予想されるため、消費者は旅行や飲食などのリフォーム以外に支出が増えると想定されます。
国土交通省の動向
国土交通省は「新たな住生活基本計画の概要」で、これから増える空き家の有効活用を考えています。
- 古民家の改修
- セカンドハウスとしての活用
- シェアハウスとして活用
上記のような対策で、空き家が増えることによる治安悪化や景観悪化の防止を狙っています。
リノベーションやリフォーム需要が増えると予想されます。
そのため、リノベーションやリフォームを通して空き家の有効活用をアドバイスできる工務店やリフォーム会社は、収益を伸ばせる可能性が高いです。
資材価格の高騰
2023年も資材価格が戻ることはないと予想されています。
2022年は以下のような事情で資材価格が異例の上昇を続けました。
- ロシアのウクライナ侵攻
- 歴史的な円安
価格上昇の要因はまだ続いており、2023年も資材価格が戻らないと想定されています。
そのため、工務店やリフォーム会社は早めの発注や在庫を抱えるなど、対策が必要です。
メーカーの動向
各社メーカーも続々と見上げしています。
代表的な3社を見ていきましょう。
建材設備機器メーカーのLIXIL株式会社は、2022年6月23日のプレスリリースで小売希望価格の改定を発表しています。
最も値上げされる商品は金属サイディングです。
改定率は15〜27%程度となっています。
住宅設備機器メーカーのタカラスタンダード株式会社は、2023年1月5日のプレスリリースで小売価格の改定について発表しています。
実施時期は2023年4月3日の注文分からです。
最も値上げされる商品の改定率は、19〜26%程度です。
建材・建築資材の取り扱っている株式会社サンワカンパニーは、2023年3月1日より価格改定を実施すると発表しています。
40%以上も値上がりする商品があります。
リノベーションやリフォームに建材や設備機器は欠かせません。
メーカー各社の動向をしっかりと把握し、見積り金額への反映を忘れないようにしましょう。
これからのリノベーション業界で生き残る方法
これからのリノベーション業界で生き残る方法を下記2つ解説します。
新たなニーズの獲得
コロナ禍後は、オフィスへの出社が減り、テレワークの普及によって在宅時間が増えました。
在宅時間が増えたことにより、現在の住まいをさらに快適にしたい、仕事に適した環境にしたいという要望が高まっています。
従来では生まれなかった需要が生まれるため、工務店・リフォーム会社は従来とは異なる提案が求められるでしょう。
- 室内でも運動ができる空間
- テレワークやオンラインミーティングに適した仕事部屋
- 換気がおこないやすい設計
- ストレス軽減につながる自然
上記のようなことが新しい需要として生まれる可能性が高いです。
工務店経営者や営業担当者は、自社ではどのような新しい提案ができるのか今のうちに戦略を練っておきましょう。
営業手法の変化
営業手法を変化させることも重要です。
この中では対面営業ができなくなり、オンライン面談が主流となりました。
加えて近年では家づくりの情報をネットで集める方が増えています。
そのため、ネット集客の対応は必須です。
特にスマホで見られるコンテンツの作成をおすすめします。
- Instagramで、リノベーションに成功した住宅の写真を投稿する
- Twitterで、リノベーションを行うのに必要な知識を投稿する
- YouTubeで、施工中の状況を投稿する
上記の戦略は一例です。
「自社ではどのようなコンテンツが作成できるのか」を、1度考えてみてください。
また対象の顧客によってはネット集客ではなく、チラシ集客もおすすめです。
チラシ集客では、高齢者などの普段ネットを見ていない方法対象に集客ができます。
チラシの作成方法や無料テンプレートが気になる方は下記の記事をご確認ください。
まとめ
本記事では、リノベーションとリフォームの違いや2023年の展望、これからのリフォーム業界で生き残る方法について解説しました。
リノベーションとは大規模な工事をおこない、建物の価値を新築以上に高めることです。
今後リノベーション市場は、国からの後押しもあり成長していくと予想されます。
新築住宅やリフォームだけの収入では限界を感じている工務店経営者は、リノベーション業界への参入を検討してください。